概要
バイオハザードシリーズに登場する寄生生物であり、寄生された生物のコントロールを奪う生態を持つ。バイオハザード4より初登場し、5では改良種が登場した。
名称はスペイン語で「害虫」、「疫病」を意味する「Las Plagas」に由来している。スペインの寒村にて、宗教団体ロス・イルミナドス教団がバイオテロに用いたことにより初めて存在が確認された。
特徴
プラーガ以下のような特徴を持つ。
多数の生物に寄生できる
理論上、脊椎動物であればあらゆる生物に寄生が可能。作中では人間以外にも犬とオオサンショウウオに寄生した種が確認されている。特異な例として、宿主を見つけられなかったプラーガが無機物を操った例が存在する。
宿主のコントロールを奪う
宿主の神経系と接続することでその行動の主導権を奪う。人間が寄生された場合、脳細胞は破壊されるため、自我は失われ、凶暴化する。しかし、ある程度知能は残しており、道具を用いて攻撃したり、言語による意思疎通を通して、連携した襲撃を行ったりと、ゾンビと比較すると遥かに高い知能を持つ。
真社会生物である
寄生生物でありながらアリやハチと同様、真社会性生物である。何らかの生物に寄生した上で、他のプラーガとコミュニケーションをとり、緻密な社会を構築する。また、支配種、従属種のカーストが存在し、支配種を体内に宿したものは従属種を宿した生物ないしプラーガの応用実験で開発された異なる生物を操ることも可能となっている。
光が弱点
生物の体内に寄生することが標準な生態であるためか、光に弱く、閃光手榴弾等の強力な光を浴びると即死する。また、日中は寄生体を露出させた変異をすることはない。
宿主の身体能力を向上させる
寄生した生物の身体能力を上昇させる。人間が寄生された場合、銃弾数発食らっても死なない程強靭になり、女性であっても片手で成人男性を投げ飛ばせる程に筋力を向上させる。身体の一部または全身が巨大化するといった変化が現れる場合もある。また、体内で成長したプラーガは、特に宿主の脳が何らかの要因で機能停止した場合はプラーガ自体が激しい変異を起こし、巨大な触手を表出させ宿主を制御しようとする。
単体での生存は困難
成体は寄生体単体で生存することは困難で、宿主から分離した場合、何もしないと30秒程度で死亡する。ただし、極限状態に全く適応できないわけではなく、無機物に入り込んで休眠したり、幼体であれば微細な胞子となって仮死状態になって生存することは一応可能。RE:4では単体でも長時間生存する設定に改められている。また、琥珀の中で仮死状態となって生存できる程の生命力を持っている設定に改められた。
クリーチャーやB.O.W.の開発に応用可能
T-ウィルス等と同様に、寄生する生物や寄生方法を工夫することにより、別生物の因子の移植や異種間の生物の融合など様々なクリーチャーを開発することが可能。ただし、支配種によってコントロールできるものも存在するものの、その多くは凶暴化、知能の後退が著しく進んでしまったものが大半で制御が難しく、生物兵器として転用するものが難しいものが多い。
寄生された人間の生態についてはガナードの項目を参照。
種類
前述したとおり、真社会生物であるプラーガには従属種と支配種の区分が存在し、それぞれ異なる特徴を持つ。また、リメイク版のRE:4では、更に異なる種が追加されている。
従属種
一般的なプラーガ。成体は体長50cm~1m程で、ミズグモをそのまま巨大化させた様な外見をしている。頭部から腹部にかけて裂けるように広がる口があり、尾部には神経系に接続する紐状の触手が生えている。この姿はロス・イルミナドス教団紋章のモチーフとなっている。人間が寄生された場合、前述のようにガナードに変貌し、元の人間の自我は失われ、支配種プラーガ宿主によって意のままに操られることになる。
寄生させることで従属種プラーガを宿した人間が、プラーガ由来の生物を自在に使役可能になるプラーガ。超音波の類で従属種に指示を出しているものと推測されている。支配種に寄生された人間は身体能力が大幅に向上するだけでなく、知能、自我を失うことはない。また、力を解放する事で圧倒的な戦闘能力を有する肉体へと変異するが、それ即ち人間としての姿を捨てて名実ともに悍ましい怪物になる事に等しく、作中で明言されたわけではないが十中八九、一度力を開放してしまったら人間の姿に戻る事はできない。一方で自我を失わないために、信頼できない相手に投与した場合、裏切られるリスクが存在する。
上位種プラーガ
