「畜生!」「マジかよ……」
(7から引用)
「絵本の怪物はパパがやっつけてやる」
(8の冒頭から引用)
概要
演:トッド・ソリー / 木内秀信
『バイオハザード7 レジデントイービル』から主人公として登場した、ロサンゼルス在住の一般人男性。後に『バイオハザード ヴィレッジ』にも主人公として登場している。
1984年生まれ(『7』時点での年齢は33歳)。
身長180㎝、体重75㎏と均整のとれたスタイルの持ち主。既婚者であり、妻はミア・ウィンターズ。『ヴィレッジ』では娘のローズマリー・ウィンターズが誕生している。他の親族については今の所触れられていないため不明(祖母についてのみ『ヴィレッジ』にて僅かに言及がある)。
元々の職業はシステムエンジニア。妻のミアも働いていたようだが、イーサンは彼女の仕事については不認識(本人から「貿易会社で働いている」とだけ聞いていた)であった模様。ミアは仕事の関係上、長期出張することが多かったが、その間も動画メッセージでやりとりするなど仲睦まじい関係であった。
しかし、そのミアが『7』本編の3年前に行方不明となったことがイーサンの運命を狂わせていく。
外見
『7』『ヴィレッジ』のどちらも、基本的にイーサンの一人称視点で進むため、ゲーム中で外見が確認できるのは一部のムービーのみ。そのムービーでも地面に突っ伏して気絶していたりと顔はほとんど見えないようになっている。
確認できるのは長身痩躯で髪はブロンドの短髪であることと、着ている服装くらいのもの。
クリア後特典の3Dフィギュアでも意図的に顔が隠されているだけでなく、ゲーム外のイラストなども黒い影などで顔を隠す徹底ぶり。一応7のムービーやヴィレッジの公式サイトの画像に鼻から下が見えるものがある。ひげは生えていないようだ。
ちなみに『ヴィレッジ』の前日譚に登場する主人公は顔だけでなく全身さえもほとんど見えない。
無粋な話だが、上記の通りムービーのために顔の全体は用意されており、解析で公開されてしまっている。なおそれ以外の場面で無理に顔を見ようとすると一人称ゲームの宿命でもある首無し状態になっている(首を残すとふとした衝撃で視点が顔の中に入ってしまった際に、目や口等のパーツが見えてしまうため)。
DLCにて三人称視点が追加された際にようやく全体が公開される…と思いきや、カメラを向けると自動的に顔を背けてしまい結局見ることはできない。
しかし、カメラを素早く動かせば横顔までなら見えることが出来る他、バグで正面を向けてしまうという報告もある。
服装は、『7』では白いワイシャツ、灰色のパンツを着用していると確認できる。
『ヴィレッジ』では真冬の集落ということもあってか、黒いジッパーシャツの上にオリーブ色のジャケット、デニムパンツを纏った服装になっている。
人物像
『バイオハザード7』では
一人称は「俺」。物静かかつ冷静沈着で、常人ならパニックを起こす出来事にもあまり動じない。
『7』の冒頭は突如変貌したミアに襲われたり、その経緯で彼女を手にかけてしまったり、それでもなお生き返った彼女に左手を切り落とされたりなど、かなりショッキングな描写が多いもののリアクションはかなり薄く、大抵の事は「マジかよ……」の一言で済ませるほど。目の前に突然死体が現れても一声上げるくらいで済ませる。
これらは本作がPSVR参入ソフトとして開発された経緯から、顔(表情)が不明瞭な点と合わせ、「イーサンをプレイヤーの現身として機能させるために敢えて彼の感受性を抑えているのではないか」という捉え方もされている。
