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エンキドゥ

えんきどぅ

「ギルガメシュ叙事詩」の登場人物。 主人公ギルガメシュのパートナーであり、幾多の困難を共にくぐり抜けた。しかし、フンババと天の牡牛を斃した事で神罰を受けて病死する。
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曖昧さを回避。モチーフ・元ネタのキャラクター達。

  1. Fateシリーズサーヴァントエルキドゥ※ただし、こちらは名前だけでなく性別や設定も色々違うので混同しないように注意。pixivなどのSNSで勘違いにより混同されて二次創作が投稿されてるのが多いため、勘違いされやすい。
  2. フランスパン及びアークシステムワークスが開発販売する格闘ゲーム「アンダーナイトインヴァース」の登場キャラクター。⇒エンキドゥ(UNI)
  3. アニメ天元突破グレンラガンに登場するガンメン(メカ)⇒エンキ(エンキドゥ/エンキドゥドゥ)
  4. ファイナルファンタジー5に登場するモンスターでギルガメッシュの相棒。FF6GBA版)やFF9でもそれぞれ姿や名前だけ登場。
  5. モンスターストライクで登場するキャラクター。⇒エンキドゥ(モンスト)

概要

古代メソポタミア、現存する中で最古の英雄譚『ギルガメシュ叙事詩』に登場する人物。

楔形文字の誤訳により、かつてはエアバニ(Eabani)と読まれていた。

ギルガメシュを罰するために創造(大地)の女神アルルによって作られたが、逆に彼に寄り添ってしまう。それ以降、ギルガメシュと共に活躍するが、神々の怒りによる罰で病に罹り命を落とす。

彼の死はギルガメシュに大きな衝撃を与え、不死を探す旅に出ることになる。

古代アッカドでは、毛むくじゃらの男、または2本足で立った牛、あるいは角の生えた男として描かれることがあった。


ギルガメシュ叙事詩

古代シュメール文明の神話、英雄譚で作られた時期に2000年の開きがある。

初期に作られたもの、「ギルガメシュ」の名前を見つけることが出来る5つの詩文があるが、これらは単一の詩であると考えられ、現在知られている物語は、後年に作られたと見られている。

もっとも古いバージョンは、ウル第3王朝(紀元前2100年頃)~古バビロン王国(紀元前1800年頃)でこれが古バビロン版タブレットである。これは、不完全でほとんどが欠落している。

他にイシュチャリタブレット(フンババを倒すくだりのみ)、シッパリタブレット(不死の探究に出るギルガメシュなど)が残されている。


現在知られる物語は、アッカド版タブレットがもとになっており、欠落部分を他のタブレットから補完している。

これは、ニネベのアッシュールバニパルの図書館から発見され、紀元前1300年頃~紀元前1000年頃に作られたとされている。

12枚の粘土板から成り、その内の11番目の粘土板は後から付け足されたと見られており、12番目の粘土板が本来の11番目であり最後の場面であったと考えられている。この付け足された部分に特に意味はなく、物語の前後に影響はない。

また特徴として他のバージョンが「他のすべての王を越える」から始まるのに対し、「深いものを見た人」があり、ギルガメシュが不死の探究の過程で得た知識について触れている。


エンキドゥは、このうち1番目の粘土板から7番目の粘土板に登場する。


誕生

ウルクの王ギルガメシュは、3分の2が神で残る3分の1が人間であった。

彼は暴君でアヌ神は苦しむ民の願いに応え、彼を諌めるべく創造(大地)の女神アルルに命じてエンキドゥを生み出させる。


ところが、誕生したばかりのエンキドゥは、知性を持たず、全身を毛に覆われた姿の野獣そのもので森の獣達と暮らすようになってしまう。ある日、狩人が罠にかかった動物をエンキドゥによって解放されているのを目撃した。


