故に、その名は “全て遠き理想郷(アヴァロン)”。
アーサー王が死後に辿り着くとされる、彼の王が夢見た、はた辿り着けぬ理想郷──。
概要
TYPE-MOONの作品「Fateシリーズ」に登場する妖精郷・理想郷、および宝具の名称。
pixivでは本来の意味とは別の使われ方があるので注意(下記参照)。
理想郷アヴァロン
地球という惑星が持つ魂の置き場。星の内海。
星の内部たる世界だが地底にあるわけではなく、星の外側と同一座標・同一空間でありながら三次元の外観より数次元ほど上にズレた位相。
昼は春の陽射しと夏の匂いに満ち、夜は秋の空気と冬の星空に覆われ、花々と虫、森には水と緑と獣たち、水場には妖精たちがいる妖精郷。
表層の歴史に寄り添いながらも一切関わりを持たない異郷。
人々が思い描いた楽園の原典。知恵持つ獣には辿り着けない理想郷。
魔力の密度は特濃で、神代の魔力が残る土地でなければ生きられない五世紀のブリテン人でも一呼吸で内側から破裂するレベル。
マーリンいわく「楽園だなんて言わず、兵器として使った方が有効なんじゃないか?」
宝具「全て遠き理想郷」
- ランク:EX
- 種別:結界宝具
- 防御対象:1人
アヴァロン。アーサー王伝説における常春の土地、妖精郷の名を冠した鞘。
アヴァロンはギリシャ神話において、”不死の林檎”があるとされる島から連想されたという理想郷。持ち主の傷を癒し老化を停滞させるだけでなく、真名を以って開放すれば数百のパーツに分解し、所有者をあらゆる干渉から守りきる。
聖剣の鞘はアインツベルンがコーンウォールより発掘し、アーサー王召喚の触媒として切嗣に与えたもの。
魔法の域にある宝具で、あらゆる物理干渉、並行世界からのトランスライナー、多次元からの交信(六次元まで)をシャットアウトする。セイバーがこれで引き篭もったら手におえない。
(TYPE-MOON公式サイトの『「Fate/stay night」用語辞典』63ページから引用)
セイバーの魔力に呼応し、持ち主に不老不死と無限の治癒能力をもたらす。
自然治癒の効果は「約束された勝利の剣」による傷にだけは適用されないとされる。
アニメ『Fate/stay night』(2006年版)の初稿プロットでは「究極の守り。理に属する以上不可侵。世界を歪める光塵により世の理すべてを反射し防ぐ」とされている。
カウンターとして使用することも可能。ただし、守りとしての真価を発揮するのは真名開放時なのでタイミングはきっちり計らなければならず、その性質上、展開したまま攻撃する事は当然出来ない。
作中では、ギルガメッシュのグラムによる斬撃を跳ね返しダメージを与え撤退させた他、タメが長い乖離剣による攻撃を跳ね返し怯ませつつ、次の攻撃への宝具展開までに攻め入る隙を作り出した。
また、セイバーからの魔力供給さえあれば、真名解放の有無に関わらず、たとえ本人以外が持っていても法外な治癒効果を発揮する。
実際アイリスフィール・フォン・アインツベルンや衛宮士郎はこの力で重症を瞬く間に回復させている。
ただし、この聖剣の鞘の加護は、たとえセイバー本人だろうとあまりに激しい損傷ではすぐには回復できない。
絶対的防御に回復性能、使いようによっては乖離剣をも跳ね返すカウンター...