こうした経緯から感受性の薄いドライな人物として見られる一方で、『7』のOPでは(おそらく同僚との)通話内容から、ミアからのメールを受け取った際にそのまま職場を飛び出し、翌日の夕方にはベイカー農場のあるダルヴェイに入っている(ちなみにロサンゼルスのあるカリフォルニア州からダルヴェイのあるルイジアナ州まで単純に直線で測ると約2530km、それを車でぶっ通しで来た模様)ことが分かり、彼女への思い入れは非常に強いことが窺える。本編中においても、ミアに関して敏感になり、声を荒げることも度々ある。
また、虫嫌いのようで、虫が関わるトラブルでは明らかに動揺する様子を見せる。
例えば7では冒頭でゴキブリが手に乗った際に「Agh! Fuck! Fuck!」と叫び、上述の通りムカデの大群が蔓延る細い通路を通過した際に「Fuck! Fuck! Fuck! Fuck! Jesus fuck!」と死ぬほど狼狽え、虫を操るマーガレット・ベイカー(最終形態)を撃破した際も「Just fuckin' stay dead, okay?!」とやけに声が震えていた。8では全身が肉食昆虫で構成されたベイラ・ドミトレスクを撃破した際、「I'm sick in bugs」と吐き捨てている。
そして上述の虫へのリアクションでわかる通り、おそらくバイオハザードシリーズでベスト5に入るレベルで口が悪い。
どうやら「畜生!」「クソ!」が口癖の様子(英語版ではことあるごとにFワードもしくはそれに準ずるタブーワードを発する)。クリーチャーはもちろん人間に対しても言うことがあり、エヴリンに対しては「このクソガキめ!(You little bitch!)」、ルーカスに至っては「このクソ野郎が!(Fuck you, too!)」や、果ては「Dick(直訳するとチ○ポ野郎)」などと毒付いていた。
『ヴィレッジ』でも相変わらずで、「呪ってやる!(Curse you!)」と恨み節を残しながら息絶えたドミトレスクに「呪われているのはお前だ!(You're the one who's cursed!)」と啖呵を切って返したり、モローの死に様を見て「最期まで汚い野郎だ! 吐き気がする!(In death as he was in life. Disgusting.)」と言い放ち、ローズを武器呼ばわりしたハイゼンベルクに対して「クソ野郎が!(Fuck you!)」と悪態をつき、そして「ローズは私が頂く(I must have her.)」とのたまったマザー・ミランダに対し「黙れ、このイカレ女が!(Fuck you, you crazy bitch!)」と罵るなど作中の至る所でその口の悪さを披露している。
RE:2のクレアやレオン、RE:3のジルも割と頻繁に悪態をついていた(RE:2の製作秘話で「あんな状況に放り込まれたら、ネイティヴスピーカーなら誰でも『Fuck』や『Shit』などの悪態が出てくる」と語っている{参照リンク}。実際、実写版2でもジル達は頻繁に悪態をついていた)。しかし、それを考慮してもなおイーサンの口の悪さはトップクラスである。
とはいえ常に口汚い訳ではなく、敵対者や不条理な状況に対面した時に限られる。敵意の無い相手には寧ろ親身で温厚な口調。
他の特徴的な発言としては、自身の仕掛けたトラップを尽く打ち破られたルーカスに挑発的な発言をしたり、事がほぼ終わりかけた頃に現れたクリスに対して「ずいぶん遅かったじゃないか(原文では「The fuck you guys took it so long?」直訳すると「えらく時間かかったなぁクソ野郎」)」と答えたりなど、若干ながら皮肉を用いる場面も見られる。
また、プレイヤーの操作や意図がどうであれ、イーサンは自分を怪しむ警官に対していきなり銃を貸せと要求したり、武器や薬品を巧みに組み合わせたりするなど、能動的に状況を打開しようとする傾向にある。
このことから彼は、生物災害や戦闘に関して熟知した逸般人なのではないかとも推測されている(後述)。
