概要
電子メールが普及する以前、離れた拠点に書類や画像情報を送信する手段としてよく使われていた。現在でも日本では企業や商店で、電話での言い間違い・聞き間違いなどのトラブルを避けるため、注文書・見積書などの急ぎの書類のやり取りに使用される。
その発祥は意外と古く、日本では1930年から逓信省が一般向けサービスを開始、官公庁や大企業で使われ始めた。家庭や個人商店でFAX機能付き電話機が普及したのは1980年代からである。
用途
- 商品・部材の受発注
- 資料・書類の送付・申請
- 言葉では説明しづらい画像・写真の送受信
- 子供の絵(※家庭において)
機器
一般的な送信方法
- 送信トレイに送信したい紙をセットする
- 相手先の電話番号を押す
- 送信操作をする(ガイダンスが流れてから送信ボタンを押す場合と、その前に送信ボタンを押してFAX機が自動的に送信する場合がある)
最近の傾向
家庭向けの新規販売数は減少しているものの、ビジネス用途を中心に通信手段として(惰性的な部分も含めて)使い続けられている。最近ではハードウェアとしてのFAXではなくPC上のソフトウェアやインターネットサービスを通じて送受信されることもままあるが、FAXは文書が画像として送られてしまうので検索性に難があり、受信したFAXデータをOCR(文字認識)処理し、CSVやテキストデータに変換するというソリューションもある。
ただ、2000年代前半から普及が始まったIP電話の場合、「050IP電話サービスでは原則として使えない(※使えなくはないが使えるための条件が厳しい)」「ひかり電話などの『0AB-J番号(03-や042-で始まる固定電話の番号)』によるIP電話で、家庭用のFAX機であればおおむね問題は無いが、企業用の複合機ではつながらない場合がある」など、「とにかくやってみないと分からない」ことが多く、音声通話はIP電話に移行してもFAXはアナログまたはISDN回線に残置、ということもままある(もちろんFAXもIP電話に移行することもあるし、それで問題が無いこともままある)。
ありがちなのが電話番号の間違いで送信した相手が一般電話だった場合、出た相手が受話口から異音(ピーガー音)で困惑する事がある。そういう事がある為か送信先がFAXか判別する機能を持った機種もある。また、間違った先の相手がFAXだった場合でもそのまま送信されてしまう。その場合は送信側に間違っている事を伝えるのがマナーとされている。
なお、長い間「ファックス」と呼ばれていたがテレビ放送でFAX受付けを告知する場合は「ファクス」と呼ぶ傾向になっている。「ファ○ク」と語感が似ているからか?
2023年時点で文部科学省が全国の公立小中学校や教育委員会などを対象に行った調査によると業務にFAXを使用している小中学校は約96%にのぼっている。