奈須きのこによる日本の小説。また、メディアミックスでそれを原作とした映画やドラマCD。
一見するとライトノベルだが、本質は複雑に入り組んだ伝奇小説である。

物語は全7章＋αで構成されており、講談社ノベルス版及び星海社ハードカバー版は上下2巻、文庫版は上中下3巻で出版されている。
また、後述の劇場版製作に伴い外伝作『未来福音』が同人出版で製作された。
同作は2011年に星海社から文庫版が出され、2018年には劇場版の入場者特典であった『終末録音』と合わせたハードカバー版が出版された。

奈須きのこの実質的な処女作でもあり、その後の「きのこワールド」の形成に大きな痕跡を残した一作。
常識と怪奇の入り乱れた濃厚な世界観から、今なお多くのファンを掴んで離さない、きのこ氏の代表作でもある。

ファンからの愛称は「らっきょ」(空の境界→からのきょうかい→らっきょ)。

ストーリー

1995年、不可解な事件に関わってしまった両儀式と、彼女の周り人物達や謎の「力」をめぐる物語。
事故による数年間の昏睡から目覚めた式は、モノの“死”が視える力を体得していた。だが力と同時に発現した“殺人衝動”に駆られ、式はナイフを片手に夜の街を徘徊するようになる。そんな式に、常識の域を逸脱した数々の“怪奇”が押し寄せて行く。

タイトル一覧

時系列と章は必ずしも一致しておらず、ときに時系列が大きく前後する。

章数	タイトル	ノベル版・ハードカバー版収録巻	文庫版収録巻
1	俯瞰風景	上	上
2	殺人考察(前)	上	上
3	痛覚残留	上	上
4	伽藍の洞	上	中
	境界式	上	中
5	矛盾螺旋	上下	中
6	忘却録音	下	下
	境界式	下	下
7	殺人考察(後)	下	下
	空の境界	下	下
	未来福音	-	-
	終末録音	-	-

登場人物

主要人物

両儀式(CV：坂本真綾)	黒桐幹也(CV：鈴村健一)

主人公。和服姿の少女。いつも気だるげ	もう一人の主人公。黒縁眼鏡の青年。物探しが得意
黒桐鮮花(CV：藤村歩)	蒼崎橙子(CV：本田貴子)

幹也の妹。「禁忌」のブラコン	幹也の雇い主で鮮花の師匠。腕のいい人形師
荒耶宗蓮(CV：中田譲治)	白純里緒(CV：保志総一朗)

橙子の同期の魔術師。	死に逃避して自我する起源覚醒者
巫条霧絵(CV：田中理恵)	浅上藤乃(CV：能登麻美子)

死に依存して浮遊する二重身体者	死に接触して快楽する存在不適合者
コルネリウス・アルバ(CV：遊佐浩二)	臙条巴(CV：柿原徹也)

橙子の同期の魔術師。赤ザコ	式のアパートの同居人
黄路美沙夜(CV：水樹奈々)	玄霧皐月(CV：置鮎龍太郎)

礼園女学院生徒会長。鮮花の先輩	礼園女学院教師。幹也と似た雰囲気の持ち主
瀬尾静音(CV：井口裕香)	瓶倉光溜(CV：石田彰)

「未来視」を持つ鮮花のルームメイト	売れない絵本作家
両儀未那(CV：金元寿子)

式と幹也の娘

その他

硯木秋隆(CV:保村真)

両儀家の執事。

秋巳大輔(CV:東地宏樹)

黒桐兄妹の従兄で刑事。橙子とも繋がりがあり、情報提供を行っている。

学人(CV:高橋研二)

黒桐幹也の幼馴染で友人。柔道部所属。不良がかった性格で、友人も多い。

観布子の母(CV:くじら)

占い師。恰幅のいい老女。「未来視」という贋物ではなく、何かの間違いで神様の目を与えられた、掛け値なしの本物の預言者。

宮月理々栖(CV:種田梨沙)

礼園女学院の生徒。友人の安藤由子が巫条霧絵の事件で由子が死んでしまったため、ひどい後悔の念にとらわれている。

劇場版

2007年12月から全7章の物語を7部作の劇場版アニメとして順次公開した。制作会社はufotable、主題歌はKalafinaが担当している。
各章で監督が異なるのが特徴で、第五章『矛盾螺旋』と第六章『忘却録音』については賛否が分かれる部分があるものの、シリーズ全体としての評価は高い。

その後もエピローグ部分を元にした『終章空の境界』が製作され、さらに2013年9月28日には『未来福音』も劇場版として公開された。
また、それに伴い2013年7～9月には、劇場版の一部をTV用に再編集して全13話で放送した。

漫画版

星海社のWebサイト『最前線』にて2010年9月から連載中。作画は天空すふぃあで、単行本は既刊10巻。
更新は基本的に月1回だが、単行本発売後など長期的な休みに入る事も多く、さらに突如延期する事もザラなので、実質不定期連載状態となっている。
内容は基本的に原作に忠実だが、一部オリジナルも有り。また、TYPE-MOONファン向けの小ネタも幾つか仕込まれている。

なお、第一章『俯瞰風景』を描いた第1～3話は無期限で無料公開されている。