概要
正式名は『ユーフォーテーブル有限会社』。トムス・エンタテインメントの制作進行担当だった近藤光が2000年に設立。美麗な作画と同社デジタル映像部による撮影処理やCG技術に定評があるアニメ制作会社の一つ。
元々の本社は東京都杉並区だったが、2024年から新宿区の新宿フロントタワーに移転した。そのほか近藤の地元である徳島市にもスタジオを置く。
「副業」として全国7カ所にてカフェを、徳島市内にて映画館を、それぞれ経営している。さらにはカフェ経営を目的とした韓国法人も存在しており韓国・ソウル市内に1カ所、カフェを経営している。また、他企業に経営を委託する形で中国でもカフェ展開を行う。さらにマチ★アソビなどのイベント運営も行なっていた。
特徴としてグロス回の無い社内スタッフ中心の制作体制を構築しており、映像制作に必要な部門やスタッフがすべてそろっている。
また、かつてはエンディングのクレイアニメや意図的なOP詐欺に定評があった。現代を舞台にした作品ではエメマンがチラ見えすることも。
主な作品
TVアニメ
- 2002年・ヴァイスクロイツ グリーエン (下請けとして実制作)
- 2003年・住めば都のコスモス荘 すっとこ大戦ドッコイダー (正式な初元請け作品)
- 2004年・ニニンがシノブ伝
- 2005年・フタコイオルタナティブ
- 2006年・コヨーテラグタイムショー
- 2007年・がくえんゆーとぴあ まなびストレート
- 2011~2012年・Fate/Zero
- 2014~2015年・Fate/stay night [Unlimited Blade Works]
- 2015~2016年・ゴッドイーター
- 2016~2017年・テイルズオブゼスティリアザクロス
- 2017年・活撃/刀剣乱舞
- 2017年・Fate/GrandOrder × 氷室の天地 ~7人の最強偉人篇~
- 2019年~2024年・鬼滅の刃
- 時期未定・原神
劇場版
- 2007年~2010年,2013年・空の境界
- 2011年・桜の温度
- 2013年・魔女っこ姉妹のヨヨとネネ
- 2017~2020年・Fate/stay night Heaven's Feel
- 2020年・劇場版 鬼滅の刃 無限列車編
- 時期未定・魔法使いの夜
- 時期未定・活撃/刀剣乱舞
- 時期未定・劇場版 鬼滅の刃 無限城編
Webアニメ
- 2018年~2019年・衛宮さんちの今日のごはん
OVA
ゲーム(アニメーションムービー)
- テイルズオブエクシリア
- テイルズオブエクシリア2
- テイルズオブゼスティリア
- テイルズオブベルセリア
- テイルズオブアライズ
- ゴッドイーター シリーズ
- サモンナイト シリーズ
- 大乱闘スマッシュブラザーズX(亜空の使者)
- Fate/stay night[Realta Nua](PS Vita版)
- Fate/hollow ataraxia(PS Vita版)
- 月姫 -A piece of blue glass moon-(PS4、Switch版)
メディアミックスパッケージ
- おへんろ。(2014年~展開中。新聞コラム、漫画、情報番組、キャラクターコンテンツ)
不祥事
2019年3月末に週刊文春が脱税疑惑を報じた。疑惑とはいえ、ufotableが運営を務める徳島県のアニメイベント「マチ★アソビ」には徳島県の公金が投入されていることから、徳島県知事からは疑惑の解明を求められ、2019年4月15日にはufotable社長の近藤光が「マチ★アソビ」実行委員会会長を辞任した。これは、徳島県知事の発表であり、ufotableとしては近藤の辞任は非公表。ufotableと徳島県は報道以降もやり取りを続けていたが、近藤とは連絡が取れない状況となり、近藤本人から回答は得られなかったという。
