天遡鉾(アメノサカホコ)
- ランク:B
- 種別:対霊宝具
- レンジ:1~14
- 最大補足:1000人
「おしまいにしよう。」
「芦原をなずさう虚ろ船、これなるは我が臍の緒、黄泉大神の器の沼鉾、いざや掻き鳴らせ――『天遡鉾(アメノサカホコ)』!!……こおろこおろ、こおろこおろ」
大神・伊邪那岐と伊邪那美による“国産み”を逆転再現する忌まわしき祭事。
冥神の力を継承するエリセが、準サーヴァント化により獲得した独自の魔術。
神造祭器“天沼矛(アメノヌボコ)”レプリカで時空をかきまぜ、その構造を推定演算し、対象空間の包有する構造、質量、意味、縁の全てを原初の混沌へおくり還す。
サーヴァントが対象となる際はその霊基構造を解消、切断する。エントロピー逆転の黄泉返し。
「逆上る矛」
前述通り、Fate世界でも「天沼矛」と「天逆鉾」は同一起源を持つものと推察される。
エリセの宝具として【逆】ではなく【遡】の字があてられているが、これは決してFate特有の独自解釈ではない。
日本は「言霊信仰」の影響が大きく、「言葉の韻を踏むことで別の意味を発生させる」呪術的な思想が大陸からの思想を得て以降は特に強くなった。
天逆鉾の名は『日本書紀』に登場し、原初の大海を矛先ではなく「石突(柄の地面につける側)」でかき混ぜてオノゴロ洲を生み出している。さらに天孫降臨神話でも再び登場し、天照大神が瓊瓊杵尊に下賜した神宝の一つとして登場するも、「二度と使われないように」と即座に高千穂峰の頂上に矛先が上になるよう石突側から突き立てられて封印され、役割を終えた。
これらの要素を諸々要約すると、天逆鉾には天地創造用のリセットボタンとしての役割があったことが推察できる。
【逆】は「逆上る」と当て、そこから【遡る】と韻を踏み、最終的に「時間を遡る」ことを示唆していると取れるのだ。
Fate的に言えば、彼の英雄王の至宝たる乖離剣と同一の権能を持ったとんでもない神器と考えられる。
のちにもう一人、この逆鉾を宝具とする英霊が登場するのだが、あちらはあくまで「高千穂峰に刺さった逆鉾を引き抜いたらそれに封印された者に憑かれた」程度の縁しかなく、どちらかといえば憑き物の本質を解放する起動キーとしての役割が強い。