「お前も『家族』だ(Welcome to the family, son)」
概要
演:ジャック・ブランド / 山路和弘
本作の敵キャラクターのひとり。
物語の舞台であるベイカー農場の主。妻のマーガレット、息子のルーカス、その他大勢の「家族」と共に暮らしている。
行方不明の妻を探して農場へやってきたイーサン・ウィンターズを捕縛し、彼を家族として住居に連れ込むが、イーサンは一時の隙をついて捕縛を解いて脱走。以降は、邸内からの脱出を図るイーサンの前に神出鬼没に現れ、凶器を振るって襲い掛かる。
更に恐ろしい事に、この邸内徘徊中はいくらダメージを与えても一時的に気絶させる事は出来ても倒す事は出来ないため、セーブポイントなどの彼が進入不可の安全地帯に逃げ込むか物陰に隠れてやり過ごすしかない。
なお、本作の体験版においては、殆どのルートにおいて最終的に彼から前述の台詞と共に背後からパンチをお見舞いされる(通称「ファミリーパンチ」)。
そのため、発売以前からネット上では「ファミパンおじさん」というあだ名で呼ばれている。
人物像
丸眼鏡をかけた初老男性。髪は白髪混じりで額から頭頂部にかけてがハゲ上がり、口ひげを蓄えている。
老齢であることに加えて血色の悪い外見から虚弱な印象を受けるが、黒幕によって与えられた怪力と再生能力によりその暴力は留まるところを知らない。また、それを差し引いても、元々の生業が農場経営という重労働であるのに加え、邸内に飾られた写真などから青年期には海兵隊に所属していた元軍人で、尚且つフットボールを趣味としていたらしく、衣服の下は逞しい体つきをしている。身長も180cmあるイーサンより更に頭一つ分ほど高く、彼からは「大男」とも評されている。
その他、前述のファミパンをはじめ、作中ではたびたびイーサンらの背後をとり、相手の不意を突いて強襲する戦法を得意としている。
「家族」という概念に異常な執着を持っており、自身の敷居を跨いだ人間を尽く捕縛し、無理やり家族としている。ベイカー家の中で最も発言権が強く、家族にも外来者にも支配的な振る舞いをする。その異常性は発売前のティザームービーでも強調されており、食材も定かでない不気味な料理(彼曰く“何よりのごちそう”)の並ぶ食卓を囲み、主人公が食べるのを拒否して吐き出した際にはナイフを顔に突き立てて制裁を加えている。
ネタバレ
※ここから先は本編のネタバレを含みます。
彼ら家族が変貌した原因である「菌」の存在を知ったイーサンは、その抗体となる「血清」を生成するため、その材料を求めて邸内を捜索することになるが、その間もジャックをはじめとする家族はイーサンを付け狙い、発見するやいなや喜々として襲い掛かってくる。
また、ジャックの場合はシナリオの節目で三度に渡りイーサンの前に立ちはだかる。
第一戦はガレージにて。
通報を受けて駆けつけた地元の保安官(補佐)に偶然接触したイーサンが、彼に保護を求めてガレージにて落ち合うが、両者が揉めている最中に出入り口のシャッターを下ろし、保安官を背後からスコップで頭部を抉るようにして殺害。その際に折れたスコップの代わりに今度は大斧を手に取り、そのままイーサンとの戦闘となる。
途中、イーサンがガレージ内の車(イーサンが乗ってきた自家用車)に乗り込み逃走しようとするがこれを邪魔し、幾度と轢かれてもなお平然と立ち上がり、更には助手席に乗り込んでハンドルの主導権を奪い暴走。突き出た鉄骨に突っ込んでイーサンもろとも叩き潰そうとまでした。イーサンは辛うじて脱出したものの、ジャックは鉄骨に叩きつけられ、更には大破した車が炎上し死亡したかに思われたが、それでもなお平然と立ち上がり襲いかかる。
最後は、梯子でガレージから脱出しようとするイーサンを捕まえ「面白いものを見せてやる」と彼の拳銃で脳天を撃ち抜き倒れ込んだ。
しかし、その後にバスルームでキーアイテムを入手した直後にイーサンを襲撃。この際は無数のトゲが付いたローラーを武器にしている。
第二戦は死体保管所。
扉の鍵であるケルベロスのレリーフをエサにイーサンの背後を取り、彼を部屋中央の鉄格子に囲まれたケージのような場所へ蹴落とし、自身もその場に入り対戦する。当初は前のガレージでの戦闘同様に大斧を用いるが、一定ダメージを与えると巨大なチェーンソーハサミを取り出して襲い掛かる。ちなみに、死体保管所には第一戦で殺された保安官がつるされている。
最終戦では菌の影響か、目が異様に多い異形の化け物となって登場。
血清を生成した直後のイーサンたちを発見し、その巨体でイーサンのみを引きずり出し、最後の対決を挑む。これまでの面影すらない異形の姿に変貌し、尚且つ二度も仕損じた上に、妻を殺したイーサンに対して怒りを露わにしているが、人語を喋り、娘のゾイ(イーサンに血清を生成するように促した協力者)にあとで説教すると決定づけるなど、割と人格は保っている(これに「いい加減しつこいぞジャック」と返せるイーサンもイーサンだが)。
