概要
魔術協会の三部門の一つ、アトラス院に所属する錬金術師。時計塔でいうところの君主(ロード)にあたる家系、『アトラスの六源』の一つであるクルドリス家の女性。外見年齢は20代半ばであり、背が高く中性的、スレンダーな体つきをしている。自然界には通常ありえない蒼い長髪や紫の瞳をしているが、それさえ彼女に似つかわしく、グレイからは『ギリシャ彫刻を思わせる絶妙なバランス』『まるで、人工物のよう』という印象を持たれている。
誰もが忘れ去るほどの古い時代に、かつて3つの組織の、3人の魔術師が行った実験の結果の1つが現代になって外界に流出したことを受けてロード・エルメロイⅡ世達の前に現れる。
能力
アトラス院の錬金術師として高速思考と分割思考を行うことで、常に数秒先の未来を演算し続ける。その他、自らの骨を媒体とした錬金術を行使し、戦闘を行う。アトラスの六源とは家伝特質を託された一族の名であり、エルトナム家が自らの神経としてエーテライトを扱うように、クルドリス家は自らの骨としてエグゾフォルムを扱う。
使い魔である骨で形作られた怪物たちの姿は異形の蜘蛛、狼、物理法則を無視して空を舞う白骨の鳥など様々であり、ロード・エルメロイⅡ世の魔弾程度なら小ゆるぎもしない。使い魔の一匹ずつがその性能だとすると、総戦力は近代の軍隊にも勝るに違いないとされる。
降霊術にも人骨を動かして使い魔とする技術はあるが、ラティオのそれは質・規模ともにそれとは違う上、死霊の類ではないため別系統の技術である。
そして怪物たちの中でもひときわ強力なのがタンゲレと呼ばれている骨の巨人であり、身長は優に2m半を超え、重量も200㎏近くに至る。ラティオの分割思考のうち2つがあてがわれており、男臭い声での対話が可能。曰く、「自己判断での成長を許したら、ロクでもない性格に成り下がった」。
普段は魔力の節約をかねて普通の大きさの頭蓋骨の姿をとっている。戦闘のみならず解析、検証を行うことも可能であり、各種魔術系統、神話系統からの照合も同時に行える。
戦闘能力も高く、特に防御力や再生能力に関しては未来を演算することより、初めて見せる攻撃に対しても『そう来ると知っていたかのように』対策をとることができることも相まって優れた性能を見せる。一例として、サーヴァントのスキルに換算するとDランクの魔力放出に相当し、戦車の装甲さえ粉砕するグレイの破城槌でも吹き飛ばすのみで打ち砕けず、威力だけなら現代の魔術師としては最高クラスであり、禁呪である相乗さえ行い『ヘラクレスだって一回ぐらい死ぬ』という遠坂凛の宝石魔術さえ頭部を抉られるだけで倒れもせず持ちこたえ、瞬時に再生した。
また骨の使い魔たちと同質のものが、劣化して崩壊寸前だった船体を修繕し、まともな乗員もいないのに航行を可能としている。その際の船体の強度は、ロケットランチャーを撃っても微塵も揺らぎもせず傷ひとつ入らない。タンゲレには純粋な強度では劣るが、似た理屈で船体を保護しているとされる。
使い魔に戦闘を任せるばかりではなく、ラティオ本人も骨の剣による直接戦闘をこなす。身体の内側の骨を直接操り、限界以上の性能を発揮しての跳躍、連撃を繰り出す上に、高速思考と分割思考により相手の回避行動を演算する。
なお、アトラス院には原則として地下蔵の内側でつくられた兵器を持ち出してはならないという規則があるが、エグゾフォルムはあくまで骨であり、兵器ですらない。そのためアトラス院の掟には抵触しないが、それでもグレイ、遠坂凛、エルゴの3人を同時に相手取り、圧倒することさえ可能としている。
関連人物
クルドリス家がかつて関わった実験の成果物。本来であれば彼の相続権はラティオにあった。
資金調達のために鄭和の沈没船を探していたところ、エルゴをサルベージした。もともとソマリア海峡で海賊の『コンサルタント』として名を馳せていた(法政科に直接踏み込まれなければ神秘の秘匿はできていると言い張れるグレーゾーン)ため、ラティオにとって素性と居場所を割り出すのは容易だった。
逆にラティオが素性を明かした時には、相手がアトラスの六源であることにⅡ世共々驚愕した。
上記二人と同様に隙を突いて拘束したが、その後に抜錨された最果てにて輝ける槍はラティオにとっても無視できるものではなく、確実に防ぐ自信もなかった。結果としてそれまで姿を隠していたラティオ本人がⅡ世の喉元に剣を突きつけ、交渉を迫る。
交渉時にラティオが詳細を伏せる形で発言した「三つの組織から、三人の魔術師」というワードから、エルゴの設計思想、コンセプトをほぼノーヒントで解体した。噂通り侮れない相手であると評価される。
父、そして実質的な当主。魔術師社会に生きるが人並みの親子の情を持ち合わせている模様。
弟。クルドリスの次期当主と言われていたが事故死してしまう。
クルドリス家当主
祖父。次期当主である孫が死んでからは表舞台から姿を消し半隠居人となっている。