RE:4で登場した個体。教団に所属する研究者によって開発された。従属種の脳細胞が破壊される短所、支配種の裏切りのリスクおよび変異する短所を同時に克服している。そのため、研究開発などの高度な頭脳労働に従事させながら、支配種の宿主を絶対に裏切らない忠実なしもべを生み出すことが可能となった。
また、クラウザーのような上位種を寄生させている宿主が下記のアンバーに適性を有していた場合は、支配種のような肉体を変異させる力を得る事も可能。
The Amber(アンバー)
ルイスが発見した特殊な支配種が封入された虫入り琥珀。琥珀内で休眠状態だが、成長すればサドラー以上の能力があると推定されている。このアンバーに触れたプラーガおよびプラーガ由来の生物を強化させる効果がある。
略歴
上述したスペインの田舎にかつて生息していた。オリジナル版では化石、RE:4では琥珀に封入されていたことから、古生物であり、何らかの原因でほぼ絶滅した生物であった可能性が高い。
(そんな昔の生物が復活できるのかとも思えるが、永久凍土から見つかった4万6千年前の仮死状態の線虫が復活に成功した事例もあるため、あながちあり得ない話でもない)
これを発見した初代ロス・イルミナドス教主によって利用されたものの、初代サラザール家当主によって教団が征討されると、歴代のサラザール家当主たちによって城の地下に封印され続けてきた。その後サドラーが8代目当主ラモン・サラザールを籠絡すると、発掘によりその封印は解かれることになった。オリジナル版ではほとんどのプラーガは死滅し、化石化・ミイラ化した状態だったが、一部の個体が胞子状で仮死状態となって地下空気中を漂っており、発掘作業に駆り出された村人がこれを吸入し、その体内で復活を遂げた。RE:4では前述のように琥珀の中で休眠状態になっていた。発掘により胞子を吸入した設定はオリジナル版同様。
その後、エイダを経由してウェスカーの手に渡り、トライセル社によって改良され、新たな生物兵器として猛威を振るうようになった。
感染経路・治療法
オリジナル版では2通りの感染経路が判明している。
一つ目は胞子の吸入による感染。城の発掘に従事した村人によって初めて確認されている。
二つ目は注射による卵の投与。教団が「浄化の儀」と称して用いている手段であり、レオンやアシュリー、ルイスもこの手段によって感染することとなった。
RE:4では傷口からの侵入という三つ目の感染経路が確認されている。これによってエイダがあるクリーチャーによって感染させられている。また、教団が浸食する以前から村周辺では「狂い病」と呼ばれる風土病が蔓延しており、これは何らかの形で地下から流出したプラーガに感染した野生生物を経由して傷口から感染したプラーガが原因である可能性が高い。これによって野生のオオカミに噛まれたルイスの祖父が感染し、自ら命を絶っている。(ただし狂犬病である可能性もある)
胞子(卵)が体内に入っても個人差で発芽まで時間がかかるという生物兵器としては致命的な難点も持ち合わせており、卵の段階なら専用の薬で除去が可能かつ効能が持続中なら再度注入されても侵食を防ぐことが可能。もし孵化した後でも同様の薬によって一時的に成長と侵食を遅行させ抑制する事は可能。また、外科手術によって取り除くことも可能。成長しても幼虫かつまだ宿主の意識が残っている状態であれば特殊な放射線で除去が可能。ただし、体内で寄生体が成長した場合は宿主ごと死亡する確率が高くなる。
なお、この放射線除去は宿主の神経に繋がり始めているプラーガを通じて宿主本人に相当な苦痛を与え、なおかつ除去後に重篤な意識障害の後遺症のリスクまで孕んでいるが、この装置で除去を行なったレオンとアシュリーは幸いにも後遺症が残る事は無かった。また、教団側にとって不都合でしかないこの放射線除去装置の出所は、RE:4にてプラーガの研究に携わってしまった事に責任を感じたルイスが、教団にも内密で開発していた物であった事実が判明しており、ルイス自身も体内に寄生していたプラーガをこの装置によって除去している。
また、RE:4でのファイルによると、この放射線除去はショック死する程の激痛とリメイク前よりも更に負担が増しており、ファイル内での被験者は除去に成功したものの実際に激痛に耐えられず死亡している。こちらでは最初に施術を受けたアシュリーは見事に耐え切り、既に重度の幻覚症状と気絶という手遅れ寸前であったレオンも間一髪で除去に成功し生還している。
プラーガタイプ2・タイプ3
