概要
『バイオハザード0』に登場した黒幕である“謎の美青年”の真の姿であり、本作のラスボス。
アンブレラ創立のメンバーの1人であり、幹部養成所の初代所長であるジェームス・マーカスが、始祖ウイルスを蛭に投与して作り上げた変異ヒル（メイン画像の右側の小型生物）の群れを統率する存在。
便宜上「女王」と呼称されるが、雌雄同体である。
変異ヒルは個体ではなく群体として行動する性質を持ち、複数のヒルが集まって人に化けたり、集団で一斉に襲い掛かったりするが、群れからはぐれた単体は弱弱しく這い回る程度の存在でしかない。
女王はそれらの変異ヒルを統率する役割を持っている。いわば軍隊における女王アリ…「コア」のようなものである。
第一形態
女王ヒルがマーカスの擬態を解き、無数の変異ヒルと融合して誕生した人型のクリーチャー。
変異ヒルを連結させて構成した腕によるムチや、背中から生やした無数の触手で攻撃する。耐久力は極めて高く、ロケットランチャーの直撃にも数発耐える程である。
銃弾による耐久力は高いものの、ヒルゆえに炎に弱く「火炎ビン」や「グレネードランチャー(焼夷弾)」等の攻撃で大ダメージが与えられる。
『0』本編ではマーカスの精神が女王ヒルに主導権を奪われこの形態に変異したが、『アンブレラクロニクルズ』では戦闘前にマーカスが自らの意思で無数の変異ヒルを身体に取り込み変異するシーンが描かれている。
第二形態
変異ヒルを更に吸収して細胞増殖と共に、肉体構造を完全に組み替えて巨大化した姿(メイン画像の中央の巨大生物)。
人型に留めていた第一形態からかけ離れ、より異形かつ醜悪な姿となっている。
背中から毒液を撒き散らし、巨体に似合わぬ素早い動作で体当たりを行う。
変異ヒル同士が強固に細胞を結合していることにより、凄まじい耐久力を持つが、変異ヒルの弱点である極めて高い細胞への浸透性が仇となり、日光による紫外線を浴び細胞を直接焼かれて結合が緩んでしまう。
正体
変異ヒルの群れを操る謎の美青年の正体はジェームス・マーカス。
……ではなく、ジェームス・マーカスの記憶や思考をコピーした変異ヒル。人間並みの知性を持つ女王ヒルが、ジェームス・マーカスの死体から彼の記憶を模倣、彼の「彼の若き日の姿」で暗躍を始めたもの。
『0』本編が開始する10年前、ジェームズ・マーカス所長は「始祖ウィルス」の研究に没頭するあまり、残虐な動物実験や生物兵器の作成のみならず、自分の意に反した研究員や、非合法な研究内容に気づいた養成所の社員達をモルモットとして「変異ヒル」の実験台にし続けるという残虐非道な研究を行った。
その末についに「始祖ウィルス」を超える「t-ウィルス」の開発に成功するも、ウィルスの運用を巡るアンブレラ社内の権力闘争に敗北し、口封じとして暗殺されていたのである。
死体は人知れず水底に沈められて遺棄されたが、その際に彼の実験を受けていた変異ヒルの頭角個体の1匹(女王ヒル)がマーカスの死体に侵入し、10年の歳月をかけて彼のDNAを取り込んだ結果、極めて高い知性とマーカス本人の全て(姿や記憶)を手に入れ、女王ヒルへと進化したのであった。
なお、復活の時期に関しては『0』本編が開始する1998年7月23日よりも前、同年5月11日に起こった洋館ことアークレイ研究所における「t-ウィルス流出事故」が彼の仕業であった事から、少なくとも約二ヶ月前から活動していたようである。(また、幹部養成所の研究所エリアでは、生前に使っていた研究室の機材を再稼働させたりもしている)
余談であるが、青年姿への擬態は大学生時代のマーカスを模したもので、『解体真書』によると「かつての若く美しい姿でいたい」というマーカスの願望によるものらしい。
末路
上記の経緯により、実質的に女王ヒルとして復活を遂げたマーカスは、自分を闇に葬り会社を独占したオズウェル・E・スペンサーとアンブレラへの復讐のために、アークレイ山中や洋館にt-ウィルスをばら撒いてバイオハザードを発生させたが、最期はレベッカとビリーに倒されて死亡した。
最終的には志半ばで再び闇に葬られる結末になったものの、彼の起こした事件と研究成果が人類の脅威として認められ、アンブレラがさまざまなB.O.W.を生み出すキッカケになったのは何とも皮肉である。
更に皮肉だったのは、マーカスの個人的な復讐がのちの洋館事件やラクーンシティの惨劇の引き金となり、現在進行形で多発しているバイオテロという、アンブレラが金儲けの為に仕組んだ終わりなき戦いへと繋がっていく事になるのだった。
更に最も皮肉なのは、アンブレラの崩壊とスペンサー個人への復讐は、よりによって自分を裏切った教え子の片割れの手によって成し遂げられた事だろう。
