ゾマリ・ルルー
ぞまりるるー
「我が全霊の「愛」で全て支配してくれる!!」
外見は、頭部に棘のような仮面の名残があるスキンヘッドの黒人風の大柄な男性で、下顎に黒い仮面紋がある。首と耳には仮面が変化した首飾りと髑髏型のピアスを付けており、破面でも変化した仮面の名残の種類が多い。
ちなみに右乳首部分に虚の孔があるが、『7』の刻印の箇所は不明で、破面化した時期も不明。また、ウルキオラやアーロニーロ同様、従属官を一人も従えていない。
死神の瞬歩に相当する高速移動技術・響転(ソニード)の速度で十刃最速を誇っている。
一見厳かな雰囲気を漂わせており、普段は瞑想をしたりと十刃の中でも特に寡黙な雰囲気で、敵に対しても丁寧語で話す。ただし、こういった言動はあくまで表面上のものに過ぎず、丁寧な口調で皮肉を普通に言う他、激昂すると途端に口調が崩れてタメ口になる慇懃無礼な性格で、自分が追い込まれると途端に焦りを露にして、命乞いをしたり逆上したりと本質的には小物に過ぎない。
言動の端々から相手を見下した傲慢な態度が滲み出ており、こういった彼の本質を見抜いていたからか、白哉からは終始「驕っているのはお前だ」「私とお前が同格だと思う事自体が驕りだ」等と扱き下ろされていた。
これらの傲慢な態度は仲間に対しても変わらず、戦死したアーロニーロに対しても「無惨」「詰めが甘い」等と容赦なく言い捨てている。また、戦闘では卑劣な戦法を取る事も厭わず、首を落とさない限りは、死を確認する術はないというシビアな考えを持っている。
一方で、藍染に対する忠誠心は十刃の中でも特に高い方である。
解号は【鎮まれ】。
刀を自身の前に浮かせ、腰を落として両手を広げた奇妙なポーズをとり、そこから両手を合わせて首を右に(読者から見ると左に)倒して解放し、浮いた刀身が渦巻き状にひん曲がり、そこから噴出した白い粘液に覆われて変身する。
全身に目玉のついた白いスーツを纏い、頭部が顔の正面以外髑髏の仮面で覆われる。目元にも仮面紋が浮かび上がり、下半身は幾つもの人面を持つ巨大な蓮の蕾の様に変化する。アニメ版では蓮の蕾部分はピンク色となっている。
しかし、速度が最大の強みだった筈にもかかわらず、帰刃後は明らかに速度を犠牲にした形態になる理由は不明。
この下半身は一見するとカボチャに見えるが、ゲーム『Brave Souls』にて実装された「帰刃のその先へ」の形態では蓮の花であった事から、蓮の蕾である可能性が高い。なお、蓮の花は仏教で重視される花で、ゾマリが解放の際に祈るように手を合わせていたり、首回りに付けている仮面の形が瓔珞のようだったり、呪眼僧伽という帰刃名である事を考えると、全体的に仏教がモチーフだと思われる。
技
- 双児響転(ヘメロス・ソニード)
十刃最速と唱われる彼だけが使える特殊な響転。
響転に特殊なステップを加える事で、自身の分身を作り出す事ができ、最大で5人まで分身可能。本人は「手品のようなお遊び」と自称している。
常に相手の死角に分身を出す事で、敵を撹乱してジワジワ追い詰めていき、さらに分身可能数を誤魔化す事で、相手にブラフをかけるという戦法も取れる。
- 愛(アモール)
その目で見たものの支配権を奪う能力。
支配権を奪われた対象は、支配された箇所に模様が浮かび上がり、自分の意思とは関係なくゾマリの意思に操られる。支配可能範囲は、脚や腕等身体の一部の部位のみだが、白哉のようにその部位の腱を斬ると無力化出来る。しかし、相手の頭を支配すれば支配は全身に及ぶ。