最期はゾイの指示で血清を打たれ、怒りと苦しみにのたうち回った挙句、身体が石化して倒壊しとうとう息絶えた。
更にネタバレ
その後、黒幕に囚われ意識を失ったイーサンの精神世界にゾイと共に現れる。
このときのジャックは菌(黒幕)の呪縛から解放され平静を取り戻しており、眼前に現れたジャックに身構えるイーサンを宥め敵意はないことを説明し、自分たち家族が変貌した経緯を語る。
彼ら一家は、当時ダルウェイ近郊を襲った大嵐の影響を受け居住地近辺の巡回を行なっていた。その際、沼地に流れ着いた船の近くで、イーサンの妻ミアと、今回の事件の黒幕である「エヴリン」を発見し、善意から二人を保護した。しかし、エヴリンによって菌を感染させられたことで、精神の支配により「家族」にされ狂気に憑りつかれた、というのが事の真相だという。エヴリンという存在を脅威としているものの、ただ家族が欲しいと望んでいる彼女の心にも理解を示しており、イーサンに対しても、自分たち家族の解放と同時に彼女を「止めて」ほしいと懇願しているなど、本来は荒事を好まない温和で心優しい穏やかな人物であることが窺える。
なお、「殺したかったわけじゃないんだ、妻も息子も、もちろん娘もだ」という発言から、息子のルーカスが元来より残虐なサイコパスとしての気質を持ち合わせていたことについては知らなかった模様(マーガレットだけは幼少期の頃のルーカスに多少違和感を覚えてはいたようだが、彼はこれまでの生活の中で家族にバレないよう振る舞っていたと考えられ、誰もがその本性に気付かなかった)。
洗脳される直前のベイカー家を描いたDLC『ドウターズ』では、民宿を開くのが夢だったと語っている。まだエヴリンの支配を受けていない当時は表情は穏やかで本編よりも血色が良く、頭髪も薄いながらまだ黒々としているなど温和かつ健康的な様子が窺える。
更に更にネタバレ
とうとう死んだと思われていたが、DLC「エンドオブゾイ」でクリーチャー「スワンプマン」としてまさかの再登場。いい加減しつこいぞジャック!
菌の進行が進んだためか、頭部以外はモールデッドに近い異形の姿となっており、聞き取りにくいながらも言葉を発するが理性を失っており、ほとんど本能のままに活動しているかのように見える。(新生アンブレラの報告書の内容から、本人ではなく損傷を受けた際に切り離されたジャックの一部が、肉体を再構成し行動原理を模倣した分離体の可能性もある)
それでも肉親への愛情がわずかに残っているのか、娘のゾイを実家に連れ帰ろうとし、兄であるジョー・ベイカーと壮絶な兄弟喧嘩を繰り広げることとなる。
…ジョーの言葉から察するに、兄弟の仲はかなり悪かったようだ。
その他
本作の発売に際して行われた各イベント会場では、彼の等身大の立体像が再現・展示されており、名実ともに本作の顔として扱われている。主人公を差し置いて。
その影響か、販売元であるカプコンでは、2017年の年賀状イラストにおいても彼が登場。
「モンスターハンターストーリーズの主人公」「めがみめぐりのツクモ」と茶の間でコタツを囲み、一緒にみかんを食べている。本編とは全くかけ離れた、ファンシーにデフォルメされた可愛らしい作画ではあるものの、血色の悪い顔色や片手に持った凶器のスコップはそのままである。
更にはDLCとして『Jack's 55th Birthday(訳:ジャックの55回目の誕生日)』なるミニゲームシナリオが登場。プレイヤーはミアを操作して、空腹を訴えるジャックのために制限時間内に各ステージ内の食べ物を集めて一定のポイントを稼ぐという内容。誕生日ということもあってか、ジャックや登場する敵キャラたちは皆パーティーキャップや中折れ帽などでおめかしをしていたり、屋敷内では軽快なジャズミュージックが流れていたり、ジャックが「腹が減ったぞ。何をもたもたしてるぅ~」「さっさと食わしてくれよぉ~」とコミカルな口ぶりで話したり、ミアもミアで「OK!」「やったー!」など普段より明るい声を発するなど、とにかく色々とカオスである。
他のDLCである、クランシーが主人公である『ナイトメア』と『ベッドルーム』にも登場しており、前者では相変わらず強敵としてプレイヤーを苦しめるが、後者では彼と直接戦う事は無いが、特定の条件を揃えると凶暴化していながらも妻のマーガレットと仲睦まじいやり取りを見られる。……クランシーさん放ったらかしで。
一方でDLC内でも屈指の難易度を誇る『イーサン マスト ダイ』でも登場。
……するのだが、本館の一部区画の部屋の扉前に来ると、扉の向こうでトラップの一つであるマシンガンタレットに引っ掛かり蜂の巣にされていとも簡単に戦闘不能、戦うどころか直接出会う事すらもなく敢え無く退場という噛ませ犬のような扱いになっている。いつもの不死身っぷりはどうしてしまったんだ!?
