――――そうか。そうであったな、ユスティーツァよ
プロフィール
誕生日 | 不明 |
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血液型 | 不明 |
身長 | 145cm |
体重 | 43kg(しかし、ある程度可変だと思われる) |
イメージカラー | 群青 |
特技 | 株式投資、虫や鳥などの飼育(使役?) |
好きなもの | 出来の悪い孫たち、悪巧み |
苦手なもの | 太陽の陽射し |
天敵 | 教会の代行者 |
CV | 津嘉山正種/立花慎之介(若年期) |
概要
坊主頭に深い皺が刻まれた短躯の和服姿の老人で、本名は「マキリ・ゾォルケン」。元々は日本人ではなくロシア系の出身の魔術師であったが、1790年頃に日本に根を下ろして以降は現在の名に変えている(マキリ=間桐、ゾォルケン=臓硯)。
魔道の名門であるマキリ家の500年前の当主であり、戸籍上では鶴野と雁夜兄弟の父、桜と慎二の祖父に当たる。同家では桜と慎二から数えて6代前の人物だが、実質的に間桐家を牛耳る真の当主である。
魔術の力で肉体を人のものから蟲に置き換える事で数百年も延命を重ね、既に人外と成り果て生き続けてきた文字通りの「怪物」である。
200年前の御三家による大聖杯儀式にも参加しており、サーヴァントと令呪のシステムを考案したのも彼である。
それ故に聖杯戦争を現在に至るまで全て見届けてきた稀有な人物で、過去にアインツベルン家の犯した反則がもたらした異常性をいち早く見抜いていた。
以降に開催された第四次聖杯戦争では不参加を決定し、養子に迎えた桜を育て上げて次回へと持ち越す事で、様子見に徹するつもりであった。
しかし、その矢先に出奔していた雁夜が家に戻り、彼の「桜を解放しろ」という要求を受け参加を承諾する。アニメ版では雁夜のために聖遺物を用意したりもしていたが、実際のところ雁夜には何の期待もしておらず、むしろ生意気にも間桐イズムにそぐわぬ英雄的自己犠牲を払おうとし自身を激憤させた雁夜への制裁として苦しむ様を見たいがため、サーヴァントの能力強化を建前にわざわざ消費と負担の激しいバーサーカーを召喚させる悪辣さを見せた。結果は予想外に善戦したものの敗退したが、聖杯戦争終結後に臓硯は火災現場に赴き、そこで砕かれた聖杯の欠片を入手している。
そして予定よりも大幅に早く開催された第五次聖杯戦争においては、桜をマスターとしてライダーを召喚させる。だが、あるルートにおいて桜が「マキリの杯」として覚醒したのを期に臓硯自身も真アサシンを変則召喚し、聖杯戦争の裏側で暗躍する。
普段の生活としては、遠坂家のように霊地を管理する地主として、間桐家が抱えている霊地(冬木市以外にも所有している)を他の魔術師に貸し、その土地収入で暮らしている。経済的には、凛の世代においては遠坂家より安定している様子。また町の町内会長を務めている。
こうした霊地を直接巡って管理している(その為に聖杯戦争中以外では留守にしている事が多い)が、それ以外では苦手な日光の届かない屋敷の奥に身を潜めている。
人物像
概要でも少し述べたように、狡猾さと残忍さを兼ね揃えた外道。他者の悲哀や辛苦から娯楽を見出している。それは、たとえ身内の人間であっても例外ではない。虫、鳥などの飼育と株式投資が得意でできの悪い孫たちと悪だくみが好き。
数百年を生きてきた賜物なのか洞察力も鋭く、『Fate/Zero』においては言峰綺礼の本質(悪)を見抜いている。
元来がこのような性格ではなく、かつては自らの代で魔術師としての限界を迎えた事に抗い、やがて衛宮切嗣や衛宮士郎のように正義と理想を抱くようになった求道者であった。
ところが、数百年という延命の過程で「人間でありながら肉体が蟲」という苦痛と共に魂が摩耗していき、同時にその意志と記憶さえも消え失せ、現在のように変貌してしまった。その為に、過去に渇望していた「悪の根絶」成就の為の延命も、現在では目的と手段が逆転し、自身が生き延びる事に固執する「不老不死」に変わっている。ただし、『Fate/staynight』のあるルートでは、死の直前に失われた過去の記憶を僅かに取り戻している。
