「だって、〝誰かの為になりたい〟っていう思いが、間違えのはずがないんだからな」
プロフィール
身長 | 167cm |
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体重 | 58kg |
イメージカラー | 赤銅 |
特技 | ガラクタいじり、家庭料理 |
好きなもの | 家庭料理 |
苦手なもの | 梅昆布茶 |
天敵 | 言峰綺礼 |
テーマ曲 | エミヤ |
CV | 杉山紀彰 / 野田順子(幼少期) |
人気投票 | 12位(男性5位・型月10周年記念) |
※「苦手なもの」と「天敵」については、「Fate/hollow ataraxia」付属マニュアルの誤植を元に、入れ替わって紹介されることがある。
概要
「Fate/stay night」の主人公。冬木市に住む魔術師(正確には魔術使い)見習いの少年で、穂群原学園2年C組所属。
養父の影響で「正義の味方」になることを本気で志す。聖杯戦争に巻き込まれ、偶発的にセイバーを召喚してマスターとなり、以後争いを止めるために奮闘する。
続編『Fate/hollow ataraxia』では、再開された聖杯戦争と繰り返される四日間の解決に奔走。昼間は彼の視点で物語が進むが、実は最も特殊な立ち位置。
略歴
10年前に起こった「冬木大火災」の唯一の生存者。
(実際は教会の地下に監禁されていた多くの子供とその関係者数名がいるため唯一の生存者ではないが、本人はそう思い込んでいる。)
天涯孤独となった士郎は、自分を救ってくれた男・衛宮切嗣の養子となり、姓を衛宮に改める。ちなみに大災害に巻き込まれる以前の旧姓や家族構成などは未だに不明であり、公式からも設定などは開示されていないためファンの想像の域に留まっている。
切嗣は家を留守にしがちだったが士郎は彼を強く慕っており、魔術師であった彼に魔術を教えてくれるように無理に頼み込むなど「切嗣のようになること」に強く憧れていたが、五年後切嗣は病のために死去。
彼が死ぬ寸前に呟いた「正義の味方になりたかったんだ」という言葉から、彼の志を継ぎ「正義の味方」になることを決意した。それからは生活費を自分で稼ぐべくアルバイトに励みつつ、「正義の味方」を目指して毎日鍛錬に励んでいる。
それから五年後、穂群原学園の2年生になった士郎は片付けのために学校に居残っていたが、その帰りに夜の校庭で争う青い男と赤い男を目撃してしまう。異常と自分が殺されることを察知して逃げ出すものの、逃げ切れるはずもなく前者に追いつかれて心臓を一突きにされて即死寸前の致命傷を負い、意識を失ってそのまま死ぬはずだった。
しかしアーチャーのマスターである遠坂凛によって破壊された心臓を治療されたことで蘇生し、意識を取り戻した後なんとか帰宅。
そこで士郎の生存を察知した青い男に再び襲われるが、逃げ込んだ土蔵で偶発的にサーヴァント「セイバー」を召喚し、生き延びることに成功。その後、凛と言峰綺礼から聖杯戦争のことを聞き、争いを収めるべく魔術師同士の殺し合いにその身を投じることになる。
人物
基本的には素朴で実直。頑なな性格と童顔で勘違いされがちだが、表情は基本的に冷静。
士郎視点で進む本作では分かりづらい特徴だが、本編プロローグの士郎視点と凛視点を見比べてみると、その辺りがよく分かる。
「正義の味方」を目指してるだけあって、自分にできる範囲ならなるべく人の助けになろうという考えを持ち、基本的に頼まれたことは断らない(断れない、のではない。本人は「できない事は引き受けない」とは言っているが)。
学園内ではさまざまな要望に応じて各地に赴き、機械の修理や頼まれごとを引き受けていることから、「穂群原のブラウニー」「ばかスパナ」といったあだ名を持つ。
その一方で、切嗣が生前に遺した「誰かを助けるという事は、誰かを助けないという事」という言葉を「未だに強く残る言葉」として記憶しており、目指す「正義の味方」の在り方について苦悩している。
趣味は故障品の修理。ガラクタ弄りとも言う。あと裁縫とか掃除とかのマメなことも好き。
五年前からほぼ一人でそれなりに広い家を管理し、あとわりとダメ人間な藤村大河の世話もしてきたため家事は得意。
料理も得意で、得意なジャンルは和食。洋食も普通に作れるが、中華料理に限っては、凛に自慢の中華を振舞われるまで「みんな味が一緒だろう」という偏見を持っていた。これは地元商店街唯一の中華料理屋である紅洲宴歳館・泰山の、「ありとあらゆる食材を唐辛子まみれにする」その地獄的な辛さへのトラウマを持っていたためである。
和食を得意料理とする一方、意外にも苦手なものは梅昆布茶。本人曰く「昆布茶のドロッとした感じがダメ」。
※ここから先は『Fate/stay night』の展開に関わるネタバレを含むため、注意されたし。
「衛宮士郎の異常性」
平和な日常の中であれば、士郎の性格は「親切ないいヤツ」で済んだのだろう。
しかし、聖杯戦争という生死を賭けた極限状態に巻き込まれるなかで、やがてその根底に残る災禍の爪痕────未熟な自分がとれる選択肢の中で、それが他の全員を幸せにする為の最善であるのなら、何の躊躇いもなく自分を犠牲にする、という歪で逸脱した精神性が顕在化していく。
