海面上昇により 地上の生物は息絶え
誰もいなくなった大地に イカの始祖は その10本足を踏み入れる
こうして 軟体世紀は幕を開ける
(スプラトゥーン ミステリーファイル10)
概要
ゲーム『スプラトゥーン』シリーズの舞台となる世界。人類と哺乳類が海面上昇などで滅亡した約1万2000年後、進化したイカなどの海洋生物たちが地上進出して文明を築いた、現代から遙か先の未来の地球である。
「軟体世紀」の名称が軟体動物から取られているように、イカの進化したインクリングとタコの進化したオクトリング等の軟体動物が最大の影響力を誇っている。この他にも魚類、甲殻類、刺胞動物など、多様な海洋生物たちが地上環境に適応して生活している。
歴史
軟体世紀は人類滅亡1万年後、突如として高度な知能を獲得したイカ達(=インクリング)が出現し、地上進出して文明を築いたことで始まった。イカ以外にも多種多様な海洋生物たちが地上進出しており、軟体世紀の始まりから2000年後の現在、海洋生物たちは独自の言語や建築を発展させ、都市圏まで形成するほどの高度な文明を築いている。
紀年法として現代の西暦に当たる「軟体世紀〇〇〇〇年」という表記が用いられており、例えば設定画集『イカすアートブック3』の86pでは、ファイナルフェスが開催された年月を「軟体世紀2019年7月」と表記している(現実世界では西暦2019年7月開催)。開発者に訊きましたでは軟体世紀ではなく「イカ暦」とも記している。
メタ的な話になるが、ゲーム内では現実世界と同じだけの時間が経過する。例えば現実世界で2015年に発売の『スプラトゥーン』は作中世界の軟体世紀2015年が舞台で、2017年発売の『スプラトゥーン2』は軟体世紀2017年、2022年発売の『スプラトゥーン3』は軟体世紀2022年、といった風に現実世界と同じ時が経つ。その分、作中のキャラクターが成長したり、街や文化も発展する。
詳細な歴史は次の記事を参照
種族
人類と哺乳類が滅亡した代わりに、軟体世紀には多種多様な海洋生物たちが地上進出している。軟体世紀を生きる種族には次の種類が確認されている。
- インクリング:イカの種族。軟体世紀では最大の影響力を持つ種族で、メタ的には本作のプレイヤーでもある。
- オクタリアン:タコの種族。イカと同等の影響力を持っていたが、100年前の大戦でイカに敗北して以来、荒れた土地での生活を余儀なくされている。
- オクトリング:オクタリアンのうちヒト型に変化できる種族。インクリング達と共存する者も多い。インクリングと同じくプレイヤーでもある。
- クラゲ:クラゲの種族。インクリングと共存しており、数だけならインクリング以上の個体数が存在するとみられる。
- シャケ:鮭の種族。海上で生活しており、「そ上」のために度々インクリングの生活圏近くまで襲来する。オクタリアンと通商条約を結んでいる。
- デンチナマズ:ナマズ(?)の種族。発電力を持ち、インクリング達の電力供給源として重宝されている。中にはオオデンチナマズのようにかなり巨大な個体も存在する。
- イソギンチャク:イソギンチャクの種族。アネモやパル子等がいる。
- ウニ:ウニの種族。ダウニーやスパイキー等がいる。
- 甲殻類:カニやエビなどの種族。ロブ、シガニー、ヤシガニさん等のキャラがいる。
- その他の海洋生物:カブトガニのブキチや、アネモやパル子と共生するクマノミ等が見られる。作中に登場しないBGM担当のアーティストには、タカサゴやニシンなどの魚類や、ウニ、ホタテ、もずくなどが設定上存在している。
- 深海の住人:地下鉄深海メトロの周辺一帯の海底(?)に生活している種族。グソクさんを筆頭に様々な深海生物の種族が生活している。地上と比べて流行が若干遅れている。
- 淡水魚:作中に登場しないBGM担当のアーティストにはショーベタや錦鯉などの淡水魚が居る。マザーも淡水魚の金魚とみられているが不明。なぜ海洋生物に混ざって淡水魚の彼らが存在するのかは明らかでない。