支配できる箇所は目一つにつき一箇所であり、全ての目を使えば50箇所以上を一度に支配できるが、実はゾマリの額のスリットにも目が隠れており、そこを開眼させる事も可能。当然この目から愛を放つ事も可能で、その8つの目も全て使えば合計で58箇所以上は支配する事ができる。しかし、作中では何故か千本桜景厳で王手をかけられてもなお額の目を使わず、敗北がほぼ決定して初めて開眼したのだが理由は不明。
また、白哉の分析によると、この愛の力は鬼道に近い性質を持つ技であるらしく、縛道の六十一【六杖光牢】や縛道の八十一【断空】等で防ぐ事が可能。
アモール(Amor)とは、スペイン語やラテン語で「愛」の意である。
- 守胚姿勢(エル・エンブリオン)
下半身の蓮の蕾に上半身を埋め、全方位からの攻撃を防ぐ防御形態。劇中では白哉の吭景・千本桜景厳を辛うじて防いだ。
エンブリオン(embrión)とは、スペイン語で「胚」や「胎児」の意。
第9十刃・アーロニーロとの戦いで重傷を負った朽木ルキアに止めを刺そうとするが、救援に来た朽木白哉と交戦。彼に双児響転を使っても翻弄され、白哉の言動にプライドを傷つけられ、斬魄刀を解放して『愛』の力で白哉に畳みかける。
さらにルキアを操り、彼女の命を盾にして戦いを優位にしようとするが、その戦い方が白哉の怒りを買い、卍解した千本桜景厳に対抗して『愛』を全開にするものの、千本桜景厳は数億の刃を有するので、一つの目につき刃一枚にしか効果を及ぼせないという屈指の相性の悪さから、そのまま吭景・千本桜景厳で満身創痍になる。
挙げ句、縛道の断空で「愛」を完全防御出来るという攻略を白哉が見つけた事で攻撃が実質封じられ、首に刃を押し付けられて完敗。戦意喪失して今までの言動が嘘のように恐怖に怯えて冷や汗をかきながら、命乞いをするも聞き入れられず、すると途端に逆上していきなり虚代表として死神に対して「斬られて消えていく虚の無念を考えた事はあるか」「誰の許しを得て虚を斬っているのか」と声高々に熱弁を始めてしまう。
しかし、そもそもこの指摘自体が見当違いであり、白哉からは「私の誇りに刃を向けたから斬る」と断じられた上で(そもそも先に宣戦布告をしたのは藍染と虚圏側であり、この場面で虚と死神の戦いがどうこう言う事自体が的外れでしかない)、そのまま一刀のもとに切り伏せられ、「藍染様ばんざあああああい!!!」と渾身の叫びを上げながら消滅した(この一連のシーンは「最後まで藍染に忠誠を誓い戦った自分自身に『陶酔』しながら死んだ」と言われている)。
その敗因は、白哉が言う通り「純然たる格の差」だった。
ちなみに十刃最速の名に恥じず、まさかの戦闘開始から僅か4話での十刃最速退場である。1つ階級が下のザエルアポロが、登場から退場までに1年かかった事と比較するまでもない程の差であり、それ故にファンからはザエルアポロの方が強かったのでは?と言われてしまう事も多い。
その退場の速さに加えて、帰刃後のビジュアルの気持ち悪さ、言動から溢れ出る小物臭、単行本の表紙を飾れなかった、上記の虚代表としての発言の的外れっぷりや底の浅さ等々、ぶっちゃけ劇中での扱いは完全に白哉のかませ犬であり、十刃の中でも最も影が薄く、ファンからの人気や評価も低い(何なら一部の従属官の方がよっぽど存在感も人気もある)。
おまけに他の十刃が、読み切り漫画や小説で出番を貰ったり過去を掘り下げられたりしている中で、彼のみ現状そういう見せ場も一切なく、公式からの扱いも露骨に悪い。
おまけに、後に完全上位互換の能力を持ったキャラが登場しており、その不遇さはさらに際立っている。