概要
モンスターバースシリーズに登場する怪獣(タイタン)の一種で、学名はタイタヌス・ティアマット(Titanus tiamat)。名前はメソポタミア神話における原初の存在とされる女神・ティアマトに由来する。
初登場は第3作目『キング・オブ・モンスターズ』だが、劇中では名前のみの登場でコンセプトアートもない、正体不明の怪獣だった。
だがその後日談となるアメコミ『ゴジラ:ドミニオン』にて、同じく第3作では名前のみの登場だった怪獣・アムルックと共に登場。第5作『ゴジラxコング:新たなる帝国』ではアムルックを差し置いて実写映画に登場。
怪獣王となったゴジラと死闘を繰り広げた。
特徴
海神・龍神として知られるティアマトが名前の由来となっただけあって水中生活に特化した怪獣であり、外見はよくフィクションなどで見られるシーサーペント(海竜)に似た姿をしている。そのためゴジラも「海蛇」と称している。
ただし外見はコミックと映画で大きく異なり、コミックでは翼のような巨大な鰭を持っているのに対し、映画では四肢があり東洋龍にも見える外見となっている。実写に落とし込む時にデザインか変更されたのか、それとも後述する太陽風エネルギーの影響で進化を遂げたのかは不明(直接の登場がなかった『キング・オブ・モンスターズ』の時点で映画用の3Dモデルが存在しており、それはピンク色の発光が無いだけで『新たなる帝国』のものとデザインは同じだった。ただし、同一世界の漫画と見た目が違うことに関して世界観の中での解釈も明らかにされていない)。
全長は847フィート(約258メートル)と、モンスターバースシリーズの怪獣では最大の体躯を誇る。アナコンダのように水辺に近づいた獲物を水中に引きずり込み、その巨体で締め上げて仕留めるが、この際に刃物のように鋭利な鰭状の鱗で獲物の皮膚を切り裂く。更に口から猛毒の息を吐き、ドクハキコブラのように敵の視界を奪うこともできる。また、DCコミックスとのコラボ漫画では、目から電流を放射していた。
縄張り意識が非常に強く、自身が棲む棲家の決定時や防衛時には無差別に周囲の生物や建造物を惨殺、破壊して回る。さらには自身の王と認めた存在であろうと自身の領地である棲家を侵してこようものなら決して許さずに戦いを仕掛ける好戦的な性格で、劇中ではそれによりゴジラと激突することとなる。
性別は女神に由来したその名が示す通り、モスラやスキュラと同じく雌である(雄の個体が存在するのかは不明)。
活躍
キング・オブ・モンスターズ
アメリカ・ジョージア州ストーンマウンテンで休眠状態のところを発見され、以降はMONARCHによって監視されることになった。なお、休眠場所には第53前哨基地が建設された。
中盤、宇宙由来の外来種・ギドラによって他の怪獣と同様に覚醒。前哨基地を破壊し脱走した後は、近郊の都市を破壊し回ったと考えられる。
ゴジラ:ドミニオン
ゴジラがギドラを倒して怪獣達の頂点に君臨した後は、休眠場所であったストーンマウンテンには戻らず、そのまま大海原を回遊しながら、遭遇した鯨やダイオウイカ、他の怪獣を手当たり次第に殺し回っていた(MONARCHの潜水艦も沈められている)。
その後、かつてゴジラが住処としていた地下空洞世界を占領したが、新たな住処を求めるゴジラが襲来したことで交戦することとなる(その前にはとある怪獣の同族が住んでいたらしいが、攻め込んできた彼女に殺害された模様で頭蓋骨が転がっていた)。
その巨体でゴジラに巻き付いて海中へ引きずり込むと、鋭い鱗で彼の硬い皮膚を切り裂き、更には毒の息吹で一時的に失明させた。だがゴジラは蛇のピット器官にように熱探知でティアマトの体温を感知すると、乱戦の末に地下空洞世界の地表に上陸。ゴジラの長い尾で陸上に打ち上げられたティアマトは頭を踏みつけられ、それでも威嚇の咆哮を上げるが、怪獣王の雄叫びを浴びせられたことで自らの負けを認め、そのまま海中へと撤退した。
ゴジラxコング:新たなる帝国
『ゴジラVSコング』の直前にゴジラが発したアルファコールの命令に従って北極海に身を置き、そこで太陽風により滞留されていた莫大な量のエネルギーを自身の源としながら休眠に付いていたが、今回ゴジラが新たに出現した脅威に備えて自身を強化するにあたり、そのエネルギー源をもティアマットから強奪しなければならない事態となった。