「魔術師は等価交換で動くもの」と幾度か凛に指摘されているのだが、災害を生き延びた代償に「自分自身を勘定に入れる」機能が失われた彼にとっては、「頼まれごとを引き受けること」「誰かを助けること」こそが対価そのものに等しい。
一見すると善良で好ましい性質のようにも思えるが、これは裏を返せば「助けを必要とする誰か、不幸な誰かがいなければ、自分の生に意義を見出せない」ということでもある。
逆鱗に触れられればカッとなりやすい性格だが、前述の通り「自身に累が及ぶこと」に無頓着なため、間桐慎二の我儘に対する態度は逆に不思議なほど鷹揚。
「よく考えた上で自分を勘定に入れない」人物なため、「よく考えた上でプレイヤーが唖然とするような行動をとる」という一種奇妙な主人公になっている。
養父からの「借り物の理想」を追いかけて正義の味方を目指し、人助けのためなら自らを省みないその生き方は、奈須きのこの表現によれば「一生懸命人間のふりをしているロボット」、あるいは「人間になろうとしているロボット」。
作中でも言及されているが、一番まともに見えるようで実は一番『人間』として異常な人物。確かに善良で真っ直ぐな信念を持っているが、それが破綻している。
基本的に温厚な士郎が、言峰綺礼に対しては初対面から異常なほどの敵意を向けていたのもこのため。
誰かを助けることに己の意義を見出している士郎と、他者を陥れ悪を成すことに幸福を感じる綺礼。一見すると正反対のため、当然のように思えるが、その根底には「他者の不幸や悪の存在を媒介として生の実感を得ている」という共通点があり、さらに二人とも生真面目過ぎる程に自分の命よりも自らの性質を優先し、それに殉じていたからである。
これを無意識に感じ取った士郎は、実は綺礼に潜在的なシンパシーを感じて気に入っていたのだが、「正義の味方」を目指す彼にとって他人の苦しみを希求する綺礼の生き方は決して認めてはならないものであり、だからこそ自分が彼を気に入ったことに気付くまいと必要以上に綺礼を敵視していたのである。つまり、同族嫌悪だったのだ。
士郎は「誰かを助けたい」という切嗣の願いが綺麗だったから憧れたにすぎない。
それ以外の機能を失った士郎は「誰かの為にならなければならない」という強迫観念のもと、養父から継いだ「正義の味方」という理想を張り続ける以外の生き方が出来ない。
しかし、全ての人間を救うなどできるはずもなく、誰も泣かずに済む世界もまた絵空事でしかない以上、その理想は決して叶わない。
まして、そんな偽善では誰を救いたいのかさえ定まらない。
そのような思いで闇雲に名も知らぬ誰かを救い続けたところで、誰とも理想を分かち合うことはできない。
理解者さえいない士郎は、それが苦痛だと思う事もなければ、破綻していると気付く暇もなく、ただ独りで「助けたいから助ける」という理想の下で「正義の味方」を貫く限り、かつての養父のように救えない・救わない者たちを切り捨て続けるしかない。
誰かを救う為に誰かを犠牲にし、犠牲にしてきた人々の最期を無意味にしない為に、また新たな犠牲者を生むしかなくなってしまう。
だが、それでも士郎は泣いている誰かを黙って見ていることができない。
言峰綺礼が先天的な破綻者であるとすれば、彼は冬木大火災が元で早々に人生を狂わされた後天的異常者である。
士郎という本来は息をしているだけでも苦しいような人間が、どうにかして人前で笑顔を作ろうとしているというのが「Fate」の根幹にある、とTYPE-MOONエースvol.9のインタビューにある。
時代が進み現実で未曾有の大災害が生じたこともあって、現在は異常というより単なるサバイバーズ・ギルトなのでは?という考察も成されるようになってもいるが、士郎のそれはあまりにも徹底しすぎている。
災害に被災していないプリズマ☆イリヤの彼にも異常な形ではないにしろ、他者優先の兆候が見られる点から察するに、生来持っていた他者優先な性分がサバイバーズ・ギルトによって歪な形で悪化したと考えられる。
彼がようやく本当の『人間』に戻れたのは、「正義の味方」であることを捨ててでも守りたい特別な誰かを得て、その為に自分を大切にすることを学んだ時であった。
しかし、「正義の味方」を目指す衛宮士郎にも確かな尊さはある。
決して届く事のない理想に歯を食いしばりながら手を伸ばし続ける愚直な姿は、作中でも様々な人物に影響を与え、ひいては救いをもたらしている。
ある人物は、彼のために彼の生き方を否定しながらも、同時にその生き方を尊いものだとも認識しており「ああいうヤツがいてもいいんだって救われてる」とまで語っている。
衛宮士郎は確かに『人間』としてはどこか決定的に壊れていて、正義の味方を目指す以上は歪な生き方しかできない人物ではあるが、そんな彼の信念にも救えるものはあるのだ。
『UBW』ルートは士郎が己の歪みを自覚し、なぜ自分が切嗣の理想を「綺麗だ」と憧れたのか、その根底にあった自身の願いと夢を思い出し、理想という名の荒野を歩む覚悟を固める答えを得るための物語でもある。
