概要
アイテム番号: SCP-725-JP
オブジェクトクラス: Safe
ティアラを模した女児向け玩具の形のオブジェクトであり、外見上は銀とダイヤモンド、ルビーを使用した本物のティアラと区別がつかず、触感も本物の金属及び宝石のような感触だが、成分分析の結果、全体がポリ塩化ビニルで作られており、特性や比重もポリ塩化ビニルのものであることが判明している。
破壊しようとしても、どのような状態からでも24時間以内に再生する。
このオブジェクトの異常性は、3歳以上~17歳以下の女性が頭部に着用すると、着用者の人格は別人の物に置き換わる。(男性は勿論、3歳未満及び18歳以上の女性には異常性は発生しない。)
発生する別人格は毎回ランダムであるが、いずれの場合も実在した、あるいはしたと推測される現在故人である王女、皇太子妃、領主や族長の娘等のものとなることが判明しており、地球外生命体のものと思しき人格となる場合もある。
インディアンの酋長と思われる人格も出て来るが、インディアンの社会は合議制であり、酋長は指導者ではなく調停者の立ち位置にある。このため酋長の娘を「プリンセス」とするのは間違いであり、報告書でもティアラの開発者がこの辺りを誤解している可能性があると指摘されている。
ティアラを外せばその人格は元に戻るのだが、外した瞬間に着用者は入れ替わった相手(歴史上に実在したプリンセス)と同じ死因で死亡する。
性質はSCP-035やSCP-963等に似ているが、「異常性が発現する条件が限定されている」「置き換わる人格が毎回ランダムで変わること」あたりが大きな違いと言える。
その異常性に対する倫理的観点や、これ以上の実験は「財団は冷酷だが残酷ではない」というモットーに反する点もあった事から、サイト8154管理者の許可なく行う事が禁止されている。
元々は20██年7月██日、滋賀県██市にて「5歳の娘が自宅で突然英語で喚きたてたかと思うと胸と頭から血を出して倒れた」という119番通報を財団エージェントが傍受したことが発見に繋がり、当初犠牲となった少女の母親による虐待の可能性があるとして警察から事情聴取を受けたのだが、司法解剖の結果。その少女の死因は130~150km/hで硬い障害物に激突したのと同等の衝撃を受けた事にあり、母親一人では不可能だった事、並びに母親がその時の様子を動画に撮影していたことから、母親のアリバイは成立した。
その後、財団が母親の撮影した動画を分析した結果、少女の喋っていた英語は流暢なイギリス英語であり、声紋鑑定の結果、故ダイアナ元皇太子妃の声と一致することが判明し、少女が死亡する直前に着用していたティアラを模した玩具が原因の可能性があるとして回収。SCP-725-JPに指定された。
また、母親のインタビューによると、このオブジェクトを持って来たのは娘の誕生日の3日前に、離婚した夫の知り合いである玩具の卸売を行っている人物██氏であった事や、その後の財団の調査の結果、その玩具問屋の男性である██氏はSCP-725-JPの発見の3か月前に滋賀県内の山林で自殺であることが判明したため、時系列との矛盾点から母親にこのオブジェクトを渡したのは██氏に変装した別人であった模様。
更に、このオブジェクトのパッケージ解説によると、男の子用の『博士のキングなりきりクラウン』という姉妹品も存在している様であり…。
財団の明日はどっちだ。