概要
本作では人間が死後魂魄になった状態を「整(プラス)」と呼び、これが変化したもの。
(下記の通り動物の霊も虚になるが、作中にて登場した個体はかなり少ない)
姿形や固有能力は千差万別だが、「頭部を覆う白い仮面」と「胸付近の孔」は共通している。
特徴
通常・整を問わず人間の魂魄を主食とし、特に近親者や霊力の強い者の魂を求める習性がある。
食欲(?)が強い個体は同じ虚を捕食するようになる。
多くは人間と動物の中間のような姿で、心を失い剥き出しとなった本能を隠すかのように、顔には髑髏のような白い仮面を着けている。
生前の記憶と知能は残り、言語を話す個体もいるが、人間らしい心や感情は(物理的に)孔が開いたようにすでに失われており、ほとんどの場合、捕食や破壊、戦闘の為のみに使われる。
虚になる(虚化)際は、生前の肉体と魂魄をつないでいた「因果の鎖」が生えている箇所から鎖が徐々に取れて孔が開き始め、数か月から数年で完全に開いて身体が爆散し、霊子が再構成されることで変化する。
また鎖が生前強い未練のある場所に繋がった、いわゆる「地縛霊」の状態で第三者に孔をこじ開けられてしまうと、直ぐに変化してしまう。
虚は死神の持つ斬魄刀に斬られる事で、虚になった後の罪が洗い流され、天国(あの世)に相当する「尸魂界(ソウル・ソサエティ)」へと送られる。
よって生前から悪人だった場合は、斬られた瞬間、クシャナーダにより「地獄」へ引き渡される。
世界観を共有する(と思われる)作者の次回作『BURN THE WITCH』では、「ドラゴン」と呼ばれ資源化されている描写がある。
主な個体
死神代行篇
- フィッシュボーンD / ワイドボーン(ゲーム)
魚のような顔の虚。
黒崎一護を食おうと黒崎家を襲撃し、一護が朽木ルキアから死神の力をもらうきっかけになった、物語中で最初の敵。
クモに似た外見をした六本足の虚。
硬質の鱗に覆われた大蛇の下半身を持つ虚。
武器は口から吐く強酸「ヴィトリアルショット」と、尻尾の打撃「テイルシェイカー」。
その正体は3年前に亡くなった井上織姫の実兄である井上昊で、一護がその正体に勘づいた際に、ルキアが一護(と読者)に虚の正体を説明した。
- シュリーカー / スクリーマー(ゲーム)
コウモリに似た虚。カエルのような分身「小虚(ミューズ)」を操り、得意技は小虚が放つ蛭を本体の舌から発する特殊音波で起爆させる「チューニング・フォーク・ボム」。
生前は凶悪な快楽殺人鬼で、自分が事故死する際に襲っていたシバタユウイチの魂をインコに移し、彼と関わる人間を殺すゲームに興じていた。
- グランドフィッシャー / グランサベージ(ゲーム)
四足獣とチョウチンアンコウを掛け合わせたような虚。
狡猾な性格で、触角の先にある人間の姿をした「疑似餌」で霊力のある人間をおびき出し捕食する。また、爪で相手の記憶を読み取り疑似餌を大切な人の姿に変身させる「脳写(トランスクライブ)」も可能。本体が破壊されても、疑似餌に乗り移る「移胴(ミグレイション)」で逃げることが出来る。
一護の母・黒崎真咲を殺害した「直接の」犯人。
- ナムシャンデリア / オクトパシー(アニメ)/ ナムジェリー(ゲーム)
女性と思しき虚。飛ばした種子を植え付けた人間を操る技「バルブスキャッター」を持つなど、生前から外道であった可能性が高い。
尸魂界篇
- メタスタシア / テンタクルス(アニメ)
100年前に藍染惣右介によって作られた実験体の虚。
志波海燕を死に至らしめ、ルキアの心にトラウマを遺した張本人。
- ゾンザイン
CV:安元洋貴
単行本のオマケに登場。その名の通りぞんざいなデザインの巨大虚。
飄々とした言動で魂葬刑事カラクライザー(コン)を翻弄するが、救援に来たカラクライザー・ゴールド(ドン・観音寺)らに倒された。
アニメ版ではカラクライザーのライザービームで倒される。
藍染惣右介一派を迎えに来た大虚たちの奥にいた、一つ目の大きな怪物。
破面篇
砂の身体を持つ虚夜宮の番人。
千年血戦篇
20年前に現世に現れ、一心と戦った藍染の実験体。
小説版
- 已己巳己巴(いこみきどもえ)
かつては第2十刃のバラガンと張り合える程の力を有している虚(その当時の名前は不明)だったが、その力を危険視した和尚に名前を書き換えられ、二枚屋王悦に斬魄刀として封印された。
現在は産絹彦禰が持ち主となっている。
分類
- 半虚(デミ・ホロウ)
胸の孔が開きかけた霊で外見は生前と同じ。厳密にはまだ虚ではない。外部から孔をこじ開けられたり、何もされずとも時間が経つにつれ、やがて虚化してしまう。
- 巨大虚(ヒュージ・ホロウ)
名前通り巨大な虚。後述の大虚と違い単体で巨大なもの。
- 大虚(メノス・グランデ)
互いを喰い合った数百の虚の集合体。
体が大きい順に「最下級大虚(ギリアン)」「中級大虚(アジューカス)」「最上級大虚(ヴァストローデ)」と呼ばれ、漢字表記の通り体が小さい個体ほど強い。
詳細は該当項目参照。
- 破面(アランカル)
仮面を外して死神に近い能力を得た虚の上位種。
詳細は該当項目を参照。
- 破面もどき
不完全な破面。
姿は虚だった頃の特徴を大きく残している。
その他
アニメ版では犬の霊が虚化した虚(2匹の犬が合体しオルトロスのようなシルエット)が登場し、原作でもヤミーが子犬のような虚(破面?)を従属官にしている。
虚圏の砂漠には小さなトカゲ型の虚が生息し、一護達に危害を加えなかったが石田雨竜は虚圏の濃密な霊子の中では魂を食べずとも霊体を維持できると推測している。
因みに大半が日本に出現した虚であり、海外にも彼らが出現するかは最後まで明かされなかった。
その他の用語
虚に関する用語は主にスペイン語から取られている。
- 虚圏(ウェコムンド)
現世と尸魂界の狭間に存在する世界で、虚たちの本拠地。
詳細は該当項目を参照。
- 黒腔(ガルガンタ)
虚圏から現世や尸魂界に移動するときに虚や破面が用いる通路で、開く技名は「解空(デスコレール)」。
浦原喜助は解析により「繋界儀(けいかいぎ)」として模倣し、織姫を救いに行く一護・チャド・雨竜を送り出した。
涅マユリもザエルアポロの研究材料から解析・再現し、一護と卯ノ花烈を空座町に送った。
技・能力
- 超速再生
損傷部分を瞬時に修復する再生能力。破面になると(唯一の例外を除いて)失われる。
- 虚閃(セロ)
大虚や破面が放つ収束された霊力の閃光。所謂「破壊光線」。
大抵は赤い色だが、アニメでは青や黄色、紫など、多様な色をしている。
上位技として「黒虚閃(セロ・オスキュラス)」「王虚の閃光(グラン・レイ・セロ)」が存在する。
- 虚弾(バラ)
主に破面が使う、霊圧を固めて放つ技。
虚閃ほどの威力はないが、20倍の速度で連発が可能。
- 反膜(ネガシオン)
大虚が同族を助ける際に使用する光線。
光の中は隔絶された異空間となり、攻撃など外部からの干渉を受け付けない。