――――良い開幕だ。死に物狂いで謳え!雑念!――――
「・・・決着が付いたようだな。ならば、この一撃を以って決別の儀としよう。
『エア』よ、存分に詠うがいい!
・・・原初を語る。天地は分かれ、無は開闢を言祝(ことほ)ぐ。世界を裂くは我が乖離剣。
星々を廻す臼、天上の地獄とは創世前夜の祝着(しゅうちゃく)よ!
死を以て靜まるが良い。『天地乖離す開闢の星(エヌマ・エリシュ)』!!」
『エヌマ・エリシュ』 (Enûma Eliš) とはバビロニア神話の創世記叙事詩である。
紀元前18世紀に成立したと考えられている。
— 『エヌマ・エリシュ』冒頭部
「その時に上にある天は名づけられておらず、
下にある地にもまた名がなかった時のこと。
はじめにアプスーがあり、すべてが生まれ出た。
混沌を表すティアマトもまた、すべてを生み出す母であった。
水はたがいに混ざり合っており、
野は形がなく、湿った場所も見られなかった。
神々の中で、生まれているものは誰もいなかった」
性能
- ランク:EX
- 種別:対界宝具
- レンジ:1~99 / 1~999(CCC)
- 最大捕捉:1000人
エアの回転する三つの円筒が風を巻き込むことで生み出される、圧縮され鬩ぎ合う暴風の断層が擬似的な時空断層となって絶大な破壊力を生み出す。その威力の程は固有結界を唯の一撃でズタズタにし、アーサー王のもつ最強の聖剣「約束された勝利の剣」と同等かそれ以上の威力とされ、真っ向から撃ち合い相殺されながらもそれを破るほど。
空間そのものを切断せしめる特性ゆえに、対界宝具に分類される“世界を切り裂いた”剣。
ちなみに記事名にもなっている「天地乖離す開闢の星(エヌマエリシュ)」はこの剣の名前ではなく、乖離剣エアの最大出力時の名称であり、どちらかというと技名に近い。
Fate/strangefake1巻のマテリアルによると、単純な火力ではありとあらゆる宝具の中で最も頂点に近いとされ、対粛正ACか、同レベルのダメージによる相殺でなければ、防げない攻撃値。
STR×20ダメージ(つまりギルガメッシュの筋力に依存している)だが、ランダムでMGIの数値もSTRに+される。最大ダメージは4000。
しかし、「王の財宝」内のバックアップを受けることで破壊力を上げることも可能。
劇中の対処法としては慢心を利用して追い込んでそもそも使う隙を見せない、同等の破壊力を持つ宝具による相殺、次元規模で回避する宝具で守る、または対粛清防御で防ぐといった対処法がある。
余談だがFate/GrandOrderにて最高級の宝具火力が1000~3000と示されるシーンがあり、上述の4000と同一基準の数字かは不明だが、仮に同一だった場合最高級の上限が3000に対し4000(しかも更に伸びる)という凄まじい火力となる。
解説
ありとあらゆる宝具の頂点の1つ。英雄王ギルガメッシュの持てる最強の一撃であり、かつて混沌の世界を天地に分けた乖離剣エアによる究極の一撃。
ギルガメッシュ曰く、「生命の記憶の原初であり、この星の最古の姿、地獄の再現」。
数多の宝具の原典を所持するギルガメッシュではあるが、彼はそれらの「所有者」であって「担い手」ではない。乖離剣エアはそんな彼が唯一例外的に持つ、彼自身が担い手の宝具である。
「剣」という概念が誕生する以前に星によって鍛えられた神造兵器であり、乖離“剣”と呼びつつも厳密に言えば剣どころか「武器」ですらない。あらゆる剣を複製する事が可能な固有結界「無限の剣製」でさえこの宝具を投影することは不可能であり、構造すら読み取れない。この理由は神造兵装であるためと一問一答にて説明されている。