- 哺乳類:約1万2000年前、人類とともに大部分が滅亡した種族。事実上、種として滅亡しているが、少なくとも“公式には”ジャッジくんとコジャッジくんの僅か2体のみ生存が確認されている。
この他にもハイカラシティや各ステージではスズメ、カモメ、ハト、カモなどの鳥類の姿を見ることが出来る。作中随所に卵料理が見られたり、『3』のバンカラジオで第15回フェスの告知が行われた際、ひよこだけは現在も存在すると明言されたことから鶏もいるのだろう。
鳥類以外にも、蝶、蝉、コオロギ等の虫の存在が各ステージで確認できる。さらにヒカリバエという新種の虫まで現れている(生きてはいないが、デボン海洋博物館には虫の標本が展示されており、かなりの種類が確認できる)。
オヒョウ海運で確認できるトビウオ、シェケナダムの岸壁に張り付いているフジツボ、『3』のネギトロ炭鉱の海で泳いでいる何らかの魚のように、キャラクターではなく動物として登場する海洋性物も存在する。
ただし、海洋生物でもクジラやイルカ等の海棲哺乳類は滅亡したらしく、「海に棲む哺乳類を目撃した者がいない」と公式SNSの投稿で言及されたり、オオモノシャケのダイバーが「太古の昔に繁栄したとされる生物」に憧れていると説明されたり、ザトウマーケットのステージ紹介ではイイダが店名の意味を「“大昔にいた”ホニュウ類の名前」だと発言している。
地域
現状、ゲーム内では次の地域の存在が確認されている。なお、ファミ通によるインタビューでは作中世界の地図が公開されている。地図は我々の世界の関東近辺に酷似しており、ハイカラ地方は東京か千葉、バンカラ街は静岡の、マサバ海峡大橋はアクアラインのような橋(正確には横須賀半島まで続いているため別物。本来のアクアラインは浮島まで)に相当するようである。
地形や地名が一部関東に似ているものの、ハイカラ地方が旧関東地方に位置しているのかは不明。
イカ世界
主にインクリング達が生活する世界。作中の主な舞台で、作中世界の地図では「いい土地」とも表記されている。
ハイカラ地方
主に『スプラトゥーン』『スプラトゥーン2』の舞台となる地域。ハイカラシティやハイカラスクエアなどの都会が存在する大都市圏で、多数の高層ビルや広大な市街地が立ち並ぶ。インタビューで公開された地図では、「首都圏環状線」という鉄道路線が確認できることから、首都及び首都圏として機能している可能性がある。
バンカラ地方
主に『スプラトゥーン3』からの舞台となる地域。ハイカラ地方の西に湾を隔てて位置し、砂漠や荒野が広がっている。焼けつくような日差しと厳しい自然環境が特徴で、夜になっても中々気温が下がらず、ハイカラ地方と異なる文化が形成されている。ハイカラ地方からはマサバ海峡大橋を通る高速道路を通じてアクセスできる。
地方都市のバンカラ街が存在し、設定画集『イカすアートブック3』によるとハイカラ地方に次ぐ都市圏と経済圏を有するとされる。しかし再開発が始まったばかりで、ハイカラ地方と比べると市街地が限られる。
シオカラ地方
ハイカラ地方から見て、バンカラ地方と反対方向にある地方。作中で登場したことは無いが、シオカラーズなどの出身地であることが語られている。連載シオカラ小説第五話によると、ハイカラ地方から列車で三時間半の位置にあるが、何もない土地らしく、田舎なのかもしれない。民謡で有名であり、シオカラ節の元になった伝統民謡「元祖正調塩辛節」の発祥地である。
タコ世界
主にオクタリアン達が生活する世界。ヒーローモードの主な舞台でもある。『イカすアートブック2』では「オクタリアンセカイ」とも記述される。イカ世界に近いタコツボバレーとタコツボキャニオンの2つの地域にオクタリアン達が生活する。ファミ通のインタビューで公開された地図では「荒れた土地」という表記もあり、実際に岩肌の渓谷などが広範囲に渡って広がる。
元はインクリングとオクタリアンの間で100年前に起きた決戦、大ナワバリバトルで荒廃した地域だが、オクタリアン達は過去の廃棄物を再利用して高度な文明を築いている。
