その男さえ、いなければ――誰も不幸にならずに済んだ。葵さんだって、桜ちゃんだって――幸せに、なれた筈――
概要
身長 | 173cm |
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体重 | 55kg |
誕生日 | 3月22日 |
星座 | 牡羊座 |
血液型 | AB型 |
イメージカラー | 青緑 |
特技 | 文書作成 |
好きなもの | 小旅行、写真撮影 |
苦手なもの | 豪奢なもの |
天敵 | 間桐臓硯、遠坂時臣 |
CV | 新垣樽助 |
演 | 健人 |
人気投票 | 22位(男性9位・型月10周年記念) |
人物
(左:黒髪の頃/右:白髪の頃)
第四次聖杯戦争当時の間桐家当主・間桐鶴野の弟であり、正当な間桐の魔術師では無い。
バーサーカーのマスター。
自身の身代わりとなった間桐桜を救い出し、彼女の母・遠坂葵からの愛を手に入れる為に、聖杯戦争に参戦。
魔術の資質そのものは兄より優れていたものの、間桐の魔術を嫌って11年前に家を出奔した過去を持つ。
出奔中はフリーのルポライターとして生計を立てていた。
そのため、魔術師の生まれでありながら価値観・感覚的には一般人で、魔術師特有の考え方や矜持を嫌悪している。魔術師として生きてこなかったため、ごく平凡な暮らしや家庭を幸福とし、尊んでいる。それ故に、個人よりも生まれの魔術の素質で子の人生を決めてしまう魔術師の家の方針と相容れない。
時臣の妻・遠坂葵とは幼馴染であり、昔から仄かな恋心を寄せていた。
だが間桐家の妻となる事は、蟲の餌となる事と同義であり、雁夜は葵をそんな目に遭わせたくないという理由で、想いを告げる事ができなかった。そのため、自身は逃げ出す(一方的に託す)形で身を引いた。
自分にはないものを持っている時臣に羨望と嫉妬の感情を積み上げており、葵を幸せにしてくれるという期待を裏切られたことが引き金となり憎悪を発露。
葵の元へ娘を返すという望みを、彼女から夫を奪うことで成し遂げようとする。
しかし、何よりも雁夜が衝撃を受けたのは、自身が間桐から逃げ出したことによって葵の娘である桜が養子に出され、葵が悲しんだことだった。
遠坂家の2人の子供はどちらも稀有な素質を持ち、どちらかを次代の当主にするならもう片方は協会から標本にされかねなかったこと、魔術を習得しなければ怪異や魔性のものに襲われてしまうが、魔術は一子相伝であるため凛と桜の両人を守ることが難しいため、かねてより盟約を交わしていた間桐に養子に出したという事情がある。
自分のせいで葵を悲しませたと苦悩し、彼女の幸福を取り戻すため、桜を葵の元へ戻すよう臓硯と取引し聖杯戦争に参加することとなる。
葵の元へ娘を返すという望みを、夫(時臣)を殺すことで成し遂げようとしているが、葵自身は夫となった時臣を今も愛しており、葵も時臣も現在桜がどのような環境にあるかは知らず、苦渋の決断で養子に出したことを悲しんでいるため、雁夜とは認識にズレが生じている。
最愛の葵が夫を殺されたらどう思うか、葵の娘である凛や桜が自分達から父親を奪われたらどう思うか。その矛盾に目を向けなかったが為、言峰綺礼に付け込まれる事となる。
最期にはランスロットの宝具「無毀なる湖光」を開帳、しかし三流未満のでっちあげ魔術師である彼にただで「魔力消費が激しいバーサーカー」の「トップクラスに魔力を消耗する宝具」を「最大出力で発動」させられるわけもなく、「自身の悲願が全て達成された身勝手な幸せ(葵と添い遂げ、凛や桜にお父さんと呼ばれている)」を夢想しながら、下水道で誰にも看取られる事なく、一瞬で枯死した。
アニメ版では事切れた雁夜を見た桜に「…バカな人。お爺様に逆らうから…」と呟かれるなど、報われなさが強調されていた(雁夜は桜が日々の蟲凌辱に絶望で心を閉じることで耐えていたことを察していたため、桜が救われるのが確定するまでは桜に余計な希望を持たせないようにするという配慮の元、雁夜が戦う本当の理由を桜本人に教えていなかったためでもある)。
