CV:リヨン・スミス(英語)/糸博(日本語)、平川大輔(青年)
概要
アンブレラ社創設メンバーの1人であり、T-ウイルスを生み出した非常に優秀な科学者。
幹部養成所の初代所長も務め、人材育成にも力を注ぎアンブレラ社訓の要素となる規律・忠誠・服従を生み出した。
このため数々の悲劇の元凶と言える存在でもある。
同じく創設メンバーのオズウェル・E・スペンサー、エドワード・アシュフォードとは大学時代からの友人で、社内では主に研究・開発部門の中心人物として活躍した。
余談であるが、ゲーム中のファーストネームはジェームスであり、よくジェームズと間違えられるので、検索時には注意されたし。
人物像
優秀ながら冷酷なマッドサイエンティストで大の人間不信であり、ごく限られた者としか交流がなく、生涯独身であった。
その性格は彼の研究方針からも見て取れ、初期から非合法な人体実験も一切躊躇わない容赦の無さを見せており、最終的には幹部養成所の職員や幹部候補生たちですら実験体に供するという凶行にも走っており、相当数の人々が検体として犠牲になっている。
ただし、一番弟子でアフリカ研究所の所長だったブランドン・ベイリーや実験用ヒルに対しては心を開いており、前者は適切な意見やアドバイスを聞き入れたり、T-ウイルス完成直後には真っ先に電報で知らせるなど絶大な信頼を寄せており師弟関係は良好だった。特に後者は、我が子のように可愛がっていた程。
また、アンブレラ肝煎りの有望幹部候補として養成所に赴任してきたアルバート・ウェスカーとウィリアム・バーキンの才能にはさすがの彼も舌を巻いたらしく、当時既に研究室に篭り切りで人と会うことも稀だったマーカスが直々に二人の指導・教育を担当し、普段他人には絶対に触らせない自身の研究にもある程度参加させたりしている。
マーカスが教育したこの二人は後にそれぞれ全く新しいウィルスを開発し、弟子のブランドンは変異性の高さ故に不可能とされていた始祖ウィルスそのものの培養に成功するなど、人間嫌いでありながら育成者としても非常に優れた手腕を発揮している。
ちなみに、若い頃はかなりのイケメンだった模様(老齢時でも、よく見ると顔のパーツ自体は整っている)。
始祖ウィルス発見、T-ウィルス開発に成功
友人のオズウェル・E・スペンサーより、アフリカ奥地の遺跡に咲く始祖花の話を聞かされ、マーカスは花に未知の物質(ウイルス)を持つ可能性に気付き、彼らと弟子と共に遺跡へと向かい始祖花を入手。花から始祖ウイルスを発見し研究を開始した。その後はアンブレラ社を起業したスペンサーの勧めでアンブレラ幹部養成所所長を務め、そこで本格的な始祖ウイルスの研究を行い、ヒルを利用した実験の末にT-ウイルスの開発に成功した。
だが、その頃から不仲となったスペンサーと経営・研究方針を巡って勢力争いを繰り広げるようになり、研究成果の提出を取りやめるなどの抵抗を見せたが、人間嫌いが災いして人脈・人望が薄かったマーカスは孤立させられて失脚、最終的にはスペンサーの命令を受けたバーキンとウェスカーにより暗殺され、研究成果を全て奪われてしまった。
しかし、その10年後……
補足事項
前述のようにT-ウィルス開発の成功をきっかけにスペンサーとの一悶着が起こっていたが、ゲーム中で発見出来る人体実験の被検体の移送記録によると、いくつかは洋館ことアークレイ研究所に移送されているので、マーカスは社内での発言権を得る狙いがあったので、ある程度の成果などは提供していた模様。また、マーカスの日誌によればスペンサーへの報復を決意したのは、スペンサーが幾度と研究成果を奪おうとスパイを送り込んできたためである。これらから察するにマーカスはスペンサーに口出しされる事を疎ましく思っても、彼が強硬手段に出なければ報復する気はなかったようである。
それ以外では、同じくゲーム中で発見出来る数冊の彼の日誌からはエドワード・アシュフォードに関する記述が無く、アシュフォード家の関連者の日記等にもマーカスの記述が無かった事から、『解体真書』では「二人はスペンサーを通じての知人で、直接の接点はあまり無かったのでは」と推察されている。
その他、アンブレラ内では人体実験自体は公認されていたが、同じく『解体真書』にてそれに養成所の幹部候補生を使った事が、マーカスが危険視される要因の一つになったとされている。
また、アフリカ研究所で始祖ウィルスを生産していたブランドンは機密保持という形で幽閉同然の生活を強いられる等、彼もまたマーカスと同じくアンブレラ内で冷遇されていた模様。
彼の生み出したB.O.W.