本来は無銘の剣であり、「エア」というのもギルガメッシュが付けた愛称である。
認めた相手以外にこの剣を使用することはほとんどなく、『Fate/Zero』の海魔戦にて遠坂時臣に使用するよう進言された際には激怒している(ただし、冗談めかした与太話としてだが、奈須きのこ氏曰く「英雄王のかっこいい姿が見た~い」とか持ち上げていればノリノリで使ってくれたとの事)。
とはいえ、絶大な破壊力と圧倒的な攻撃範囲で目立たないだけで、弱点が無いわけではない。
「天地乖離す開闢の星」発動にはマスターが土地からのバックアップを受けていたとしても無視できないレベルの膨大な魔力量を要する上に、発動前後の隙も大きいため、一撃で戦闘不能に追い込めなければ相手に反撃の機会を与えることになってしまう。
また、ギルガメッシュ曰く、もしも地球上で本気の本気、全力全開最大最高出力で「天地乖離す開闢の星」を発動させようとした場合は、世界そのものに致命的なダメージを与えかねないがゆえに、「抑止力」が働いて排除されてしまう可能性もあるという。
神秘が薄れて大気中にエーテル量の少なくなった現代では、完全出力での発動はほぼ不可能に近いとされる。この場合、地面に足を付けて突き出すように繰り出す「地の理」で発動する。
逆に月の聖杯戦争がおこなわれたSE.RA.PHなど、古代レベルの濃密なエーテルが存在する空間や、その莫大な魔力量を十全に補える環境が整っているならば完全解放が可能。空中に浮遊し、相手の上空から振りかざすように放つ「天の理」を以って敵対者を葬り去る。その正体は「国(星)造りの大権能」に相当するものであり、三層の時空断層からなる空間変動で敵を押し潰す。もしくは権能によって再現された死の世界である「原初の地球」で敵を粉砕する。
しかし、権能を現代の地上で使用する事は世界の法則をねじ曲げるに等しい行為であり、無理に使えば自身の崩壊などの大きな代償を支払わねばならない。
つまり、基本現代では使えないし、使えたとしても相応にデメリットも大きいと言う事。
各作品での活躍
『Fate/staynight』
Fateルート
セイバーの聖剣との真っ向からの打ち合いに使用。セイバーを戦闘不能へと追いやる。その後ラストバトルでも使用するが「全て遠き理想郷」で凌がれ、使用後の隙及び防がれた動揺により虚を突かれ敗北する
UBWルート
士郎とのラストバトルにおいて戯れに手加減して放つ。その後、「無限の剣製」を使いこなしだした士郎に追い詰められその勢いに押されて再度使用しようとするものの、発射前の隙を突かれ、乖離剣を持つ右手を叩き切られて使用不可へと追いやられる。
TVアニメ版では自分が散々見下していた士郎の反撃に対してエアを取り出すことに一瞬だけ躊躇うカットがあり、その隙が明暗を分けたようにも解釈できる。
『Fate/hollowataraxia』
最終決戦時に残骸の群れに対して使用。この時は油断と慢心を捨てた一生一度の本気で放っている。
『Fate/Zero』
ライダーとの戦いで固有結界「王の軍勢」を真っ向から切り裂いた。
『プリズマ☆イリヤ』
バゼットに追い詰められた事で黒化英霊ギルガメッシュが使用。鏡面世界を破壊し、現実世界へと侵攻した。その後の最終決戦では子ギルが使用し、ツヴァイフォームとなったイリヤの最大火力攻撃「多元重奏飽和砲撃(クヴィンテッド・フォイア)」と真っ向から撃ち合うも押し負けた。ただし、上述するようにエヌマエリシュは使用者の筋力に依存したダメージという設定がありこの時の使用者はギルガメッシュより筋力の劣った子ギルであったため威力は本来よりも数段劣るとされている。
