CV:Neil Newbon(原語版)/白熊寛嗣(日本語ボイス)
「では親愛なる…獣の諸君 長らく待たせたな! いよいよゲームの始まりだ! そんじゃ期待してるぜ イーサン・ウィンターズ 準備はいいか?」
概要
『バイオハザードヴィレッジ』に登場するキャラクター。
村を統治するマザー・ミランダに仕える四貴族の1人で、村外れの工場に居を構えるエンジニア。
元は東欧の山脈に住む家の出身。彼は工学の天才で、ハイゼンベルク家は村のすぐ外に位置するハイゼンベルク工場を運営し、山脈の他の3つの主要な家と共にマザー・ミランダにサービスを提供していた。
ウェーブのかかった灰色の長髪と、口周りに蓄えられた髭が特徴の壮年男性で、丸いサングラスを掛けて、首には吊りはかり、ペンダント、ドイツ軍(ナチス?)が使用したドッグタグを首にかけて、黒いソフトハットとオリーブ色のロングコートを着用している。
いずれも異形揃いの面々の中では常人に近い風貌をしているが、四貴族に数えられるだけあり、サイコキネシスのように金属を触れずに自在に動かす不可解な能力を持つ。また、巨大な鉄槌を携え、片手で軽々と振るう怪力も併せ持つ。
性格は粗暴かつ短気で、相手をショーのように痛めつけるのを好むサディスト。
他の貴族達との関係も険悪で、特にドミトレスクとは反りが合わないようで、捕えたイーサンの処遇について取り合いになった際には口汚い言葉で罵っている。ドミトレスクによると、主であるミランダに対しても反骨心を内包しているらしい。
とはいえ、自分の手下のシュツルムがエンジンをふかしてイーサンとの話を邪魔した時は怒鳴りつけ、その後イーサンに謝るなど、礼儀はわきまえている部分もある。
主に自ら開発した機械装置や改造クリーチャー・ゾルダート、シュツルムをイーサンにけしかけ、自身はその身を隠しながら内線を通してイーサンを挑発する。
余談
- 公式サイトが公開した人形劇動画『バイオ村であそぼ♪』では、機械大好きハイゼンさんとして登場。ここでは人当たりの良い性格・口調となっているが、第3話でアンジーに「こわすぎる!」とツッコミを入れられた後は開き直り、一度は本編同様の粗暴な口調となった。なお、こちらでは他の四貴族とは特にトラブルもなく仲良くやっている上、外見から渋さ・ゴツさが失せて可愛さが増すなどかなりの印象や雰囲気の温度差が出ている(以下のファンアートで確認可能)。
- 彼の日本語吹き替えを担当した白熊氏は、前作『バイオハザードレジスタンス』でダニエル・ファブロンの声を担当していた。また、今作発売当時に放送していたトロピカル〜ジュ!プリキュアでも、同じくラスボスに仕える立場の敵キャラを演じており、同作キャラクターデザイン担当の中谷氏がTwitterにコラボイラストを投稿していた。
- 開発者曰く、ハイゼンベルクは「ヴィクター・フランケンシュタイン」がモデルらしい。
- 名前の元ネタは恐らく原爆開発で有名なドイツの理論物理学者「ヴェルナー・カール・ハイゼンベルク」と思われる。兵器作りを得意とする彼にはふさわしいモチーフだろう。
- 彼の製造している「ゾルダート」などのクリーチャーの名前もほぼドイツ語で統一されている。こちらもドイツ繋がりか。
- 吹替の声質が似ていたからか、Twitter上にて大塚明夫氏が『俺はハイゼンベルクじゃないッ!』と弁解していた。
- 初期プロットではハイゼンベルクは双子の兄弟という設定だった。
- ハイゼンベルク家の家紋は、馬の頭部と蹄鉄を表したものになっているが、コンセプトアートによると、勇ましさと男性らしさを表現すると共に、チェスの駒を彷彿させる事で遊び心を織り交ぜたとのこと。
彼の本当の姿と活躍
※以下、ネタバレ注意
彼の正体は、マザー・ミランダの行った「カドゥ」を用いた人体実験の被験者である。
カドゥの影響で、胸部にシビレエイのような「発電器官」と酷似した臓器が形成されている。この器官は脳と直結しており、これによりハイゼンベルクは脳を通じて全身の神経に電流を流す事で、自らの肉体をコイルと化して周囲に磁界を形成し、思うがままに金属製の物体を操る事が可能となっている。