略歴
聖杯戦争の11年前に出奔。
聖杯戦争の1年前、遠坂葵のもとに顔を出したある日、彼女の口から娘の桜が間桐へ養子に出されたと知る。
自身が間桐の継承を拒んだことにより桜が間桐家の犠牲になってしまった。
そのことで、出奔後も想い続けていた葵に涙を流させてしまったことに絶望。彼女への償いのために10年間戻らなかった間桐の家に戻ることを決意する。
間桐臓硯と交渉の末、間桐のおぞましい魔術から桜を解放することを交換条件に自身をマスターとして聖杯戦争に参加し、聖杯を持ち帰ることを約束する。
桜の解放と、妬んでいた時臣への憎悪を糧に、嫌悪していた魔術の鍛錬と足りない魔術回路を補う刻印虫の施術を受け、死人のような体になりながらもマスターとしての資格をギリギリ得る。
能力
臓硯からの手解き(と呼べるものかは定かではないが)により、蟲を使役する魔術を使う。切り札は牛骨すら噛み砕く肉食虫「翅刃虫」の大群使役。ただし蟲は炎に弱いため、火炎の魔術を得意とする時臣相手にはすこぶる相性が悪い。
ただ、ドラマCDと漫画版では相性の悪さを考慮し対策を立てており、耐熱・耐火仕様の外殻を備えた翅刃虫を切り札として用意。……だが、それに対し時臣は外殻の僅かな隙間(脆い部分)をピンポイントで焼き切るという神業で破ってしまった。
なお、体内の刻印虫の影響で現代医学の観点から常時危篤状態、内臓の機能不全から飲料や点滴以外の食事による栄養補給も不可能と、“生きているのが不思議”な状態の上、単純な力量で言っても半端な魔術師にもかかわらず多大な魔力を消費するバーサーカーを抱えている為、魔力事情は常に逼迫している。また、魔術行使にあたっては刻印虫が過剰に励起、自身の肉体を破壊していくという代償を伴う。つまり魔術を使うだけで文字通り血を吐く程の苦痛を伴う。
刻印虫
術者の体内に巣食い、一定の質を持った擬似的な魔術回路として機能する間桐の寄生虫。
「術者の生命力を魔力に変換する」魔術回路の代わりとなるだけに、その力の実態は「宿主の生命力を貪ってその代価に魔力を生み出す」というもので、魔術師の体内に植え付けることで魔術回路の本数を拡張するための即席の補助回路となる。
ただし、心身に掛かる負担は魔術回路による変換の比ではなく、更にはオンオフの切り替えで消耗を軽減するといった融通もほとんど利かず、自前の魔術回路が元々優秀である者の力を更に高めるというほどの効果があるわけではないなど、欠点も多い。
数匹体内に入れるだけでも相当な苦しみを伴うというコレを雁夜は大量に植え付けられており、更に自前の魔術回路の性能が高くないが故に魔力供給を刻印虫に大きく依存する形となっているため、その負担から来る苦しみと痛みは想像を絶するレベルとなっている。
人間関係
表向きは父親。雁夜を跡継ぎにするつもりで育てており、優秀な子を産む可能性を秘めていた葵と結婚させるつもりで引き合わせたが、雁夜が自家の魔術を否定し、全てを捨てて一般の人間として生きる道を選んだ。
聖杯戦争の時は自ら傀儡となり勝利する代わりに桜を解放すると約束させたが、臓硯視線では家から出奔した生意気な子供である雁夜の苦しむ様が見たいが為に、クラスの特性としてエネルギー消費の激しいバーサーカーをわざわざ召喚させるという悪質な蟲使い。まさに外道。
遠坂家の時臣・葵の次女だが、間桐の養子として迎え入れられる。続柄としては義理の姪。
彼女を間桐から解放し、葵・凛・桜と自分の四人で遠い所に行こうと話した。
しかし、桜に希望を持たせないようにと具体的なことを話さなかったため、虐待を受けた後の桜にとっては「間桐の人間」という恐怖の対象でしかなかった。
兄。魔術師としての資質・才能はまるで無かったため、保険としてが生まれたのが弟の雁夜である。