他にも、ある種の読心能力を持つエヴリンは、イーサンを助けようとするミアに対して「こいつ(イーサン)はお前を愛してない」と言い放っており、イーサンが善良な人間ではないことを示唆している(ただし、後述するイーサンの状態を考えると、彼の心を本当に読めたかは疑わしい。エヴリンの精神年齢が幼い子供である点や、ミアのメールを見て以降のイーサンの行動力を考慮すると、これに関しては単なる嫌がらせの虚言である可能性も否定できない)。
いずれにしても、彼に関する資料は本編中には存在しないため、現時点で正体を断定することは不可能である。
『ヴィレッジ』では
『7』の比ではない程の負傷率の『ヴィレッジ』においてもその精神力と耐久力は健在。ミアが目の前で殺される、ライカンに腕を噛まれる(Z版及び北米版では左手の薬指と小指を噛みちぎられる)、腹に鉄パイプが食い込む、ミンチにされかける、前作同様に片手を切り落とされる(そして自力で接合)、といった常人なら発狂ものの状況にも冷静に対処している。
極めつけはドミトレスク三人娘との初邂逅時のイベントで、両手を鋭利な刃のついた鎖で串刺しにされ空中に吊り上げられてしまった際に、自らの手を裂くような形で強引に拘束を解いた後、即座に回復薬で傷口を塞いで脱出する始末(さすがに痛そうな声は上げていたが)。
最早人間を辞めているレベルに到達しているが、それにはきちんと訳がある。
またVR導入のためとはいえ『7』には「イーサンに感情移入しづらい」面があったが、『ヴィレッジ』ではドライな印象が抑えられ、感受性がある程度豊かになっている。
家族を奪ったことや真実を話さなかったクリスに声を荒げて突っかかる、生き残りの村娘を最後まで救出できなかったことを悔しがる、ドナが差し向けた悪夢に息が乱れるほど本気で怖がる、4つに分割されたローズを見て酷く動揺しショックを受けるなど、イーサンの人間味が前作より増している。
これにより、イーサンの本来の性格は(前作でも僅かな描写はあったが)家族への愛情が強い正義漢であることがはっきりと描かれた。
恩人であるクリスに対して友情のような信頼を寄せている描写もあり、真相を知った後はすぐに和解。最終的には娘を彼に託している。
バイオハザード7
ミアが行方不明になって3年が経ち、生存すら諦めかけていたある日、彼女から「迎えに来てほしい」というメールが届く。イーサンは不審に思いつつも、メールに記されたルイジアナ州ダルヴェイ郡にあるベイカー農場へと向かう。
ベイカー農場を訪ねたイーサンは、既に廃墟のように荒廃したベイカー邸を探索し、その地下室で監禁されているミアを発見する。再会した彼女は何処か話が噛み合わず、何かに怯えるように焦燥しており、更には突如として凶暴になりイーサンに襲いかかる。その力は常人とは思えぬ怪力で階段から廊下まで投げ飛ばされ、包丁で滅多刺しにされ掛かってしまう。しかし一度は自分の意思で壁に頭を打ちつけて気絶するもミアはすぐ様覚醒し、近くのバリケードの張られた部屋に投げ飛ばされてしまう。その後バリケードの残骸である鋭い木材の破片を手に襲い掛かってくるミアを部屋の床に落ちていた手斧で迎撃することを余儀なくされる。
一時は妻を斬り殺してしまったと焦燥・後悔したイーサンだったが、彼女はイーサンが目を離した一瞬の隙に姿を消すと、次に現れた際にはドライバーを突き立てて彼の左手の自由を奪い、チェーンソーで左腕を切り落とすという形で報復してくる。その後、切断された左腕を抱えて屋根裏部屋の梯子から外へ脱出しようとするも再度チェーンソーを持ったミアに襲撃されてしまい脱出直前に屋根裏部屋の一室で拾った拳銃でミアを迎撃する。チェーンソーを振るい、人間離れした強靭さで襲い掛かるミアを倒した直後、農場の主であるジャック・ベイカーの不意打ちの拳と追い討ちに蹴りで気絶させられ、彼ら一家の暮らす新館へと拉致され「家族」として迎えられる。