この狩人の訴えで、ギルガメシュにより送り込まれた神聖娼婦シャムハトと七日六晩の間に過ごしたことで、エンキドゥは毛むくじゃらだった体の毛が抜け落ち、知性を得る。容姿は毛むくじゃらの大男から人間の男の姿に変わる。


また、人間の香りが身体に着き、獣達が自分に怯えて逃げてしまい、その言葉も聞こえなくなったことから自分が別の存在になったことを悟る。

その後、国を苦しめるギルガメシュを諌めるという自身の使命を果たす為に彼の元へと向かった。


一方ギルガメシュは、夢の中で大きな星が降り注き、自分の元へ落ちてきたそれを抱くという夢を見た。

彼は母である神ニンスンに訴える。ニンスンは、夢の内容からギルガメシュに答える。

「王よ、それは良き報せに御座います。その者こそ、王に寄り添う絶対の味方となる者です。」


ギルガメシュとの出会い

エンキドゥは、市民の結婚式に割り込み、他人の花嫁への初夜権を行使しようとしていたギルガメシュに青褪めながら怒り、そうはさせないと道を妨害し、彼に決闘を申し込む。

両者の戦いは、決着がつかず引き分けとなった。

この事で自分に並び得る者がいるのを知ったギルガメシュは、エンキドゥを自身の城に迎え入れた。


ギルガメシュは、更なる名声を得るため、杉の森の番人、半神フンババ(フワワ)を倒す事を計画する。国の長老達とエンキドゥは反対するが、ギルガメシュは聞き入れなかった。

ギルガメシュは、長老達の助言を受け、不在中の政治方針を固め、太陽神シャマシュの加護を求めた後にエンキドゥを母のニンスンに紹介する。


二人は、エンリル神が定めた杉の森の守護者フンババの退治に向かう。

ギルガメシュは、道中で見た夢のお告げをエンキドゥに訴える。

エンキドゥは、夢の内容からギルガメシュに答える。

「王よ、それは良き報せに御座います。王は、他の王を越え、何者も勝ることはできません。」


しかし、土砂崩れ、雷雨、落雷などの困難が彼らを襲う。

フンババは、エンキドゥがギルガメシュの味方になった事を「裏切り」と罵ったが、シャマシュ神が風を起こし、フンババを動けなくした。そして、フンババは命乞いをしギルガメシュが望むだけの木を伐り出す事や彼の奴隷となることを提案するが、ギルガメシュは永遠の名声のためにフンババを殺すと宣言する。

フンババは二人を呪ったが、首をギルガメシュに切り落とされる。二人はエンリル神の神殿の門を作る巨木を伐り出して筏を作り、ユーフラテス川に乗せて帰還する。


イシュタルの姦計とエンキドゥの最期

フンババ討伐より戻り、盛装したギルガメシュの姿に惚れ込んだ女神イシュタルは、彼を自分の恋人の1人にしようと誘惑する。

しかし、イシュタルの浮気を許して困窮するドゥムジ神のことを思い出し彼女のあらゆる奔放さを聞き及んでいたギルガメシュは、彼女が破滅させたかつての男達に対しての悪行を並べ立ててこれを罵り、手厳しく求婚を断った。

これに腹を立てたイシュタルは、報復のため「天の雄牛」を国に送り破壊しようと父たる天の神アヌに要求する。最初は娘を宥めるアヌ神だったが、イシュタルが「地獄から死者を生き返らせる」「地上は生き返った死者の数が生きている人間より勝るであろう」と恫喝した為アヌ神は、天の雄牛を国の市中で大暴れさせる事を許可した。


天の雄牛により、ユーフラテス川の水位は下がり、田畑が荒廃し、地に300人を一度に落とす大穴が開く。市中に居合わせたエンキドゥは、これを見過ごすことができずに雄牛と戦い、援護に来たギルガメシュと共に神々の助力を無しに天の雄牛を討伐する。

