メソポタミア神話
めそぽたみあしんわ
メソポタミア神話とは、シュメール神話、バビロニア神話、アッシリア神話といったメソポタミア文明における諸神話の総称。
シュメールの神話は、シュメール人の各都市国家が互いに抗争する中で生まれた。後に強大となったバビロンを中心とするバビロニア帝国、またその後継のカッシート王朝はバビロンの守護神マルドゥークを最高神とするバビロニア神話を成立させる。ただしマルドゥークの地位はシュメールの神々の承認で成立したとし、神話にも多くシュメール神話を取り入れている。またアッシリア帝国が強大になるとその最高神アッシュールがマルドゥークに代わって最高神となったが、バビロニア神話の多くはアッシリア神話にも引き継がれることになった。続く新バビロニアがアッシリアを打倒すると、バビロニア神話が復興してペルシャ帝国に征服されるまでこの地に定着することとなる。
簡単に言うなら「今の世界における『悪魔』と呼ばれる存在が主役を務める神話」である。
シュメール神話の神は(シ)、バビロニア神話の神は(バ)と略称をつける。
呼び名が複数ある場合は/でつなぐ。
神の名はシュメール語とアッカド語の表記があり、バビロニア神話はアッカド語表記によっている。
天地創造
ティアマト(バ) アプスー(バ) アヌ(バ)/アン(シ) エンリル
シュメールの神話では神々の支配権が空の神アンから、エンリルに奪われたことを描く。
エンリルは天空神にして洪水を起こす神として恐れられた。
人類を作ったのは知識の神エンキであり、後にエンリルに挑んで破れている。
バビロニア神話では神々の父としてアプス、母としてティアマトが置かれる。
その子孫たる若い神々の大騒ぎゆえに苛立ったアプスーは神々の抹殺を企てる。
エアがアプスを倒すものの、さらに騒ぐ神々にティアマトが激怒、軍団を編成して神々の抹殺を謀る。
そこでアヌやエアら若い神々は、マルドゥークに最高神の地位と引き換えに
ティアマトを倒すことを求めた。
マルドゥークはティアマトを殺して二つに割き、片方を天、片方を地とした。
またマルドゥークはティアマトの部下キングーの血から人類を創造して神々の僕とした。
冥界下り
イナンナ(シ)/イシュタル(バ) エンキ/エア エレシュキガル
シュメールの女神イナンナは冥界に下って冥界の女神エレシュキガルに会う。
イナンナは殺されてしまうが、エンキの助力で復活する。
バビロニアのイシュタル女神にも同様な神話がある。
ネルガルとエレシュキガル
ネルガル エレシュキガル エア
ネルガルはエアの子であったが、エレシュキガルの使者に無礼を働いたので
エレシュキガルに殺されてしまう。エレシュキガルは冥界でネルガルを歓待するが、
ネルガルは門番を籠絡して天界に戻る。
エレシュキガルはネルガルを夫に望み、
冥界に戻ったネルガルははじめエレシュキガルを殺そうとするが、
女神の懇願に負けて冥界の王エラとなる。
洪水神話
アトラ・ハーシス(バ) エンリル エア
旧約聖書などの洪水神話にも影響したとされる神話である。
その背景には、エジプトのナイル川よりずっと激しい洪水をおこし、
全てを押し流してしまうティグリス河・ユーフラテス河への恐れがあったという。
神々に創造された人類は増え続け、エンリルはその騒々しさを不快に思った。
そして人類を滅ぼすべく、疫病の神ナムタルに疫病を起こす命が下される。
しかし賢者として知られたアトラ・ハーシスは、エアの助言によりナムタルに貢物を捧げてこれを防ぐ。
次に旱魃が襲うが、同じく嵐の神アダドに貢いで阻止してしまう。
最後にエンリルは洪水を起こす。
エアはアトラ・ハーシスに警告し、全ての種を乗せるための船の設計図を渡す。
船を建造したアトラ・ハーシスは人々を招いて船中で宴を行う。
やがて洪水が襲い、七日間で世界を滅ぼしてしまう。
しかし船は沈まず、アトラ・ハーシスたちは生き延びることに成功した。
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