概要
当初の分類
Anomalousアイテム番号:AO-916-JP-MTYTKLR
現在の分類
アイテム番号:SCP-916-JP
オブジェクトクラス:Keter
SCP財団日本支部のオブジェクト。通称「スワンプマン」。
一見すると普通の日本人男性にしか見えず、身体構造にも異常は見られない人型実体。
その異常性は、自分が死んだ直後、離れた地点に自分の複製体を発生させるというもの。要はスワンプマンそのものとほぼ同じ現象を引き起こす。
発生した複製体は、死亡した個体とDNA・身体的特徴・所持品(衣服や財布など)が完全に一致し、記憶に関しては死ぬ直前まで有している。
発生地点は死んだ場所から数百m~数百㎞と広範囲に渡る。また、発生地点では実体と同体積の物質(固体・液体)が消失しており、その物質の種類に関わらず、複製体の組成は死亡した個体と全く同じである。
現在のSCP-916-JPは、可能な限り長期の生存を維持するため、冷凍冬眠装置に収容されている。また、SCP-916-JPの死亡を伴う実験はレベル4以上の職員3名の同意が必要となり、死亡が確認された個体への蘇生措置は禁止されている。
発見から現在まで
1991年10月10日、新潟県妙高市の交通事故で1人の男性が死亡してから二時間、死亡したはずの男性を名乗る人物が山形県山形市の交番に保護を求め、その後財団に確保された。
確保された男性は、死亡した男性とDNA・身体的特徴・所持品が完全に一致した。記憶に関しては、自身にぶつかりそうになったトラックを目撃した部分まで有していたが、衝突の瞬間は記憶になく、突然池の中に移動したと証言した。
当初、この男性には「死亡した男性と同一存在」という点以外に有益な情報が無く、発生したとされる池にも異常性がなかった為、AnomalousアイテムAO-916-JP-MTYTKLRに分類され、標準人型格納個室に収容されていた。
発見から16年ほど経った2007年09月16日、異常存在の徹底破壊を理念とする要注意団体・GOCの過激派に財団施設が攻撃され、その際にAO-916-JP-MTYTKLRが死亡した。しかし、GOC撃退後の施設復旧作業中、サイト内のカフェテラスでAO-916-JP-MTYTKLRが再発見され、監視映像には大理石の床から起き上がるようにして発生したAO-916-JP-MTYTKLRの姿が映し出されていた。
その後更なる調査(後述)が行われた結果、AO-916-JP-MTYTKLRはAnomalousアイテムからKeterクラスのSCP-916-JPへと再分類された。
調査一覧
以下では本家記事に倣い、SCP-916-JPの「死亡した個体」と「発生した複製体」を、それぞれSCP-916-JP-1、SCP-916-JP-2と表記する
事件記録002(実験記録004)-日付2007/09/16
AO-916-JP-MTYTKLRを麻酔に掛けて安楽死させ、その後に何が起こるのかを調査。
最初に死亡した際、20km離れた山中からSCP-916-JP-2の発生が確認され、現場では近くの樹木の一部が対象と同体積消失していた。
発見から8分後にはSCP-916-JP-2が再度死亡し、その後日本海沖230km地点に新たな個体の発生が確認された。
また、山中で発見されたSCP-916-JP-2の体内からは安楽死に用いた薬物が検出され、この残留薬物が対象の死因である事が判明。
その後新たなSCP-916-JP-2への解毒作業で更なる死は阻止されたが、それに成功するまで五回もSCP-916-JP-2の発生を齎し、目撃者にはAクラス記憶処理が施された。
この事件を受け、その日の内にAO-916-JP-MTYTKLRはオブジェクトクラス未定のSCP-916-JPに認定された。
実験記録005 - 日付2007/09/23
SCP-916-JP-2が生前のどの時点の状態で発生するのか、接触している生命体も複製するのかを調査。
条件は以下の通り
- 胆嚢と腎臓の一つを摘出
- 腸内に生きた人回虫を収めた不溶性カプセルを入れ、ポメラニアンを抱かせる
- 記録装置を付けた腕輪を装着させる
- これらの状態でSCP-916-JPの頭部を狙撃
結果としてSCP-916-JP狙撃後に、兵庫県摩耶山中の民家でSCP-916-JP-2が以下の状態で発生した。
- 胆嚢と腎臓の一つが摘出されている
- 人回虫は複製されたが、ポメラニアンは複製されなかった
- 腕輪は財団が装着させた物と一致。腕輪の記録装置には、着弾直前に突然民家へと移動している映像が記録されており、対象の記憶も記録映像と一致
摘出していた胆嚢と腎臓は対象の体内に戻され、人回虫を収めたカプセルは回収された。また、同日に行われた別の実験で、この人回虫にSCP-916-JPの異常性は伝播していないことが判明した。
また、民家に住む男性が実験後行方不明となっており、 民家自体に異常は確認されなかった。
実験記録008 - 日付2007/09/25
死亡したSCP-916-JP-1が蘇生した場合どうなるのか調査するため、対象をショック死させ、SCP-916-JP-2発生後にSCP-916-JP-1を蘇生させる。
しかし、霧崎博士の「蘇生に成功した場合、SCP-916-JPが二体に増える危険性がある。蘇生後のSCP-916-JP-1が異常性を喪失するか否かを、危険を冒してまで確認する必要はない」という判断により、実験は中止された。
真の恐ろしさ
SCP-916-JPは死亡した際に「自身の最も健全な状態」ではなく「問題無く生存していた状態」でSCP-916-JP-2を発生させるものと考えられている。
上記の調査で、「毒物を摂取する前」ではなく「体内の毒物が効果を発揮する前」の状態でSCP-916-JP-2が発生していることがその証拠である。
また、SCP-916-JP-2発生の際は必ず何らかの物質(実験結果から、水や石などの無機物のみならず植物や人間などの生物も含まれることが示唆されている)が消失しており、更にSCP-916-JP自身は確保当時から加齢が進んでいる。(本家記事では「SCP-916-JP」として初老の男性の写真が貼られている)
これらを踏まえて考えられる最悪の事態は、SCP-916-JPの老衰死とSCP-916-JP-2の発生を永遠に繰り返すことで、全ての物質や生物が消失してしまうというNK-クラス世界終焉シナリオである。そのため、SCP-916-JPはKeterに再分類され、超長期的に生存を保ったまま収容されつつ、異常性を無力化する研究が進行されている。
関連タグ
スワンプマン - 同オブジェクトの元ネタ。
SCP-811 - 通称「沼女」、つまりは「スワンプウーマン」。ただし異常性やその危険度は大きく異なる。
SCP-3856 - 通称「世界の破壊者、ロイド研究員」。「人型のKeterオブジェクト」「その死が世界終焉シナリオを引き起こす」という共通点を持つ。ただし、本人の死後に世界が滅びるSCP-916-JPと対照的に、こちらは本人が死ぬ前に全人類を滅亡させる。