はるか昔に滅びた文明の遺跡とされる巨大な地下ドームが無数に存在しており、オクタリアンはこれを再利用して居住区・基地化し、各ドームを転送装置で繋いで往来できるようにしている。
隔離エリア
イカ世界に近い海上の地域。サーモンラン及びサーモンランNEXTWAVEの舞台。シャケのナワバリであり、緑色に濁った海が広がっている。
この地域では、海の潮位が短時間で激しく上下することを筆頭に奇妙な自然現象が多発する。イカ世界にはかなり近い地域にあり、そのために貨物船が迷い込んで難破する事故が起きることも。しかしイカ世界では戦闘民族なシャケの侵入を防ぐため、防鮭ダムと呼ばれるものを隔離エリアの近くに築いている。
イカ世界の住民が特別な許可なくシャケと接触することは法律で禁じられているが、シャケはエネルギー資源となる「イクラ」と呼ばれる資源を持っているため、クマサン商会と呼ばれる会社が隔離エリアのシャケからイクラを強奪するバイト「サーモンラン」を斡旋している。
深海
ハイカラ地方沖のハイカラ湾の海底奥底に存在する巨大な空間。オクト・エキスパンションの主な舞台。深海メトロと呼ばれる地下鉄が走っており、その路線一帯にグソクさんなどの深海の住人たちが生活している。ネル社と呼ばれる謎の企業の実験施設が周辺に配置されており、深海メトロ全体が大学都市のようになっているとされ、深海の住人たちはそこに生活している。
地上と比べて流行が若干遅れており、古臭く感じる光景も見られる(地上が地球で言う1980年代~1990年代くらい)
「深海」と言っても海中にあるかどうかは不明。イイダの分析によると、地下なのは間違いないがこの世ではあり得ない強度の磁場が発生しており、そのため「時間の進みがおそい」「空間がゆがんでいる」「ハイカラスクエア(地上)とは違う次元に存在する」とされる。
秩序の世界
イカ世界に似た真っ白な世界。ハイカラスクエアにそっくりな秩序の街と呼ばれる街が存在する。厳密には現実世界ですらないが、この世界だけに意識を持ったユメエビなどの住人たちも存在する。
この他にも、後述する「世界地図(以降ネタバレ注意)」の項目で言及するようにこれらとは異なる様々な地域が存在しているとみられる。
環境
自然環境は人類滅亡前とほぼ同じであり、郊外のモンガラキャンプ場などには草木も生い茂っている。難破船ドン・ブラコでは針葉樹らしき木々の姿が遠くに見えたり、バンカラ地方では砂漠が広がっていたり、遠く離れた海域には流氷もみられたりと、多様な自然環境が広がる。しかし哺乳類が滅亡しているため、鳥類を除くほとんどの自然動物が確認できない。
気候は基本的に日中の晴れ空しか確認できないが、フェス期間中は晴れの夜空、サーモンランでは空に赤み掛かった曇り空も確認できる。『3』のミステリーファイル02の、昔のバンカラ地方を襲った大洪水を描いた絵では、雨が降る様子も描かれている。登場人物がスノーボードや雪に関する発言をすることから、雪も降る模様。遠い海域を航行中とされるオヒョウ海運の運搬船上では、フェス期間中の夜空にオーロラが現れる。
シャケの棲息する隔離エリアでは、海の潮位が短時間で激しく上下したり、いきなり濃い霧や巨大な竜巻が発生したり、空が一瞬で夜間のように真っ暗になる(一部ステージでは暗くなっても太陽が見えるので、本当に夜になっているわけではない様子)といった奇妙な自然現象が多発している。
また、作中で原因は語られていないが、深刻な海面上昇が起きているとされ、これが原因でインクリングとオクタリアンの戦争が起きたことがある。『3』ではシャケ達の大量遡上「ビッグラン」により街中で洪水が起きる他、上記のミステリーファイル02では、大昔に巨大な鉄塔が押し流されるほどの大洪水が起きたことも記されている。
逆に海が干からびて陸地になった地域もあり、荒野の広がるナメロウ金属周辺一帯はかつて周囲に海の広がる地域で、その際に流されてきた巨大船が現在も荒野に放置されている。
文明
軟体世紀では、海洋生物たちが独自の言語や建築を築き、都市圏まで形成するほど文明を発展させ、現代の人類の文明のように高度に発達している。
技術
