概要
月で発見された、人類外のテクノロジーによる太陽系最古の「古代遺物(アーティファクト)」。ムーンセルの本体は、全長三千キロメートルに及ぶフォトニック純結晶体(光そのものを閉じ込める事が出来る鉱物。光そのものを記録媒体や回路として使える)であり、地表以外の月の全てが聖杯であった。その構造・技術体系は、過去・現在はおろか未来においても解析不能と言われ、人類の思考形態では理解できない領域にある。
ただ、何者がどうやって作り上げたのかは理解できなくとも、ムーンセルが行っていること自体はやがて判明していく。
『Fate/EXTRAシリーズ』における聖杯であり物語の舞台でもある。
役割
その機能は、地球の誕生からその後を全てを克明に観察・記録し続けること。全ての生命、全ての生態、生命の誕生、進化、人類の発生、文明の拡大、歴史、思想――そして魂。全地球の記録にして設計図。神の遺した自動書記装置。七つの階層からなる、七天の聖杯(セブンスヘブン・アートグラフ)。
現存する人類のコンピューターをあらゆる規模で凌駕する演算装置。その処理能力は、現存するコンピューターが、石を並べて計算しているように思えるほどのもの。神の頭脳、神のキャンパスとも言われる。
あまりに危険であるため、西欧財閥によって封印指定にされた。宇宙開発という行為自体が人類社会から取り上げられ、物理的接触を断たれたほどである。
ただし、例外となるのがウィザードと呼ばれる霊子ハッカー。物理的接触の代わりに、ムーンセルが地球を精査する路を通って魂で聖杯へと繋がる能力を持った者達。聖杯は魂を、形而上の人の精神だけは観測できない。しかし知らねばならない。ゆえに自ら人間を招くのである。
通常のハッカーも手段があれば表層にアクセスすることは可能だが、魂を霊子化できる魔術師でなければSE.RA.PHは光としてしか認識できず、第二層以降へのアクセスもできない。旧世界の魔術師(メイガス)も瞑想の一環としてムーンセル内部にコンタクトしていたという。
ムーンセルは過去と現在を記録するほか、天文学的回数の「1分後の未来」のシミュレートを演算し続けている。「事象の書き換えすら可能になる」とされるが、厳密には膨大なシミュレーションサンプルの中から望む未来に確実に至れる方法を提示できるということ。その改竄能力は過去に遡って、現代を望んだ世界に変換出来る程。無限とも言える膨大な未来の可能性を記録している中枢は、フォトニック深淵領域、事象選択樹、アンジェリカケージなどと呼ばれる。
その事象の書き換えは全能的なものとされるが、全人類妹化に10年かかることや、全能と呼べる力はないヴェルバーの侵攻をどうすることも出来ないなど文字通り全能ではなく何でも叶うというものではない。
また、Extra世界以外の聖杯戦争の可能性を観測しているようで、一部NPCやSE.RA.PH.内の『かつて在りし運命の街 Mare Melum:災の海』などはその世界から再現された物である。
『Fate/Grand Order』では概念礼装として登場。
イベント『月の女神はお団子の夢を見るか?』での団子の獲得個数がアップする効果があった。
それ以外の効果は、装備者自身の3種全部(Arts&Buster&Quick)のカード性能を3%アップの効果(最大限界突破で5%)。⇒攻略まとめwikiによる紹介
また深海電脳楽土SE.RA.PHでは、BBをFGOの世界に送り込んだ事が語られている。SE.RA.PHに辿り着いた魔神柱ゼパルはある職員の人間の身体を乗っ取り、その人間の数多の可能性を観測して一番強い世界線と繋げた結果、その人間はビーストと化した。そのビースト反応を並行世界のムーンセルが察知し、ムーンセルに属した存在が原因となるビースト案件だったため、CCC(特殊処理)としてBBをFGOの世界に片道切符で派遣した。
その後、岸波白野(ムーンキャンサー)の宝具としても登場した。
余談
ムーンセル・オートマトンの名前は数学、物理学、計算機科学などにおける離散的計算モデルである『セル・オートマトン』に由来する。人工生命のシミュレーションから万能計算機として使えることが知られている。──Wikipedia 記事
なお、「ムーンセル」という言葉自体はFateシリーズが初出ではなく、MELTY BLOODの完全武装シエルのストーリーにて科学と魔術を融合させた「擬似霊子理論」の訳として存在が語られている。
企画段階では「タイプムーン」という名前だったが「照れくさい」という理由で変更されている。