ビビビビビ!! \何なんだぁ!?/ ズダダダダダダダダ!!! \ぐわぁあぁぁ~~!!(ドサッ)/
ちなみに本編で彼から逃げている際、不気味な料理が乗ったテーブルを見せしめのように叩き壊すのだが、この叩き壊す動きはイーサンがダイニングにいる状態でジャックが来た際に起きる小イベントのようで、どんな状態でもイーサンそっちのけでテーブルを破壊する。
ダウンさせた状態や攻撃モーション中に条件を満たすと、人間技じゃないレベルの身体の動きをする。
また、声を担当した山路氏は過去に実写映画でスペンサー・パークスの吹き替えを経験している。
なお、本来は温厚な人物であるジャックだが、最新作の「バイオハザードヴィレッジ」のDLC「ベイカー邸事件調査」のレポート内に記載されていたSNS投稿記録によると……
>ジャックっておっさん、かなりヤバい噂多かったよね。あちこちでトラブル起こしまくってた記憶ある。
>結局、父親のジャックによる一家皆殺し&自殺で確定か?
と、何故か悪評が広まっている。エヴリンに支配された直後(※世間との交流を断つ前)の時期にトラブルを起こしたか元から家族以外の人間には傲岸不遜だったのか、あるいは投稿者側が悪い噂の絶えない不良息子か腕っ節の強い乱暴者の兄の方と混同したのか……。
バイオハザードRE:バース
主人公を差し置いて、「バイオハザードヴィレッジ」のオマケゲーム「RE:バース」にB.O.W.として参戦が確定。(ジャンルが三人称視点シューティングということもあって、公式でビジュアルがぼかされているイーサンは出しにくいのだろうが……)
「ハイスピードなFFAデスマッチ」というゲームデザインの都合上、ジャックが何度でも、時には複数湧いて出て来るという、最早しつこいとかいうレベルではない仕様となっている。
遠距離攻撃を持たない近接一辺倒のキャラで、通常攻撃はチェーンソーハサミを使った薙ぎ払い。スキル攻撃はチェーンソーハサミで回転切りを繰り出す「チェーンソーハサミ大風車」と、渾身の右ストレートをぶちかます「お前も『家族』だ」。「お前も『家族』だ」は人間キャラをキルすると、ファミパンを完全再現した一人称視点のトドメ演出が入る。
関連イラスト
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ウィリアム・バーキン:バイオハザードシリーズにおけるクリーチャー化した父親キャラの先駆け。(ゲームのボスクラスのクリーチャーではよくあるお約束のパターンだが)倒してもパワーアップして蘇生して主人公達を執拗に追跡してくる事、『DC』と『RE:2』のクリーチャーG全形態と『7』本編の主人公イーサンと最後に闘った変異形態は目玉が弱点になっている事、更には娘がいるが父親側にはつかず、正気を保ったまま主人公に味方する事といった共通点がある。
ジャック・クラウザー、ジャック・ノーマン:「ジャック」繋がり。
オルチーナ・ドミトレスク:続編に登場するイーサンを執拗に追跡してくる絶大なインパクトを持ったクリーチャー。ジャック同様に最初のボスキャラである事、追跡中は何度攻撃を受けても決して倒す事ができない事、家族を殺された事で怒りに駆られながら、変異形態となって襲ってくるといった共通点がある。