また、過去編ではギルガメッシュのクラスカードを使用するアンジェリカが、美遊兄との最終決戦で使用。「無限の剣製」内部全ての剣を束ねた一撃とぶつかり合い、大きく威力を減衰させられ仕留めきるには至らなかったものの競り勝った。
『Fate/EXTRA-CCC』
「規格外の宝具」の名にふさわしく“99999ダメージ(固定)+即死効果”というとんでもない威力を誇り、たとえ相手がラスボスだろうが裏ボスだろうが問答無用で即死させる。
ただし、使用条件として「戦闘開始から5ターン以上経過」と「相手のHPが30%以下」の2つがあり、サーヴァント戦以外で目にすることはほとんどない。
演出も3つの小宇宙を発生させ(悪役の如き高笑いと共に)相手に叩きつけるという、まるでラスボスかと思わせる規格外のモーションである。
宝具専用BGMは「cosmic air」。これが流れたら勝利確定の処刑用BGMである。
実は『Fate/stay night』での彼のテーマソングである「黄金の王」のアレンジ曲。
『FGO』でも宝具BGMとして後日実装された。
『Fate/GrandOrder』
「裁きの時だ。世界を裂くは我が乖離剣!受けよ、『天地乖離す開闢の星(エヌマ・エリシュ)』!!」
「原子は混ざり、固まり、万象織りなす星を生む。死して拝せよ!『天地乖離す開闢の星(エヌマ・エリシュ)』!!」
ゲーム上での宝具として抜擢。
属性はBusterで、効果は【敵全体にサーヴァント特攻効果を持つ強力な攻撃〈オーバーチャージで威力アップ〉】と対サーヴァント戦に特化されている。
当初はランクがA++となっていたが、後日追加された絆クエストをクリアすればEXに戻り、【自身に宝具威力アップを付与】の効果が追加され、大幅に威力が強化された。
その破壊力は相性が等倍であってもゴリ押しで倒せるレベルであり、複数のクラスのサーヴァントを相手取るクエストでは非常に頼りになる。
ただし、特別な星の力を持つサーヴァントには特攻効果が通じないという抜け穴が存在する。
これは、隠し属性(天地人星獣)ではなく設定上のものを指しているようで、ジャンヌやスカサハ等は星属性だが特攻を受け、アビゲイル・メリュジーヌ・オベロンは地属性、両儀式・浅上藤乃等は人属性だが特攻を受けない。
該当サーヴァントは極少数だが、中でもロムルスはランサーということもあり天敵である。
最初期は何処からか乖離剣を取り出し、『SN』などで描かれた突き出すようなモーションで敵を穿っていたが、後日のアップデートにより、『CCC』を髣髴とさせる乖離剣の召喚シーンと銀河の渦の背景が追加されたほか、モーションも天高く掲げてそこから振り下ろすものに変更された。
演出から判断すると、どうやら現出させる際に彼の魔力も相まって空間が割れてしまうらしい。
アップデート版とCCC版の違いは、後者がエアを既に召喚した状態で地面に突き刺して浮遊するのに対して、前者は地面から出現させて浮遊させるという差異がある。また、渦を叩きつけるのが『CCC』版であるのに対し、『GO』版は赤いビーム状という差異もある。先述の設定を踏まえるなら、モーション改修前が「地の理」、改修後が「天の理に限りなく近い地の理」とユーザーからは解釈されている
第七章の最終決戦においては、「一切の慢心を捨て去り、滅ぼすべき悪に裁きを下す一撃」として下記の専用台詞が用意されている。
「原初を語る。天地は分かれ、無は開闢を言祝(ことほ)ぐ。世界を裂くは我が乖離剣。
星々を廻す臼、天上の地獄とは創世前夜の祝着(しゅうちゃく)よ!