以降は、電話(内線)越しに彼を援助する謎の女性ゾイにより、ミアをはじめとするベイカー家の住人の異常性の原因である「菌」の存在を知らされ、その抗体となる血清にミアを救うための僅かな望みをかけ、その材料を求めて邸内を探索することになる
(切り落とされた腕はゾイの処置によって回復する。詳細は“能力”の項目を参照)。
最後は事件の元凶であるエヴリンと対峙し、苦戦の末に勝利。救援に現れたクリス・レッドフィールドたちに保護された。グッドエンドではミアと一緒に脱出、バッドエンドでは1人で脱出することになる。
DLC『End of Zoe』ではエンディングで声のみ登場し、クリスを介してゾイと電話で会話し、彼女の生還を喜んでいた。
バイオハザード ヴィレッジ
道中の選択でミアを選択した場合のグッドエンド以降の物語として展開。
事件から3年が経ち、クリス率いる対バイオテロ組織BSAAの庇護・監視のもと、妻ミアと生まれて間もない娘ローズと共に平穏に暮らしている。事件の後遺症で精神的に不安定なミアとは些細な諍いこそ起こしていたようだが、3人の新しい未来を紡ごうと努力していた。ちなみに3年の間にBSAAの計らいでアメリカから東ヨーロッパ某国に引っ越しており(公には失踪扱い)、またクリスから直々に戦闘訓練も受けている。
しかし、ある晩突如として襲撃してきたクリスがミアを殺害すると、ローズとイーサンは身柄を拘束される。その場で昏倒させられたイーサンだったが、どこかに運ばれる途中に移送車両が何者かの襲撃を受け、部隊は全滅。生き残ったイーサンが辿り着いたのは、どこか様子のおかしい村だった。
『ヴィレッジ』の終盤、最後の四貴族であるカール・ハイゼンベルクを撃破したところでマザー・ミランダと対面。ローズを返せと要求するものの拒否され、その能力に翻弄された末に心臓を抉り取られて絶命してしまう。
協力関係を築いていたクリスは部下からの報告でこれを知ると、監禁から救出したミアにイーサンの死を伝える。しかし、ミアは「イーサンは死んでいない、彼は特別」だとクリスに告げる。
その後、なんとイーサンが精神世界と思しき場所で目を覚ます。寒さに震えながら歩を進めると、目の前にはかつて自分が倒したはずのエヴリンが立っていた。
そこでイーサンはエヴリンから
「ずっと前に死んでいる」
と宣告される。
実は『7』の序盤でジャックの拳(ファミパン)を受けた後、全力で頭を踏み抜かれた時点で既に死亡しており、ベイカー邸へ運ばれる間に特異菌の力で蘇生していたのだ(踏み抜く際に何かが潰れるような音が鳴っている他、拳を受けても明瞭だった視界が踏み抜かれると同時に暗転するため、ここで死亡したと思われる)。
さらに、事件からの3年間でイーサンの身体は全て特異菌に置き換わっており、これまで冗談交じりに語られてきた「主人公がB.O.W.」が冗談ではなくガチだったことまで判明する。
これまで明らかにならなかったのは、イーサンが特異菌の完全適合者であるため外見と自我が感染前の状態を保っていたことに加え、エヴリンの本体が死滅したことと、唯一気付いていたミアが周囲に隠し通してきたからである。
しかし、村での度重なる負傷によりイーサンの身体は組成を維持する力が限界に近く、更にミランダから受けたダメージが致命傷となり、余命幾許も無い状態となっていた。
自身の真相をエヴリンに突きつけられて尚、ローズを救い出す意志は折れずにいたイーサンはデュークの幌馬車の中で目を覚ますと、デュークから「もう元には戻れない」ことを忠告されながらミランダとの決戦に向かう。
死闘の末にミランダを倒してローズを取り戻すが、イーサンの右手は石灰化が始まっており徐々に崩れていく。
