概要
『バイオハザードヴィレッジ』において、ライカン、モロアイカと並び、本作におけるゾンビの立ち位置に当たる敵で、マザー・ミランダに仕える四貴族の一人カール・ハイゼンベルクが自身の拠点である工場において製造している機械化死体兵の通称。
素体となる人間の死体の心臓の代わりに、特異菌と寄生虫を融合させた疑似心臓「カドゥ」を埋め込んだ上で、頭部に装着した制御用のヘッドギアから電極を通して疑似脳波を送ることで挙動を安定化。更に人工血液を注入させたり、制御装置や電動工具などの機械を融合させる事で創り出した改造人間というべき存在。
「ゾルダート」とはドイツ語で「兵士」を意味し、ハイゼンベルクも「鋼の軍団」と称している。
ハイゼンベルクは以前から、ミランダへの反抗を企てており、その兵力とする目的で創造していた事が劇中の彼自身の発言や、入手できるファイルの内容から示唆されている。
イーサンとハイゼンベルクとの戦いの最中、同じく工場に潜入していたクリスの手で工場諸共爆破され、全滅したものと思われる。
コンセプトアートで明かされた裏設定によると、素体収集の際はゾルダートを引き連れて、夜な夜な墓荒らしを行っていたらしい。
また、体付きやハイゼンベルクの手記から、主に男性を素体にされており、ハイゼンベルクと犬猿の仲であるドミトレスク夫人が使役する女性クリーチャーのモロアイカ達とは対照的である。
種類
- ハウラー
ゾルダートのプロトタイプといえるクリーチャー。
ゾルダートと違い、外見に大きな改造箇所はない。一見モロアイカと似ているが、素体は成人男性の死体を利用している。他にはモロアイカと違いフードの無い病院の患者衣のような衣服を着用しており、頭部に付けた制御用のヘッドギアを始め、全身の所々をナットなどの工具で補強されたミイラや骸骨のような風貌である。木製の棍棒の先端に金属製の歯車などのスクラップを繋いで自作されたハルバード等が武器。
戦闘能力はライカンよりは遥かに劣っている模様で、ハイゼンベルクが戦闘試験で両者を戦わせたものの、僅か3分程で解体され、捕食されたという。
しかし、それでも戦闘用として工場内に何体か配置されている他、工場の地下採掘場エリアでは岩盤の掘削に勤しむ労働用の個体も数体確認されている。
名前の由来は、ドイツ語で「喚く者」。
- ゾルダート・アイン
ハウラーの課題であった破壊・殺傷能力を克服すべく、素体をより筋骨たくましい成人男性の死体として、右下腕部を切除して工業用の電動ドリルを移植させたもの。
但し、これだけでは電力不足でドリルが稼働しないという問題が生じたために、右胸に赤い制御核が特徴的な「カドゥ制御リアクター」を埋め込む事で、これを解消している。
非戦闘時でも金属製の扉などを容易に破壊する他に、ライカンとの戦闘試験では約1分でライカン3体を殺害する程の戦闘能力を有するまでになったが、同時に胸部に露出したリアクターの制御核が大きな弱点になってしまっている。
ただし、この弱点についてはゾルダート自身も自覚しているようで、攻撃時以外は腕のドリルで胸部をガードしている。ただし、脳の制御装置であるヘッドギアを失うと胸部を隠す頻度が落ちる。
中には劣化版なのか防御行動を取らず、『4』に登場したガナード「巨大チェーンソー男」のごとく常にドリルを振り回しながら暴走する個体も存在する。
ゾルダートシリーズのマスプロダクションタイプと呼べる個体で、地下工場エリアではこのアインが大量に生産・運搬されているのが確認可能。それにしても、墓荒らしだけでは到底集まりそうにないこれだけの素体(死体)を一体どこから……?
