この痛みは、君の心に触れたから。
概要
テイルズオブシリーズの1つ。同シリーズ25周年目の作品となる。固有ジャンル名は「心の黎明を告げるRPG」。
略称は「TOARISE」で、twittetの公式アカウントのハッシュタグも同様。
「TOA」とすると同シリーズの『アビス』と被ってしまう為で、本作よりイニシャルの重複を良しとする方針にしたと言及されている。
キャラクターデザインは岩本稔が担当。また、岩本氏は今作のアートディレクターも担当している。
「テイルズオブフェスティバル2018」で発表自体はされていたが、タイトルやPVが正式に公開されたのは2019年6月10日である。
ハードはプレイステーション4、プレイステーション5、XboxOne、XboxSeriesX、Steamで2021年9月9日に発売した。
あらすじ
隣り合うふたつの星、ダナとレナ。
300年前、自然あふれる世界であったダナは、高度な科学や魔法が発達したレナから突然の侵攻を受け、以来は終わりなき隷属を強いられることとなった。
ある日、鉄仮面に顔を覆われたダナの青年と、同族から追われるレナの少女が出会った。
この思いがけない邂逅はふたつの星の運命を揺るがす、物語の始まりに過ぎなかった―――
登場人物
パーティーキャラクター
本作では子供や中年、老人にあたる年代の人物がおらず、20歳前後の若者ばかりなのが特徴。
「人種の違いを乗り越える」という困難な道を象徴するように、時に衝突し時に葛藤しながらも、少しずつ互いに歩み寄ろうとする過程が丹念に描かれているのも特色である。
本作の主人公。仮面をしているダナ人の青年。過去の記憶と痛覚を失っている。
本作のヒロイン。レナ人の少女。触れた者に激痛を齎す「荊」の呪いに苛まれている。
アルフェンとシオンの前に行き倒れた少女。ダナ人でありながら星霊術を行使できる。
レナの警察組織「蛇の目」の一員であるダナ人の少年。アルフェン一行に立ちはだかる。
メナンシアの近衛兵団の一員であるダナ人の女性。ダナとレナの共存を夢見ている。
エリデ・メナンシアの領将。ダナ人に対して友好的な態度を示す、上流階級のレナ人。あらゆる芸術に造詣が深い。
リンウェルと行動している、ダナフクロウの仔。
領将(スルド)
- ビエゾ/エルウォルゼ・テルディリスCV:立木文彦)
ダナの国のひとつオルブス・カラグリアを支配する領将。「火の星霊力」を集めている。
- ガナベルト/ガナベルト・ファルキリス(CV:中田譲治)
ダナの国のひとつシスロディアを支配する領将。「光の星霊力」を集めている。
- アウメドラ/アウメドラ・カイネリス(CV:田中敦子)
ダナの国のひとつミハグサールを支配する領将。「風の星霊力」を集めている。
- ヴォルラーン/ヴォルラーン・アングサリ(CV:速水奨)
ダナの国のひとつガナスハロスを支配する領将。「水の星霊力」を集めている。
抵抗勢力
カラグリアで活動する、レナへの抵抗組織「紅の鴉」のリーダー。
世界観・用語
世界・地名
- ダナ
本作の舞台となる惑星の一つ。自然が豊かだが、文明は現実世界の中世レベルで、魔法についても発展が殆どない。300年前にレナから突然侵攻を受け、なすすべもなく敗北。以降はレナの隷属下にある。
そのためダナ特有の文化や歴史も殆ど残されていない。ダナ人は星霊術を使えず、ファミリーネームの風潮がない(正確には300年前にレナに支配されてから、血の繋がりによる団結を防ぐ為に撤廃されてしまった)。
ダナは5つの領土に分けられ、レナから派遣されてきたレナ人の領将(スルド)が支配している。
5つの領土ごとに気候が極端に違うが、これは星霊力を集めやすいようにレナによって気候を変えられた結果であり、300年前はそこまで極端に違っていなかったとのこと。
- レナ
本作の舞台となる惑星の一つ。魔法・科学技術共に発達しており、極めて高度な文明を持つ。
300年前にダナに侵攻し、文明レベルの差による圧倒的な戦力差を以て圧勝、以後ダナを支配下に置く。
レナ人は星霊術を使う事ができ、星霊術を使う時に目が青く光るのが特徴的。
本来のフルネームは「個人名+世代+系統+母集団」で構成されており、普段は「個人名+系統(家名)」を名乗っている。
- レネギス
ダナとレナの中間に位置するレナの人工惑星。レナ人の住居兼ダナへの前線基地を兼ねており、領将及びダナに派遣されるレナ人はレネギスにいる住民の中から選ばれる。
星霊力の強さを重きに置いた絶対的な序列社会であり、星霊力の強さで上級層と下級層に分けられている。領将及びダナに派遣されるレナ兵は星霊力の高さから選ばれる為、主に上級層民から選ばれる事が多い。
- オルブス・カラグリア
ダナの国の一つで、「劫火と灰渦巻く国」と呼ばれる。星霊力を奪われているためか、岩と砂だらけの不毛の大地が広がる。その上、あちこちで炎が噴き上がっており、その煙は陽光を曇らせる。
- シスロディア
ダナの国の一つで、「かつての輝き宿る国」と呼ばれる。絶えず雪が降りしきる厳しい気候であり、光の星霊力を集める関係で陽の光がささないようになっている。さらにレナ人の支配体制により、人々は支配者だけでなく同胞からさえも身を守らないといけない状況にある。
- エリデ・メナンシア
ダナの国の一つ。心地よい風が駆け抜け、美しい緑が広がる豊穣の国。かつては他の領土と同じようにダナ人の奴隷が強制労働させられていたが、現領将の意向により今はダナ人とレナ人が分け隔てなく生活を共にしており、苦役に苦しみ、奴隷とされる者はこの地にはいない。