もはや、あらゆる防御系宝具の中で「最強」といっても過言ではない。
さらにさらに、これと対を成すのは最強の聖剣。アーサー王すごすぎる。
鞘のオリジナルは生前セイバーの元から盗まれ行方不明となっていたが、第四次聖杯戦争の際にアインツベルン家がコーンウォールより発掘し、セイバー召喚の触媒として衛宮切嗣に与えた。
その後、切嗣はセイバーには無断で「マスターの宝具」として借用しており、囮役であるアイリに持たせた。
そして、終盤になって動けなくなったアイリは切嗣へ託し、切嗣も第四次聖杯戦争終結時に見つけたたった一人の生存者を救うために手放すことになる。
Fateルートでは第五次聖杯戦争の終盤にて士郎によりセイバーへと返却される。
UBWルートを描いた2014年版アニメでは明言こそされていないが、セイバーの召喚時や士郎VSアーチャー戦のある場面での演出で現れている。
また、『帝都聖杯奇譚』及びそのリメイク作『帝都聖杯奇譚 Fate/type Redline』でも登場。セイバー召喚の触媒として用意されていたのだが、使われずに終わった。後者については、実は精巧なレプリカであったことが発覚している。
この他、『Fate/strange Fake』ではこの鞘を納めていた箱が登場。
用意した者はセイバーを召喚する触媒のつもりだったのだが、盗まれた鞘を発見し、コーンウォールへと埋葬した別の人物が召喚される。
ちなみに『Fate/EXTRA-CCC』では、八次元まで交信のみを遮断(アヴァロンのように物理干渉は遮断できない)するムーンセルの障壁が登場した。
BB「まるっと円形の、八次元までカットする霊子障壁」
アヴァロンを行き来するもの
妖精郷であるアヴァロンには、文字通り妖精たちが存在している。
マーリン「妖精たちはずっと噂していた。アヴァロンの端に人型の岩がある。いつのまにかあったもので、誰もこれの由来を知らない。どうやら人間らしいんだけど、怖ろしい事に生きている。」
この「人型の岩」とは、アヴァロンに辿り着いた騎士ベディヴィエールのなれの果てである。
また、夢魔と人間から生まれたマーリンはアヴァロンに幽閉されているが、『Fate/Grand Order』では主人公を助けるために脱出し、事件解決後は再度幽閉されるために戻っている。
その他アヴァロンではないが、アストルフォは「この世ならざる幻馬(ヒポグリフ)」に乗って「次元跳躍」することで、一瞬だけ消滅・昇華する(=非実在の幻想の世界へ行く)ことができる。
ジークは『Fate/Apocrypha』でファヴニール(北欧神話のドラゴン)となり、幻想種が住む「世界の裏側」へ大聖杯と共に去っていった。
原典における由来
実際、原典においても、エクスカリバーという剣の真価はこの鞘にこそある。
鞘を帯びる者は不死身となり、あらゆる傷を寄せ付けず、いかなる魔術や呪詛すらも撥ね返す。
ゆえに伝説の終盤において、モーガン・ル・フェイも聖剣本体ではなく、鞘を盗み出してアーサー王の無敵性を剥奪するという策に打って出ている。
これがアーサー王の死の遠因となった。
またマーリンとアーサー王の問答で、剣と鞘のどちらが大事かをという逸話もある。
このときアーサー王は至極当然に「剣」と答えたが、マーリンはその答えを諫めて「鞘」の重要性を説いている。
鞘とは「万人を傷つける刃の封印」であると同時に、己の攻撃性を封じる理性の象徴であり、それは王道・騎士道においても同じであり、相手を力で捻じ伏せる刃よりその力を抑える知性と寛容さの鞘こそ必要なのだと訴えている。
Pixivにおいて
作品としては、「Fateシリーズ」ひいてはTYPE-MOON作品において本編では書かれなかった幸せな結末や、最初からありえない幸せな関係性など、「こうあってほしかった」、もしくは「こうだったら救われたのではないか」という描き手の願いを描いている作品に付けられるタグとして利用されている。
TYPE-MOON作品では全てが救われるような完全な理想の形で終焉を迎えることは決して多くない。
だからこそ、複雑で魅力的な物語は人を惹きつけ、そうした物語やキャラクター達に惹かれ、こうした思いを抱く人は少なくない。そういった人達が自分の思いをイラストと言う形で具現化するのだ。
いわゆるどうしてこうならなかった系イラスト。
また、全年齢版『Realta Nua』に収録された「Last Episode」で「夢の終わり」で漸く出会えた彼と彼女を描いたものも少なからず存在する。
もちろん「理想」の定義も人それぞれなので、描かれる形も他に沢山存在する。
場合によっては↓のような見る人にとって幸せな作品に付けられることも。
余談
『stay night』作中のキャラクター紹介、宝具説明のアヴァロンの欄に
アーサー王の伝説において、聖剣の真の能力はこの鞘による”不老の力”とされている。所有者の傷を癒し老化を停滞させる能力があるが、実際は個人を対象とした”移動要塞”と呼べるもの。
との記述がある。この説明のうち「不老」の力については、『Garden of Avalon』等により色々な記述がされた現状において、選定の剣、聖剣、聖剣の鞘のどれをセイバーが手にした時から彼女に不老の力が与えられているのか、はっきりしていない。
『GoA』では選定の剣、『hollow ataraxia』では聖剣、そして『stay night』では聖剣の鞘と記述されている。
関連イラスト
関連タグ
Fateシリーズ セイバー(Fate/staynight) 宝具 Fateルート
カーニバル・ファンタズム フェイト/タイガーころしあむ プリズマ☆イリヤ コハエース ちびちゅき! 衛宮さんちの今日のごはん Fate/GrandOrderGarden_of_Avalon
永久に閉ざされた理想郷・・・マーリンの宝具。マーリンを幽閉しているアヴァロンの「塔」を周囲に再現する。地には花が咲き乱れ、天から陽差しが差し込む。
優しい世界 どうしてこうならなかった・・・前述の「pixivでの意味」に近い。