プロフィール
誕生日 | 1月27日 |
---|---|
身長 | 175cm |
体重 | 61㎏ |
好きなもの | 新しいもの。世界を変革するもの |
嫌いなもの | 自分を追い越せない弟子 |
魔術回路・質 | A++ |
魔術回路・量 | A |
魔術回路・編成 | 正常 |
魔術系統 | 美と芸術に属する魔術全般 |
決戦の日 | 幻の美術館 |
CV | 一城みゆ希 |
概要
魔術協会の三部門のひとつ、時計塔の実権を握るロードの一人。創造科の学科長。快活な性格の老婆で一人称は「オレ」。ロードの一角に名を連ねる魔術師なだけあって冷徹で狡猾な一面も。
まだ封印指定になる前の時計塔の生徒だった蒼崎橙子の師匠。
十二の君主(ロード)の中でも特別視される三大貴族のひとつであるバリュエレータの当主であり、派閥としては血統が優れていなくとも才能のある者が時計塔の運営に携わるべきだと主張する民主主義派に属する。
歴史のある魔術師の家系にいながら機械を取り扱うことにも躊躇がなく携帯用の音楽プレイヤー(iPod。作中2003年時点では第三世代が最新であり、当時としては魔術師でなくても愛用している人間は少なかった)を愛用している。
なお、なぜ特別視されている三大貴族の一角なのに民主主義派に属しているのかと言うと(芸術は貴族に寄り添うものではないのか? というグレイの素朴な疑問に対しての回答)、芸術はまずその時代の人間の心を振るわせるものであり、歴史も大事だが今の時代は今の人間が過去の血統などにかかわらず運営するべきだという価値観をバリュエレータは有し、その在り方に誇りを抱いているためである。
ある意味で、魔術師にとっての理想像。呼吸をするように政治を行い、散歩をするように魔術を研究し続ける。
かつて蒼崎橙子を封印指定に推薦したのも彼女だが、これもまたその一環。優先順位が上の事項だと考えて、それが理の当然だと思ったのなら欠片も躊躇しない。
そういう自分について矛盾も葛藤も感じないため、俗世にありながら仙人のごとく完成した女傑である。
そのため、何十年と時計塔で積み重ねてきた策略であったとしても魔術師としての生き方・信念に不合理が生じるような事があれば、彼女は至極あっさりと俗世の果実を投げ捨てる。
故にこそ、時計塔において最も由緒正しき創造科(バリュエ)が民主主義に名を連ねるという異常事態がずっと続いているのである。
本心かどうかは不明だが「市井の売れない画家の方がよかった」と零したこともある。
能力
魔術師としての階位は事実上の最高位である色位(ブランド)、属性は地・水・風の三重属性で、特性は「類感」。ただし三重属性ほどの希少性も、バリュエレータのような真に年経た家系においてはおまけ程度の要素とされる。
砂を使った魔術を得意とし、常に携帯している小袋からは無量とも思えるほどの砂を吐き出す。
作中において蒼崎橙子が「先生の絵ばかりはご勘弁を」というセリフがあるが、これは橙子が彼女の砂絵に描かれた者がどういう運命を辿るか、よく知っていたからである。
ロード・エルメロイⅡ世の事件簿での描写は、ちょっとした小技のみに留まる。
一握りの色砂を大地に振りまき、本来不定形であるはずのトリムマウを完全に拘束した。
またこの時、振りまかれた色砂がトリムマウの姿を忠実に再現している。
使われた色砂はそれなりの触媒ではあるものの月霊髄液のような高度な魔術礼装ではなく、使い手に強大な魔力と技量が要求される。トリムマウをあっさりと拘束したのは、ロードを務める十二家の中にあってさえ特別とされる三大貴族の一角、その当主に相応しい彼女の実力によるものである。
老齢の魔術師には珍しくiPodやパソコンなどの最新技術を楽しみ、立場に関わらず話しやすいようにも思える。が、逆にいえばあらゆる体裁を剥いで本質を見極めてくる恐ろしい相手でもある。