技術は高度に発達しているらしく、巨大な高層ビルが乱立する大都市圏を形成していたり、ジャンボジェット級の大型旅客機やヘリコプターが街の上空を通過するのが作中で確認できるため、高層建築技術や航空技術といった高度な技術があるらしい。
通信IT技術に至ってはインターネットやイカ型のスマートフォン(イカホ)、動画や画像の投稿サイトにSNSまで普及させているほど。『イカすアートブック3』の163pではIoTについての記述があることから相当発展しているらしい。テレビ放送も行われており、ハイカラニュースやバンカラジオといった番組がある。
材料化学も高度に発達しているらしく、カーボンローラーにCFRP素材(炭素繊維強化プラスチック)が多用されているといった設定があることから、少なくともCFRP素材を流通させられる程度の技術があると分かる。
初代『スプラトゥーン』のミステリーファイル22には宇宙開発をしていることを示唆するような記述も載っている(宇宙にゴールデンレコードのようなものを打ち上げたことが示唆されている)。『3』のヒーローモード終盤の展開や、『3』でヒメが宇宙服モチーフの新衣装を作ったという設定から宇宙服も存在するようなので、宇宙開発をするだけの技術もあるのだろう。
さらには、地形を破壊せずに指向性のインクや音波を貫通させる技術(ハイパープレッサー、メガホンレーザー等)だったり、スポーツ競技に使用できるミサイル(トルネード、マルチミサイル等)、変形できる多脚戦車(カニタンク)、ぬいぐるみ型発電機(デンチナマズのぬいぐるみ)など、人類に無い技術すらも開発されている。
中でもオクタリアンの技術は特に発達していて、ガラクタを材料にしてロボット兵器、転送装置、光学迷彩、物体の浮遊化技術などを実用化しており、その技術力は世界平均の15年先を行くとされる。
交通網
作中では自動車、電車、ヘリコプター、旅客機、運搬船などが確認できる他、マサバ海峡大橋や高速道路「デカライン」のように交通のため造られた巨大建造物も存在し、交通網も発達しているようである。連載シオカラ小説第五話の挿絵には、新幹線などの高速鉄道にみられるような先頭部の尖った鉄道車両もみられる。
海運も発達しているらしく、オヒョウ海運のような海運会社が存在したり、同社の運搬船がステージとして登場したり、チョウザメ造船でタンカーが建造されていたり、ホッケふ頭では大型のコンテナ船が登場するのに対して、ヤガラ市場ではクレーンを搭載した小型なコンテナ船がみられることから、フィーダー輸送(大型船が主要港に運んできた貨物を小型船が地方港へ運搬する2次輸送)も行われていることが分かる。
空路も存在しており、上記のように旅客機が各ステージやハイカラシティなどの街の上空に確認できるほか、カジキ空港などの空港も存在している。タカアシ経済特区ではビジネスジェットが上空を飛んでいるのもみられる。
また、出入国の管理もされてはいるのか、『2』のミステリーファイル07にミウラのものと思しきパスポートの査証欄(スタンプを押すページ)が確認できる。
ライフライン
電力供給については、イカ世界ではオオデンチナマズやデンチナマズが電力源となっている。これ以外の発電手段もあり、元発電所のムニ・エール海洋発電所では潮流発電(人類はまだ実用化していない技術)が行われていたらしい。アロワナモールのステージ外にソーラーパネルがあることから太陽光発電もされていることが分かる。
石油掘削施設のシオノメ油田、炭鉱跡のネギトロ炭鉱といったステージが存在することから、人類と同じく石油や石炭で火力発電をしている可能性もある。
クマサン商会がサーモンランのバイトで集めているシャケのイクラも、軟体世紀では石油のような燃料資源として用いられているという設定がある(こちらの19:22以降を参照)。チョウザメ造船で建造されているタンカーもそれら魚卵を運ぶものとされている。
経済
通貨として「G(ゲソ)」が存在する。
