「考えたことは無いか、死神を導く蝶の名に、なぜ地獄とついているのかを!」
概要
『BLEACH』の連載20周年を記念した読み切り作品。
週刊少年ジャンプ2021年36・37合併号に掲載され、後に電子版で配信されている。
内容は最終話の2年後を舞台に、これまでパラレル扱いの劇場版では扱われたが本編では殆ど語られなかった「地獄」について触れられており、「死神が死後どうなるのか」という、読者の疑問についての解答が与えられた話である。
読み切り作品ではあるが、新章の1話目とも取れる内容となっている。
獄頤鳴鳴篇の名前の由来は、「地獄の扉=頤(顎)が開き、ギィギィと鳴っている」からなのではないかという説もあり。
あらすじ
尸魂界では「魂葬礼祭」という儀式が行われようとしていた。
それは、護廷十三隊の隊長を務めた死神が戦死した際に12年おきに行われる儀式であり、各隊長だけが参列を許された古いしきたり。
大戦によって戦死した、山本元柳斎重國、卯ノ花烈、そして浮竹十四郎の3人の儀式が行われ、黒崎一護は阿散井恋次によってかつてよしみのあった浮竹の儀式への参列に誘われる。
そして、護廷十三隊の各副隊長達に合流した一護であったが、そこにかつて戦い死んだ筈の破面、ザエルアポロ・グランツが現れる。
登場キャラクター
かなり多いので、重要キャラと、原作最終話および今作で登場した新キャラのみ抜粋。
現世
今作のキーパーソン。主人公・黒崎一護と黒崎織姫(旧:井上織姫)の息子。
巨大な魚の霊に乗って移動したり、整を神社へ連れていき異界への扉を開くなど、不可思議な行動が目立つ。地獄と何らかの関わりを持つようだが…
主人公。恋次とルキアの誘いによって魂葬礼祭に参加するが、そこで突如現れたザエルアポロと対峙する。
尸魂界
お転婆な性格で、父親に隠れて魂葬礼祭に参加しようとするが、地獄の餓鬼やザエルアポロによる襲撃を目の当たりにすることになる。
ザエルアポロと因縁の再会を果たす。
- 八々原熊如(画像右)
新たに八番隊副隊長に就任した女性死神。
詳細は当該項目を参照。
- 輪堂与ウ(画像左)
新たに七番隊副隊長に就任した男性死神。
耳が聴こえず、手話で会話する。
詳細は当該項目を参照。
地獄
- 餓鬼
今話で登場した新たな敵。
骸骨と巨人を組み合わせた様な異形の姿をした怪物であり、その大きさは大虚のギリアンに匹敵する。
後述するザエルアポロもそうだが、体には輪のような部位と鎖を思わせるような痣とも刺青ともつかない紋様が刻まれている。
かつて地獄に堕ちた事が語られたが、今回改めて彼が地獄に堕ちた事と、地獄の住人になった事が語られた。
しかしその姿はかつてのものとは異なり、体の背後には光背を思わせる丸く大きな輪が浮いている。これはザエルアポロ曰く、「虚の孔が肉体から外れた」ものとなっている。
衣服は納衣を思わせる粗末な布を体に巻き付けたものとなっており、基本的な全体像は仏像を思わせるそれとなっている。
左腕はほぼ黒く変色した骨となっており、体には鎖を思わせる痣とも刺青ともつかない紋様が刻まれ、かつての眼鏡の代わりに、鎖の輪が眼の周りを覆っている。
そして、側頭部からは悪魔のような角を生やすことができる。
戦闘手段には斬魄刀や虚としての能力は用いず、黒い鎖を使用する。
用語
- 魂葬礼祭
護廷十三隊の隊長を務めた死神が戦死した際に十二年おきに行われる儀式。
内容は、現世で捕えた虚を隊長達の墓前に連れ出して殺すという、かなり物騒な内容の儀式であり、一護はこの有様を指して、虚コロし祭と身も蓋もない言い方をした。
詳細は不明だが、幾つかの段階に分かれており、現世で副隊長たちが虚を捕える序儀・面霊縛と、尸魂界で各隊長達が墓前に出向く段階がある。
余談
- 題名に使われている「頤」という文字は、「おとがい」つまりは顎を意味する文字である。『獄「頣」鳴鳴篇』は誤記。
- 読み切りなので続きは現在描かれていないが、話の締め方が続編を思わせるものだったので続編が期待されている。後に行われたインタビューによると、続きを描く予定はあり、内容は考えてるようだが、全て描くのは大変とのことで、明確な日時は未定で気長に描いていくとのこと。
本編ネタバレ
_一つ"迷信"を聞いてくれるかい
現世に登場したザエルアポロ、そして、尸魂界を含む世界全域に起こった異変から状況を察した京楽春水によって、“真実”が語られる。
かつて尸魂界の貴族が使っていた言葉に、『霊威』と言う単語がある。
それは、霊子に宿る霊圧の濃度を指す単位であり、護廷十三隊の一般隊士では二十等霊威、副隊長で五等から四等、そして、隊長になると三等以上の霊威を持つとされる。
そして、死神の肉体は霊子で構成されており、死ねば何れ肉体は霊子として分解されて尸魂界の大地に還元されるが、三等以上の霊威を持った霊子は、霊圧濃度が高すぎて尸魂界の大地に還元することが出来ない。
その為、その霊子を尸魂界に還元するために、魂葬礼祭という儀式が行われているのだが、実はこの魂葬礼祭には裏の目的があった。
それは、死んだ隊長達を地獄に堕とすという事。
実は、三等以上の霊威を持った霊子は、どうやっても尸魂界の大地に還元する事は出来ず、強過ぎる霊子を尸魂界にも現世にも放出する事は出来ない。
そこで、残った地獄の世界へと、その霊子を送り込むこと。つまり地獄は死んでいった護廷十三隊の隊長達の霊子によって成り立っているということである。それこそがこの魂葬礼祭の真の目的であった。
しかし、先の大戦によって現世と尸魂界、そして地獄の3つの世界の霊圧の均衡は崩れてしまった。
藍染惣右介とユーハバッハと言う2つの強大な霊圧は、それぞれの形で『封印』されることになり、その上で3人の護廷十三隊隊長、【護廷開祖】山本元柳斎重國、【死剣】卯ノ花烈、そして【神掛】浮竹十四郎が地獄に送られたことで、地獄の側から現世や尸魂界に影響を及ぼせるようになってしまった。
ザエルアポロがそこまで語った時、地獄の門の中から巨大な一本の斬魄刀が現れ、彼を背後から刺し貫いた。
「あァ お早いお着きだ。【神掛】浮竹十四郎────」
その形はまさしく、浮竹十四郎の斬魄刀・双魚理の片割れであった。
関連タグ
千年血戦篇→獄頤鳴鳴篇