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概要編集

遠坂凛とシンガポールで海賊をやっていた謎の青年。赤い髪を生やしている。性格は穏やかで大人しく善良で人懐っこい。

漂流していたところを凛が発見して保護、そのせいかは不明だが過去の記憶を失っており、「エルゴ」という名前も、うなされていた時に言っていた単語から便宜上名前として付けたもので、本名ではない。いつも謎の空腹感を抱いている。


異常なまでに学習力が高く、短期間でいくつもの言語を取得することができる。また背中から幻手と呼ばれる六本の透明な腕を出すことができる。


短期間の間だがロード・エルメロイⅡ世の教え子となる。


その正体は、かつて数千年も昔にアトラス院の六源であるクルドリス家と、山嶺法廷の仙人ムシキ彷徨海ジズが、共同で三柱の神を喰らわせた存在。現状では、経歴を初め謎が多い。


能力編集

幻手、或いは神腕と呼ばれる6本の透明な腕を背中から展開する。

アトラス院の錬金術とは異なり、それよりはまだ近いものの時計塔周辺の魔術とも全く異なる何かであり、形成するためにロード・エルメロイⅡ世でも見当がつかないほどの魔力が使われている。


神秘としての強度も凄まじく、グレイとの初交戦時には、アサルトライフルの弾丸にも匹敵する身体強化と現代の魔術ならその殆どを振り払うことができる魔力放出を行える彼女を捉え、拘束した。

一般的な魔術師を大きく上回る『強化』を行えるグレイが抵抗したところでびくともしなかったことから、彼女からは『戦車にも匹敵するほどの力と、少なくとも十メートル近くは伸び縮みする性能を持ち合わせているに違いない。』と評されている。


一方で、彼自身もこの力を制御しきれているわけではなく、度々理性を失い力を暴走させている。

遠坂凛にサルベージされた時には「エルゴ」という単語以外を憶えていなかったが、これは記憶喪失ではなく、神という人の身に余る情報量を持つ存在を三柱も宿してしまったことによる、いわば記憶飽和とも言うべき欠落である。


エルゴが感じている飢餓感もかつて神の血肉を喰らったことによる喰神衝動(彼を造った魔術師達は、黄泉の国の食糧を食したことでそれ以外の食べ物を口にできなくなったヨモツヘグイやペルセポネの伝承に準えて神の血肉を喰らわせた)であり、これに強く蝕まれることで理性を失ってしまう。


シンガポールで力を暴走させた際には、島の海岸に隕石でも落下したのかという規模の巨大な手形を作り出し、日本で白若瓏と交戦した際に神腕の指から伸びた鉤爪は、その一本ずつが神話における聖剣や魔剣にも劣らぬ鋭さと強大な神秘を秘めているとされる程の力を引き出した。


この神としての性能を発露するたびにエルゴの人間としての人格は押し退けられ、内側に宿った神が彼自身をまず破壊してしまう。

そのため現状を打開すべく、グレイに宿ったアーサー王の因子を摘出する手段を探す旅をしていたⅡ世達と行動を共にしている。


関連タグ編集

ロード・エルメロイⅡ世の冒険

ハイ・サーヴァント:同じく複数の神の力を持つ存在。

疑似サーヴァント:英霊または神霊などが人間の体に宿った存在。


腕士郎高次の存在の一部を移植され絶大な力を得た存在。その代償として記憶を含めた人間性が崩壊し続けていく時限爆弾のような性質も共通している。

以下一部ネタバレ編集








































──装塡/神という名の弾丸。


──展開/周辺部位(バレル)の置換。


──纏繞/我が手は神を象る──!



























審神者の役を担ったロード・エルメロイⅡ世によって、これまでにエルゴが喰らった神の正体がある程度明かされている。


喰らった神は、言わばかつて消化された食事であるため単にその名を当てただけでは何の意味もないが、どのような存在であるかの来歴を紐解くことでエルゴ自身がかつて喰らった相手を自覚し、その権能を振るうことが可能となる。


また、神とは様々な属性の集合体であるためデタラメにかき集めれば、まず間違いなく反発し合うことになる。

そしてその影響を最小限にするため、彼に喰らわせた神は水か海に纏わる神であるという共通点を持つ者の中から選ばれているという。



「神核装塡・斉天大聖」

「神格展開・孫行者」

「神殻纏繞・如意金箍棒」


『花果山水簾洞美猴王』の名にあるようにその来歴からして水に縁があり、海運都市シンガポールにおいても尊崇され、神域にまでかつて登り詰めた大妖怪。


彼に由来しエルゴが権能として行使する如意金箍棒は本来武器ではなく、海の底を突き固めたとされる(=曖昧なものに形を与える)ものであり、最果てにて輝ける槍と同じく世界を繫ぎ止めていた宝具のひとつである。

