概要
TYPE-MOON作品世界における言わば「全ての原因」。
神秘学における次元論の頂点にあるとされる力であり、本作品群のあらゆる出来事の発端とされる場所(座標)。
世界の外側にあり、万物の始まりにして終焉、この世の全てを記録し、この世の全てを作れるという神の座。
あらゆる現象はここから流れ出したものであり、アカシックレコードと呼ばれることもあるが、より正確には渦の一端にそのような機能が属しているのだとされる。
有り体に言えば“究極の知識”であるが、「究極」という基準を定めて有限なものに貶めていることからこの呼び方も正しくなく、より正確に表記するのなら読み方のない『 』の方がまだ実態に近い。
ただしそれでは口頭での表現ができないため、便宜的に『根源』『根源の渦』と呼称されることが多い。
魔術師と魔術使い
TYPE-MOON作品世界において「魔術師」とは、この根源の渦への到達を目的として魔術を使用し研究する者であり、それ以外の目的のために手段として魔術を利用する者は「魔術使い」と呼ばれ、多くは魔術師から軽蔑されている。
(一例として、衛宮士郎や衛宮切嗣は厳密には魔術使い、遠坂凛は正しい意味での魔術師である)
魔術もまた根源の渦から流れ出したもののひとつであり、世界中に存在する魔術系統は、それぞれがこの根源から流れ出したひとつの細い川のようなものである。
大本が同じであるため、読み取った者の民族性によって細部は違えど似通った神話・伝承等は世界中に存在し、そしてすべての魔術師は同じ最終目的を抱くことになる。
魔術が根源へ到達するための手段となり得るのは、神秘が閉ざされた知識であることに意味があるためである。魔術にしても元は魔法であり、源である根源から力を引いていることには変わりないが、その力を知る者が1人しかいないなら10割すべてを使え、2人に増えると扱える力は5割ずつに分割される。
これにより逆説的に、強力な神秘は根源により近い太い流れにあるものであることになり、遡って根源へ到達できる可能性が高いものと見做されている。
根源への到達は一代程度の研究では不可能であり、結果としてより優れた後継者としての子孫をつくり、研究成果を継がせることを何代にもわたって繰り返す。
この繰り返しには果てがなく、また根源に到達するための方法を確立したとしてもその時点で抑止力の排斥対象となるため、根源への到達は実質不可能である。
また、魔法を確立した者達を含め、過去に根源の渦へと辿り着いた者はいたとされるが、根源に到達した魔術師達は到達した瞬間に消失している。到達先が戻ろうと思えないほどに素晴らしい世界なのか、それとも到達したら戻れなくなるのかは不明だが、現状、根源の渦を覗いて世界に留まっているのは蒼崎青子のような到達したところで「よくわからなかった」という場合や玄霧皐月のような根源へ到る門は開かれていてもくぐる手段のない者のみである。
なお、現代の魔術が霊脈に刻まれた魔術基盤をもとに一時的に世界を騙すものであるのに対し、神代の魔術は根源と接続している神霊の権能の一部を借り受け、当然の権利として世界を書き換えるものである。その性質上、神代の魔術師はあまりにも根源を身近に感じられるため「根源への到達」という発想自体がそもそも思いつかないとされる。(神代は「番人たるケルベロスへ与えるお菓子」と「河の渡し主への三文銭」のような何かしらの対価こそ要るものの冥界にすら歩いていけるような世界であり、現代の人間が「冥界に行くぞ!うおおおお!」と言っているのを見て「え?歩いて行けば良いじゃん?研究とか要る?」となってしまうような感覚に近い。)
また、神の破片に接続することで神代と同次元の神秘を行使する日本固有の魔術を扱っている夜劫は時計塔の理屈では魔術使いであるとされている他、大陸東方における思想魔術の術者たちはかつて山嶺法廷の十官が作成した人工根源とも言うべき思想盤を現代においても利用しているなど、魔術師と一括りにされてはいてもその内実は地域等によって微妙に異なっている。
根源接続者
ファンによる造語。ごく稀に存在する、生まれながらにして体が根源の渦と接続している存在。ただ繋がっているだけでありそれの一部にすぎないが、それ故に根源の渦と同じ存在でもある。
現状、該当する者は2名のみであるが、両者はともに全知全能である点が共通している。
両儀式や両儀織といった知性が作り出した人格ではなく、肉体そのものの人格。彼女と彼が男と女という陰陽、両儀であるのなら、この存在はそれらの大本、合一した太極を象る者である。
ただの肉体に過ぎず、知性がないため本来であればそのまま朽ち果てるはずだったが、両儀家はそんな彼女を生かすための技術を有しており、知性を与えられた彼女は式と織という人格を作り出した。
目に見えないほど小さな物質の法則を組み替える、遡って生物そのものの系統樹を変えてしまう、今の世界の秩序を組み替える、新しい世界で古い世界を握りつぶすことなどが可能であるが、彼女自身は意味のないものと思っており、すべての出来事を知ってしまっていることも苦痛、退屈、無意味であるとして、夢さえ見ないという夢をみることで普段は眠りについている。
『Fate/Grand Order』においては、「根源接続」というクラススキルが設定されている。
Fate/Prototype蒼銀のフラグメンツにおける主人公であり、セイバーのマスター。生まれながらにして全能であり、故に生きながらにして死んでいると称される程に退屈していた。そんな中『聖杯戦争に参加して、マスターになった時、わたしは恋に落ちる』という未来を見たことで自分に関わる未来を見ることを封印し、それだけを唯一の楽しみとして生きていた。
人間らしい、年相応の少女としての振る舞いを始めたのはセイバーが召喚されて以降であるが、それでもなお全能故の人間らしからぬ超越者としての視点はそのままであり、たとえ肉親が相手であろうと愛しむことも、かといって嘲ることもなければ悪意を抱くこともない。