SCP-2474-JP
はるかかなたずっととおくへ
アイテム番号:SCP-2474-JP
オブジェクトクラス:keter
SCP_foundationの日本支部のオブジェクト。
現在、このSCPを収容するのは不可能である。
そのため、特別収容プロトコルは探査装置を使ってSCP-2474-JPを常に監視できるようにするというものである。
SCP-2474-JPは宇宙空間に存在しているイエネコである。
食事や睡眠を必要とせず、無酸素の宇宙空間でも生存可能。また猫の毛で構成された宇宙服のようなものを常に身に纏っている。(SCP-2474-JP-1)
空を蹴るようにして宇宙空間を自由に移動できるが、どのように推進力を得ているのかは謎である。
宇宙服にスペースデブリがぶつかると、「毛玉」に変えられ宇宙服に付着する。
SCP-2474-JPは稀に毛繕いをして毛玉を飲み込むことがある。その数時間後、恒星として吐き出す。(SCP-2474-JP-2)
我々が見ている星々の約0.0002%がSCP-2474-JP-2であると推測されている。
SCP-2474-JPは首輪をしており、そこに書かれていた住所を調査した結果、居住者はすでに死亡していた。
SCP-2474-JPが特別収容プロトコルの探査装置の近くを通過するとき、探査装置が不明な電波を受信していた。
以下の文章は電波を電気信号へと変換することによって解析したもの。
[ノイズ音]
不明な男性: 今日はやけに甘えてくるじゃないか、珍しい。もしかして同情してくれているとか?
[猫がゴロゴロと喉を鳴らしている。]
不明な男性: [笑い声] ありがとう。でも、そんなに不幸せだとは思ってないよ、多分。安心して。……滑らかな毛並みだね。いつも外でご近所さんに撫でて貰っているのかい?
[男性の咳払いの音。余程酷くえずいているのか血を吐く音が聴こえる。]
不明な男性: あーあ、布団に血が付いてしまった。……ねぇ、もし私が死んだら君は何処へ行くつもりなのかな?清水さんの家?公園の滑り台の下?それとも裏山とか?彼処は毎年野いちごが沢山実るからね。
[猫の低い鳴き声が響く。]
不明な男性: いいや?寂しくなんてないさ。僕は君を飼ってる、という訳でもないしね。いつの日だったか、今日みたいな雪が降ってた日に家の前で出会っただけの、ほんのちょっとした縁じゃないか。今頃君を束縛するつもりは無いよ。
[ノイズ音]
不明な男性: なぁ、君は人が死ぬとどうなると思う?天使様に連れられて天国に行く?地獄かもしれないけど。それともただ"無"があるだけ?私は、私は星になりたいと思ってる。死んだ後ぐらい輝いていたいからね。
[猫が小さく鳴く。]
不明な男性: [溜息] あぁ、駄目だ。夜はどうしても感傷的になってしまう。何かをすれば人に迷惑をかけ、輪に入ると空気が凍り、人を魅了する突出した才能が無ければ努力もしない。そんな現実を直視しているにも関わらず、何もかも気づかなかったことにする私は、さっさと消えてしまった方が良いんじゃないかなって。大の大人がこんな弱音を吐くのは変だとは分かってる。でも良いだろう?ここには君だけしかいないんだから。
[猫の甲高い声が響く。]
不明な男性: 痛っ!なぁ、今こそ慰める空気だっただろ?それなのに手を噛んだりするなんて、冷たいヤツだな、君は。 [笑い声] まぁ、君が人を慰めるような性格じゃないことは分かってるよ。いつもそんな感じだったし。
[猫が小さく鳴く。]
[8秒間の間]
不明な男性: 今日も寒いね。
[ノイズ音]
音声の不明な男性の身元は現在も調査中である。
少なくとも猫は彼の願いを叶えようと奮闘しているのかもしれない。