一方で『Fate/hollowataraxia』や同作に収録されている『トラぶる道中記EX』に登場した際は、根底は同じものの本編での外道ぶりは影を潜めている。
というのも、寸分違わず外道一色かつ他のどのマスターとも険悪な仲というその特殊な立ち位置もあって、staynight出身のマスターの中では1番外伝作品での出番が少ない。
『hollowataraxia』では聖杯が喪われて今後の正規の聖杯戦争が実質的に不可能になったことで、幸か不幸か完全にボケてしまい、力関係の逆転した桜に怯えながら引きこもってしまっており、新しい家政婦を雇っては悪戯をして泣かせている。さらに『トラぶる道中記EX』では何処か憎めないおとぼけ爺ちゃんと化しており、そのエピソードでは聖杯の力で若返った彼が登場している。
外見だけでなく腐敗した魂までもが若返ったようで、その性格は物腰柔らかな紳士であり、容貌も頭髪の色やクセは子孫である鶴野や慎二を彷彿させるが、それ以外はイケメンの方のランサーと見紛う程の長身でハンサムな美青年である。
端的に例えると、彼らを足して二で割ったような姿で、作中のイラストや設定画では耳ぐらいしか老齢時の面影が無い。
……こんな好青年がどうしてああなった。
余談であるが、『Fate/Zero』の二次創作では愉悦部の特別顧問(またはOBなど)を務めている。
能力など
蟲使いの能力
本来マキリは水属性を持ち、使い魔の使役に特化した家系であり、さらに「吸収」の属性を持つとされるが、臓硯自身は蟲の使役に全ての魔力を導入しており、作中で虫の使役する魔術以外の魔術を行使する場面は無い。
使役する蟲の種類は多岐に亘り、術者と視覚を共有し偵察等を行う「視蟲(しちゅう)」、雁夜や桜に植え付けた魔術回路の補強を促す「刻印蟲(こくいんちゅう)」、攻撃用の凶暴な肉食虫である「翅刃蟲(しじんちゅう)」など。
延命術
蟲を操る術の応用として、臓硯は自らの肉体を蟲に置き換え延命を図っている。一定期毎に新しい蟲で肉体を構築・交換しており、その身体はたとえ欠損したとしても臓硯本体の魂を収めた核となる蟲を破壊される、霊体へ直接ダメージを与えでもしない限り、他者の血肉を「吸収」する事で何度でも再生する。吸収する対象は動物でも可能だが、人間の方が効率としては良いらしい。なお魂の容れ物である本体の蟲は聖杯の破片から作った脳虫と呼ばれる刻印虫で、間桐桜の心臓に寄生している。
このように蟲を触媒に干渉する霊体なので、サーヴァントですら彼を完全に殺すのは容易ではなく、殺すためには本体を叩くか魂そのものを浄化するしかない。ただし、それでも再構築の際には負荷が掛かり、他には蟲の性質上から日光を苦手としており、直射日光を極力避け、作中では深夜に若い女性を襲って捕食し、身体を維持している。
この延命術により500年以上も生き続けているが、前述の魂の摩耗に比例して延命術そのものも劣化しており、当初は半世紀毎に新しい身体に移し替えていたが、現在はそれを半年毎に行なわなければたちまち腐敗し崩壊してしまう程(本編以外に『トラぶる道中記EX』でも、「完成された秘術を以てしても劣化は免れない」という臓硯の台詞に現れている)。
外見も最初の内は延命を始めた頃の青年姿を保っていたが、魂の劣化に伴い現在の老人の姿に変わってしまっている。これは既に臓硯の本来の肉体(細胞や血液といった遺伝子)が失われており、再構築の際の参照先が臓硯の魂しか残っていないため。つまり、現在では老若男女問わず他者を捕食しようともこの老人の姿にしかなれず、本人も「他の姿に変えられるものならそうしたい」との事。
『アインツベルン相談室』や『Heaven's_Feel』によると、大聖杯儀式時の彼(当時300歳前後)は青年姿で活動していたようで、劣化が始まったのはそれ以降のようである。また、この延命術には「蟲に嬲られる苦痛」を常に伴うというリスクがあり、劣化が始まってからは苦痛が更に悪化していき、なんと臓硯はそれに何百年も耐え続けていたようである。
