拙の顔のことは……嫌ったままでいてください
プロフィール
氏名 | グレイ |
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性別 | 女性 |
身長 | 154cm ※ |
体重 | 42kg ※ |
誕生日 | 6月17日 |
決戦の日 | 掌にぬくもり |
魔術系統 | 墓守の秘法。ある種の死霊術、魂の運び手の術である |
魔術回路 | 質:B / 量:B+~EX(EXは事件簿終盤)/ 編成:変質(彼女の魔術回路は現代の人間にはありえない) |
設定担当 | 三田誠 |
ILLUST | 坂本みねぢ |
CV | 上田麗奈 |
演 | 青野紗穂 |
※ 身長・体重は彼女と同じ数値。肉体変化の影響かは不明。
概要
『ロード・エルメロイⅡ世の事件簿』に登場するキャラクターにして、主な語り部。
常にフードを深く被り顔を隠した灰色の髪の15歳ほどの少女。元はロンドンから離れた田舎の伝統ある霊園の墓守の一族の末裔だったが、特殊な事情からロード・エルメロイⅡ世に引き取られ、その内弟子という形で魔術協会の総本山である時計塔に所属する事になった魔術師見習い。
人物
一人称は「拙(せつ)」。作中ではウェールズ訛りの古風な英語で喋っていると設定されており、それを表現するために、この一風変わった一人称が使われているとの事。
故郷では同年代の子供がいなかった事もあり、臆病で人見知りな性格をしている。田舎出身のため魔術師社会・魔術はもとより一般の世情にも疎く、自分はあまり頭が良くないと思っている。
また墓守の一族として傑出した才能があり、相手の本質を見透かす特殊能力を有している。そのため怨霊や死霊といった強い念を持った存在を恐れている。時計塔ではエルメロイⅡ世の身の回りの世話や護衛などをする傍ら、自身も一生徒として彼の講義にも参加している。
携帯している鳥籠のような装備に忍ばせているのは「アッド」と呼ばれる魔術礼装の一種。人格を持って喋り、口が悪く皮肉屋な性格をしている。そのためグレイを怒らせることも度々あるが幼少期から一緒に過ごした大切な相棒でもあり、他の人間に対する時よりも強気に接している。
能力
魔術属性は「地」。
対霊体のエキスパートであるブラックモアの墓守のひとりであり、その中でも突出して高い素質を持っている。しかし同時にその素質の高さから霊的存在の本質を捉えすぎてしまい、結果として亡霊という存在を怖がっているというアンバランスさを合わせ持つ。
通常の魔術師でさえ付き合いに細心の注意を払う亡霊は、魂を失っているがためにあらゆる欲望を剥き出しにするものであり、彼女は幼少の頃からそれを直視してきた。そして怖いと思うが故に滅ぼさずにはいられない。なお、苦手分野は肉体を持っていない部類なので、ゾンビはわりと平気。
魔術礼装の「アッド」は普段はルービックキューブ状の携帯モードだが、戦闘時には周囲の霊体や魔力を吸収・補食する機能を持つ『死神の鎌(グリム・リーパー)』と呼ばれる大鎌に変化するほか、他にも後述するようにいくつかの武装に変化することが出来る。武装の形態にはそれぞれ特性があり、大槌はサーヴァントのスキルに換算してDランク相当の魔力放出を放て、大盾は防御だけでなくチャージに時間はかかるものの魔力による砲撃が可能となっている。
戦闘時(及び宝具の開放時)には、
『Gray……Rave……Crave……Deprave……(暗くて……浮かれて……望んで……堕落させて……)』『Grave……me……(刻んで……私に……)』『Grave……for you……(墓を掘ろう……あなたに……)』
と自己暗示を行うことによりアッドとの間で、ある種の契約に則った循環が開始される。肉も骨も魔力によって生まれ変わり、かつてとある英霊が持っていた幻想種の因子すらも仮想構築される。
「アッド」で吸収した魔力は身体強化に使用されており、サーヴァントであるヘファイスティオンを相手にしてもある程度は渡り合えるほどの戦闘能力を持つが、『ロード・エルメロイⅡ世の冒険』では前作終盤に起きたある出来事の影響で魔力量が増大し、さらに戦闘能力が向上している。
魔力で強化されたグレイの肉体はライフル弾の速度に匹敵し、一般的な魔術師の強化を大きく上回る。アサルトライフルの銃撃を正確に視認して『死神の鎌』で切り落とすことも可能。