Gが日本円換算でいくらになるかは不明だが、『3』に存在するオキモノ「エナジーソーダ」は19999Gに対し、例えば現実のモンスターエナジーは355ml缶で200円前後である。これに則ると1円=約100Gとなる。
ところがフォーリマのフク「オールウェイズファン」は11300Gで上記の円換算に則ると110円台だが、元ネタであろうファン付き作業着は現実だとどんなに安くても4000円台で、上記の円換算から大きく逸脱する(ファンが機能しないジャンク品で安いという可能性もあるにはあるが、だとしても作業着が110円台というのは相当おかしい)。
よって詳細な「G」の相場は分からない。
他には『ハイカラウォーカー』の78pにて、「(ホッコリーの最初期のTシャツが)88枚の限定販売で100サザエのプレミアがつくという伝説を残した」という記述があり、「サザエ」という通貨がある様子。ゲーム内ではスーパーサザエというアイテムがあるが、これとサザエが同一かは不明。
また初代『イカすアートブック』215pでは硬貨に関する記述がある(インクリングたちが小銭の計算を面倒くさがって多めに募金するという記述)。『3』ではミステリーファイル15に「1000ゲソ札が不足しています」という記述があることから紙幣も存在することが分かり、他にも電子決済用らしき表示などがロビーの売店でみられる。
また、クマサン商会、アンチョビットゲームズ、イカテン急便、オヒョウ海運などの企業が作中に登場している。社名は明かされていないが、設定上は各ブキにも製造メーカーがそれぞれ設定されている(社名が不明なため、一部ではスプラシューターの製造元を「スプライカ」社といったように便宜上の名称を付与している)。
行政
デボン海洋博物館は国立の博物館とされ、軟体世紀にも「国家」の概念があることが分かる。設定資料『ハイカラウォーカー』の245pではアーティストのWARABIについて「年間20ヵ国以上を渡り歩き~」と説明しており、少なくとも20ヶ国以上の国家が存在する模様。
国際組織もあるらしく、『イカすアートブック3』の163pには国際ナワバリ連盟というナワバリバトル関連の国際組織(筆頭スポンサーはバトロイカ)の名が記されている。しかし作中の舞台がどこの何という国かは明かされておらず、国名の方も一切公表されていない。
自治体の存在も語られており、例えばバンカラ街の自治体は急激な再開発による経済難に苦しんでいたりする。ヒラメが丘団地では、自治体と産学の共同で再開発を行ったという設定もある。
この他、
- モンガラ市(『ハイカラウォーカー』93p)
- 南エラ省オビレ市(『3』ミステリーファイル24)
- シャトーフナ市(『3』ミステリーファイル24)
- ハイカラ市(『イカすアートブック3』215p)
といった自治体名が僅かに明かされている。
行政組織
『2』のマンタマリア号のステージ外には巡視船の姿があり(『イカすアートブック2』では保安船と表記)、軟体世紀にも警察組織は存在するようである。サーモンランのバイトマニュアルによれば、隔離地域のシャケとの許可なき接触を禁じる法律があるとのことで、法律も整備されている模様。
『ハイカラウォーカー』ではフォーリマ系のギアのいくつかが「軍放出品」「軍使用品」と紹介されているので、何らかの軍隊も存在するらしい。イカセーラーというギアはかつて海軍の軍服として使用されていたという設定があり、海軍組織も存在していたようである。100年前の大戦ではカラストンビ部隊という軍部隊が活躍していたという記述も作中でみられる。
消防組織の存在は今のところ確認できないが、作中に消火器や非常口マークが登場していることから火災予防の概念自体はある。また、消防隊員の防火帽に似たアタマギア「カジカブト」が『3』に登場しているが、これが軟体世紀の消防組織で使用されているものなのかは不明。
また、現実世界では国立研究開発法人のJAMSTEC(海洋研究開発機構)も軟体世紀に存在している。とはいえ、これは現実のJAMSTECとのコラボフェスのための登場である。また、これら行政組織の概念が作中に表立って登場することはない。