死を以て靜まるが良い。『天地乖離す開闢の星(エヌマ・エリシュ)』!!」
2度めのモーションリニューアルに伴い、演出が更に強化された。
エフェクトの派手さもさることながら、乖離剣を頭上に掲げる際のカメラワークが変更され、更に乖離剣を振り上げた正面からの専用カットインが入るようになるなど、よりCCCに近い演出になった。
『Fate/strange Fake』
親友との初戦に使用。しかも乱発。この場合は空中に浮遊しつつ地の理を放つパターンを披露した。(後述のFGOでのバージョンと近い。マスターであるティーネ・チェルクが土地守の一族のため、地脈の魔力を扱えるという条件があったためになし得た事である。)
両者ともほぼ互角に打ち合い、半径云kmの砂漠に表面がガラスへと変貌した巨大なクレーターを作った。
アニメ版では前述の『FGO』7章の詠唱版で使用。但し、相手がエルキドゥの為殺す気は無く(油断も慢心も無い本気かつ、全力の一撃だがそれぐらいエルキドゥが相殺出来ないわけが無いという意味)、「死を以て靜まるが良い」の部分が無い。
『Fate/EXTELLA』
こちらでも宝具として登場。『CCC』版同様に「天の理」で放つがゲーム性の違いや、そのままではチート過ぎるので威力や性能は抑えられている。
こちらはエアを背後から引き抜き、赤い旋風を放つ技としての毛色が強く、発動前の時点で地面を抉り取る程の威力を持った旋風に呑まれた相手を破壊する。
宝具演出には本気バージョンがあり『FGO』7章を思わせる詠唱と、最後に真剣な表情で見下ろしながら「その地獄、生き延びてみせよ」と呟く。
『Fate/EXTELLA-LINK』も同様に宝具に採用されている。
※動画は『Fate/EXTELLA-LINK』のもの。
宝具専用BGMは「cosmic air ~EXTELLA~」。『CCC』で使用されたBGMのアレンジ版であり、スタイリッシュさが増している。
外部作品
『#コンパス』
ギルガメッシュのヒーロースキル(ゲージ必殺技)として採用された。
効果は【前方敵に 時空断層エリア展開(ヒット時確定で死亡)】。ターゲットした敵1人を中心に敵を引き寄せ、エリア内の敵を時空断層エリアに落下させる。
吸引力は低く、発動時に少し離れたところにいれば走ってやり過ごせる程度。ターゲットされた対象も、移動速度が遅いキャラでなければ逃げ切ることが可能。キルの手段としては、敵のポータルキー取得モーションやヒーロースキル使用時の無敵時間など、敵が硬直している時でなければ難しい。ただ、吸引力が低いとはいえど敵を足止めすることはできるので、敵が動けなくなっている間に味方が確実に攻撃を当てて倒すなど、味方へのアシストとしても利用できる。
また、スキルゲージが全ヒーローの中でも非常に溜まりにくく、何の因果か同時実装されたセイバーオルタとだいたい同じ速度となっている。彼女のようにゲージ蓄積をサポートするアビリティは持ち合わせていないので、スキルを使いたいならば自軍ポータル内でひたすら待たなければならない。
適当に打つだけでは不発に終わってしまいがちで、戦況を見極められる上級者向けのスキルと言えるだろう。
演出は「乖離剣エアを引き抜くと指定した敵を中心に巨大な渦が発生した後、ステージに大きな穴が開いて、敵がステージの破片と共に落下していく」というコンパス屈指のド派手なもの。穴は落ちた敵がキルされると修復される。
関連イラスト
関連タグ
Fate/staynight Fate/hollowataraxia Fate/Zero
Fate/EXTRA-CCC Fate/strangeFake Fate/GrandOrder
- 軍神の剣/虹霓剣:剣がドリルの様に回るBuster全体宝具つながり。
- 人よ、神を繋ぎ止めよう:エルキドゥが持つ、名称が同じ宝具。ただし漢字表記が異なる。
- 天遡鉾:FGO世界に召喚された宇津見エリセの宝具。推察の域ではあるが、ほぼ同質の権能を有する可能性を秘めた天地創造の宝具。