他にも、莫大な魔力をあてることで相手の神経を揺さぶって、対象を気絶させることが出来る。
加えて、千年クラスの神秘を持つとある武装を隠し持っている(詳細はネタバレ部分を参照)。
『FGO』でも、『死神の鎌』とそれを変形させた各武器による戦闘をこなしており、形状が『ロンゴミニアド』に酷似した槍の他、大鎚、大盾、ブーメラン、弓矢などの形態を披露している。
弱点
上記のように現代人としてはあり得ない程の性能を持つ彼女だが、一方で流石に都合よく無双できるとはいかず、事件簿、冒険の作中において様々な弱点が提示されている。
- 霊的感受性が高すぎる
- 歴代のブラックモアの墓守の中でも素質という点では突出している彼女だが、その理由の一端となっている霊的な感受性の高さは時として足かせとなり得る。その例として『双貌塔イゼルマ』における蒼崎橙子との戦闘では、霊感をジャックされ匣の魔物の気配を匂わされたことでグレイ自身の本能が防衛行動を起こし、肉体はおろか精神の芯にいたるまでが麻痺してしまったことで無力化されてしまっている。なお後述のプロフィールでも言及されている通り、死霊・亡霊の類を苦手とする彼女だが、一方で霊体ではあるものの死者ではない者(夜劫の山から湧き出る魑魅魍魎など)に対しては恐怖心を抱くことなくブラックモアの秘宝を十全に発揮できるため滅法強い。
- 修めた技術は対人間を前提としていない
- 身体強化がアッドとの二人掛りである
- 並みの魔術師を遥かに上回る身体強化を行える彼女だが、これはアッドとの二人で行使している魔術であるため、仮にアッドが機能を停止した場合には十全に身体強化を行うことが不可能となる。
- その場合でも10m程度の跳躍は可能な身体強化をグレイ一人分の力で行使することはできるが、シスター・イルミアのような機動力に長けた者の動きは目で追うことすら不可能である。
- ただし、冒険ではアッドなしで素手の戦闘などもこなしており、事件簿の頃より魔力量が増大し戦闘能力が上がっているグレイに対しては、どの程度この弱点が影響しているかは不明。
- 切り札は迂闊に使えない
- 後述するグレイにとっての切り札である千年クラスの武装は、その強大さや与える被害規模から迂闊に開放することができないという一面も持つ。彼女自身も『戦車の主砲を人間に向けるようなもの』であり手加減などできるはずもないとして、使用する場面は慎重に選んでいる。また、使用したとしても戦況が有利になるとは限らない。ラティオ・クルドリス・ハイラムとの二度目の交戦時にはエグゾフォルムで補強された沈没船に対し、そのすべてを焼き払うつもりで小島ひとつぐらいならば地図から消滅させかねない程の力を叩きつけているが、大損害こそ与えたものの航行能力は辛うじて維持している程度の被害になるまで防がれてしまい、乗り込んだ先で逆に使い魔の集団に包囲された事で王手をかけられるなど、使ったからといって事態が好転しない場面も存在する。
他作品での活躍
Fate/strange Fake
20歳ほどに成長した姿で登場。相変わらず師匠の世話をしているようだ。
アニメ版では、幻術用の礼装であるブローチによって『事件簿』と同じ姿をとっていた。
Fate/Labyrinth
アルカトラスの第七迷宮を探索中にノーマ・グッドフェローと出会う。
もっとマンガで分かる!Fate/Grand Order
ある人物によく似た顔で描かれている。
また、「リトルグレイ」と掛けているのか、小さくなって数体に増えていた。
Fate/Grand Order
クラス | アサシン |
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出典 | ロード・エルメロイⅡ世の事件簿 |
地域 | イギリスなど |
属性 | 秩序・善・人 |
好きなもの | 静かな部屋、葉巻の香り、古い本の匂い、皆が賑やかに語らっている教室 |
嫌いなもの | 死んでるはずなのに地上を歩いているもの、自分の顔 |
『ロード・エルメロイⅡ世の事件簿』とのコラボイベント『レディ・ライネスの事件簿』にてアサシンクラスのクリア後配布サーヴァントとして実装された。レアリティは☆4。
師匠が疑似サーヴァントとして召喚されており、その彼が特異点で下手を打った際に力を借りている英霊の宝具「出師表」を使用。その効果でカルデア側に臨時戦力として招聘されることになる。
