概要
『ロード・エルメロイⅡ世の事件簿』等のTYPE-MOON作品に登場する列車。
ありとあらゆる魔眼を蒐集してヨーロッパの森を走り続け、招待状を送り、魔眼を商品とするオークションを行っている。もともとはロズィーアンの家名を持つ死徒が道楽として始めたものだったらしい。
このオークション自体が「すべての魔眼は自分のものである」という姿勢を誇示するために行われているため出品要請を受けた側には拒否権がなく、要請を無視し続けた魔眼保有者が拉致されたり、両目をくり抜かれた死体で見つかる事などは珍しくない。
逆に魔眼を制御しきれず持て余していた者にとっては、魔眼を安全に摘出できる上に高額で買い取ってくれるため救い主そのものとなる。
「列車」とあるように外観は巨大な蒸気機関車のものになっているが、内部は異界化されているため非常に広くなっている。
出発地点こそ駅になっているが、レールではなく霊脈に沿って駆動する。このため、魔力に過敏な人間は慣れていないと酔いやすい。
補給のために時々停車する場所もある種のパワースポットであり、イギリスで走行した際は近くに妖精の輪(フェアリィサークル)が存在していた。
また、(アニメ版事件簿やFGOでは省略されたが)走行中の魔眼蒐集列車は霧に覆われており、列車内のみならず周辺の外部も半ば異界化している。
そのため外部からの侵入や内部からの脱出は事実上不可能であり、正式な招待者の乗降時以外では魔術師でも出入りは困難とされる。招待状が必要となるのはこのためである。
本来は北欧にしか出現しなかったが、かつて蒼崎橙子とその使い魔にやられた結果、北欧に限らずヨーロッパの各地に出現するようになったという。
機能
特筆すべきは、魔眼の移植・摘出を確実に行ってのけることである。魔眼とは魔術師に付属した器官でありながら、それ自体が独立した魔術回路であり、同時に個々の能力がある点から血筋に関係なく適応できる特殊な魔術刻印とも言える。独立した魔術回路であるがゆえに単体で魔力を生み出して術式を起動することが可能であり、その在り方は「一般の魔術回路に対してノウブルカラーは天体運営に近い」と表現されるのと同じようなものである。
そのようなものを摘出するだけでも至難の業であり、バルトメロイやトランベリオといった三大貴族に名を連ねる有力な家系でも二の足を踏む程だが、魔眼蒐集列車はその例外であり、科学的な免疫機構やさまざまな問題を無視して摘出どころか移植さえ確実にやってのける。
その行為はロード・エルメロイⅡ世曰く、「ある意味で嵐やマグマを切り離し、他人の身体に封じ込めるようなもの」であるという。
魔眼大投射
外敵に対する防衛手段として有する機能。
基幹車両リルカペローと霊質回帰型レンズ・ローズアイを使い、商品として陳列している魔眼を1回きりで焼き切らすのと引き換えに何百倍~何千倍に相当する威力で魔眼を行使するというもの。
『事件簿』では同じ上級死徒の"落とし子"であるアインナッシュの仔を迎撃している他、『偽典の帰還』(後述)ではとある神造兵器(の劣化再現版)と張り合う程の威力を見せた。
作中での活動
『魔法使いの夜』
魔眼「収集」列車表記で名称のみ登場。ルゥ=ベオウルフがかつて打ち破ってきた神秘の一つとして存在が語られている。
魔眼「蒐集」列車表記となるのは、これより後の作品からである。
『PS、TYPE-MOONの濃いファンの方は、魔眼収集列車じゃないのかと思うかもしれませんが、こちらは単に小説としての字面ゆえです。日本語訳が変わったんだなぐらいに思っていただければ。』
(ロード・エルメロイⅡ世の事件簿「case.魔眼蒐集列車(上)」あとがき)
『事件簿』
case.魔眼蒐集列車
ドクター・ハートレスに盗まれたイスカンダルのマントの切れ端を取り戻すためエルメロイII世一行は招待状を手に乗車。
そこでトリシャ・フェローズの首が切断される事件が発生し、その容疑者としてカラボー・フランプトンの魔眼が押収されてしまったことで、事件解決のためオークションへの参加を決める。
case.冠位決議
エルメロイII世一行を霊墓アルビオンの到達可能地点まで列車を走らせて送り届ける。
『Fate/Grand Order』
『事件簿』とのコラボイベント「復刻版:レディ・ライネスの事件簿」の追加シナリオ『偽典の帰還』の舞台として登場。
この列車ならば特異点からの脱出も可能な模様。
関連人物
『事件簿』
- レアンドラ(CV:行成とあ)
列車のスタッフの一人で、オークショナーを勤める女性。豪華なドレスに両目を覆う革の眼帯という特異な姿をしている。
- ロダン(CV:江越彬紀)
列車のスタッフの一人で、車掌を勤める痩せぎすの男性。
- 支配人代行(CV:日笠陽子)
かつて列車の支配人が残していった影であり、心霊手術にも似た技術で、至難とも言われる魔眼の摘出を行える唯一の存在。
ロダンをはじめとするスタッフの前に現れる事さえ稀である。
オークション参加者。とはいえ買う側ではなく、自身の過去視の魔眼を持て余しており、摘出してもらう為に参加した。
オークション参加者。レーマン家は魔眼の大家であるため、お得意様として何回か参加している模様。
ただし、魔眼の購入よりは売りに出されたものをサンプルとして観察する事と、レーマン家の人工魔眼を他の参加者に披露する事が目的のようである。
かつてのオークション参加者。妖精眼をオークションで競り落とし、息子のウィルズに移植したことがアニメ版で語られている。
その他
死徒二十七祖の15位。明言はされていないが、列車の支配人である「ロズィーアンの家名を持つ上級死徒」は彼女のことだと思われる。
この支配人の死徒は蒼崎橙子とルゥ=ベオウルフにオークションを台無しにされたことで列車からは手を引き、現在は配下と支配人代理に運営を任せている模様。
『Fate/strange Fake』
過去にフリー枠で発行されていた招待状を億単位の金を出して購入し、出品されていた未来視の魔眼を競り落としたとのこと。
- ハルリ・ボルザークの後見人
ボルザーク家との親交がある、カラスを携えた少女の外見をした魔術師。
かつてオークションに参加した際、ロード・エルメロイⅡ世と境界記録帯を見かけたと作中で発言している。
『Fate/Grand Order』
聖杯戦争の勝者として巨万の富を入手、それを用いて複数の魔眼を落札した。これが縁となって、「レディ・ライネスの事件簿」の舞台となった特異点に列車が現れた模様。
『事件簿』では娘が登場し、当人も"かつて魔眼を欲していた魔術師"として名前が挙がっている。