更に、同じくカドゥを移植された他の四貴族達とは異なり、作中を見る限りハイゼンベルクだけは一切の欠点やデメリットが見られないどころか上述の発電能力を自在に操っており、あのミランダからも優れた個体と太鼓判を押されている。
ドミトレスクの懸念通り、内心ではミランダに背信しており、ローズの力を使って彼女を倒し自由の身になる事を目論んでいた。
ミランダの本性や自分達を実験体程度にしか見ていない事実を知っており、尚且つ自分を異形に変えた事を恨んでいる。また、ミランダを慕う他の四貴族や村人達を見下している(アンジーを「ブサイクなサイコ人形」、モローを「ウスノロの怪物」と陰口を叩いている)。
ミランダの強大な力によって従わざるをえない現状に苛立ち、「力ある者が勝つ」を宇宙の真理と嘯き、その「力」の象徴として工場内にてゾルダートを始めとした改造兵器を製造し、反逆の機会を窺っていた。
ミランダがイーサンを誘導して自分達を倒させ、自分の家族に相応しいか試している事も知っており、ローズの部位を四貴族で分配するように提案したのもハイゼンベルクである。これにより四貴族が集まらないと、ミランダの目的である儀式ができないように仕向けている(他の四貴族がハイゼンベルクの案に乗ったのは、モローの手記によると、自分だけ儀式の仲間外れにされるのを嫌がっていたため)。
なお、当のハイゼンベルクは、ローズの「胴体」が入ったフラスクを分配されている。
しかし、工場内のとある場所でハイゼンベルクの肉声による、ゾルダートの実験が記録されたボイスレコーダーがあり、その中でハイゼンベルクは「これであの女を見返してやれるぜ!」と発言している。本人に自覚があるかどうかは定かではないが、「倒す」でも「殺す」でもなく、「見返す」という言葉を使っている事から、ミランダへの反逆は一種の反抗期である可能性が考えられるが、真意はハイゼンベルク本人のみぞ知るため、真偽は不明である。
活躍
イーサンが最初に出会った四貴族で、ドミトレスク城に忍び込もうとしていたイーサンを自身の能力で鉄屑を飛ばして拘束、ミランダや他の四貴族の元へ連行した。マザー・ミランダや他の四貴族が待つ広間にイーサンを運び、イーサンの処遇についてドミトレスク夫人と言い争うが、マザー・ミランダが自分を選んだため、ライカン達と共に処刑ショーを始める。
持っている鉄槌でイーサンの手錠と繋がっている鎖を砕き、カウントダウンを口ずさむ。イーサンの周囲にライカン達が集まり、手錠されているため武器やアイテムも使えないイーサンは慌てて逃げ出す。逃げた先にはライカンの他、ハイゼンベルクが用意した数々のデストラップが待ち受けており、最後は部屋を横断するほどの巨大なトゲ付きローラーでトドメを刺そうとする。
これにより他の四貴族共々イーサンが死んだと思っていたが、イーサンは僅かな隙間に逃げ込んで手錠を盾にしてトゲ付きローラーを防御し、ついでに手錠を壊すという方法で脱出しており、後にドミトレスク夫人の報告によってマザー・ミランダ達と共にイーサンの生存を知る。
ちなみに、トゲ付きローラー地帯の後にもトラップが敷き詰められており(イーサンが死んだと思っていたため作動させてない)、犠牲者と思われる遺骨が転がっている。この事からイーサン以外にも何度か処刑ショーを行っていた事が推測できる。
それからしばらく登場しないが、ドミトレスク城クリア後に村を再び探索する時、ある場所でゾルダートの部位が写った写真を拾うことができ、その裏には先に進むためのヒントが記されている。後に同じ写真がゾルダートの研究ファイルに添付されており、このヒントを残したのはハイゼンベルクである可能性が高い(しかも、ヒントに従って窓から外を見ると、ライカンが驚かしに来るサプライズ付き)。
モローを倒したイーサンにテレビ通話で接触。ローズを元に戻す方法を教える為の取引を持ちかける。
イーサンの実力を知る為、ライカンが跋扈する砦内に隠したフラスクを探すように命じ、今まで集めた4つのフラスクを納めた聖杯を鍵として自分がいる工場へ招き入れる。
そこでミランダの目的について説明すると、ミランダを殺すべくイーサンに協力を持ちかける。しかし、娘を人殺しの道具にさせないと拒否されたことで彼を工場の地下深くへ叩き落とし、自らが開発したゾルダートを使って抹殺を図る(イーサンが取引を拒否する事を予測していたようで、イーサンが座る椅子をシュツルムが待ち受けるハッチの側に置き、警戒して座らないイーサンを無理矢理座らせた)。
