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荒耶宗蓮

あらやそうれん

奈須きのこの伝奇小説及びアニメ『空の境界』に登場するキャラクター。
目次 [非表示]

アラヤ、何を求める。

「──真の叡智を」


アラヤ、何処へ求める。

「──ただ、己のうちにのみ」


アラヤ、何処を目指す。

「──知れたこと、この矛盾した螺旋(セカイ)の果てを──」


概要編集

「その闇を見ろ。そして己が名を思い出せ―――」

CV:中田譲治


作中で一連の事件の裏で暗躍する魔術師

作者である奈須きのこによれば、空の境界は彼の物語でもある為に彼が退場する事となる第五章「矛盾螺旋」にて終わりを迎えているとのこと。後に続く章は両儀式黒桐幹也の物語である。


常に黒いコートを羽織り(上着と中着も黒)、無口で強面な人相の持ち主。蒼崎橙子と協会で同期だった魔術師。死の蒐集家。


略歴編集

かつては台密の僧だったが、誰も救えぬ自分と人の性に絶望し、人の一生の意味は「どのように生きたか」ではなく「どのように死んだか」だと悟り、救えないならばせめてその死を克明に記録しようと死の蒐集を始める。そして人という存在の意味を知るため根源への到達を求め続け二百年ほど生き続けている。

後にイギリスに渡って西洋魔術を学ぶ。魔術協会では蒼崎橙子やコルネリウス・アルバと同期であり、3人ともロード・バリュエレータの教えを受けた。

荒耶が根源を求めることは抑止力の発現を招くことでもあるため、元から根源と繋がっている両儀式の体を求め、巫条霧絵浅上藤乃白純里緒を利用する。


本編では第二章「殺人考察(前)」の段階で存在が仄めかされ、クライマックスである第五章「矛盾螺旋」にて事実上のラスボスとして両儀式達の前に立ちはだかる。


初戦においては手を抜いてもなお彼女を圧倒しており、その後に現れた蒼崎橙子すらも激闘の末に撃破するなどラスボスに相応しい力を見せつける。

しかし臙条巴の決死の行動で式の復活を許し、彼が持参してきた数百年ものの名刀九字兼定を手に覚醒した彼女との決戦の果てに相討ちとなり、蘇生を果たした蒼崎橙子に看取られながら次世代での復活に望みを掛け、敗北を認めないまま消え去った。

死後もその影響力は強く、第六章「忘却録音」と第七章「殺人考察(後)」に禍根を残す事となる。


人物編集

もはや根源を求める概念と化している。そのため根源に至るためならどんな犠牲も厭わない。

外見上は四十代半ばの男性。苦悩が刻まれた顔と、魔術師にあるまじき強靭な身体が、対峙した者に嘔吐感に似た重圧を与える。


後述するが、「結界」作りに関しては屈指の冴えを見せる。結界とは内と外を分けるもの。それ自体で完結した世界を作り上げる為には、まず自身を完成させなくてはならない。特殊な才能を持たない荒耶は、歳月と信念を積み重ねる事で自己を完成させ、一流の結界師となった。


当初こそ「人類にとって救いの有無を知る」ために根源に至ることを目的としていたが、長きに渡ってヒトの悪性を見過ぎた結果、今やその思想は人類の救済どころか「根源に至ることで、この世のどこにも救いなど『一切存在していない』という事実を確定させる」という、本末転倒かつ歪んだものへと変質してしまった。


彼の容姿や能力は後の言峰綺礼衛宮切嗣に、かつては正義を追い求めながらも今では目的すら忘却しているという在り方は間桐臓硯に受け継がれている。


能力編集

魔術師としての能力は欠陥が多いらしいが「結界」に関しては異常に能力が高い。 限定空間においては、空間の移動・圧縮・生成など魔法の域に達する。

通常は特定の空間を仕切ってそこを動かない結界を、移動させることができる。術者を中心に移動する結界は、戦いにおいては絶対の防御となる。しかも荒耶はそれを三重に纏う。

一流の結界師であるものの、「静止」の起源との噛み合いが悪かったのか固有結界へは至れず、後述する小川マンションで人工的な心象風景を作り上げた。


また橙子程ではないが人形師としてもかなりの腕をもつ。さらに起源覚醒の術で、己の起源である「静止」を呼び起こしており、ほぼ不老状態になり、200年以上の時を生きている。他に、左腕に仏舎利を埋め込んでおり、この部分は死の線が見え辛くなっている。


身体能力も桁外れに高く、格闘戦を得意とする。死徒のように銃弾を視認してから回避し、直死の魔眼で殺されても蘇生を果たし、臙条巴に胸をナイフで突き刺されてもダメージにならないという驚異的な耐久力、機動力、攻撃力を兼ね備えている。そのため蒼崎橙子からは「接近戦においては現代のどんな人間も敵わない」と評されている。

人工的な固有結界である「奉納殿六十四層」の中では無敵とすら言える優位性を持ち、限定的ながら魔法の領域である空間転移や空間圧縮、無限の空間を作り出す空間遮断を行うなど魔術師の限界を超えた神秘を行使している。一方で「体内」という形容は比喩ではないそのままの意味でもあり、奉納殿六十四層そのものが損傷すると本体の荒耶側にもダメージがフィードバックする弱点を抱える。

その他、切り札として予備の肉体に魂を転移させて復活するなど人間の在り方を逸脱した技能を持つ。


小川マンション【奉納殿六十四層】編集

荒耶の拠点にして、前述の人工固有結界である「奉納殿六十四層」を築き上げた10階層の円筒状のマンション。人工的に再現した荒耶自身の心象風景を、自前の強力な結界で封じ込めたもの。

魔術工房の一種ではあるが、術者の心象風景が投影された結界、すなわち人工的な固有結界としての機能を持つ。世界の中に物理的に構築・隔離された「異世界」であるため、この内部には抑止力の干渉が届かない。


内部には勿論魔術的な細工が施されているが、マンション内の塗装と模様による色彩等の視覚的要素、エレベーターの挙動や階段設計等といった立体構造など、入居者の精神をすり減らすための物理・心理的にも極めて綿密かつ悪辣な仕組みとなっている。なお設計の半分は蒼崎橙子が行っている(依頼されただけで荒耶が関わっていることは知らなかった)。


なお、この人工固有結界を築くために荒耶は以下の過程を踏んでいる。

  • 入居者として家庭崩壊寸前の計30世帯の家族を住まわせる。
  • それぞれの世帯全員が確実に死ぬよう家庭崩壊を後押しする。
  • そこから荒耶が大別した64通りの死に方を人形に再現させ続ける。

といった悍ましいもの。


関連タグ編集

空の境界 蒼崎橙子 根源の渦

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