とは言っても無機質・無感動な人物ではなく、ヒロインたちの一面にドキドキしたり、慎二とバカやって騒いだり、エロ本を隠していたりと年頃の男の子らしい感受性も存在する。合コンは苦手だがわりと好き。10週打ち切りのノリとかも好き。作中のモノローグでも割と愉快。また、身長が低いことと童顔であることを気にしていたりと思春期の男子らしい悩みもちゃんと持っている。
むしろ、そういった確固たる「自意識」があるにもかかわらず、自分を蔑ろにできてしまうのが、彼の歪な一面でもある。
余談であるが、
「なんでさ」※口癖
「だめでござる。今日は断食するでござる」
「星が! 星が見えたスター!」
「危うし命助けて俺、ただいまライブで大ピンチ」
など、妙に使い勝手が良い台詞が多い。
能力
体は毎日鍛えているが、これは「いざという時に動けるようにするため」のもの。
戦闘訓練を意図したものではなく、家の道場も剣道場としては長らく使われていなかった。魔術を使わない純粋なケンカでは、それぞれの試合形式では専門家に譲る。ただし、“どっちが音を上げるかが勝負みたいなケンカ”なら学園最強ではないか、とのこと(何しろ諦めない)。
かつて弓道部に所属し、弓を得手とする。部長・美綴綾子の知る限り、士郎の矢が的を外したのは「外れることが予めわかった上で射った」時のみ。高速移動する眼球大の的に命中させることも可能な、文字通り百発百中の腕前を持つ。
この弓の腕前は魔術鍛錬の副産物。弓道とは自分を殺す道であり、自己を『無』にする点において弓道と魔術の鍛錬は似通っている、とされる。
とはいえこれは「魔術師ならば誰もが弓の名手だ」という意味ではなく、作中で「自分で自分の喉を突き刺しているようだ」と評される鍛錬を八年毎晩続けた人物ならではのことだろう。
余談だが、士郎自身は魔術の瞑想を流用した自分の射を道と思っていない節があるが、作中では某人物が「自分の弓は弓術であり、士郎の弓は弓道である」と指摘するシーンがある。
物語開始時は、魔術師としては知識・技量ともに半人前以前の問題。
魔術師として常識的なことも半端にしか知らない。今も欠かさず鍛錬を続けてはいるものの、本来魔術師の家系ではない上、養父亡き今となっては完全な独学であり、初歩的な「強化」(物体に魔力を通し、その物体がもともと持っている性質を強化する魔術)しか使うことができないが、その成功率はほぼゼロに近い。
強化の魔術は切嗣が生きている間しか成功しておらず、ランサーに襲われたときにポスターの強化に成功したがあれは7年ぶりの成功。しかし、しばらくして凛の指導でアルコールランプの強化を試みるも、ことごとく失敗。凛が持ち込んだアルコールランプを全て破壊したことから呆れられる(凛曰く、力み過ぎ)。
物体の構造を把握することにかけては一流であるが、"重要な部分だけ"を素早く把握し、いかに速く"変化させられるか"が魔術師の肝であるにもかかわらず、士郎は"設計図をまるまる造る"という無駄が多すぎることをやっているため、魔術師としては寧ろ才能がない。
また、構造把握が得意だとしても解錠と修復くらいしか使い道がないため、所謂無駄な才能とされる。構造把握が出来るのにもかかわらず「強化」を失敗してしまう理由は、構造把握で魔力を流す箇所は見つけられるのだが、物体に通す魔力の塩梅が上手くないためで、力み過ぎによる魔力の入れすぎで対象を破壊してしまうということが多い。hollowで再び凛に指導して貰った際には逆に魔力を入れなさすぎて、対象は壊れなかったが、ほぼ強化出来てないという有り様になる。
魔力感知は出来ないクセに場所の異常には敏感で、凛に見つけられない呪刻をアッサリ見つけたり出来るなど変な才能を持っている。
簡単に言えば既存の物の精密な設計図を把握することと、その設計図をそのまま出力するのは得意だが、それ以外が半人前以下。
「強化」に関しては「既に完成している物に本来ないものをつけ加える作業は難しい。設計図をそのまま出力するだけでいい「投影」の方がよっぽど簡単」といった具合で、「強化」もマシというだけで得意というわけではない、寧ろ下手。
総じてその命がけの魔術鍛錬が方法として完全に誤っていた事が、上記の不自然な未熟さの要因であり、
- 切嗣は士郎が魔術を学ぶ事にあまり賛成していなかった(2年間頼み込まれ続けてやっと折れたほど)。
- 更に家を長期間留守にしがちだった。
- 士郎の特性は異端であり切嗣にもそれが読めず、適切な指導ができなかった。
- もっと言えば切嗣はまともに魔術を教えるつもりが無く、わざと誤った鍛錬方を教えていた。
というような事情に起因する。
その割に魔術師としての心構えは身についており、特に死に対するそれはある局面では遠坂凛をも上回る。彼女はそこに士郎の歪みを認識する。
『stay night』世界とはパラレルワールドという扱いではあるが『Fate/EXTRA』で相棒に特定のサーヴァントを選択すると、とある登場人物の回想でその後の彼が辿るかもしれない一つの可能性の姿…のような一枚絵が見られる。
※以下ネタバレ注意 |