破壊した原子力施設で一段階目の強化を済ませてから北極海に到達してきたゴジラに棲家目掛けて内部のエネルギー源まで貫通するよう放射熱線を放たれたことで即座に氷塊から飛び出し、ゴジラ相手に怒りを見せながら縄張りや棲家を防衛するための戦闘に突入(この時、溜め込んだエネルギーが漏れ出していたのか、紫のオーラを身にまとっていた)。
前回の時と同じく巻き付き攻撃で攻め立ててゴジラを怯ませるも、体の一部を食い千切られる反撃に遭う。それでも負けじとゴジラの顔面に食らい付き、そのまま窒息させようと鰭で顔面を覆って反撃し返すが、上述の通り事前に原子力施設の核エネルギーを吸収し強化していたゴジラの放射熱線をまともに食らい、無惨にも体をバラバラにされて敗北・絶命。死骸の肉片が海面に浮かぶ中、浮上したゴジラに咥えられていた左腕をも勝利の凱旋を上げるが如く投げ捨てられ、北極海の藻屑と化した(ちなみに、偶然にもこの出来事と前後して地下空洞世界では別の蛇型怪獣(タイタン)がコングと同様の戦いを繰り広げて同じような末路を迎えていた)。
そうして邪魔者を排除したゴジラは改めてティアマットの棲家に進入し(小説版によると、この時にティアマットのDNAをも取り込んだとされている)、一時的な休眠に付きながら滞留されていた太陽風由来のエネルギーをも全吸収。結果、さらなる強化形態のゴジラエヴォルヴへと進化を果たしたのだった。
コング:生存者の本能/Kong:Survivor Instinct
時系列は『ゴジラVSコング』と『新たなる帝国』の間。
類似した外見を持つ怪獣の幼体ラハムがアラン・ジョナの一味にさらわれたため、奪還するためにアメリカ東部の都市を襲撃。道中、橋でコングを発見し交戦。互角の戦いを繰り広げるが、人間が主人公である都合上決着を待たずしてフェードアウト。
その後ラハムが捕えられていた基地を襲撃し、無事に2体で海に帰った。
余談
- 監視されていた第53基地の数値は、ゴジラに大きな影響を与えたとされる『原子怪獣現わる』が公開された1953年に由来しているのではと推測されている。
- 毒の息を吐くという能力は、同作に登場したリドサウルスが血中に殺人ウイルスを含んでいることに由来したとも言われている。
- 『キング・オブ・モンスターズ』のエンドロールでは、名前の由来となった女神ティアマトがマルドゥク神と対峙した姿を描いたとされる壁画が登場している。ただしこの壁画はアンズーとニヌルタ神を描いているとも言われている。
- スマホゲーム『Fate/GrandOrder』においてもティアマトが登場しているが、こちらはシン・ゴジラの影響を大きく受けている。
- 『新たなる帝国』では、スキュラと比較するとゴジラへの敵対心や人類及び地球への被害を及ぼした描写も特になかったため、ファンからは(地球の非常事態だったとはいえ)「とばっちりを喰らった被害者」と同情の声が散見されている。
- ただ太陽風のエネルギーを溜め込んでいた理由が、『ドミニオン』で一度敗れたゴジラにリベンジするための準備だったとするのであれば、ゴジラは将来的な敵を一石二鳥(片方を倒すついでにもう一方に対処するエネルギー補給)で対処したとも考えられるが、真相は不明。
- 監督のアダム・ウィンガードは「スキュラの一件のせいでゴジラは精神的余裕がなくより利己的になっており、何の罪もないタイタンを殺すほどに追い詰められていた」と語っている。スキュラ戦後に映画でゴジラが殺したタイタンはティアマットだけであることを考えると、何の罪もないタイタンとはティアマットのことであると思われ、反逆の意思はなかったものとみられる。
関連タグ
キング・オブ・モンスターズ ゴジラxコング:新たなる帝国 アメコミ
タマミツネ:デザインが酷似。しかし、ファンの間で話題となっている件についてデザイナーが反応し「そもそもタマミツネ自体知らないで作ったので別に意識してない」と発言している。要は単なるそっくりさんである。