元々英霊の因子を持っているため、デミ・サーヴァントでも疑似サーヴァントでもなく、存命の現代人であるグレイが直接召喚されるという特殊なケースとなった。アサシンの両儀式やキャスターのプリヤと近い状態なのかもしれない。特異点修正後も師を慕う思いの強さからカルデアに召喚され(というかついてきた)、時計塔での日常のように甲斐甲斐しく師の世話を焼いている。
またアッドもパートナーとしてしっかり登場している。バトル中は原作同様、鎌や盾、ブーメランなど様々な武器に変形する他、マイルームなどではぴょこぴょこ飛び跳ねて話しかけてくる。
ちなみにアサシンのクラスをあてがわれた理由はこのアッドの性質が関係している。
ステータス
マスター | 筋力 | 耐久 | 敏捷 | 魔力 | 幸運 | 宝具 |
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藤丸立香 | B | C | B | C | C | A+ |
独自のクラススキルの恩恵で筋力がBと中々に高く、アサシン補正から敏捷もB、宝具も後述にある超兵装であることを踏まえてA+と全体的に中堅以上のステータスでまとまっている。
ただしアサシンクラスになった理由が少々特殊だったためか、アサシンのクラススキル「気配遮断」は有していない。むしろ全体的な構成はアーチャークラスに近しい。
保有スキル
単独行動(A+) | 本来はアーチャーのクラススキル。マスターからの魔力供給を断ってもしばらくは自立できる能力。A+ランクともなれば、マスター不在でも行動が可能。 |
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対魔力(C) | 本来はセイバーなどのクラススキル。魔術に対する抵抗力。第二節以下の詠唱による魔術を無効化する。大魔術、儀礼呪法など大掛かりな魔術は防げない。 |
王の映し身(A) | 嘗ての王、未来の王の器たる事を顕すスキル。ブリテンの騎士王の器として生み出された。これ故、現代の人間では本来ありえないステータスを実現する。 |
対霊戦闘(B) | 大英帝国の中でも特筆すべき霊園――ブラックモアの墓守の後継者として育てられた彼女は、数多の凶悪な霊に対抗する戦闘技術を身に着けている。その特攻対象は、強大な英霊の具現たるサーヴァント相手でさえ例外ではない。 |
封印礼装解除(C) | グレイの持つ封印礼装「アッド」は、単に聖槍を封印しているに留まらず、状況に応じて特殊な開放をする事により、様々に形態を変化出来る。アサシンとして現界したのも、この礼装とスキル(「アサシン≒得物を隠して行動する存在」という定義付け)の為。宝具開放時には『第二段階限定解除』を行う。 |
最果ての加護(B) | 聖槍の所有者へと自動的に付与されるスキル。とは言っても、彼女にとって聖槍は一時的に預かっているものに過ぎない為、スキルランクは低下している。 |
ゲーム上での性能
ステータスは真夏の鞍馬天狗と同値で☆4アサシンでは攻撃特化。アサシンらしく《Quick:3/Arts:1/Buster:1》のQ偏重だが、どの攻撃も多段ヒットする上にクラススキル「王の映し身(A)」の効果でQカードでもNPを補給出来る。「対魔力(C)」および「最果ての加護(B)」の効果で、バステやデバフへの抵抗力も上々。「気配遮断」こそないが、それなりにスターも生産できる。
保有スキルは自身に攻撃アップ&死霊特攻状態付与(各3T)の「対霊戦闘(B)」Quick性能アップ&Buster性能アップ&無敵付与(各1T・無敵のみ1回限定)の「封印礼装解除(c)」NP獲得(20%固定)&弱体耐性アップ(3T)の「最果ての加護(B)」の3つとなっている。
宝具(ネタバレのため詳細は後述)の効果は【敵全体に強力な攻撃+Quick耐性ダウン(3T)&Buster耐性ダウン(3T)<共に、オーバーチャージで効果アップ>】というものになっている。
総括としては良好な攻撃性能と高火力の宝具で障害を薙ぎ払う自己完結型アタッカー。