召喚術
過去にサーヴァントと令呪のシステムを考案した実績から、召喚術に関しては滅法強い。作中では、佐々木小次郎の肉体を触媒に真アサシンを呼び出す変則召喚を実現させている。
これは、ちゃんと聖杯戦争の仕組みを知っている臓硯だからこそ出来た裏技。「なに?もうアサシンが喚ばれておるだと?ではその偽りのアサシンの肉体を「召喚に使う魔力」として、真なるアサシンを呼び出そう。数は合っているので聖杯も誤作動するじゃろ」という具合。
ただし正規ではない外法ゆえ召喚された真アサシンは知性や言語すら満足に働かない状態の不完全な顕現となっていた。
死骸を操る
作中既に脱落していたキャスターを操っていた。
これは刻印虫を操る魔術の応用で、死体から脊髄を剥がして脊髄そのものに擬態する虫を突っ込んで操っている。
これには、対峙したセイバーも動揺、憤慨していた。
全盛期
アインツベルンとの合流前とすると、ゴルドルフ(平均的な名門三流魔術師)10人分。サーヴァントを相手にしても善戦、状況さえ良ければ一騎ぐらいには勝てるレベル。LV70ぐらいの典位(プライド)。
補足
元々のマキリ家の魔術特性、本人によるサーヴァントや令呪のシステム考案、これを応用した前述の変則召喚、時計塔在籍時に境界記録帯(ゴーストライナー=サーヴァント)の論文を残しているなどから降霊術に造詣が深いと見られていたが、意外にも降霊科ではなく実際に所属していた学科は植物科と呪詛科。
その他の作品での活躍
Fate/GrandOrder
『Fate/zero』とのコラボイベント『Fate/Accel_Zero_Order』に登場。
原作通りに息子の醜態を愉しみつつ傍観を決め込んでいたが、なりゆきから間桐邸がライダーの蹂躙・略奪の対象となり、外出中(フランチェスカの妨害に出ていたのでは?という考察がある)に地下の蟲が一切合切焼き尽くされた上、間桐の魔術の系譜をつなぐ手段も奪われたため、放置され消えかかっていたバーサーカーと主従契約をして本格参戦を決める。
その後、大聖杯を解体しようとしている御三家の一人を詰りながら最終決戦の場に乱入。何処に至り何を成すかなどどうでもいいと嘯きながら、500年にわたる探求の結末を見せろと叫び、自分たちの古き夢の結晶たる大聖杯を守るべく立ちふさがる。
バーサーカーが倒されると、小聖杯に溜まった膨大な魔力を奪い取り、直接大聖杯に注ぎ込むという神業を披露して大聖杯を起動させる。
この世全ての悪に汚染されてこそいたが初恋の人との再会を果たし、彼女の面影を偲ぶためだけに自分は生きながらえてきたのかと感慨に耽りながら、彼女の最初の餌食にされて退場した。
また、4章には若き日の彼が登場。魔神柱になる魔術師の家系であった事が判明する。こちらでは何者かに自らの未来の姿を見せられて狂い果て、最終的に魔神柱と化して主人公達に討伐された。魔神柱になるルートを回避できる要因はやはりユスティーツァの存在だろう。モーツァルトが音楽に魂を売っていた事と、マリーとの出会いが魔神柱になってしまう運命を回避したように、女性との出会いは正に運命の分岐点となるらしい。尤も、彼の家系が魔神柱になる家系としてデザインされた以上、運命を回避した後の末路は決まっていたのかもしれない。
しかし、4章で彼が死んでしまった事で、FGO世界で初めての聖杯戦争(第五次聖杯戦争に相当。)に色々と矛盾が起きてしまう。(令呪システムなどを考案し、冬木の聖杯戦争を作り上げた一人である為。誰かがゾォルケンの代わりになったのだろうか。)
その後、プレイヤー達から
「原作で散々やった悪行への自業自得と取れる末路」を叩き込まれる事になった。
Fate/Apocrypha
劇中には登場しないが設定によると、第三次聖杯戦争でダーニック・プレストーン・ユグドミレニアを相手取り魔術戦・謀略戦を行い奮闘したらしい。しかし結果として聖杯は奪われ、そのことが原因で廃人となり、マキリは魔術師の家としては滅んでしまったらしい。
アニメ化および漫画化された際には、敗北し冬木教会にて血塗れとなって倒れる姿が描かれた。
