概要
アイテム番号:SCP-3001-JP
オブジェクトクラス:Euclid
SCP財団日本支部のオブジェクトの一つ。
メタタイトルは「漂流者たちのボトルキープ」。
このオブジェクトは、毎年6月2日(聖エルモの日)、カリブ海上の特定の地点に出現する帆船である。
船内には「唯一の乗組員」と自称する人型実体、SCP-3001-JP-1が存在する。この実体は中年の白人男性のように見え、主に船内バーのバーテンダーとして振る舞っている。
SCP-3001-JP-1は、バーに来店した客の約25%に「前世で来店した時にボトルキープした酒を飲むか」と質問し、それに応えた客に「ボトルキープした人物の記憶を蘇らせる酒」(SCP-3001-JP-2)を提供する。また、SCP-3001-JP-2を飲んだ客は、「前世の記憶を思い出した」として、特定の人物の経験を主観的に想起した後、「前世と同じ失敗を繰り返してしまった」と苦悩してしまう。
SCP-3001-JP、並びにSCP-3001-JP-1に対して敵対行動をすると、カリブ海のどこかの島に強制転移されてしまうため、財団はオブジェクトの確保には至っていない。しかし、出現場所と時間が限定的であるため、オブジェクトクラスはEuclidが妥当とされ、毎年6月2日に周辺を封鎖することを収容プロトコルとしている。
実験
財団は以下3名の被験者に、SCP-3001-JP-2を飲ませる実験を行った。(なお、Dクラス以外の職員は自ら志願可能とされている)
D-8610
- SCP-3001-JP-2:ラム酒
- 前世:ウィリアム・キッド(イギリスの私掠船船長)
- 前世での失敗:フランス船から莫大な金品を略奪し、それを祖国に持ち帰り英雄視されることを期待したが、帰国後にそれが海賊行為として裁かれ、死刑に処された。また、航海に没頭した結果、妻を常に一人にした。
- 現世での失敗:祖国で英雄になりたいが為、反政府組織で複数のテロ行為に関与した。また、その結果として妻を一人にした。
エージェント・戸神
- SCP-3001-JP-2:マデイラ・ワイン
- 前世:ジョサイア・ニズベット(イギリス海軍の英雄、ホレーショ・ネルソン提督の義理の息子)
- 前世での失敗:誇らしい海兵である義父に憧れて海軍に入隊し、彼の下で訓練・生活するが、義父が浮気相手と結婚してしたことで「自分を捨てた」と失望し、彼と距離を置いた。結果、トラファルガーの海戦で義父が戦死した際、「恩人を救えなかった」として苦悩した。
- 現世での失敗:指導教官のエージェント・蒼井に強い憧れを持つ。しかし、エージェント・蒼井はインシデントSCP-606-JPの結果行方不明となり、それを「自分を捨てた」と嘆きつつ、「恩人を救えなかった」と苦悩する。
ハルトマン博士
- SCP-3001-JP-2:オロムアの霊酒
- 前世:エンケラドゥス・メルクリデス・オプトミリオン(アトランティスの天才科学者)
- 前世での失敗:堕落した国民の神性を取り戻すため、神殿の乙女達に神々を降ろす実験を任されるが、実験は失敗し、その結果アトランティスを海に沈めてしまった。
- 現世での失敗:O5評議会に霊界との接続実験を任されるが、それに失敗し、どこかのサイトを地獄に落としてしまった。(詳細はクリアランスによる制限で伏せられている)
補足
上記の3名は、SCP-3001-JP-2を飲むまで、それぞれの「前世」とされる人物やその関連事項に関する知識を、一般的な程度のものしか有していなかった。
また、財団の考古学部門は、アトランティスが実在した証拠を未だ確認していない。
関連項目
以下の記述は、アクセスの為に「セキュリティクリアランス・レベル5/3001-JP」が必要とされている
ハルトマン博士は実験後、SCP-3001-JP-1と会話する。その結果、SCP-3001-JP-1から以下の主張を聞き出すことが出来た。
- SCP-3001-JP-1が客にSCP-3001-JP-2を飲ませる理由は、客がカルマを克服する姿をみたいから。
- SCP-3001-JP-1にボトルキープした客は、来世で再度来店することが運命付けられている。逆にいえば、ボトルキープ中の客が存在し続ける限り、地球が爆発するなどして世界が滅亡することはない。
この主張に目を付けたハルトマン博士は、「主張が正しければ」という仮定を踏まえつつ、SCP-3001-JPをThaumielオブジェクトとして扱う「プロトコル・ボトルキープ」をO5評議会に提案。
内容は以下の通り
- より多くの人間にSCP-3001-JP-2をボトルキープさせることで、来世で来店する際に必要となる交通網や、飲酒可能な年齢になるまで育てる親も客と共に守られ、結果として多くの世界終焉シナリオを回避出きるかもしれない
- SCP-3001-JP-1の主張の裏付けのため、自らもボトルキープを行い、後世の財団(もしくはその後継組織)に、自身の来世が入店するかを確認してもらおうと思う
これに対し、O5-1(アーロン・シーゲル、通称創設者-ザ・ファウンダー-)は、博士に以下のことを伝えた。
- 博士の案は審査の結果「検討中」に仮分類された
- 最終判断はSCP-3001-JPの実証実験、および倫理委員会の審査後に予定している
- 博士には具体的な実験計画、およびプロトコル・ボトルキープの策定をお願いする
- 必要な予算や人材に関する相談は、O5-1が担当する
ちなみに、O5-1とハルトマン博士は、かつて一緒に酒を飲んだ仲であるという。