報道後も調査は続き、2020年6月3日に脱税が確定。東京国税局によりufotable有限会社と近藤光個人が告発された。「マチ★アソビ」で、2011年10月から毎回催されている、東日本大震災被災地のための「チャリティーオークション」の収益の使途についても、不正会計の疑惑があり捜査された(後にこちらについては不正使用はなかったことが認められている)。脱税されたのは東京と大阪のカフェ店舗売上とされ、近藤が引き抜いた金額は億を超えると見られる。また、実際に近藤が隠した所得はその数倍と見られる。近藤宅の捜査では、抜かれた3億円の額が近藤自宅の金庫に保管されていた。社は報道の同日に声明を発表。ファンへの謝罪と共に、既に修正申告は終了し正しい税額の全てを納税したことを公表した。
なお、隠していた所得は合わせて約4億4600万円。脱税金額は法人税約1億1000万円と消費税約2900万円で、併せて約1億3900万円。
ufotableは2000年の設立以降、現在まで近藤社長によるワンマン経営で成り立っており、アニメ制作の予算管理だけでなく、同社唯一の経営者として関連店舗の売上金を近藤自らが管理していたとされている。また、店舗運営や物販展開などの経営方針は全て近藤の意向で決定されており、近藤の経営方針に関して社内でも批判的なスタッフが多かったが、近藤の意向は絶対であったという。
また、社全体の経理はアニメーション制作費から関連店舗の在庫管理、売上金、社員の給料を含め全てを近藤の妻が一人で担当していた。しかし、近藤の妻は税理士や会計士などの資格を有してはおらず、近藤と2人で杜撰な税金対策をしていた(後に近藤自身が妻に無理やりやらせていたことを認めている)。さらに、かつては各関連店舗のレジにて売上金額を従業員が確認できるシステムであったが、近藤が全店舗でロックをかけたため近藤以外は売上金の確認をとれない状態になっていたと報道されている。
今回の事件では作品の話題性もあり、制作作品である鬼滅の刃の名前が強調されて報道されたが、実際に脱税を行ったのは2015年と2017年、2018年のカフェ売上金であるため、近藤が売上金を改竄したのはTYPE-MOONとのコラボだったFateカフェの売り上げが中心である。また、東京・大阪のカフェ売上資金以外のアニメーション制作費などには手を付けていなかった。
現役のアニメ制作会社における脱税事件は他にも事例はあるものの、その中でも1999年のガイナックス脱税事件に次ぐ規模の脱税事件となった。
なお、事件後の対応として、次回作となる劇場版「鬼滅の刃」では宣伝の段階から事件の当事者である近藤社長の名前は削除されている。
その後、ufotable自身が全額納税したことや脱税の目的が「将来作品がヒットしなくなった場合の運用資金を手元に残すため」であったことが調査の結果認められた点、そのうえで実際に脱税資金には手を付けていなかった(運用資金は適正な金銭が使用されていた)ことも認められ当初の求刑よりは減刑されるも、妻に無理やり不正をさせていた点や、ufotableの利益が2012年以降大幅黒字の経営であり赤字になったことがなかった点から、「経営者として強い非難は免れない」とされ、2021年12月10日、懲役1年8か月執行猶予3年の有罪判決を言い渡した。
脱税報道後、ufotableとしても経営体制の見直しが行われ、200名の全スタッフ正社員化やボーナスアップ、社会保険労務士を顧問とする働き方改革への対応などが行われたほか、経理面では国税局OBの税理士が全てを管理することになり、経理に関して近藤とその身内は一切関与できないことになった。
なお、事件後も近藤は代表の座に残り続けているが、表舞台に顔を出すことはなくなった。
マチ★アソビに関しては、その後も運営を変えて開催はされていたが、コロナ禍が重なったことによる縮小に加え、2023年に長年本イベントを推し進めていた県知事が交代になったことにより、2024年の春のマチアソビは中止された。同年10月にプレイベントを開催し、2025年春に再開する予定。
関連項目
Kalafina:制作アニメに多数の主題歌を提供
平尾隆之:元所属スタッフ