駆けつけたクリスが一緒に脱出しようと肩を貸すも、ボロボロのイーサンはまともに歩くこともできず、次第に菌根が迫ってくる。イーサンはローズと自分の上着をクリスに託すと、菌根に設置されたN2爆弾の起爆スイッチを掠め取り、息も絶え絶えになりながら最期の力を振り絞り菌根のもとへ向かう。
クリスが部隊と合流し、ミアとローズと共に村から引き上げていくと、間もなく大爆発が起こった…。
※以下、最後のネタバレ注意。
あれから時が流れ、美しい少女へと成長したローズは形見の上着と指輪を身に着け、イーサンの墓を訪れて静かに愛の言葉を伝えていた。
その出自故に決して普通の少女とは言えないローズだが、その言動からは非常に逞しく成長したことが窺える。自分たちを命懸けで救ってくれた父に対して感謝と愛情を抱いており、イーサンに似ていると言われると不機嫌だった表情が綻ぶ様子も見せている。
イーサンが死して尚、その勇気と強さは娘の中に確かに生き続けているようだ。
The father’s story is now done.
能力
公式では一般人という設定で、職業も戦闘とは無縁のエンジニアである。加えて、特異菌により超人的な能力を得ているベイカー家の住人やミアと比べると、明らかに能力で劣る非力な存在である。
にもかかわらず、誰よりも先んじてミアの居場所に辿り着き、苦戦しながらもB.O.W.を連破する活躍を見せる。
『7』の時点で既に様々な武器を卒なく使いこなすことができる。それだけならまだしも、ミアに手を切り落とされた際には、片手で銃のマガジンを交換するという常人離れした技をみせている(リロードモーションは全体像が映らないため把握しにくいが、どうやら「切り落とされたほうの腕の手首部分と胸部の間にマガジンを挟む、あるいは手首部分にマガジンを乗せるようにして保持し、その上から銃本体を被せるようにしてリロード」している模様)。
また、刃物で滅多刺しにされてもケロッとしていたり、高所から何度落とされても這い上がるという不屈の精神の持ち主。
これまでの人生でスポーツに打ち込んだ経験はないらしいが、人並み以上の体力と適応能力を持つことは明らかで、多少のダメージなら物ともせず、相手を凄まじい怪力で徹底的に叩きのめす。
戦闘スタイルも荒々しく、巨大なハサミを持った敵に対してチェーンソーで挑み、そのチェーンソーで頭を切り裂いたりしている。
また、チェーンソーで切断された手がホチキスで固定しただけの荒療治で普通に動かせるほどまで回復するが、これはイーサンがエヴリンの特異菌に上手く適合しているため(完全に切り落とされた手を元通り動くようにくっつける場合、血管や神経といった細かな部分まで接合する必要がある。高度に整った医療環境で確かな知識と相当な腕前を持った医師による完璧な手術を迅速に受けた上で、長期間の安静やリハビリを経てようやくまともに動かすことができるのが通常で、それでも殆どの場合後遺症が残る)。
特異菌により変貌したベイカー一家や、拉致された人々が元となったモールデッドは超人的な再生能力を得ており、イーサンの常軌を逸した回復力(体力もハーブやスプレーを使わなければならないクリスやレオン達と異なり時間経過で回復する)も特異菌の影響と考えれば納得がいく。
加えてイーサンはベイカー一家やミアと違い、エヴリンの精神支配や菌の活性化による侵食を最後まで受けなかった。このことから、彼にはミアやベイカー一家は持っていない特異菌への何らかの抵抗力を備えていると思われる(※)。
そのため、特殊な訓練を受けた戦闘のプロで超人揃いのバイオハザードの歴代主人公達の例に漏れず、ファンの間で「主人公がB.O.W.」とまで言われている(先述したようにイーサンの場合これが冗談ではなくガチだったわけだが)。