T-ウイルスやその後のB.O.W.の基礎を固めただけあり、多くの成果を残している。
- 変異ヒル(女王ヒル)
始祖ウイルスを投与され変異したヒル。体は約20~30cm程に肥大化しており、背面には何らかの知覚器官と思しき緑色の水晶体が形成されている。元来の一部のヒルには、肉眼では確認出来ないが背面に“眼点”と呼ばれる知覚器官を有しているため、恐らくこれが異常発達したものと思われる。この変異ヒルの誕生は、後に同ウイルスの品種改良第一号(後のT-ウイルス)を生み出すきっかけとなった。
当初は単体ベースでの活動であり、増大した食欲から共食いを起こすなどをしていたが、マーカスが与えた生きたエサから攻撃を受けた事を期に群体ベースへと移行(マーカスの観察記録では共食いも行わなくなった)しており、これはゲーム中における集団での襲撃、擬態マーカスとしての活動時や女王ヒルによる統率性として表れている。
吸血性ヒルがベースとなっており、本来は栄養摂取も吸血で行なうが、発達した牙に伴い肉食に食性が変化。犠牲者に致命傷を与えるのと同時に、この際に高濃度のT-ウイルスが対象の体内へ侵入するため、高確率で感染・ゾンビ化する。ただし、10人に1人の割合で存在する先天的なT-ウイルスの抗体を持つ者は、襲撃されても感染を免れる事もある。
また、『0』本編内のゾンビは全てこの変異ヒルに襲撃され発生したものなので、洋館ことアークレイ研究所にて作られたT-ウイルスの変異種に感染・発生したゾンビとは異なり、「V-ACT」作用(クリムゾン・ヘッド化)は引き起こさない。……えっ? 『アンブレラクロニクルズ』では変異していた?
細胞(角皮)への浸透性が高く、特殊な粘液を分泌する事で複数の変異ヒルが互いの身体を強固に結び付ける事が可能で、これによって生みの親であるマーカスへの擬態を実現している。静止状態でなければ擬態を維持出来ないものの、顔の細部や体色、更には衣服までも完全に再現している。
弱点としては、高い細胞への浸透性という性質から薬液・高熱・紫外線の影響を受けやすく、統率性を失うばかりか細胞への直接的なダメージが大きくなる点が挙げられる。
始祖ウイルス改良における適正実験で造り出された、カエルをベースにした試作型のB.O.W.。
後のT-ウイルスによる変異体に見られる体躯の巨大化以外に、視覚器官の喪失およびそれを補う聴覚器官の発達、捕食した獲物を即時消化吸収し絶命させる消化器官の強化を得ている。後にアンブレラのヨーロッパ支部が開発した両生類をベースにしたハンターγと共通した変異が見られ、これらは両生類へのウイルスが与える特定の変異パターンとされている。また、どちらにも言える事だが、その生態故に乾燥や直射日光には滅法弱い。
この個体独自に見られる特徴として、聴覚発達においては喪失した眼球部分までが中耳腔に置き換わっている。また、他のB.O.W.やT-ウイルス感染体(イレギュラーミュータント)とは異なり臆病な性質を持つが、凶暴性の代わりに捕食性が高まっており、元々が原始的な脳しか持っていなかった事もあり察知した物体を全て獲物と認識し捕食してしまう。これにより、B.O.W.としての運用・実用化は見込めないと判断された。
『ダークサイドクロニクルズ』では、バイオハザード発生によって変異したのか、マーカスが造った個体がここに移り住んでいたのかは不明だが、何故かラクーンシティの下水道に出現している。
- プレイグクローラー
始祖ウイルスと複数の昆虫の遺伝子を組み合わせて生み出された、ヤゴとカマキリを合わせたような容貌をした、節足動物系B.O.W.の雛形。
昆虫類におけるウイルスによる巨大化作用がこちらにも働いており、約2m強の体躯へと変異を遂げ、高い殺傷力を誇る鋭い鎌状の前肢を備えている。また、噛み付かれてしまえば人間ですら致命傷ないし即死に至る傷を負わせる下顎も、頭部との比率がアンバランスな程に発達しており、鎌状の前肢とは別のもう一組の小型の捕食肢とも言える大きさに変化している。