タコ世界にも行政機関は存在しており、「エネルギー省」という省庁の記述が初代のミステリーファイル06に存在する。
教育
ステージとして海女美術大学が登場したり、アオリが過去に「主人公の友人の大学の同級生」役でゴールデンタイムのドラマに出演していることから、少なくとも大学が存在していることが分かる。また、海女美術大学は設定上私立の大学とされているため、公立か国立の大学が別で存在すると考えられる。
大学以外の教育機関として、すりみ連合の中学生時代の話が語られたことがあるため中学校が存在し、『ハイカラウォーカー』91~92pのグラフィティアーティストへのインタビュー内に高校時代に関する言及があることから、おそらく高等学校も存在する。
これ以外は不明だが、amiibo限定の学校制服のギアは各『イカすアートブック』によると実際の学校で用いられているものと同じであると示唆れている。また、『イカすアートブック3』ではバンカラ地方に「公立の学校」が存在するとの記述がある。
また、行政の項目で述べたように、ヒラメが丘団地では自治体と産学(産業と教育機関の意)の共同で再開発を行っており、何らかの教育機関が自分たちの研究成果を再開発に用いたと思われる。
タコ世界にも教育機関は存在するが、軍学校的なものらしく、オクトリングのイイダの場合6歳でツケネ訓練所(タコツボキャニオンのエリアの一つ)の初等科課程に入学、その後飛び級を繰り返して高等科を卒業、翌年には軍の兵器開発に携わっている。
この軍学校的なもの以外の教育機関がタコ世界に存在するかは分からない。
文化
文化面も発展している。特にイカ達の文化は抜きんでており、縄張り争いをナワバリバトルとしてスポーツ・レジャー・ファッションに昇華させたり、ファッションやダンス、音楽や演奏など「イカしたこと」に夢中で、果てはイカ文化を牽引するアイドルまで出現している。
最近では若者のイカの間でSNSや自撮りがブームになっており、イカした写真を撮る為にイカホを使っている光景がそこかしこで見られる。
しかしタコ世界ではこれらの文化発展が遅れており、何らかのルートで流通してきたイカ世界の音楽に憧れを抱き、タコ世界からイカ世界へと抜けだす者も少なくない。
ファッション
イカ世界には「ギア」という名称で衣服が出回っており、バトロイカを筆頭に多数のギアブランドが存在する。
音楽
イカ世界やタコ世界では音楽文化が盛んで、多数のアーティストが設定上存在する。これらアーティストの音楽はゲーム中でもBGMとして流されている。ガンガゼ野外音楽堂のような音楽施設も作中に登場する。
言語
少なくともインクリング達の間には『イカ語』という独自の言語がある。プレイヤーである人間にはパッと聞いて何を言ってるのかわからない言語であり、イメージはおべとも学園やピングー語に近い。文字も存在しているが、なんとなく漢字や仮名、アルファベットをくだいたような文字列が並ぶだけで、我々が見ても読むことは出来ない。
また、イカ語と別にオクタリアン特有の言語(タコ語?)も存在しており、こちらはインクリングも読み聞き出来ない。スプラトゥーン2のサンリオコラボフェス開催時のハイカラニュースにて、イイダがタコ語らしき言語を発するシーンがあるが、「!!#♪☆ ?!!!#♪くコ:ミ☆♪」などと表記されており何を言っているか把握できない。スプラトゥーン2でオクトをクリアすると選べるタコの状態でナイス・カモン・やられたを押した時のボイスもイカでのものと異なるが、これがタコ語であるかは不明だ。また、スプラ3ではまた異なる音声が追加されていて、イカ・タコで音が異なる。
スプラトゥーン2のハイカラニュースMCテンタクルズが結成される前、イカの世界にきたばかりのイイダはまだイカ語が上達していなかったらしく、作中で「アナタ探シテタ ユニット組マイ」と下手なイカ語でヒメを誘っていたと言及されている。スプラトゥーン2の時点ではすでにイカ語が上達してる様子。
スポーツ
ナワバリバトルやそれを発展させたガチマッチ等、軟体世紀ならではのスポーツが存在し、インクリングやオクトリングの若者たちの間で流行している。