※:特異菌の影響を受けてなお人の形を保っていた人物のうち、ジャックとマーガレットは深刻な精神支配を受けており、ミアは正常な意識と暴走する意識が混濁した不安定な状態に陥っている。
ゾイやアランは精神支配こそ受けなかったが力の影響下にあり、エヴリンに生殺与奪を握られていた。
ルーカスは血清の効果で再生能力を保持したまま正気を取り戻しているが、最終的には特異菌が臨界に達した事で異形化している。
一方でイーサンは最終戦を前に幻覚症状が表れたものの、精神支配を受けたり生殺与奪を握られることはなく、異形化する様子も見られないなど、明らかに別格の存在と言える。
このように、彼は「一般人」という設定であるにもかかわらず、明らかに荒事慣れした者しか持ちえないスペック(やたらとタフな心身、近接武器はもちろん銃器・薬物を難なく扱い、あり合わせのガラクタで武器を作成するなど)がとても目立つ。
「一般人?」と疑問符がつくこと請け合いである(「ゲームだから」と言ってしまえばそれまでだが)。
これら本人のハイスペックぶりや、妻であるミアの正体に加え、元祖「主人公がB.O.W.」のクリスと既知の仲であるかのような軽口も相まって、「普段は一般人として生活している工作員」説や「元軍人、あるいは元警察官」説といった考察が囁かれている(“余談”も参照のこと)。
なお、『ヴィレッジ』序盤にクリスの訓練を受けたことが語られるが、映像としてはないため、詳細は不明。
余談
実は『バイオハザード5』のファイルに、アンブレラ社の死亡した幹部として「イーサン.W」という名前が記録されている。そのため、科学的・理系的造詣が深い『7』のイーサン・ウィンターズについて、以下のような考察が行われている。
- 「死を偽装したイーサン.W」説
- 「イーサン.Wの息子(イーサン.W Jr./イーサン.W Ⅱ世)」説
- ウィンターズは偽名で、“ウェスカー計画”から漏れた被検体候補の一人「イーサン・W(ウェスカー)」説
ただし、いずれも推測の域を出ず、こうした名前の関係について公式に言及されたことはない(単に名前が同じなだけの別人という可能性も否定できない。現に『ヴィレッジ』の村においてアンブレラのと酷似したエンブレムを発見した際、「この紋章どこかで……」と関係者なら到底出なそうな発言をしている)。
外伝などを除いたシリーズのナンバリング作品の主人公では初の死亡者である(メインキャラという括りであれば前例は少なくないため、あくまで「ナンバリング作品の主人公」に絞ればの話である)。
イーサンは『7』『ヴィレッジ』通してシリーズ随一の不死身っぷりを見せていたため、その死は多くのプレイヤーにとって予想外だっただろう。
『ヴィレッジ』で家族思いの正義漢としての一面が強くなったため、イーサンに好感を抱くプレイヤーも多い。彼の壮絶な最期は、スティーブやピアーズのそれに匹敵するくらいの名シーンと評価するファンも存在する。
『7』の死亡・復活を繰り返して攻略するDLC『イーサンマストダイ』(訳は「イーサン死すべし」)や、『ヴィレッジ』の公式イメージソング「俺らこんな村いやだLv.100」のサビにある「生き抜いて帰るだ~♪」という歌詞も、イーサンの真実や結末を考えると非常に皮肉のきいた文言であると言える。
作中にはイーサンが既に死んでいることを示唆する表現がいくつか登場する。彼の血を味見したドミトレスク夫人が「香味が抜けてきている」と評しているのは、既に死んでいるため血液が新鮮ではないからと解釈できる。一方でドミトレスクの娘達は「美味しい」と言っているが、これは彼女達の正体が死肉に群がる蝿に似た生物である事や、誕生経緯の関係で死肉や遺体の血を飲み食いし慣れているからと考えられる。