ところどころが不足しているが、それをサポートしてやることで真価を発揮する。特に死霊特攻が乗った宝具はクラス混成でも1体当たり10万単位のダメージを与える死霊キラーと化す。同時に死霊特性を持つライダークラスエネミー自体があまりおらず、どうしても普段はクラス混成でのザコ一掃が主な仕事になりがちではある。それでも全体攻撃宝具持ちのアサシン自体が希少なため、特攻が入らない相手であっても宝具Lv5で運用可能なアサシンそのものがありがたい面もある。
またエクストラアタックのモーションが二種類あるのが特徴で直前に選んだカードによってモーションが変わる。後に呂布奉先もエクストラアタックのモーションを二種獲得する事となる。
そして復刻イベントにて、宝具に【無敵貫通を付与&NPを少しリチャージ(10%固定)】の効果を追加。この間に登場した光のコヤンスカヤ及びオベロンとの併用で宝具3連発が可能となったことから一気に頭角を顕し、周回でも高難易度でも活躍できる万能アタッカーへと躍進を遂げている。
関連人物
ロード・エルメロイⅡ世の事件簿
自身の師匠。第五次聖杯戦争に参戦するため「英霊」即ち霊的存在に対して切り札となる墓守を探していた。閉鎖的な村から連れ出してくれた人物であり、自分の忌まわしい顔を初めて「恐れて」くれた為、とても感謝している(Ⅱ世からすれば起きたことが起きたことなので仕方が無いが)。
グレイは最初から彼のことを慕っていたわけではなく、初期の頃は「いけすかない師匠」などと呼んでいたこともあったが、行動を共にする中で少しずつ信頼関係を育んでいく。後期には彼の身の回りの世話をするのが好きと思えるようになり、特に彼の髪を梳かしていると落ち着くとのこと。やや依存気味な所もあるが、ダメな面に関してはあまりフォローしない。
作者の三田誠によると、最初はⅡ世に対して距離を置いているが徐々に関係を深めていくという路線は事件簿のシリーズ化とともに決定していたようで、Ⅱ世を大切に想いつつも、恋愛関係ではなく師弟の絆という二人の関係の方向性もその時に決まったのだそう。
師匠の義妹。物語開始当初は関わりが少なかったため、知り合い以上友人未満な関係だったが、話が進むごとに一緒に出かけるなど仲良くなっていく。現在では立場を超えて親友となった。
兄弟子の一人。馴れ馴れしさに戸惑う事も多いが、それなりに仲良く接している。
兄弟子の一人。好意を持たれているが、彼からの接し方や態度(あくまで好意からだが、匂いを嗅ごうとしてくる)は苦手としており、ついでに彼に嫌われてると勘違いしている。
Ⅱ世の旧友。あまり自己主張をしない彼女が公然とクズ扱いをする珍しい存在。
ベルサック・ブラックモア
墓守の師であり、恩師と言える存在。
グレイが得意とする対霊戦闘は彼から教わった物である。
伝説に語られるブリテン島の騎士王。
とある事情によりこの人物の顔と瓜二つになってしまう。
Ⅱ世はその顔にトラウマがあり、グレイは自身の顔を嫌っている。
アーサー王の義理の兄である円卓の騎士。
当然面識はないが、実は意外なところでグレイに関係しており……
生まれ育った村と縁のある死徒。村の墓地を作った一族は彼と同じく魂を運ぶものとして鴉を重用していた魔術師であり、グレイの役割である墓守は口伝継承限定の魔術師。
マグダレナ
実の母親。顔が変わってしまう前からグレイのことを愛し続けており、一つの重大な決断をする。普段は怪しまれないように村の住人同様、グレイを特別視するフリをしている。
彼女が作るファッジはグレイにとっても大切な記憶になっており『Fate/Grand Order』のバレンタインではサーヴァントになったグレイが自分で作ってプレゼントしてくれる。
ロード・エルメロイⅡ世の冒険
妹弟子、ただし魔術師としては彼女の方が格上。
Ⅱ世は騎士王と共闘した彼女を知っているため、できるだけ会わせないようにしていた。
弟弟子。彼からは「姉さん」と呼ばれ懐かれており良好な関係を築いている。
また彼は神の因子を持っており、疑似的なサーヴァント級の実力者という点で共通。
Fate/Grand Order
かつて師匠が聖杯戦争で召喚したサーヴァント。
マイルームでは彼の姿を見てテンションが上がり、Ⅱ世に報告に行こうとしていた。
上記のイスカンダルの若かりし頃の姿。
やはり戸惑いを隠せなかったようだが親しくはなりたいと思っている模様。
この世界で契約したマスター。
Ⅱ世の教え子かつライネスの弟子ということで信頼している。
自分の力が彼/彼女の旅路の助けになるように全力を尽くす。