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彼が使える魔術は一見実用性の無い方向に発揮されることが多く(要点だけを掴むべきなのに全体を一から把握してしまい無駄だらけな「構造解析」、元から効率が悪い上に士郎が使うと複製した物が外見だけで中身が空っぽになる「投影」など)、これが切嗣をして指導を見誤らせる一因にもなった。これは士郎の魔術師としての特性が、自分の心象世界をカタチにして現実を侵食する大魔術・固有結界への一点特化型であることに起因する。
士郎の心象世界は「視認した剣を解析し、複製して貯蔵する剣の丘」であり、いつまでたっても消失しない投影品や、構造把握能力に長ける、といった彼の特技は、固有結界に特化した身体の作用と、心象世界の性質が固有結界の片鱗として現れているため。
このため、特定の事柄に対しては異常な結果(剣ならば「宝具」といった高レベルの魔術礼装さえも真に近い複製を可能にする)を残せる。
とは言っても、そもそも物語開始時には自分の特性を把握できていない上に、魔術師としても未熟であるため気づいたところで自力展開は不可能、まず根本的に展開出来るだけの魔力がこの時点の士郎にはないと説明されている。 普通に習得しようとすれば基本に十年、使いこなすまでにはさらに十年の修業が必要である。さらに、命の危機に瀕すると自覚がないまま固有結界が体内で暴走し、最悪の場合無数の剣を生み出して体の内部から彼を串刺しにしてしまう。
ルートによっては、とあることが原因でこの足りない経験値を急速に得て、なおかつ足りない魔力を外部から補うことで固有結界を展開し、自分の心象世界である固有結界に、ある男の固有結界と同じ名前を付ける事になる。
シナリオ担当奈須きのこによると、『魔術師としては最後まで半人前だが、魔術使いとしては大成する』『士郎が一番美味しい外見&設定なのは、きっと二十歳過ぎたあたりだと思うんだけど、どうか。』とのこと。
また、自身は知らなかったが、切嗣に命を救われた際、体内に「全て遠き理想郷(アヴァロン)」を埋め込まれており、それが縁となってセイバーが召喚された。セイバーと契約中にある限り、セイバーとの距離に応じた強度の回復能力が発動し、彼女が直に接触すればほぼ致命傷に近い傷からでも回復できる。長年体内に宿していたため容易に投影可能であり、ルートによってはこれを活かして体内から取り出しセイバーに返す事になる。
「全て遠き理想郷」が士郎に与えた影響はそれだけに留まらず、魔術属性や魔術特性を「剣」へと変え、果ては起源すらも「剣」へと塗りかえつつある。彼の固有結界が剣の複製と貯蔵に特化しているのも、聖剣の鞘によって変質した結果のものである。武内崇氏曰く「魔術回路の在り方を変えた」。
ここまで剣に特化した特性を持っている彼だが、意外にも剣の腕は凡人よりは良いという程度。
しかし、血が滲むほどの鍛錬を重ね続ければ、超一流の剣士を一時的に上回るほどの剣技を習得しうる。
あるルートでは中盤の戦闘で左腕を失い、同じく瀕死の重傷を負い消滅寸前だったアーチャーの左腕を移植されたことで、彼の戦闘経験や技術をそのまま引き継ぎ、その気になればサーヴァントともタイマンで渡り合えるほどの力を得た。だが人間の身では到底扱えない英霊の腕故に、一度でも使うと肉体が内部から崩壊し自滅する事になるため、マルティーンの聖骸布を巻いて封じることになるが…。
→腕士郎
人間関係
Fate/stay night
召喚したサーヴァント。セイバーとの絆は強く、剣の誓いはどのルートでも有効で良き相棒となる。また、ある世界では恋人になる。
同じ学校の生徒で憧れの人であり、第2の命の恩人。
聖杯戦争で同盟を結び、魔術の師匠にもなる。ある世界では恋人になる。
間桐慎二の妹。とある理由から衛宮邸に通う、後輩でもあり料理の弟子で日常の象徴。ある世界では恋人になる。
妹のような存在(が、実際は義理の姉にあたる)。ルート次第で共に食事をしたり遊んだりする仲になる。
凛が召喚したサーヴァント。何かといがみ合う相性の悪い相手だが、それは彼の正体に大きく関係している。
序盤何度か命を狙ってくるサーヴァント。
アーチャーとの交戦を目撃してしまい、心臓を貫かれて以来、彼を苦手としている。
慎二・桜のサーヴァント。HFルート後半ではセイバーの代理サーヴァント的存在として共闘する。
『hollow』では士郎の家に住まうようになり、度々自転車を拝借される。
第五次聖杯戦争における監督役にして原作の十年前のあの大火災の元凶と最大の天敵。そして、自身と鏡合わせの破綻者。
ルートによっては士郎に一時協力する。
養父。命の恩人であり、憧れの人。
隣人であり、担当の先生でもある。士郎にとっては姉のような存在で日常の象徴でもある。精神的には彼女に守られているものの、日常生活は完全にお世話する側になっている。
結構ウザいけど士郎の数少ない友人。弓道部副部長。ワカメ。色々と困ったちゃん。
友人。生徒会長。寺の息子。
バイト先の店「コペンハーゲン」の一人娘。「ネコさん」という愛称で呼んでいる。
ロンドンに間もない頃、道に迷っていたところで、刺客に襲われていた彼女を助太刀する形で共闘して撃退。以来、彼女のもとで執事のアルバイトをしながら懇意にしている。
時計塔の廊下で少しの間ながら言葉を交わす。
