概要
正式名称『タイタヌス・アムルック(Titanus Amuhuluk)』
モンスターバースシリーズに登場した怪獣(タイタン)の1体。名前の由来はオレゴン州の先住民・カラプヤ族の伝承に語られる怪物・アムルックから。
初登場は『キング・オブ・モンスターズ』だが、放映時は名前のみの登場でコンセプトアートもない正体不明の怪獣だった。後にアメコミ『ゴジラ:ドミニオン』にてティアマト等と共に登場を果たした。
全身が樹木で構成されたような外見の豪腕と四本の足を生やした巨人のような姿をしているが、頭部は深海魚のような顔つきで黄色く発光する複数の目とイカの触腕のような4本の触手がついており、ボディには青い血管のようなものが絡まっている。
植物と動物の融合である「フロラファウナ」の一つで、植物をマインドコントロールする能力を持ち、頭部と背骨以外が操っている植物で形作られている。そのため頭部以外を物理的に攻撃しても効果がなく、更に自由に手足を伸ばして攻撃できるため、戦闘においては他の怪獣を圧倒するほど。既存のパーツを伸び縮みさせるだけでなく形態変化も可能であり、製作者のエドワード氏は飛行形態の存在すら示唆している。
また、植物の体は海に浮かぶ島や海岸沿いの森に擬態するのにも役立っている。
念動力エネルギーは植物のコントロールに使えるだけでなく、攻撃にも転用できる。漫画で絵などを担当しているエドワード氏のTwitterによると、頭から生えた触手の先端を相手に触れさせることで強力なサイキックブラストを送り相手を気絶、あるいは殺害することが可能とのこと。エネルギー消費が激しいので最後の手段として使用する。
一方で、念動力の性質上、アムルックは特定の周波数に過剰に反応する体質であり、アルファタイタンが行使できるアルファコールがアムルックに対しては絶対遵守の効果を持つ。また、効きやすい特定の周波数を含んでいれば、大音量で音楽を流すことも対アムルックに効果的だという。
こうした特異な能力と生態故に、MONARCHもアムルックがどの生物に近いかを特定することが不可能となっている。
性格は野心的かつ攻撃的。漫画『Monsterverse Declassified』によれば、洪水、他者を溺死させること、水を赤く腐らせることを好むとされている。しかも自分の気に入った土地を縄張りにしたがる傾向にあるため、縄張り意識の強さに反して活動範囲は広い。
一方、体が植物で出来ているため耐火性が低く、熱線を吐くゴジラが天敵になることからか、スキュラやティアマットとは違いゴジラが制裁に来ても(アルファコールの絶対遵守の行使なく)一切攻撃せずにひれ伏し従うなど比較的従順な面も見られる。
また、樹木の容姿と陸上での高い戦闘力に反して意外にも水棲怪獣であり、沿岸地域を好み水中でも活動が可能。
タイタンの持つ固有性質は「生体病原(Bio-pathogenic)」。
その名の通り、アムルックが放つ毒の影響で通過するすべての海と川を汚染し、縄張り周囲の水域を有毒な「死の池」に変えることのできる厄介な性質を持っており、古代人からは"疫病の悪魔"として恐れられていた。
反逆を企て海洋温暖化とオゾン層破壊を引き起こしたスキュラと異なり、(能力自体は)ゴジラに自然環境への脅威とは見做されている描写がないことから、おそらくこの性質も何らかの環境保護に役立っているものと思われるが、詳細は不明。
作中の動向
ロシア・コミ共和国のマンププニョルにて休眠していたところをMONARCHに発見され、監視のために第66前哨基地が設置された。だが『キング・オブ・モンスターズ』にて偽りの王・ギドラの呼びかけによって世界中で休眠していた怪獣たちとともに覚醒、前哨基地から脱走すると周辺都市を破壊した。
なお劇中でウィリアム・ステンズ提督が述べた被害報告の中にモスクワが含まれているが、距離からして一番近くで休眠していたアムルックの仕業である可能性が示唆されている。
ゴジラがギドラを倒し怪獣王となった後もマンププニョルに帰らず、ブラジル・アマゾンまで南下して、そこを縄張りとするタイタヌス・ベヒモスと縄張り争いを始める。というのも、確かに彼ら怪獣の復活で自然環境は回復しつつあったが、ギドラが一度に多くの個体を目覚めさせ過ぎた結果、彼らが暮らすにはまだ回復スピードが追い付いていなかったため、より豊かな土地に住まうベヒモスの縄張りを奪おうと目論んだのである(同じような事態は、カマソッソによる髑髏島襲撃がある)。
伸縮自在のパンチでベヒモスの左牙を砕くなどして圧倒し、ついにはK.Oさせる。そのまま倒れたベヒモスの右牙を掴んでアマゾン川を引きずりながら領土から追放と溺死を図ったが、怪獣同士の争いで癒えつつある大地が更に傷つくことを良く思わず駆けつけたゴジラから制裁を受け、流石に王の裁定には歯向かうこともできず、そのままアマゾン川を下って撤退した。
野心的で暴力的に領土を奪おうとしたものの、実力以上の分不相応なことはせず結果的に王から許しを得ることができた怪獣であった。
その後は多くの怪獣と同様、ゴジラの呼びかけに応じて再び休眠状態に入ったらしい。
余談
- 北米の伝承のアムルックは、「蛇に似た姿」「姿を変える能力を持ち、変身するたびに恐ろしい姿になる」と伝えられており、頭と背骨のみが本体で、植物を自在に操って姿を変えることのできるタイタヌス・アムルックの設定はここから来ていると思われる。
- エドワード氏はファンからの「ムートープライムとアムルックはどっちが強いか」という質問に対して、「自分で両方デザインしたため選ぶのは難しい。ムートープライムは体格・耐久共にアムルックに勝っている。ムートープライムの音波攻撃ならアムルックの体と脳を同時に破壊できるだろう。しかし、アムルックはかなり賢い…」と回答しており、ムートープライム相手では攻撃防御共に劣勢だが頭脳によって戦況を覆せる可能性を示している。
- 休眠場所だった第66前哨基地は、『ゴジラ・エビラ・モスラ 南海の大決闘』が放映された1966年からと推測される。とはいえ同作との接点は、同作で初登場したエビラと同じく水棲であることくらいである。