また、『7』でジャックがイーサンの精神世界に現れて「殺したかった訳じゃない」と語っていたのも、イーサンが既に死亡していることを暗示する発言だったと考えられる(ただし、『7』発売時点でこの設定が存在していたかどうかは不明)。
なお、『ヴィレッジ』冒頭でミア(に擬態したミランダ)がローズに読み聞かせていた絵本『Village Shadow』は、スタッフロールにて後半部分が明らかになるが、本編のイーサンの結末を予言しているような内容である。ローズをベッドに寝かしつけた際には「絵本の怪物はパパがやっつけてやる」と言っているが、まさか本当に絵本の怪物を彷彿させる怪物共や絵本の魔女を倒すことになるとは思わなかっただろう。
イーサンについての謎は『ヴィレッジ』本編を終えてもまだ残っている。
特異菌に完全適合できた理由や『7』以前の彼の来歴、クリスとはいつ知り合ったのか、何故一般人とは思えないような技能を有していたのか…。今後DLCか何かで明かされることになるかもしれないが、真相は闇の中である。
なお、上述した通りミアは「イーサンは特別」と語っている。素直に受け取れば「偶発的に特異菌と完全に適合した人間だから」という意味であると思えるが、深読みすると「必然的に特異菌と完全に適合できる人間だから」とも考えられる。彼女がかつて所属していたコネクションがイーサンに関するなんらかの情報を掴んでいて、ミアに対し彼に近づくように命じていた可能性がある、という考察である。
『ヴィレッジ』のエンディングは成長したローズが乗った車を見送る形で締めくくられるのだが、車が画面奥に走り出してしばらくすると、向こう側に発進直後にはいなかった謎の人影が出てくる。
かなり遠い位置に現れるため普通に観賞しているとその正体は全く分からないのだが、解析や改造など非正規の手段を用いれば詳細な姿を確認することができる。
現れたのは、欠損し包帯を巻いた左手、石灰化し砕けた右手、形見となった上着を脱いでいる、最期の瞬間のイーサンである。
これでもって実は生きていた、あるいは特異菌の力で復活したという考察も存在するが、映像作品でよくある「死者が一瞬登場し、現世に残った者たちに微笑みかけ、また消える」という演出、もしくは菌根を通じてローズが取得・幻視したイーサンの記憶であるという反論もある。
ただし、非正規の手段でしか確認できないことを考えると、正史とは関係のない製作者のイースターエッグ(重要な意味を持たない隠し要素)やファンサービスである可能性が高い。
関連イラスト
前述通り顔が不明瞭であることから、メインイラストのように顔に影がかかっているものや、投稿者のイメージで描かれることが多い。また、DLC『イーサン・マスト・ダイ』のイメージから、赤い眼光が放っているイラストや、内部データに存在する顔を参考にしたイラストも存在する。
関連タグ
バイオハザード7 バイオハザードヴィレッジ バイオハザードシリーズ
- アリス・アバーナシー:実写映画版の主人公。特殊技能持ち、完全適合性持ち、何がなんだかわからないうちに事件に巻き込まれている、最終章で左手の指を欠損する、娘がいる、など共通点が非常に多い。但し、アリスはU.B.C.Sの元隊員で正規の戦闘訓練を受けている、感染によって自身がB.O.W.同然の存在になってしまったことを自覚している、などの違いもある。
- ピアーズ・ニヴァンス:かつてイーサン同様クリスと行動を共にした人物。イーサンとは異なり世界を滅ぼしかねない化け物からクリスを救うべく、自らの意志で異形の姿になった。自分がもう持たないことを悟りクリスを突き飛ばして危険から逃がす、大事なものの未来をクリスに託す等の共通点が見られる。だが、彼が託した大事なものは、ある事件の後から大きく歪みつつあった。