コラボイベントで自分と同じ顔の彼女が大量に現れて襲いかかった事に驚きと申し訳なさを感じていた、そりゃそうだ……更に言うと『アルトリア顔』の為、彼女の宝具の『アルトリア顔特攻』の特攻対象にまでなってしまっている、同じアサシンのクラスなのになんたる理不尽か……
その他
互いに面識は無いが、とある共通点がある。
なお、条件次第ではサーヴァントにも喰らいつける戦闘力持ちでも共通。
余談
演じた上田女史はufotable版の『UBW』にてモブの女子生徒の役で出演している。音声収録はアニメよりも『FGO』の方が先だったことを『カルデア・ラジオ局』にゲストで出演時に語った。
関連イラスト
関連タグ
ロード・エルメロイⅡ世の事件簿 Fate/strangeFake Fate/Labyrinth Fate/GrandOrder
ピサロ(ドラクエ)・ロザリー(ドラクエ):担当声優がグレイとアッドと同じ組み合わせ。
以下、さらなるネタバレ注意
フードの下のグレイの素顔は、かつて第四次聖杯戦争で活躍したアーサー王のものと瓜二つ。
アーサー王が使っていたという伝説の槍『最果てにて輝ける槍(ロンゴミニアド)』を有しており、発動すればあのエクスカリバーに匹敵する威力を見せる。衛宮切嗣が所有していたエクスカリバーの鞘同様、現存する宝具である。ただし現実世界に存在する槍は、世界に直接突き刺さり世界の表側と裏側をつなぎ止めている「本体」の影・一部にすぎない。
しかし影でさえ人間であるグレイの手には余ることと、神秘が激減した現代でこれ以上神秘性を失わせないために普段は封印礼装である「アッド」の内側に封じており、必要に応じて解放される。
封印解放には段階があり後述の「第二段階」はアッドの封印が解除された状態ではあるが、槍本体には「十三拘束」がついている状態である。しかしこれでも神霊の魔術並みの威力があり、『FGO』コラボイベント劇中ではアストライアの宝具を正面から打ち負かしている。
そして「十三拘束」が解放されれば槍の真の威力を発揮できるようになる。
アッドの形状が幾多の武器に変わるのも、この聖槍から溢れる力を利用したもの。十三の拘束と封印礼装によって二重に力を制限されてもなお、かの聖槍の輝きが失われることはない。
余談だが、担当声優の上田麗奈は別作品にてアーサー王と同じ名の人物を演じている。
宝具
最果てにて輝ける槍(ロンゴミニアド)
- ランク:A+(本来はA++だがグレイが扱いきれないためランクダウン)
- 種別:対城宝具
- レンジ:1~99
- 最大捕捉:100人
「アッド、封印を解放します。」「おうよ!」
『疑似人格停止。魔力の収集率、規定値を突破。第二段階、限定解除を開始。』
「聖槍、抜錨……『最果てにて輝ける槍(ロンゴミニアド)』ォォッ!!」
『FGO』では上記のステータスで実装。グレイには荷が勝ち過ぎるためこのレベルだが、ステータスの概要文を見るに、本来はこの程度に収まらないほどの力を秘めている。
その真価はシナリオを進めてきたマスターならご存知だろう。
第七聖典や三大プロイと同じく今なお現存する千年クラスの神秘の一つであり、剝離城アドラで行使した時のように十三拘束が解除されておらず、本来の『力』の一部が顔を覗かせているにすぎない状態でもなお神霊級の魔術行使を可能とする程の力を保有している。
事件簿の時は事前に十分な魔力を「アッド」が吸収しなければ使用できなかったが『ロード・エルメロイⅡ世の冒険』ではグレイの魔力量が増大したことで魔力を吸収する必要がなくなり、すぐに解放できるようになっている。さらに一度使用してもそのまま戦闘を継続できるようになっており、以前のようにしばらくはまともに動くのも難しいということもなくなった。
詳細は該当記事を参照。
顔の真相
実はグレイが住んでいた村はかつてアーサー王の遺体が(恐らく彼女によって)最初に運び込まれた村であり、アーサー王が亡くなる寸前まで所持していた『最果てにて輝ける槍』の封印も、この村で行われたという伝承がある。そのため村人達はアーサー王が女性である事も知っており、封印を施された『最果てにて輝ける槍』も数百年にわたって代々村に受け継がれていた。