余談であるが、序盤の村にある加工場内にこのアインと思しき写真がある。他には工場内にアインや後述の派生機種らのものと思しきカドゥを移植済みの胸部、および改造済みの頭部のレントゲン写真があり、後者は喉元の呼吸チューブの接続口がある他、大脳や脊髄付近のあちこちに機械部品が埋め込まれているのが確認出来る。
「アイン」はドイツ語で数字の「1」を意味する。
なお、本作開発スタッフからの愛称は『ドリルマン』。
- ゾルダート・ツヴァイ
より戦闘能力の強化改造が施されたゾルダート。
武器である電動ドリルは両腕に装着され、弱点である制御リアクターは背中側に着ける事で敵から狙われにくくされている。また、頭部の行動制御用装置も何らかの変更があった様で、ヘッドギアに代わって鼻と口を金属製のフェイスシールドで覆う形となっており、このマスクから伸びている呼吸ホースと思しきチューブはアインの喉元にもある接続口に繋がれている。
「ツヴァイ」はドイツ語で数字の「2」を意味する。
- ゾルダート・ジェット
名前の通り、背中にジェットパックを装着する事で短時間の空中移動を可能としたゾルダート・ツヴァイ。同じく電動ドリルは両腕に装着されている。
ただし、あくまで高所への移動と、高所からの着地の衝撃を和らげるためのものであり、長時間の飛行はできない。
頭部を含む上半身を金属製のアーマーで覆い、赤い制御核は右胸に着けられている。頭部には戦闘機さながらの安定翼が付いており、空中移動時の姿勢維持を可能にしている。また、地上においてもジェットエンジンを吹かし、両腕の二本のドリルを突き出しながら高速で走り抜ける事もできる。ちなみに、左目に当たる部位に発光ダイオードのようなパーツが取り付けられているが、これはレーザーサイトであり突進攻撃時にこれを用いて照準を付けている。
この個体の出現場所である破砕シャフトエリアは高低差のある狭い通路であるため、その機動性と攻撃力を存分に発揮してくる難敵である。
なお、本作開発スタッフからの愛称は『ジェットドリル』。デザインヒントは『カブトガニ』。
- ゾルダート・パンツァー
ドイツ語で「戦車」の名を冠するとおり、一般ゾルダートの中でも最強の戦闘力と耐久力を兼ねたゾルダート。
従来のゾルダートらが標準装備しているドリルに一回り小型のドリル2本をワイヤーで巻きつけ外付けで固定した計3本の電動ドリルを左右それぞれの腕に装着し、全身をジャンクパーツを乱雑に繋ぎ合わせたアルミ合金製のアーマーで覆った、攻防一体仕様となっており、弱点である胸部の制御リアクターもアーマーに覆われており、銃弾に対してほぼ無敵といえる。(実際、ハンドガンなどの武器で攻撃してもイーサンが「これでは効果がない」と漏らしている)
ただし、爆発などの強い衝撃でアーマーが剥がれる弱点がある事が確認され、改良の余地があるとの事である。
アーマーが重量であるためか、機動力はゾルダート系統の中でも鈍重な方だが、アーマーが剥がれた後は動きが機敏になる。制御装置も改良されたのか頭部がむき出しになった後も防御行動をとる。
デザインヒントは『西洋甲冑』。
ハイゼンベルクが巨大なプロペラを備えた払い下げ品のターボプロップエンジンを頭部に移植するという、悍ましい発想の下、ゾルダートの上位機種として試作しようとしたクリーチャー。
背中に着けられている制御リアクターも他のゾルダートと比べて一回り程大きい。
上半身はジャンクパーツを乱雑に繋ぎ合わせたアーマーで覆っており、その姿はさながら巨大なプロペラエンジンの怪人のような風貌である。
なお、プロペラの羽根はチェーンソーになっている。
その巨大なプロペラは正面からの攻撃は一切受け付けない上に、突進されると薄い壁なら容易に粉砕し生身の人間が食らおうものなら即死不可避な程に強力な攻撃手段な上、制御リアクターへのダメージが蓄積し熱暴走を起こすと、突進時により正確にこちらに向かって方向転換する他に、プロペラの風を利用して強力な火炎旋風を浴びせてくるなど、非常に厄介な強敵である。
ちなみに、外見からは想像し辛いがちゃんと視覚を有しており閃光弾の効果はしっかり受ける。
反面、この巨大なエンジンを動かす為にリアクターを強化し過ぎた結果、熱暴走を利用した火炎旋風を使う知能こそあれど、基本的には突進するばかりの直線的な行動パターンや、自らのプロペラで両腕を切り落としてしまう等、ほぼ制御不能な状態になった上に、前述の熱暴走など、看過できない問題点が多く生じた為、ハイゼンベルクからは「完全な失敗作」の烙印を押されてしまった。
なお、ハイゼンベルクの言うことは聞くようで、スタンバイ中にエンジンを吹かした時、彼から「おい静かにしてろ!」と怒鳴られると、一旦は大人しくなる。
「シュツルム」はドイツ語で「嵐」を意味する。
初期設定では改造させられたハイゼンベルクの父親という設定だった。
なお、本作開発スタッフからの愛称は『プロペラマン』。
なんかスタッフからの愛称が同じ会社のボスキャラみたいなのは…
余談
「人体に武器を組み合わせたクリーチャー」というコンセプトや(特にシュツルムの)フォルムが2013年に公開されたホラー映画『武器人間』に登場するクリーチャーに似ていると『ヴィレッジ』発売当初から話題になっていた。
実際に『武器人間』の監督・リチャード・ラーフォースト氏も類似性を指摘する声明を発表している。
関連タグ
ヘヴンリーアイランド:ゾルダートに近いコンセプトのクリーチャーが登場するバイオハザードシリーズの作品。
テイロス:ある意味アンブレラ製のゾルダートと呼べるB.O.W.。
レヴェナント:死体と無機物(工具など)を接合させるという、ゾルダートと同様の発想の下で造り出されたB.O.W.。
ロックマンシリーズ:一応、有機物(死体)+無機物ってのはさすがにいないが度々改造されたボスが出てくる同じカプコンの作品。
パンツァーゾルダート:CoD:BO2のゾンビモードDLCマップ「ORIGINS」にて登場したパワードスーツを身にまとったゾンビ。
バタリアン4:機械化死体兵が登場するホラー映画。