『5』ではプラーガを改良したタイプ2、タイプ3が登場した。アフリカのキジュジュ自治区で初めて確認され、トライセル社によってB.O.W.として開発・実戦投入された個体であり、これに感染した人間は「マジニ」(スワヒリ語で「悪霊」の意味)と呼ばれている。
タイプ2
プラーガ原種の難点であった、「宿主への定着に時間を要する」という弱点を繁殖・投与手段の改良により克服している。その方法は、既に発芽し人間の拳ほどの大きさに成長したプラーガを無理矢理飲み込ませて植え付けるというやり方である。体内に侵入されるとプラーガは宿主の食道を食い破りつつ更に体内の奥深くに潜り中枢神経に取り付き、わずか10数秒で宿主を支配する。また、各プラーガごとに繁殖能力も付加され自身で仔となる新たなプラーガをさらに次の人間へ植え付けることも出来る。この性質のため投入されたキジュジュ自治区では凄まじいスピードでマジニが大量増殖する惨事を引き起こした。
タイプ3
身体能力の強化をコンセプトに従属種のプラーガに支配種の因子を組み込んだ個体。原種同様、卵の注射による投与によって感染し、作中では予防接種と称して、キジュジュ自治区周辺居住の先住民、ンディパヤ族の人々に投与された。寄生された人間の脚力(跳躍力)は目を見張る進化を見せたものの、支配種の持つ変異性が強く作用してしまい皮膚の変色や壊死、一部の宿主が巨大化、更には女性や子供は寄生に耐え切れず男性しか定着しないという、プラーガの優位性を損なうとして失敗作の烙印を押された。
また、寄生される前のンディパヤ族の人々はキジュジュ自治区の住民と変わらない服装で生活していたが、マジニ化した事で本来は村祭りでしか施さないメイクや衣装を身に付け、現代語ではないような独自の言語を用いるなど、先祖返りのような性質も確認されている。
いずれのタイプも支配種とは別系統の制御方法が確立され、平時は凶暴性を低く抑制する事で社会潜伏もしやすく、衛生面も前作に比べれば格段に改善された。
さらに自然光への耐性を獲得しており、昼間でも寄生体が露出した変異を起こすようになった。但し相変わらず閃光手榴弾のような強烈な光を浴びた場合は即死する。
その上、より大規模な集団で襲いかかったり、運動神経の向上によってバイクを巧みに乗り回すなどして襲撃してくる。
特に雇われの傭兵たちが寄生された時は、ガナードでは一部でしか扱いきれなかったロケットランチャーどころかアサルトライフルを正確に撃ってくる、逆に相手の射線は側転や物陰に隠れて回避する、さらに物陰に隠れた相手に手榴弾や閃光手榴弾も使うなどさらに知能が高くなっている。
『ダムネーション』では従属種をB.O.W.に植え付けて、支配種を自ら取り込んだ人間がそれをコントロールする事によって、今まで制御が難しかったリッカーを操る事に成功している。
(この為、今まで聴覚でしか相手を探す事が出来なかったリッカーが、的確に相手を選定して攻撃する事が可能になった)
また、黒幕の勢力の技術によって(ロス・イルミナドスでは不可能とされた)支配種の大量生産を実現させている。
実写版
実写映画6部作では「プラーガ寄生体」と呼ばれるアンブレラの生物兵器という設定であり、ガナードに相当するプラーガ・アンデッドが生み出されている。
支配種と従属種の特徴を兼ね備えているようであり、劇中で投与したある人物が人間の姿を保ったまま超人となる等、タイプ3の完成形とも呼べる仕様であった。
関連タグ
特異菌:こちらと線虫を組み合わせたカドゥはプラーガと特性が酷似しており、RE:4では支配種の性質が特異菌そのものに非常に近くなった。
NE-α:シリーズにおける寄生生物繋がり。こちらは逆に高度な知能を宿主に与える性質を持ち、『ダムネーション』と同様に制御が難しいB.O.W.に寄生させる事が前提となっている。
マラコーダ:ウイルスで突然変異した現生種の寄生虫。
フラッド:HALOシリーズに登場する生物兵器。寄生した宿主を怪物に変異させる、集合精神的な要素持つという共通点を持つ。ただし、寄生する対象は知的生命体に限られる。
マーカー:『マーカーを神の遺物として崇拝する教団が存在する』『周囲の人間を精神汚染という形で異形の怪物に変貌させる』『the moonと呼ばれる集合精神の母体が存在する』等とリメイク版では多くの共通点を持つ。
余談だがdeadspaceは4の強い影響を受けて製作されたゲームでもある。
キュリア:モンスターハンターシリーズに登場した寄生生物。多様な生物に寄生する、宿主の身体能力を向上させて怪物にする、単体で長期間生存できないといった共通点がある。