ロード・エルメロイⅡ世の事件簿
ルフレウス・ヌァザレ・ユリフィスの管理する資料に彼の残した物があるらしい。
Fate/strangefake
本編では登場していないが、フランチェスカが第四次聖杯戦争に介入しようとした際は妨害したらしい。
氷室の天地
日常系の作品ゆえ表向きの顔のみが出ており、氷室鐘と蒔寺楓に年長物としての訓示を垂れている。また氷室からは「人格者」と評されており、「なぜこの遺伝子からワカメが生まれるのだ」と言われている。元々外面は良く地元では名士として周知されていたが、この時の臓硯の言葉からは(普段の彼にしては)孫の慎二への情を見せている。
基本「Heaven's_Feel」準拠ゆえに第五次聖杯戦争で死亡し、盛大な葬式によってその死を悼まれたが、裏の顔を知る慎二は「知らぬが仏」と言わんばかりの心境であった。
人間関係
冬木
遠坂永人、ユスティーツァ・リズライヒ・フォン・アインツベルン
数百年前の大聖杯鋳造時における『始まりの御三家』の盟友。
長男であり慎二の父。表向きの間桐家当主に据えているが、実権は臓硯が握っている。魔術的素養がほぼ一般人と呼んで差し支えないほど希薄なため、その面では歯牙にもかけていない。(せいぜい助手に利用出来る程度との事)
次男。当初、兄よりは魔術的素養があった彼を表向きの後継者として育成しようとしたが、途中で出奔したため勘当した。臓硯本人は彼が逃亡者として日々怯えながら惨めに暮らしているぶんには看過してやるつもりだったのだが第四次聖杯戦争では…。
孫。魔術回路がないため後継者としては眼中にないが、単純に孫としては可愛がっている。が、とあるルートでは……。
次男雁夜の幼馴染…なのだが、その関係自体彼女の『魔術師の母体として優秀すぎる』性質を狙った臓硯が意図的にセッティングしたもの。しかし、雁夜の家出と時臣の横槍により目論見は崩れてしまう。
養孫。類い稀な魔術師の才能を持っているが、間桐の後継者にするつもりなど毛頭なく、あくまで胎盤として利用するための道具に過ぎない。
第四次聖杯戦争の終盤で邂逅。綺礼の心中の葛藤を暴き立てる。
第五次聖杯戦争ではHFルートでのみ10年ぶりに対峙する。
『Fate/SN』において、ルートによっては彼を変則召喚して第五次聖杯戦争に参戦する。本来のマスターとサーヴァントらしい互いに利用し合うだけの関係だが、それ故に却って上手くいっている。
Fate/Apocrypha
第三次聖杯戦争で魔術戦を繰り広げた相手。
平行世界では、出し抜かれて敗北することとなった。
しかし、家名などにこだわるあまり禁術にすら手を出し、皮肉なことに同じような運命を辿ることとなる。
Fate/Grand Order
理想を抱いていたはずの彼を絶望に突き落とし、配下として第四特異点の焼却を命じた黒幕。
彼から魔神柱バルバトスを貸し与えられている。
倒される直前に狂化を付加して召喚。彼の力とイギリス中を覆った魔霧の相乗効果で第四特異点を破壊するのが最終目的だった。
魔霧計画を進める首謀者の仲間「P」。
魔霧計画を進める首謀者の仲間「B」。
「壮大な野望を抱いている」、「髪型はワカメ」、「外道」、「メインヒロインに対し日常的に非人道的な行為を繰り返している」、「作品の黒幕であり元凶の一人」、「身内には常に重圧をかける」等々、共通点を挙げればキリがないくらいによく似た者同士。
関連イラスト
(左画像:『stay night』『Zero』時代、右画像中心:青年時代)
関連タグ
マキリ・ゾォルケン:元の名前。pixivでは青年期の彼を描いたイラストに付加される。
兵藤和尊:津嘉山正種氏が演じた外道老人繋がり。外道な性格は生来のものではない点、家族には愛情を持っている(ただし扱いや接し方はまるで異なる)点も共通している。
鷲巣巌: 同じく津嘉山正種氏が演じた外道老人繋がり。こちらは若年から狂的な性格ではあるが、老いと死、それらによる退屈による絶望から若者を死を愉悦するほどに至る。またある人物からは死そのものの恐怖に怯えていると評されている。