だが、こちらも命令を実行する知能の獲得を達成出来なかったため、B.O.W.としての運用・実用化は見送られ廃棄された。しかし、廃棄を免れた数体が幹部養成所内で繁殖し、養成所内全域に住み着いており、更に復活したマーカスによって生産された個体も存在している。処理場エリアにプレイグクローラーの培養カプセルがあり、中には(操作キャラクターとの対比から)およそ30~40cm程の成長途上の幼虫の個体も確認可能で、この時点で既に成虫に近い形態をしている。
後に優れた殺傷能力と生産性から、『ダークサイドクロニクルズ』にてハヴィエ・ヒダルゴが数体を安価で購入している。
- エリミネーター
大型の真猿類をベースに生み出された、試作型B.O.W.。
製造方法は直接ウイルスを投与せずに猿の細胞に始祖ウイルスを組み込み、その遺伝子情報を同種の受精卵に加え成長させるというもの。これにより、前頭葉を始めとした脳細胞へのダメージを抑える事に成功し、元来が知能の高い素体であった事から、極めて単純な命令を理解・遂行する知能を獲得した。
更に人間が変異したゾンビと異なり、細胞組織の壊死や腐敗を起こす事無く、促進した代謝機能の安定化もほぼ成功している。また、本来であれば生物の肉体は筋肉または皮下脂肪などの増幅に伴い外皮も拡張するが、その外皮の順応速度を上回る程に筋肉が発達しており、身体の至る部分の外皮は急激に増強した筋肉によって裂けてしまっている。
なお、作中で発見されたマーカスが書いたと思しきレポートによると、視力低下とそれを補う聴力の発達というリッカーや前述のラーカーら両生類のような変化も表れているが、視覚器官そのものが喪失したあちらとは異なり、こちらはあくまで低下に留まっている。
命令を実行する知能、安価で量産出来る生産性の獲得と、後にアンブレラの主力商品の一つとなったハンターに比肩する程の性能を誇るが、殺傷能力などの総合力から正式採用には至らなかった。これにより、かねてからマーカスが抱いていた哺乳類を用いたB.O.W.の実験に人間を用いる決意に至った模様。
なお、『アンブレラクロニクルズ』では、セルゲイ・ウラジミール大佐の根城であるアンブレラ・ロシア支部研究施設内において、侵入者抹殺用のB.O.W.として配備されている。
実写映画版
6作目で初登場。
こちらもT-ウイルスの生みの親であるが、ゲーム本編とは逆に良心的な人物で一児の父親である。
1作目が開始する以前に難病を患った娘のアリシアを救うためにT-ウイルスを開発し、娘の治療を成功させていた。
だが、ほどなくT-ウイルスの欠陥を気づき、研究を一旦中止しようとしたが、それを良しとしないアイザックス博士に謀殺されてしまった。
なお、死後はチャールズ・アシュフォードが研究を引き継ぎ、マーカスと同様にT-ウイルスで娘の難病を治療していた。
ちなみに本作では名前がジェームスではなくジェームズとなっている。
登場作品
- 『バイオハザード0』
- 実写映画『バイオハザード ザ・ファイナル』
関連タグ
バイオハザード バイオハザード0 女王ヒル アリシア・マーカス ブランドン・ベイリー 始祖花 マッドサイエンティスト ジェームズ・マーカス※表記揺れ
ミレーヌ・ビアズレー:マーカスの先駆けと言えるアンブレラの幹部。ただし、人物像はむしろこちらに近い。
ジェームス・P・シェイド:実写映画版で登場した同名の人物。
マザー・ミランダ:スペンサーの師匠で、アンブレラのルーツとなった人物。ラクーンシティ崩壊の遠因、弟子には信頼を置いていた、自らの研究の産物によって擬態能力を獲得したなどの共通点がある。
スワンプシング:この作品の主人公であるアレック・ホランドは、マーカスと同じく一度死亡し、自らの研究の産物に精神が転写し蘇った共通点を持つ。
スワンプマン:哲学における思考実験の一種で、マーカスの復活の経緯がある意味でこれに似ている。