しかし、聖槍を持ちながらも村人たちはその力を使う事ができなかった。連綿として受け継がれてきた「聖槍を扱える人材を作り上げる」ことを狂気・執念じみた目標として聖槍を扱った者、すなわち「アーサー王の肉体と魂と精神を再現する」という思想の下に長い時間に渡って「アーサー王」を作り続けた。それはいつしか王自体への信仰に変化しながらも長らく失敗が続いていた。
グレイはアーサー王の「肉体」として器になるための一族であり、エルメロイⅡ世はアルトリア・ペンドラゴンの遠縁の子孫ではないかと対外的には発言しているが、事件簿マテリアルによるとこれははぐらかしたという程ではないものの、彼女たちは本質としてはアーサー王の因子を埋め込まれた家系の方が近いとされる(因子を埋め込んだのはこの女性)。
生まれた当初はある程度似ている程度の顔立ちだったが、10年前に日本でアーサー王(アルトリア)がサーヴァントとして召喚されたのに共鳴し突如としてアルトリアとそっくりに変貌してしまった。そのために彼女は本来の自分の顔を失っている。どこまでが自分のもので、どこからがアルトリアの顔になったのかはもはや彼女自身にも分かっていない。
グレイの動揺とは裏腹に母を含めた村人たちはアーサー王の再臨だと喜び、それ以来彼女は「グレイという個人」ではなく「アーサー王の肉体」として扱われてきた。
そして劇中でも読者からも誤解されやすい部分なのだが、事件簿マテリアルによると彼女自身は今の顔(アルトリア顔)を嫌っているわけではないとされる。彼女が恐れたのは一言でいえば「変化」である。今の顔となって以降は故郷の人々から崇拝対象として崇められ、唯一の友人であるアッドの起動も今の姿になってからである以上、自分には価値がないのではないか、誰もが望む過去の英雄になり果てるべきではないのか……これこそが彼女の内面に抱える複雑な心境であり、実際に事件簿の序盤では「変わってしまう自分を受け容れて、故郷の人々に喜んでもらうべきだった」「今からだって遅くない」と独白するなど、危うい面が見られる。
この特殊な事情のため、村を訪ねてきたエルメロイⅡ世がかつて敵対したアーサー王に似た顔を見て恐怖したことで彼に興味を持ち、後に行動を共にする中で師匠として慕うようになっていった。
そして村人たちは完全なアーサー王復活のために英霊召喚を応用して英霊の座にいるアーサー王の魂を再現し、デミ・サーヴァントのような形でグレイに移植させようとしていた。それにはグレイの精神の消滅が不可欠であり、グレイという個人の完全な死を意味していた。しかし、そんな彼女の境遇を不憫に思っていた一部の者たち(内心娘を案じていた母親含む)の手引きにより、表向きは村で死んだ事にされた上で、同地に訪れたエルメロイⅡ世に託される形で村を出る事となった。
『FGO』ではアルトリア所持時に専用のセリフがある(ちなみに、セイバーとランサーで別々のセリフ)。そして謎のヒロインXのアルトリア顔特攻にも容赦なく含まれる。現実は非情である。
以下最終巻ネタバレ注意
村を出て数々の事件に遭遇してきたグレイとエルメロイⅡ世だったが、ハートレスの計画を止めるべく突入したロンドンの地下ダンジョン「霊墓アルビオン」で恐るべき怪物に遭遇する。その規格外の存在に「見られた」だけでⅡ世は死にかけ、グレイの意識も死んだ状態となった。
そんな中、グレイはある声を聞いた。遠い冬木の地にて正義の味方を目指す少年によって再び聖杯戦争に召喚されたアーサー王の『――問おう、貴方が私のマスターか』という声を。
これにより死にかけていたグレイの体に活力が満ちた。
ロンゴミニアドの真の力を解放すればアッドが壊れてしまうという状況ではあったが、師匠を助けるためにグレイはロンゴミニアドの力を解放、獣の視線を逸らすことに成功した。その隙を付いて二人は無事逃げることができたものの、アッドは機能を停止してしまう。
アルビオンでの事件が解決し、ある人物の力によりアッドもまた会話ができるようになった。しかし第五次聖杯戦争によってアルトリアが再び現世に召喚されたことでグレイのアーサー王化も再度進行を始めてしまうこととなり、彼女の銀色の髪には一房の金髪が混じるようになっていた。
これからどうなるのかは、本人にも分からない。
それでもグレイはエルメロイⅡ世の側に居続けることを決めるのだった。
『ロード・エルメロイⅡ世の冒険』ネタバレ
前作から3年と数か月がたったが彼女は容姿どころか身長も殆ど変わりがない。
成長が止まってしまったらしくⅡ世はそれをどうにかする方法を模索している模様。