その実態は空間固定の権能であるとされ、如意(持ち主の意のごとくに変じる)ということからひとつの世界が内包されていた可能性さえある代物。


作中ではムシキに対して使用し、一撃目で彼女のいる空間を固定、二撃目で空間を突き破り、彼女(の陽神)を虚無へと屠り去った。



「神核装塡・砂柩戦神」

「神格展開・セト」

「神殻纏繞・神王屠る十四棺」


かつて白若瓏が喰らった、ギリシャ神話におけるテュフォンと同一視される戦神であり兄弟殺しの神。砂と暴風を司り、強大な力そのものと恐れられた破壊神。

多頭蛇のルーツである太祖竜テュフォンと同一視されながら同時に蛇を打ち払う神でもあり、太陽神ラーの航海において、大蛇アペプから主神を守り抜いたことにより水の神としての属性も持つ。


砂嵐の神であるため、この存在を自覚したエルゴは膨大な量の砂を操るようになる。操られる砂は限界まで圧縮されることにより自然界にはあり得ない強度を付与することが可能であり、この能力を活かして砂で最果てにて輝ける槍を模倣し、撃ち放っている。


また、セトが兄弟神オシリスを棺に閉じ込めて十四に分割し、ナイル河に流したことに由来する権能〈神王屠る十四棺(ペル・ジェト)〉を行使することができる。


その内容は『十四に分割して、相手を葬る』ものであり、同時に『神を葬り、世界へと還す』というもの。

作中では白若瓏との交戦時に使用し、神腕によって攻撃することで〈灰燼灼鎧〉の外甲越しでありながら、彼の身体機能のうち十四分の五を『収棺』し、それらに該当する部位を行動不能にしている。


これらに加え、『収棺』した力を解放し、相手の権能を行使することもできる。この性質を利用し、白若瓏の〈汝、宙を裂く雷霆(ネガ・ケラウノス)〉とほぼ同量・同質の雷霆を放つことで拮抗させているが、奪った体は元に戻ってしまっている。















核心のネタバレにつき注意











エルゴ自身への神喰いが行われた実験場の管理者であったファラオ・プトレマイオスの記録を継いだゴーレムは、実験場に記録されていた過去のエルゴの姿を見たことでその真名を口にした。


アレクサンドロス四世


ロード・エルメロイⅡ世とも関わりの深いイスカンダルの息子であった。


より正確には、彼はアレクサンドロス四世の死体にプトレマイオスと3人の魔術師がそれぞれの思惑のもとに3柱の神のカケラ(神體)を喰らわせたもの。

死者蘇生とも異なる、言わば生まれ直した存在であり、喰らった神やアレクサンドロス四世とは別人の何者かである。


プトレマイオスによるとエルゴという名前も人の名前ではなく実験の名であり、現代風に言うならプロジェクト・エルゴとでも言うべきもの。今の彼は誰でもあり、誰でもない状態とのこと。


実験場での記録における彼はエルゴとして行動している今現在よりも表情が暗く、悲しい顔立ちをしている。

史実での彼はディアドコイ戦争において、生まれた時からイスカンダルの息子という立場を内乱、軟禁という形で振り回されてきたためにこういった表情をすることが当たり前な人生を辿っている。


また、アレクサンドロス四世に纏わる逸話の中に、彼を幽閉したカッサンドロスは『あらゆる文章を遠ざけ、読ませなかった』というものがある。

古代の残酷な一面を表したものであるように捉えられる逸話だが、その実態はやや異なる。


エルゴの特徴の一つに、飛行機の搭乗中にその国の旅行用ガイドブックを数冊読むだけで日常会話程度なら問題なくこなせてしまう超人的な語学能力がある。

そしてそのエルゴがアレクサンドロス四世(の肉体)であるとしたら、先述の逸話も別の意味合いを持つ。


すなわち、アレクサンドロス四世は誰も読み書きを教えなくても、なんでも読めてしまうような語学の天才であり、その資質にかつての征服王の面影を見出してしまい、恐れたカッサンドロスは彼から文章を遠ざけたというものである。

そしてここから分かるように、エルゴの異常な語学力は魔術とも神の権能とも関係ない、彼自身の肉体がもともと持っていた能力なのである。




なお、彼らの生きていた神代末期は例え強弁であったとしても、神官団を率いればイスカンダルはギリシャ神話とエジプト神話という2つの神話に跨がる主神の息子であるという逸話を真実として刻み込める余地があるほどの時代である。


そのような時代において、なぜ数多の功績を残したイスカンダルではなく歴史上空白の多いアレクサンドロス四世の死体を利用したのか、なぜエルゴが目覚めたのは現代なのか……


その真相に近づきかけたⅡ世は、この実験が人類の世界と神話そのものを利用した、超抜級の大儀式魔術なのだと形容している。

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