雁夜が家継がずに出奔したため、才能がないにもかかわらず仕方なく間桐家現当主に据えられた。
お互いに無関心。間桐の運命を全て押し付けた雁夜を恨んでおり、彼が間桐家に戻ってからも関係は断絶したままである。
兄の息子で甥。第四次聖杯戦争中は海外に留学していた。
三歳年上の幼馴染。想いを寄せていたが、時臣が彼女を幸せにしてくれることを信じて身を引く。
だが、気丈に振る舞いながらも耐え切れなかった涙を流すところを見て、彼女への罪悪感と、それを理由に時臣に対する憎悪を燃やす。
桜の姉。雁夜が仕事へ行った先で買ったおみやげを楽しみにしていた節があり、雁夜も彼女が喜ぶような「ちょっと大人びたアクセサリー」を選んで渡すなど、関係は良好だった。
恋敵。聖杯戦争では葵を不幸にし、桜を外道の手に委ねた元凶だと思っていた。それまで押し殺していた嫉妬心を剥き出しにして付け狙うが、彼の命を奪うことがどのような結果をもたらすのかまでは思い至らなかった。
召喚したサーヴァント。狂化されている影響で言葉を交わすことができないので、雁夜はバーサーカーをあくまで武器として扱っている。時臣のサーヴァントであるアーチャーの数少ない天敵だが、バーサーカー本人はセイバーを目の敵にしており、雁夜の命令を無視することもしばしば。バーサーカーが力を振るうたびに雁夜の身体は痛めつけられる。
とびたて! 超時空トラぶる花札大作戦において
雁夜、桜、バーサーカーでチームを組んでいる。ギャグ時空ということもあるが、Zero本編とは別ベクトルにダメ人間となっている。桜は割と雁夜に辛辣であり、バーサーカーからも、からかいやおちょくりを受けているなど、舐められている。
だが、Zero作中での願いはこのゲーム中でも忘れていない模様。また、このゲームでの桜は、雁夜の真意を理解しているようである。
Fate/GrandOrderにおいて
「Fate/Grand Order」では概念礼装「目覚めた意思」として登場。
効果は「毎ターンHP500減&毎ターン〝確率〟でNP12%獲得」という、とんでもなく扱いづらい性能。原作再現としてバーサーカーに装備させると、被ダメージ0でも宝具を解放する前にほぼ死ぬ事が確認されている。補助礼装としては優秀とは言えないが、古参Fateファンからは「素晴らしい原作再現だ」と斜め上の方向に絶賛される。どういうことなの。
その後コラボイベント『Fate/Accel Zero Order』に登場。
人理修復とかつての遺恨の払拭のために動くロード・エルメロイⅡ世の策で、ケイネス・エルメロイ・アーチボルトを介して、主人公サイドと協定を結ぶ。
その後聖杯問答に乱入し、主人公たちと共にアーチャーの脱落という、大番狂わせを実現させる。
しかし、セイバーを発見したバーサーカーが、案の定暴走してしまい、その巻き添えをくらって瀕死の重傷となる。
やはりここまでか――と思いきや、ライダーの予想外のバーサーカーへの加勢でバーサーカーともども一命を取り留め、さらにライダーの計らいで間桐邸が壊滅し、桜まで救出されるという、原作のあらすじを根底からひっくり返す事態に発展。
なお離脱直後は“かくなる上は”と時臣を殺る気満々だったが、自分を救ったライダーから「やりたい事もやれる事もやるべき事もやってる事もなにもかも中途半端だ」と己の抱えた矛盾を真っ向から指摘された挙句に説教と拳骨を貰い、思い止まっている。なお、本編でもライダーに限らずこうして矛盾を指摘してくれる人物に巡り会えていたなら、同じように最悪の結末を回避出来た可能性もあった模様。
桜を取り戻す対価に令呪を宿した手を斬り落とされて聖杯戦争から脱落したが、桜を取り戻せた上に自身の刻印蟲も切り取られた令呪のある右手の方に付いて行った形で除去され、更にライダーの配下の英霊によって一応病院に連れて行かれた(その後の消息は不明だが、助かる確率は五分五分らしい)等、原作の彼の境遇を考えればもはや別人と言える結末を迎えた方である。