その後、凛の仮免での路上運転の監督者として搭乗した彼と時間を共にすることもあった。
Fate/hollow ataraxia
対極にして鏡合わせのような存在。
衛宮士郎が「我慢できない者」であるのに対して、「我慢できる者」。
新たに派遣された教会のシスター。とある事情から、それなりに彼女とは気安い関係。
初対面のはずなのにどこか親しみを感じた女性魔術師で居候。とある事情から、彼女からは信頼されている。
ロード・エルメロイII世の冒険
友人。彼の頼みでゲーム機を取り寄せたりしている。
モナコでは、自身の身の上を知った彼から「親の因縁で死にかけた同志」として遺産同盟に勧誘される。
フェムの船宴の主催者。
ルヴィアの代理として彼と賭け勝負を行い、勝利した。その結果、モナコでの騒動の中心に据えられる形で巻き込まれる。
葉思真
螺旋館の魔術師。
とある少女を助けるためにマフィアに捕まっていたところを彼女に助けられ、傷が癒えるまでの間、匿ってもらっていた。
彼の抱える問題と凛が気に掛けている人物であると知り、自身の彼の持つ仮面の完成に力を貸すことになる。
その他
「名の読みが同じ」かつ「過去に大勢の人間の死」を目の当たりにしたことがトラウマとなり「叶えようのない理想を追い求める者同士」。
外部作品
Fate/Zero
第四次聖杯戦争の終盤で、切嗣が令呪によってセイバーに聖杯を破壊させたで引き起こした大災害の中から、切嗣が唯一救いだすことのできた少年である、その後、切嗣は身寄りを喪った彼を引き取り養子として迎えた。
切嗣に対して異常な憧れを抱いており、切嗣はずっとその歪みを危惧していた。だが最期の夜、彼が「正義の味方になる」という切嗣の夢を自分が引き受ける。
ドラマCDでは出会ってから2年後の話になっており、すでに彼が食卓を取り仕切っている様子が描かれている。彼は切嗣や大河の健康を考えて和食メインの献立にしているが、ジャンクフードを好む切嗣には不満を持たれている。
Fate/kaleid liner プリズマ☆イリヤ
イリヤの義兄。本作は聖杯戦争が起こらなかった世界だが、なぜかこちらでも切嗣の養子になっている。料理スキルの高さやお人好しで鈍感な性格は変わってないが、イリヤと共に育った名実共に義兄であり、魔術は習っておらず弓道を続けているなどの違いがある。
イリヤを始め、美遊・クロ・凛・ルヴィア……etc と本編を超える一級フラグ建築士ぶりを見せる。特に美遊は、彼とよく似た兄がいたらしいが……。
Fate/Grand Order
メインシナリオ第1.5部3章「亜種並行世界 屍山血河舞台 下総国」にて、彼を依代にしたと思しき疑似サーヴァントが登場している。
カプセルさーばんと
みんなの町の平和を守るカプさばマスター少年「シロウ」として登場。
この世界軸では冬木の火災を経験せずにキリツグに引き取られたらしく、美人で素敵なアイリお母さんにも懐いている模様。ちなみに何故かアハト翁にも執着されている。
性格は本編に輪をかけた実直さに加え、子供ならでは無邪気で容赦のない言動が目立つ。
Fate/Apocrypha
本編には登場せず。そもそも冬木大火災が起こらない為、本来の家族と暮らしているだろうし、「人間のフリをしたロボット」の異常者になる事もない。
その代わりstay night本編での境遇だったからこそ得られた人間関係もまた違うものとなっているであろうが。
Tmitter2015
2015年エイプリールフール企画内に登場する新米弁護士。通称「ナンデサ君」。
(なお『Fate/hollow ataraxia』では実際に将来の候補として「司法関係」を挙げていた一面もあり、数年越しに小ネタが拾われる形となった。)
助手のイタコ少女イリヤちゃんと共に、「カタッシュ村殺人事件」を巡り言峰検事と法廷バトルを繰り広げ、見事ディルムッドメンバーの無罪を勝ち取り真犯人を暴く。なお終盤の脱税系ヒロインの弁護は、初めは追い返したものの最終的には弁護を担当する事を決意した。
氷室の天地
作中では「バカスパナ」「ばかしゃもじ」「無償奉仕大好き族」などと称される。
一成や慎二と共に登場することがあるが、基本的に台詞は無い。
衛宮さんちの今日のごはん
主に料理担当。
シンプルながら手の込んだ家庭料理で、数々の登場人物に舌鼓を打たせている。
その腕前を買われ、若奥様には何度か料理を伝授している。
また、今作では幼少期の料理を始めて間もない彼の奮闘も描かれており、幼い彼の頑張りは必見。
ただ、その中では火災に巻き込まれて間もないが故に火を扱う事を切嗣に心配されるという、ほのぼのした雰囲気の作品からいきなり繰り出される重い背景に打ちのめされる読者も大勢いたとか。
ロード・エルメロイⅡ世の冒険
本編のどのルートとも異なる独自のルートではあるが、凛の付き人として共にロンドンに渡ったことが、ルヴィアやフラットの会話で明らかにされている。
本作では『hollow』で語られた潜入捜査に赴いていると言及されたが、6~8巻の「フェムの船宴」編で正式に登場。とある出来事により、知らぬ間にモナコでの事件の中心人物として巻き込まれてしまう。
また6巻ではヴァン=フェムのカジノに参加して彼を打ち破ったらしい。