- ミハグサール
ダナの国の一つ。絶えることのない風が吹き荒れる土地であり、カラグリアと同じように岩と砂が多い。また海に面しており、領将の意向で船の開発にも力を入れていた。ダナ人は谷底に住居を構えており、そこから長い階段を登らされて風車を運転させる労働に就かされている。
- ガナスハロス
ダナの国の一つ。首都「ペレギオン」は湿原に囲まれており、湿気の多い土地である。また密林の奥には野生ズーグルたちの巣の合間に作られたダナ人たちの隠し村があり、村人たちはレナ兵に見つかる恐怖に怯えながら過ごしている。
用語
- 星霊力
物質や生命に遍く宿る力。これが奪われると、気候や自然に大きな影響が出る。
属性は地水火風光闇と六属性。そのうち光はダナ、闇はレナにしか存在しない。
- 星霊術
星霊力を利用して発動する魔法。レナ人が使う事ができ、発動中は目が青く光る。レナ式の機械を扱う時の認証にもなる。
- 魔法使い一族
ダナ人が使う事ができない筈の星霊術を使えるダナ人の一族で、リンウェルが該当する。レナ人ではないため星霊術の発動中も目は青く光らないが、その力はレナ人にも全く引けを取らない。遥か昔より存在していたがダナ人から迫害されてきた為隠れ住んでおり、それが幸いして300年前のレナ侵攻の際にも見つからずに済み、レナに剥奪されてしまったダナの歴史も受け継いでいる。
- 炎の剣
「火の主霊石」に宿っていた星霊力が顕現した力の一つ。シオンが所持している。その名の通り、剣全体が使い手の手を一瞬で灼く程の熱を持っており、痛覚のないアルフェンにしか使えない。
- 領将(スルド)
ダナの土地を分断し、支配するレナ人の5人の統治者。領将の証として主霊石を持ち、額に紋章が浮かび上がる。ダナ人を奴隷として酷使し、ダナの土地の力の源である星霊力を奪っている。領将同士は競合相手のため基本的には不仲であるが、それぞれの領土の特産品を仕入れる為に多少の交流はある。
レネギスにいるレナ人の中で星霊力が高い者が年齢や身分関係なく選ばれており、領将に選ばれた5人は王に次ぐ権力を持つ。最も星霊力の才能は血筋によるものが大きい為、領将を輩出する家系には偏りがあり、それらの家系はレネギスにおいて名門とされる。
- 霊石(コア)
ダナ人が奴隷の証として生まれた時に手の甲に埋め込まれる石。領将たちはダナ人を奴隷として酷使させる事で星霊力を放出させ、霊石を通じて集霊器に星霊力を蓄えている。
- 主霊石(マスターコア)
領将の証となる霊石。地水火風光の五つの属性を持つ。
ダナ人の奴隷の霊石を通じて集霊器に集められた星霊力はこの中に貯蔵される。そのためダナに存在しない闇属性の主霊石はない。戦闘の際には主霊石から星霊力を引き出し、強力な術を行使することも可能。
- 領戦王争(スルドブリガ)
5人の領将の中で王座を巡る争いのこと。主霊石に最も星霊力を多く集めた領将が次のレナの王となる。領戦王争が終われば領将がまた新しく選び直される為、領将は大体約十年近くで交代となる。
- ズーグル
レナの兵士らが使役する魔物。レナ兵は制御できるが、中には野生化してしまったズーグルもいる。
- 抵抗勢力
各地に存在する、ダナ人によって結成されたレナへの抵抗組織。アルフェン一行と協力し、領将の打倒と解放を目指す。
ただし、彼らの抵抗や争いが更にレナの圧政に拍車をかける事もあり、必ずしも人々から讃えられているわけではない。
アーティスト
主題歌
『HIBANA』 歌:感覚ピエロ
グランドテーマ
『Blue moon』 歌:絢香
劇中歌
余談
今作は元々25周年記念として作られたためか、過去作のテイルズに出演した声優が多いほうである。
近年はテイルズオブゼスティリア炎上騒動の影響でシリーズに見切りを付けてしまった者が多く、比例する形で期待値も低かったが、それ故Amazonユーザーに向けて体験版が配布されるなど熱心なアピールが行われた。
こうした大盤振る舞いなPRについて、本作のプロデューサーである富澤祐介は、ゼスティリアの失態の後、次回作のベルセリアの新規購入者が1%程度しかいなかった事を挙げており、記念作には拘らずシリーズの復権と新規ユーザーを第一に掲げ、「発表から5年」という1年で2タイトル出ることも珍しくもなかった中で最も長い開発期間を経て完成させた。
その出来はメタスコア80後半とかなり高評価で、多くのゲームレビューをメインとするYouTuberからも絶賛された。
購入を躊躇っている人たちにも、これから国産RPGが好きな人にも是非プレイしてほしい。
Beyond the Dawn
そして発売から2年後、物語の1年後を描いた大型DLC『ビヨンド ザ ドーン』が発表された。
発売当初は後日談を描く余地を残しつつも、あくまで余地に留めて「製作する予定は無い」とされていた。
しかし本作が想定以上に好評だった為、開発が決定。
あくまで後日談扱いなので、『ラタトスクの騎士』等の様に、新作ではなくDLCとして製作されたが、予想以上にボリュームが膨らみ、プレイ時間は約20時間となっている。
登場キャラ
母がダナ人の奴隷、そして父がレナ人の領将であるハーフの少女。
元より父から疎まれており、新生した世界でも居場所が無く、アルフェン達と交流を重ねるも、様々なすれ違いから強大な敵として立ちはだかる影の主人公。