最初はゾルダートを倒しながら這い上がるイーサンの様子を嘲笑っていたが、途中からミランダがローズの部位を回収した事を知ったようで、早急にイーサンを始末しようとシュツルムなどの強力なゾルダートを差し向けてくるようになる。
シュツルムをも倒し、這い上がってきたイーサンの前に現れると、工場内の機械や鉄屑を纏い、クレーンの腕に丸鋸を携えた機械の怪物の姿となり、再びイーサンを工場の奥底のジャンクヤードへ叩き落とす。
しかし、そこには自走砲を整備していたクリス・レッドフィールドがおり、彼から真相と共に自走砲を渡されたイーサンはエレベーターを使って再び地上に戻る。
しかも、自走砲はポリマー製であるためハイゼンベルクの磁力が効かず(ただ、最大限に発せられた磁気嵐で他の金属と一緒に巻き上げられていたので、正確にはポリマー“ベース”であったと思われる)、漸くイーサンとの直接対決を迎える(なお、戦闘中にクリスによってゾルダート達を製造する工場を爆破された際には、彼のことを「あのゴリラ野郎」と吐き捨てている。また、クリスが整備していた自走砲はハイゼンベルクのお手製の物を改造したものらしく、イーサンが居なければクリス自身が自走砲に乗って、ハイゼンベルクと戦うつもりだった模様)。
激しい攻防の末、最大限の磁気嵐を発生させると共にイーサンを背中に形成したタービンで殺そうとするが、一緒に巻き上げられた自走砲の主砲を受けてしまう(直後、イーサンはハイゼンベルクに突き落とされた際に言い放たれた「御愁傷様」を意趣返しと言わんばかりに吐き捨てている)。
最期は「やめろ……ウソだ……こんな奴にやられるはずは……まだ……俺は……ミランダを……」と喚き、自らの敗北を認められぬまま爆発四散し、
最後に残された自分の機械化した脳も結晶化し死亡。
その鬱屈した野心が詰め込まれている結晶化した大脳は後に70000Leiで売れる『ハイゼンベルクの機械脳』としてイーサンの手に渡ることとなる。
また、上述の鉄槌も工場内で見つかるシリンダーとシャフトを組み合わせることで45000Leiで売れる『ハイゼンベルクの鉄槌』として回収できる。
なお、変異後のシルエットデザインは蛾の幼虫をイメージしていたとのこと。クリスが整備していた自走砲の他にも戦車や飛行機を所有・製造しているため、それらのスクラップが変異後のハイゼンベルクの体を構成している。
また、変異後の姿では足が車両型になっており、鈍重そうな見た目に反して移動速度は早い。アートワークなどから確認しやすいが、頭部を中心にクレーンの関節部分など所々ハイゼンベルクの肉体が機械の体を繋ぎ合わせているデザインになっており、頭部部分にハイゼンベルクの顔がある。
余談
「ハイゼンベルクと共闘してミランダと戦う展開も見たかった」という意見も少なくはない。
ただし、イーサンの目線から見ると初対面時にいきなり襲われて殺人ゲームに強制参加され、危うくミンチになりかけたと印象が最悪な上に、共闘を持ちかけた時も、イーサンから「今更謝罪か?」と言われて「勘違いするな!これは取引きだ!」と大声で荒らげており、ローズの誘拐に加担した事を謝罪すらしていない。
工場で共闘を持ちかけた時もローズを『イーサンの娘』ではなく『ミランダを殺す兵器』としか見ていないため、父親としては娘を殺しの道具としか見ていない男と協力したくはないだろう(クリスの場合、ローズを『イーサンの娘』として取り戻そうと持ちかけた事もあり、和解している)。
また、クリスの報告書を見るに、コネクションと繋がりがある危険人物としてクリス達に前々から警戒されていた様である。そもそも、ミランダへの反逆のためにおびただしい数の死体をゾルダートに改造するほどの狂気を持った人物なので、例えミランダを倒したとして、イーサンを用済みとして襲いかかる可能性も0ではない(現にハイゼンベルク戦にて、イーサンを殺した後は彼をゾルダートに改造するつもりだったと語っている)。
それらを踏まえれば、イーサンがハイゼンベルクの協力を蹴ったのも、無理もない話である。