本来、人間には体裁も葛藤も必要不可欠である。これらは社会を円滑に営むために人間が作り出した発明品だからだ。そうした要素を取り除いてしまったロード・バリュエレータは、まさしく三大貴族にふさわしい怪物といえるだろう。
創造科
バリュエ。第九科。三大貴族の一角であるロード・バリュエレータが学科長を務める。
時計塔において最も由緒正しき学科であり、ここに所属する魔術師のほとんどは何かしらの芸術家であるとされる。
それは学科長を務めるバリュエレータも例外ではなく、むしろ彼らは根源の渦へと到達するために美という道を選んだ家門である。
魔術において、美の作用は『美しいものを見ることは、自らを美しくすること』であると定義される。美術とは一種の共感呪術であり、それを鑑賞することによって本人の魂や霊性が浄化される。そしてこの時に得られる感覚こそが美しさの正体であるという。
そのような事情もあり、彼らの邸宅にある絵画は術式が張り巡らされているなど明らかに普通の物ではない事も多いが、一方で芸術に対する愛も本物であり、表の社会では幾つもの美術館を経営している。
邸宅に掛けられた絵画の配置も成金的な不自然さは皆無であり、むしろ来客の審美眼を試しているかのように出来ているなど、造詣も深い。
また、創造科の擁する教室はそのどれもが時計塔でも指折りの霊地であり、交渉材料として出されるような事があればそれは破格の条件と言って差し支えない程のものとなる。
関連人物
かつての弟子であり、彼女のことを「馬鹿弟子」と呼んでいる。
橙子の気質をよく知っていたためか、双貌塔イゼルマにおいて彼女が間違っていないというだけのとんでもない蛮行をしでかしていたことが発覚した際、周囲の魔術師達が、あのフラット・エスカルドスすら茫然と絶句する中でイノライだけは苦笑を浮かべていた。
貴族主義に属するエルメロイ派のロード。新世代(ニューエイジ)最大の成り上がりである彼を高く評価しており、ライネスと顔を合わせた時には、エルメロイが民主主義に鞍替えし、Ⅱ世が優先的に教鞭をとるならば(バリュエレータの擁する指折りの霊地でもある)教室のいくつかを譲ってもいい、という破格の条件を持ち掛けた。
バイロン・バリュエレータ・イゼルマ
バリュエレータの分家である、イゼルマの当主。結果を出すにはまだ代を重ねる必要があるはずのイゼルマの研究が突然開花したことや、そこに弟子である橙子が出没していることに違和感を抱き、彼の催す黄金姫と白銀姫のお披露目に出席する。
アトラムとの戦争になった際、本家の当主であるイノライが手を貸すことはなかった。
蒼崎橙子のこともその魔術を見るまでは『極東の人間の冠位なんか何かの間違いだろう』程度にしか思っていなかった彼だが、イノライのことは普通に恐れていた。双貌塔に攻め込む前に、互いに干渉しない契約を取り付けている。
民主主義に属するロードであり、同じ三大貴族の一角であり、かつての弟子のひとり。他勢力に情報を横流しするために呼びつけたメルヴィン・ウェインズの心をへし折る茶番の一環として、彼と殺し合う姿勢をとった。マグダネルの方から白旗を上げたことで衝突は回避されたが、味方同士でそのまま本気の殺し合いを行うことも互いに辞さなかった。
事件簿マテリアルで彼らの師匠であることも確定した。作中での言及は特にない。
余談
三田誠曰く、『最も構築に気を遣ったキャラ』。蒼崎橙子だけではなく、荒耶宗蓮や某リピートな魔術師の師でもある重要人物。
おおよそのイメージを伝えたところ、「分かった。三田さん好きに書いていいよ」と返ってきたことで、イカれているなタイプムーンという認識とともに事件簿執筆への覚悟が決まったとのことである。
なお、命名は奈須きのこ。時計塔の重要ポジションということで、これだけはどうしてもとお願いしたらしい。
また、アニメ版において『魔眼蒐集列車』編での出番は本来ないはずなのに登場したキャラクターでもある。といってもちょい役でⅡ世に牽制的なセリフを言う程度だが。
演者の一城女史は2023年に逝去したため、Fateシリーズへの出演は本作が最初で最後となった。