それ以外にもサッカー、野球、バスケットボール、スノーボード、BMX、ボウリング等の存在が各種ギアやステージの存在、登場人物の発言などから示唆されている。各競技にはプロチームも存在するようである。
創作
創作文化は盛んなようで、美術館や美術大学が存在したり、ハイカラニュースでの会話内容から映画、ドラマ、特撮、有名なマスコットキャラクターが存在し、『3』のオキモノに漫画、文庫小説などがある。
ゲーム文化も盛況であり、アンチョビットゲームズなどのゲーム制作会社が存在し、イカラジオ等のアーケードゲームやナワバトラーなどのカードゲームが流行っている。さらに『3』では多数のゲーム機がオキモノとして登場する。
食文化
ハイカラ地方やバンカラ地方には現代日本的な食文化が存在する。
主に確認できる食関連の情報は次の通り。
- アタリメ司令はオハギが好物。
- ミウラはお酒が大好き。
- すりみ連合はゴンズイ地区の商店街でコロッケを買い食いしていた。
- バイガイ亭という巨大なラーメン専門のファミレスがある。
- 海女美術大学では食堂でカレーが提供される。
- タラポートショッピングパークには寿司屋、中華料理店、ハンバーガーショップ、ラーメン店の店舗がある。
- クサヤ温泉は蒸し料理「クサヤ饅頭」が名物。
- バッテラストリートに寿司屋がある。
- デカライン高架下の近くに「メガホイップチョコチップダブルワッフル」なるものを売る店がある。
- オクタリアンはイカ世界にパン屋があることを知って戦略タコツボ兵器「タコツボベーカリー」を造り上げた。
- アオリはアロワナモールでドン引きする量のポテト(フライドポテトか?)を毎度注文する。
- マヒマヒリゾート&スパのプールサイドでは「ポテトラーメン」なるものが売られている。
- 『連載シオカラ小説』ではシオカラーズの2人がアロワナモールのカフェに訪れた際、レモンティーとミルクティーを注文している。
- 『ハイカラウォーカー』91~93pのグラフィティアーティストへのインタビューにてアサリの味噌汁が言及されている。
- 『3』のヒーローモード序盤でアタリメが目玉焼きを作っている。
フェスのテーマではあんこが詰まった無数の名を持つ例のお菓子やアイスクリームに関する言及もあるが、フェステーマはメタい要素も多々あるため、これらが本当に軟体世紀にあるのかは確証がない。そもそもアイスクリームは製造に牛乳等の乳が必要だが、牛乳を摂るための牛などの哺乳類は滅亡済みなので、本当にアイスクリームが存在し得るのか怪しい面もある。
もっとも、上記にもホイップやミルクティーなど本来乳を必要とする食品があるため、これらの食品は我々人類の知るそれとは異なるか、牛乳を代替できる製品が存在しているのだと思われる。
軟体世紀の住人は同じ海洋生物を食べることには抵抗がないのか、作中に寿司屋が普通に存在したり、ハイカラスクエアのキッチンカー「ロブズ・10・プラー」ではクルマエビの店員のロブがエビフライ入りの料理を普通に提供している。我々人類が同じ哺乳類の牛や豚を食べるのと同じ感覚なのだろうか。
また、初代のハイカラニュースではモズク農園のステージ紹介でアオリが「じーちゃんが子供の時トマトとか無かったらしい」という発言をしており、昔は何らかの理由でトマトが存在しなかったと思われる。
「カミ様」
軟体世紀では「カミ様」と呼ばれる偶像的存在が居り、カミ様は定期的にお告げを出し、そのお告げは我々のよく知るFAXのような機械から紙で出力される。ちなみに「神様」ではなく「紙様」である。初代ではシオカラーズが、『2』ではテンタクルズが、『3』ではすりみ連合が、カミ様からのお告げが出力された事をニュースとして報じている。
そのカミ様からのお告げの内容はというと、『朝食はどっち派?「ごはん」VS「パン」』や『おにぎりの具といえば? 対決「ツナマヨネーズ」VS「紅しゃけ」』など、日常での話のネタにするような2択問題である。その質問に対し、インクリング達は「聞かれたからにはなんとなく答えておこう」という事で、テーマの二陣営に分かれたバトルを行うイベント「フェス」が開催されることになる。