本作では『hollow』でちらっと語られた潜入捜査に赴いている模様。
相変わらずのお人好しで女誑かし。今回も善意で動いた結果、螺旋館の葉思真と良好な関係を作っている。戦闘においては独力でとある英霊の絶技の簡易版である鶴翼双連を未完成ながら使用する、強化魔術を元より人並み外れていた視力を有する眼に特化して修練する事で尋常ならざる動体視力と空間把握能力を会得し、ジュストの高速思考を用いた超人的機動を見切って反撃を加える等、五次聖杯戦争時よりも魔術使いの戦士として格段に成長した姿を見せた。
投影技能においても磨きがかかっており、相手の武器を見ただけでそれがどういう性能且つどのような意図で制作されたのかを即座に看破、エルゴが能力を振るう為に用いる仮面を一通り見ただけで未完成である事に加えその原因も把握している。士郎がその仮面に対して神気を帯びた鑿と槌を投影し、最後の手を加え完成させた事によってエルゴの最後の覚醒を促した。
固有結界の性質上、その眼で見た物全てが士郎の財産となる為、「半端な修行よりもこっちが先」と時計塔に大量の閲覧申請を出した凜に連れ回され大英博物館の展示物や倉庫にある魔術的貴重品等を片っ端から見て回ったらしい。その結果目が肥えたとのこと。
戦闘においては引き続き干将莫耶での二刀流を主なスタイルとしているが、状況に応じた戦術や宝具を使用して戦闘を組み立てるようになっている。
その他
『Fate/strange Fake』にて、偽キャスターが「なんたらかんたらってスゲー魔術使って無限にコピー作れる奴とかもいるって噂を聞いたぞ?」と発言している。魔術で無限にコピー作れる者がそうそう居るとは思えないので恐らく…。
『Fate/GrandOrder』の魔法使いの夜コラボ『隈乃温泉殺人事件』では、「古美術商の士郎さん」として登場している。外見は村正の第三再臨の姿であるが、主人公によると「他人の空似だがちゃんとした人間だ」とのこと。ちなみに、作中では古美術商として古い刀を扱っており、刀に造詣の深いとあるご婦人も彼のお得意様の一人であるのだとか。また自前の鍛冶場も2つ持っているらしい。
竹箒によれば、この〇〇士郎はFateの時空の彼ではなく生まれた時代も世界も違うがそれなりにFateな旅をして老成した士郎であるとのこと。
このため、ファンの間では「冬木の大災害が発生せず、切嗣に引き取られることもなく成長したifの世界の士郎」ではないか?とされている。
余談
ちなみに、士郎が切嗣に引き取られる前の旧姓、及び家族関係や生い立ちなどは、Fateシリーズ15周年を迎えた今でも全くの不明である。
またUBWのアーチャーより、士郎は通常の神経そのものが魔術回路になっている異端体質であることが語られている。
一応可能性として、
- 士郎の固有結界に特化している魔術回路の性質。
- 「全て遠き理想郷」によって魔術回路の在り方を変えられたが故の弊害
- 間違った修行を繰り返していたせいで、回路がくっついてしまった。
などが挙げられる
Fateルートではアヴァロンによる回復力ではない自身の治癒能力もあるらしく、全体的に彼は能力、経歴共に謎や疑問点が多い。いつか語られる日は来るのだろうか...
ちなみに型月展での初期設定ではイメージカラーがなぜか黒である。
なぜ士郎はギルガメッシュに勝てたのか?
※この先は『Fate/staynight』のルートの1つの最終盤の展開に関わるネタバレを含む為、注意されたし。
UBWルートで士郎はギルガメッシュに実質的な勝利を収めている。
これまでのFateシリーズにおいても類を見ない大金星であるが、それにはいくつもの要因が関わっている。
まず、士郎の習得した固有結界である『無限の剣製』がギルガメッシュの『王の財宝』に対して、絶対的に有利な相性を持っている事が挙げられる。
そもそも『無限の剣製』とは、それ単体では他のサーヴァントに対して「多少厄介という程度の脅威」でしかない(とはいえ原作者である奈須きのこ氏はエミヤVSアルトリアについて語った際に「無限の剣製と言えど一騎討ちという形ではセイバーを抑えきれるかどうか」とも応えている)。
士郎が「無限の剣を持ったところで、究極の一を持った相手には対抗できない」(もっともその後にギルガメッシュにはあるが自分にはそれだけの身体能力がないとも言っており、前述のエミヤVSアルトリアでも抑えきれるかどうかにまで拮抗できるなど踏まえると、どちらかというと本人の力量、身体能力不足の方が大きな原因らしいが。)という台詞の通り、『無限の剣製』は複製された宝具の一つ一つを効果的に運用し、相手の弱点を突く事で、初めて真価を発揮する宝具である。
それには、アーチャーの豊富な戦闘経験から養われたランサーをして「戦上手」と言わしめる程の戦術眼が必要不可欠な為、ギルガメッシュ戦の士郎は自身の固有結界を使いこなしているとは言い難い状況でもあった。
だが、これがギルガメッシュの『王の財宝』に対してなら話は大きく変わる。
既に全ての剣を内包し、それを手繰り寄せ引き抜く『無限の剣製』は、発射する為に一度蔵から取り出さなくてはならない『王の財宝』に対して常に先手を取ることができる。
