概要
かつて思想魔術を扱う山嶺法廷にに所属していた仙人であり、追放された十官。アトラス院のクルドリス家、彷徨海の魔術師と遥か昔に共同で何かしらの実験を行っていた人物。『盤』の制作者のひとりでもある。
人物
外見は白い炎のような女、とされる。輝くような肌には痣とも入れ墨ともつかない蒼い紋様がはしり、それもヒトガタの炎という印象を助長している。瞳は金色であり、右耳に金鈴のイヤリングをつけ、両手首にはぐるぐると巻いた金属の鎖を垂らしている。極めて美しいものの獰猛さがなお勝り、禍々しさを感じさせる印象をしている。一人称は妾(あたし)。
実年齢は不明だが、かつての共同研究者の末裔であるラティオとの会話の中で「個人の年数で言えば、こちらは桁が二つか三つ上の引きこもりだからな」という発言があり、かつ項羽や虞美人を実際に見たことがあるかのような発言もしていることからかなりの高齢であると思われる。また、彼女がエルゴに神を喰らわせたのは何千年も昔のことであったらしい。
現代とその人類に対しては、自分達でも星の表象として神をどうこうするのが手一杯だったにもかかわらず、彼らは本当に星そのものを食い荒らしている、だからこその霊長だとして高めの評価をしている。そのためか、想像以上に衰退していた現代の魔術師には拍子抜けすることも。
能力
生きながらにして神秘そのものを体現する正真正銘の仙人であり、肌や吐息、涙の一粒まで強大な神秘を纏う。ロード・エルメロイⅡ世達の前に現れたときには赤道付近にもかかわらず巨船を飲み込むほどの嵐を引き起こすなど、現代ではありえないほどの神秘を有しており、純粋な魔力の規模に至っては第五次聖杯戦争のサーヴァント達を上回る。
作中ではラティオによる回避行動を演算した斬撃を「計算に頼っている段階で、致命的に遅い」と手首に嵌めた手枷ですべて受け切り、タンゲレの剛力も難なく受け止め、逆に腕を紙粘土のようにもぎ取っている。
また、威力だけでもロケットランチャーを優に上回る遠坂凛の宝石魔術も「ああ、雪合戦のつもりか?嫌いじゃないぜ。なんたって害がない」といいつつ親指で圧縮した空気を弾き出し、魔術すら使わず凛もろとも吹き飛ばした。
これらは神秘はより強い神秘の前に無効化されるためであり、アトラス院のエグゾフォルムも凛の魔術も、彼女の肌ほどの神秘もないため当たり前に無効化される。
また白兵戦も行えるが、彼女の殴り合いは神話の戦いに例えられる。手刀の威力はアッドの大楯すら一撃で破壊されかねないほどであり、エルゴが幻手で受け止めた際には空気に並の魔術師であれば気絶しかねない域の衝撃が発生している。
受け止めた本人にもかなりの圧がかかっているらしく、足下はロケットランチャーの直撃すら無傷で耐え抜く船体であったにもかかわらず、ひび割れが発生した。
そしてこの時の彼女は陽神(実体を持つ分身)であり、思想鍵紋の使用も特権領域への接続も行っていない。魔術師で例えるのなら『魔術刻印もなく、基礎以外の魔術もなしの魔術師』状態であり、全力には程遠い上に致命傷を受けたとしても本体にはいささかのフィードバックこそあれ、無傷で済む。
なお、彼女の容姿と名は古代中国で恐れられた妖怪でもある無支奇に由来し、エルゴが喰らったシンガポールで尊崇されるとある水神の原型でもある存在である。
関連人物
クルドリス家当主、ジズ
2千年以上昔に、ともに実験を行った者達。
かつての実験で造り上げた、神を喰らった男。ムシキの彼の継承権は、クルドリスに次ぐ2番目となる。
エグゾフォルムの巨人であるタンゲレと交戦した際に「項羽の剛力はこの程度ではなかったぞ。虞ならば、もっと興趣をそそるいなしかたをしただろうさ。二千年以上を経て、お前はどちらにも至ってないのか」と発言している。
ムシキのことを「下手な神よりも厄介」と称した。後に判明した彼の正体を鑑みると、かなりの説得力がある発言である。