実はカミ様のお告げは1万2000年前に滅びた人類文明が発した電波で、FAXがこの電波を受信することでフェスが始まる。この電波が具体的にどのように発せられているかは不明だが、TECH+のインタビューによると、地球から6000光年先の彼方から反射してきた電波、あるいはボイジャーのような宇宙機に積まれた発信機が、宇宙空間から電波を発しているのでは…… と説明されている。
ちなみに初代の第6回フェスのお告げ内容は「イカvsタコ(くら寿司とのコラボ企画)」であり、イカとタコどちらが美味いかをシオカラーズが語り合うというシュールな光景が見られた。
世界地図(以降ネタバレ注意)
※イカ、『スプラトゥーン3』のヒーローモード『Return_of_the_Mammalians』に関わるネタバレを含みます。
『3』のヒーローモード終盤、宇宙空間でバトルするシーンがあるが、このとき軟体世紀の地球を宇宙から見下ろすことが出来る。このときアフリカ大陸や南アメリカ大陸といった地形が地球上に確認できる。
しかし、どうやら1万2000年間に地形が大きく変化したらしく、ヒーローモードで確認できる地球は地形が現在とかなり異なっている。地球を観察した次の動画によると、地形の変化は大雑把に次の通りになる(一ユーザーが確認できた範囲に限られること、公式情報ではないことを留意されたし)。
【考察】人類滅亡の歴史がよくわかるSplatoon世界の地形が本当に面白い! - Splatoon3【SPLABO!】
(ヒーローモード中での地球の観察は2:10~)
・北アメリカ大陸(4:23~)
ロッキー山脈以西の西海岸の大部分が海没。逆に東海岸側の海が隆起して陸地になったらしく、大陸全体が東へ移動した。グリーンランド島は健在。
・南アメリカ大陸(12:49~)
原型は留めているものの、海面上昇のせいか、アマゾン川流域の周辺が海没。そのまま太平洋側まで海没しており、アマゾン川は太平洋と大西洋を繋ぐ海峡へと変貌している。
・ヨーロッパ(3:07~)
原型を留めておらず、海岸線の位置が大きく変化し、グレートブリテン島などの島々や地中海は消滅。代わりに近海の大西洋上にイカの形をした大きな島が出現した。
・アフリカ大陸(11:30~)
原型は留めており、マダガスカル島も健在。しかしサハラ砂漠の位置が緑化したらしく、砂漠が南に移動したかのようになっている。このことから、地球の地軸が移動した可能性がある。
・オーストラリア大陸(5:57~)
東西に真っ二つに分割され、大陸というより数個の大きな島々へと変化。
・東南アジア(5:14~)
南シナ海やタイランド湾といった海が干上がって陸地になっている。インドシナ半島・フィリピン・インドネシア一帯がひと塊の陸地になり、ユーラシア大陸に続く巨大な半島と化した。隣の南アジアは原型を留めており、インド亜大陸も確認できる。
・東アジア(4:53~)
一応は原型を留めている。しかし日本列島は大きく変形しており、日本沈没…… はしていないようだが、形が変わり過ぎて原型を留めていない。どこが本州、九州、四国、北海道だったのか、まるで分らなくなっている。
ここまで地形が変化した理由だが、例えば上記の動画では、オルタナログに記述されている火山噴火が原因ではないかと推測している(地形が大きく変化した地域には阿蘇山、イエローストーン火山、トバ火山といった超巨大火山があり、それらが破局噴火級の大噴火災害を一斉に引き起こしたのでは ……とのこと)
しかしこうして見ると、海面上昇で沈んだ地域はあまり多くなさそうである。むしろ、オルタナログに記されている火山噴火や戦争で発生した地上汚染の影響で滅んだ生物の方が多そうだ。
また、これらのどこにハイカラ地方などがあるのかは不明。ハイカラ地方周辺を描いた作中世界の地図が関東近辺に似ているので、旧日本列島にあるかもしれないが、詳細不明。