他にも、宝具の原典という破格の物を所有しているとはいえ、あくまで『所有者』でしかないギルガメッシュは宝具の原典を極限まで使いこなしているとは言い難いのに対し、担い手の技量まで複製してみせ、場合によっては真名解放さえしてのける士郎(アーチャー)はギルガメッシュと同じ宝具の打ち合いでも技量の差で完封できる。
これが前述した『無限の剣製』が『王の財宝』に対して絶対的に有利な要因である。
ただ、有利な相性とは言うものの、ギルガメッシュもセイバーやバーサーカーには及ばないにせよ、本来ならば士郎など手も足も出ないほどの武芸百般の猛者であると同時に、短い時間の中でバーサーカーの宝具の性質を見抜くなど、洞察力にも長けた英霊である為、本来ならば覆し難い相性差な訳でもない。
これは、士郎の思わぬ反撃でギルガメッシュが平静を失っていた事が大きく関係しており、士郎自身も「冷静になられたら負ける」と自覚していたので、常に挑発しながら冷静さを取り戻させないように立ち回りつつ、接近して宝具の掃射をさせない距離での白兵戦を展開し、短期決戦に持ち込んでいる。実は、これには固有結界の燃費の悪さも関係している。
そして、これに関しては、自分の得意な戦法に相手を巻き込んだ士郎の作戦勝ちと言える。
また、いかに凛のバックアップがあろうと投影速度及びまだ未熟で一度に2本程度の回路しか開けない為一度に投影出来る個数が少ないため、固有結界抜きではギルガメッシュの足元にも及ばない。
- 一見、ギルガメッシュが手を抜いているのもあって防衛戦が成り立っているようだが、実際は全く投影が間に合っていない。分かりやすく言えば能力の再現までは間に合わず、とりあえず形だけ真似たものをぶつけて凌いでいただけで1~2本の撃ち合いすら互角にやりあえていない。「全投影連続層写」はゲートオブバビロンの真似事とは程遠い技で、予め複数の宝具の解析だけを済ませておき、1本ずつ投影するだけの技でしかなく(通常1本の回路につき多くて2つの設計図ぐらいのところ2本の回路へ17個の設計図を無理矢理詰め込んだため負荷が激しく吐血している)言ってしまえば、ギルガメッシュが小出ししてくることを前提にした対抗策でしかない。ギルガメッシュは一瞥しただけでその作戦を看破し掃射に切り替えたため、士郎も仕方なく連続掃射した(原作)。
二つ目の要因として、ギルガメッシュが『天地乖離す開闢の星(乖離剣エア)』を持ち出さなかった事も大きい。
前述した「無限の剣を持ったところで、究極の一を持った相手には対抗できない」という台詞の後、士郎はギルガメッシュには究極の一がある事に言及しており、それが『天地乖離す開闢の星』である。
単純な威力でも『約束された勝利の剣』を上回る宝具だが(但し、この二つの宝具が撃ち合いになった際には、そのどちらも本来の威力を発揮できてはいなかった)、この宝具の真価は“天地を乖離させた逸話”に由来する対界宝具である点にある。
この宝具を使われたが最後、あらゆる固有結界は空間ごと消滅させられてしまう。
その上、神造兵装である『天地乖離す開闢の星』は剣製に特化した士郎の投影魔術でも、構造を読み取る事すら不可能であり、事実上迎撃不可能である。
実際、美遊兄はギルガメッシュの力を持つアンジェリカとの戦闘で、アンジェリカが乖離剣エアを使用した際に、敵わないと理解しながら固有結界内にある全ての剣を束ねて迎撃を試みるが、打ち勝つには至らなかった(まあ、美遊兄の勝利条件が「妹が逃げる時間を稼ぐ」事であった為、『UBW』ルートの士郎と比較できるものではないが)。
前述の通り、最上級の聖剣である『約束された勝利の剣』をも上回り、手加減した威力でも死にかけてしまう士郎にはこの宝具を抜かれた時点で敗北は確定してしまう。
しかし、ギルガメッシュにとって『天地乖離す開闢の星』は究極の一であるが故に、原作では興が乗ったと加減した威力で使い、アニメ版では自分を求めた聖杯を迎撃する為に使用され、士郎は巻き込まれたに過ぎない。
どちらの媒体でも一貫して、士郎に対して本気の威力で使用されたことは一度もなかった。
ギルガメッシュにとって、『天地乖離す開闢の星』は「覇者にのみ許された剣」であり、それを認めていない相手に使うということは、それだけで精神の敗北を意味する。それはつまり、自身の判断が過ちだと認める事になる為。
アニメ版において、追い詰められ、土壇場で使用に踏み切った場面においても、一瞬躊躇ってしまっている事からもそれが読み取れる。
そして、この一瞬の間に士郎は即座に乖離剣エアを、それを持つギルガメッシュの腕ごと斬り裂いており、この一瞬が二人の勝敗を分けたと言える。
三つ目は、言うまでもない事だが、ギルガメッシュの慢心も大きく関係している。
同じ条件ならばアーチャーでも対抗できると考える方もいるだろうが、それは違う。
ギルガメッシュは士郎もアーチャーも含めたエミヤシロウという存在を「贋作者」と呼び、見下し侮蔑している。
しかし、アーチャーに対しては、「理念は俗物ではなかった」と高く評価している。