二人は天の雄牛の心臓を切り取ってシャマシュに捧げ、首をイシュタルの神殿の前に投げ出した。これにイシュタルは叫び、民衆は喝采する。


市民の祝福の中、その夜にエンキドゥは不吉な夢を見る。

神々が集まり、エンリル神の定めた守護者たるフンババ及び、神の所有物である天の雄牛を殺した罪により、2人を殺さねばならぬと言う。シャマシュ神のみが反対するが、神々は天の会議においてエンキドゥにのみ死の運命を定める事を決める。


エンキドゥは、これまで自分の人生に関わった者達を憎んだ。森の狩人、神聖娼婦のシャムハト、そしてエンリル神と彼のために作った巨大な神殿の門に後悔した。エンキドゥの元にかつて自分を導き人間にした神聖娼婦シャムハトが現れるが、悲嘆にくれるエンキドゥは彼女を恨み呪ってしまう。しかし、これを聞いた太陽神シャマシュは彼に「もしシャムハトがいなければお前は、永遠に毛むくじゃらの野獣のまま、森の中をさまよって虚しく死んでいっただろう。」と説き、エンキドゥはシャムハトを呪ったことを取り消し、彼女の幸福を祈った。


しかし、エンキドゥが2度目に見た夢は死後の世界で、彼はその恐ろしい光景をギルガメシュに訴えた。

やがて、神々の呪詛で死の病にかかり日々弱っていく。死の間際、エンキドゥは泣きながらギルガメシュに自分の存在を忘れないで欲しいと願う。そして12日後、ギルガメシュに看取られてこの世を去った。


ギルガメシュはエンキドゥの死体を抱き、蛆虫が這い廻っても放そうとしなかった。

また、人間だけでなく動物や植物に至るまでエンキドゥの死を悼むよう命じ、巨大な像を建て、死後の世界で安楽に暮らせるよう神々に宝を捧げ、有らん限りの財産を出費した。


解釈・説

エンキドゥは一般的な説ではギルガメシュの「友人」とされているが、役割は諸説ある。

初版では、エンキドゥは友人ではなく、ギルガメシュの「お気に入りの奴隷」であった。


エンキドゥの容姿はギルガメシュと瓜二つであるという説により兄弟や双子説もある。


エンキドゥと出会う前のギルガメシュが、天から降る星(kisru≒kezru男娼)と斧(hassinu≒assinu神聖娼婦)を抱く予知夢を見たり、エンキドゥの亡骸に「花嫁としてベールをかけた」描写など度々ギルガメシュに男友達としてではなく恋人として扱われてる事からエンキドゥは「男娼」でありギルガメシュとは同性愛の関係にあった説や、実はエンキドゥは「男装した女性」であったという説も存在し、そこから2人の関係に対して別のを唱える研究者もいる。


また、神殿の門番を務める1対の神になぞられ、1人の人物の「二重身(=ドッペルゲンガー)」ではないかと推察する研究者もいる。


様々な説があるがいずれにしろ、ギルガメシュに寄り添いながら常に行動を共にするエンキドゥは、彼と一心同体のように描かれている。


注意・注釈

pixivでは、Fateシリーズのエルキドゥの絵でタグをエンキドゥにしているイラスト・漫画やエンキドゥの紹介イラストや漫画なのにエルキドゥを描いてしまっているファンアート・二次創作があるが、これはエルキドゥの設定開示がされておらず、設定が今以上に有耶無耶だった昔の時期に描かれたイラスト・漫画や解釈がエンキドゥの方と混同し間違っている絵師のイラスト・漫画である。故に公式ではない。

他の英霊や他作品のキャラと同じく、あくまで元ネタやモチーフなだけでエルキドゥとエンキドゥは別物で別人であり、名前・性別・容姿・経緯などの様々な設定が違うので、混同したり混ぜないように注意する必要がある。


関連タグ

メソポタミア神話 シュメール神話 ギルガメッシュ叙事詩 ギルガメシュ

シャムハト ハンババ グガランナ

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