なお、本来の歴史にて第四次聖杯戦争後に砕かれた小聖杯の欠片で臓硯が作った蟲を桜の心臓内に寄生させていたが、こちらではその前に臓硯が受肉したアンリマユもといユスティーツァに(過去の悲願を思い出し自分から)食われたため回避されており、仮に寄生していたとしても(元々は天寿を全う出来るように調整はされていたが)制御者不在で機能不全を起こすなどで死滅したと思われる。
プリズマ☆イリヤにおいて
『Fate/Kaleid liner プリズマ☆イリヤ~雪下の誓い~』にて原作コミックには登場しないが「ライダーのカードの使用者」として衛宮士郎の前に立ちはだかる。
しかしその正体は5年前に亡くなった人物でエインズワース家の魔術「置換魔術」によって人形の中に魂を入れられたドールの一人であり、桜の血縁者であった。
そのため生前の人格を完璧に置換することは出来ず、人格がほぼ崩壊し「取り戻す」という思念のみで行動していた。
ライダーのカードを夢幻召喚している影響か髪の毛が足の位置にくるぐらい長い。
余談
TYPE-MOONにおける「その行為に意味などなかったけれど、価値はあった」「無意味であっても無駄にだけはさせない」というテーマを真っ向から覆す「意味もなければ価値もない」キャラクター。奈須きのこには生み出せない、「Fate/Zero」ならではの登場人物と言える。
TVアニメ化に伴い爆発的に人気が上昇。原作ではグロテスクな蟲の描写や歪んだ恋慕が目立っていたり、マテリアルでも作者に「女の気持ちを無視して愛に生きる男はすべからくダメ男」と言われていたため、突然の人気爆発には作者の虚淵玄も困惑したという。
このことについて、奈須きのこは「アニメではメディアの特性や尺の都合から、内面描写が抑えられていたため、"女の子を助けようとして果たせなかった正義の人"に見えやすかったからだろう」と推測している。アニメでは最期に桜から「バカな人…お爺様に逆らうから…」というオリジナルシーンが挿入されたが、奈須きのこは桜らしくないと感想を述べた。
なお、奈須きのこは小説版Fate/Zeroにおいてラストシーンに「これでは桜が嫌われる」と却下したシーンがあると明かしているが、一部ではこの台詞だったのではと推測されている。
なお、作中での役回りと結果だけ見れば雁夜とバーサーカーの行動はあまり状況を良くはしていないのだが、雁夜は『Fate/Zero』の登場人物の中でも、数少ない、あらゆる面で人間味のあるキャラクターであり、「彼の人間味のあるところが好きだ」という人も多い。
また作品とは関係無いがアニメ放映の同時期にフリーアナウンサーの登坂淳一がいきなり髪が白くなり、同じようなパーカーを着ていた事で実写版雁夜おじさんと話題になる。パーカーは偶然の一致だと思うが、急に白髪になったのは元々20代で若白髪になっており、白髪染めを止めたからである。
Pixivを含めた二次創作(主に小説)では雁夜の在り方、バーサーカー枠が別のサーヴァント(そもそもバーサーカーでないことも)、第三者(主にオリ主)による救済などFate/Zero作品の中では自由枠となっている。
シナリオ的にも見せ場を作ってくれるわかりやすい悪役のキャスター陣営、聖杯問答の発案者であるライダー陣営、初戦の全員勢揃いの場を作ってくれるランサー陣営を除くと、セイバーとアーチャーとアサシンしかなく、それぞれ切嗣&アイリ、言峰は物語のメイン格、時臣は雁夜の敵役、サーヴァントも人気で、アサシンは王の軍勢のやられ役として優秀、という感じでzeroの山場を作ってくれる者達ばかりであるため介入の余地があるとするならばやはり「最期にセイバーを曇らせる以外特にやることがないバーサーカー枠」となってしまうのはある意味必然ではある
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