そもそも、ギルガメッシュがアーチャーを不意打ちで狙った理由は、アーチャーをあの場にいた士郎たち四人の中で一番の脅威として認識していたからであり、自身に届き得るその能力を警戒していたからに他ならない。
ギルガメッシュの奇襲を逃れたアーチャーが最終局面まで姿を見せず、士郎や凛のサポートに徹していたのも、アーチャーが「彼らの戦力」として登場してしまえば、ギルガメッシュも流石に本気を出すからだと、原作者の奈須きのこ氏自ら『UBW』のアニメマテリアルの一問一答で語っている。
アーチャー本人もその点を理解しているのか、本編においては自身の存在を悟らせぬよう影からの支援に徹し、格闘ゲーム『Fate/unlimited codes』では対戦前に冷静さを失わせるかのような挑発ともととれる発言をして勝利をおさめている。
また、ギルガメッシュは「どう生きるか」ではなく、「何を為したか」で人間を評価する裁定者である為、セイバーの理想を求め続けたその生涯と在り方を高く評価している。そういう意味で、自分の信念を死の瞬間まで貫き、その結果として完成した能力を持ち、且つ現実主義者となり、“英霊に至った”アーチャーの在り方には高く評価しているが、まだ何も成し遂げていない“ただの人間”である衛宮士郎には見下し侮っていた。
その慢心が、士郎に固有結界を習得させる余分を作り、結果的に自身を敗北に導いた。
以上の三つの理由が、衛宮士郎がギルガメッシュに勝てた大きな要因である。
しかし、戦いとは地形・相性・実力・運の全てが作用し、その全てを総合して上回っていた者が勝者になる為、あの瞬間における衛宮士郎がギルガメッシュを上回っていた事もまた事実である。
それを理解していたからこそ、ギルガメッシュも最後には「今はお前が強い」「お前の勝ちだ。満足して死ね(アニメ版)」と士郎の勝利を認める発言をしている。
また、ギルガメッシュの慢心が慢心王という1つのキャラクター性として認知されていることも事実である為、安易に「ギルガメッシュの慢心のお陰だった。万全なら勝てていた」と語るのは、士郎とギルガメッシュのどちらのキャラクターも貶める事に成りかねない為、注意して欲しい。
関連イラスト
関連タグ
Fate/staynight Fate/hollowataraxia
「空の境界」に登場する男性。容姿、本物とニセモノというテーマなどファンの間では士郎の雛形として認識されている。
「Fate/GrandOrder」の主人公。女性版主人公の方の容姿は士郎の性別反転した姿をモチーフにしてデザインされたもの。
「Fate/SamuraiRemnant」に登場する男性。戦において家族が目の前で自分を庇い死んだ為に心に大きな傷を負い、その罪悪感から自分こそ家族と違って助けられる価値もなく地獄に落ちるべきと自分を卑下するようになった天草地方出身の平民。
漫画作品『トライガン』の主人公。Fateシリーズの原作者・奈須きのこが、士郎とも密接に関わる『正義の味方』を娯楽作品で扱う上で、必ず意識していると公言したキャラクターである。
きのこ氏はヴァッシュの魅力について、「叶えたい理想に構造的欠陥を抱えており、それでも貫く以上は楽に生きていくことはできないのだが、それを隠さず曝け出していること」と受け止めているのだが、士郎はある意味この逆の、「彼がハッピーエンドを迎えるためには、構造的欠陥を抱えた自らの『正義』と、折り合いをつけなければならない」というキャラクター造形になっているとも言える。
「俺はそうじゃないんだ。少なくとも、"今の俺"はそうならなかったんだ。」
「正義の味方になるって決めてるけれど……多分、俺がなりたい比重は『味方』の方が大きいんだと思う……」
「世界の誰だって、いつだって、力の限りに頑張ってる」
「だから、俺はみんなが頑張ってるのを、ほんの少しだけ手伝ってあげられるような『味方』になるんだ」
この先ロード・エルメロイII世の冒険8巻のネタバレあり
奈須きのこ氏監修のもとロード・エルメロイII世の冒険8巻で描かれた冬木聖杯戦争より3年後の衛宮士郎。『正義』を貫き通した未来の自分を聖杯戦争を通して見届け、その後は海外に渡り凛やルヴィア達に支えられながら広い世界を見て心身共に大きな成長を遂げた彼が使う無限の剣製の"一拍先" それは宝具を崩壊させる壊れた幻想の亜種。
本来一度使えば凄まじい破壊力と引き換えにその機能と在り方が永遠に失われる壊れた幻想だが、成長した士郎は壊れた幻想で砕け散った宝具から"機能"と"在り方"だけを抽出し、固有結界内の全ての剣に伝播・付与させるという絶技を会得していた。冒険8巻終盤、凜が作り授けた彼女と士郎の血と魔力を一年間与え続けた宝石を消費して足りない魔力を補うことで固有結界を展開した士郎はそれに伴う再配置現象によってエルゴを救出、後方の仲間たちの元へ配置した後、赤原猟犬を地面に叩きつけて砕きそこから"機能"と"在り方"を抽出、結界内の射出した全ての剣群に自動追尾を付与すると、境界記録帯(ゴーストライナー)にも肉薄する魔力を誇る数多の幼星体の分身と神話と評される戦いを繰り広げた。
もしこの先同時に複数の剣を砕きその特性を一振りに収斂出来るのであれば・・・いつか武内社長が語った「衛宮士郎が魔術師として完成した姿」を見れるかもしれない。