概要
1977年9月から1978年8月にかけて、フジテレビ系列局ほかにて放送された。アニメーション制作は東映動画。通称『グラ鷹』。
レース中のクラッシュが元でモータースポーツから足を洗った轟鷹也が、やはりレース中の大クラッシュから生還したオーストリアのカーレーサー・ニックによってトラウマを克服、香取モータースのワークスチームの一員として再びモータースポーツに挑む様子を描く。
音楽は全て、宇宙戦艦ヤマトの劇伴で有名な宮川泰が担当。スキャットも多用されていた。さらに主題歌を水木一郎が歌ってたりしている。
実は企画段階では、女性ドライバーを主人公にした「グランプリの虹」であった。本編第2部で女性F0ドライバーが参戦しているのは、この企画の名残だったのかも知れない。
主な登場人物
轟鷹也(CV:富山敬)
両親を幼い頃に失い、魚屋で働く伯父夫婦に育てられていた。先述の通り事故が元でモータースポーツから足を洗っていたが、ニックにあらゆる面で助けられる。そしてカーレースへの情熱を認められて香取モータースに招かれる。
F1日本グランプリ優勝を置き土産に再びモータースポーツから足を洗ったものの、新カテゴリー・F0日本チームのドライバーとして結局はサーキットに舞い戻ってきた。
逢瀬すず子(CV:小山まみ)
香取家の別荘で鷹也に出会い、彼のレース復帰へ向けて精神的な支えになる。
ニック・ラムダ(CV:徳丸完)
フェラーリ所属のレーサー。香取モータースにテストドライバーとして出向中、鷹也を香取社長に紹介する。F1ではフェラーリチームに復帰したが、後に香取へ移籍した。
顔面に大火傷を負いつつレーサーに復帰したニキ・ラウダをモデルに創作されたキャラクター。
大日方勝(CV:野田圭一)
鷹也のライバル的存在。後にロータスチームに移籍する。
香取豪一郎(CV:久松保夫)
香取モータース社長。何故か、鷹也の才能を高く買って本社に迎える。若かりし頃はカーレーサーとして名を馳せていた。
車大作(CV:柴田秀勝)
鷹也を影から支える謎の男で、ニックや香取とも旧知の存在。正体は鷹也の父親であった。
ハンス・ローゼン(CV:古川登志夫)
第2部より登場。鷹也が引退した後、香取チームが雇った後任のオーストリア人レーサー。すず子の説得を受けて鷹也が復帰すると、彼をライバル視して中近東チームに移籍する。
登場メカニック
- カトリ・スーパーロマン
国産市販車初のミッドシップ型スポーツカーとして、ニック・ラムダがテスト走行していた。後にラリー仕様に改修され、鷹也の意見を受けて後輪をダブルタイヤに変えた6輪仕様も作られた。
- アローエンブレム・トドロキスペシャル
香取モータースがF1参戦を目論んで開発していた6輪車の車体に、鷹也の意見で前輪4輪、後輪4輪の8輪車として完成させたものが、トドロキスペシャルT1である(オープニングで走行しているマシン)。更に可変ウィングを組み込んだトドロキスペシャルT2、空気抵抗対策でレイアウトを変更したトドロキスペシャルT3も開発された。
- F0サムライ
第2部では、米国ビッグ3が連携してF1のレギュレーションを全廃し、排気量無制限の「F0(エフゼロ)」という新レギュレーションのレースが開催される。この国威掲揚の場になる戦場に挑む為、香取チームはガスタービンエンジンの車両を開発した。
余談
- この時代のアニメとしてはリアル志向で、数多くの実在レーサーが実名表記で登場している。また、ナレーションで自動車業界にまつわることが語られることもしばしばあった。
- 本作の放送が開始された1977年秋期は、外国製高性能スポーツカー(いわゆるスーパーカー)が主に小学生男子の間で人気を博していた時期だった。そんな事もあり、本作以外でもカーレースを題材としたアニメが3本も制作・放送された(和光プロ&グリーン・ボックス制作・テレビ朝日系列局ほか放送「激走!ルーベンカイザー」、東映&タツノコプロ制作・東京12チャンネルほか放送「とびだせ!マシーン飛竜」、永和制作・東京12チャンネルほか放送「超スーパーカーガッタイガー」)が、本作以外は半年しか持たなかった。その内、「ガッタイガー」は当初から放送期間半年で制作されたものではあったのに対し、他2作は打ち切り、しかも「ルーベンカイザー」に至っては20話も持たないという有様だった。しかも本作は元々半年の予定で作ったつもりが、「クイズタイムショック」(テレビ朝日系列局ほか)との激しい視聴率争いに何とか耐え、もう半年ほど放送延長が認められた。そしてかの「銀河鉄道999」にバトンを渡す事が出来たのだった。
- 先述の通り元々半年の予定で作られた。ヘミングウェイの小説に着想された第26話「キリマンジャロの誓い」が最終回に近い作られ方であったのはそのため。また、それ故に該当作が本来の最終回だという意見もある。また、チーフディレクター(実質監督)を務めたりんたろうも、第2部からは「宇宙海賊キャプテンハーロック」製作の為に降板。そして第2部のF0戦では前半以上に無茶な展開も続発してしまう。
- りんたろうの後を受けてシリーズディレクターを務めた西沢信孝は、本作の後継作品「銀河鉄道999」でもシリーズディレクターを務めた。