アステカ神話
あすてかしんわ
創世神話と人身御供
インド神話のように、歴史観において巨大なスパンの世界紀(宇宙の創世・破壊のサイクル)を置いているのが特徴。
神話が説くところによれば、今我々がいるのは5番目に創造された世界である。
現在の世界を創造したのはケツァルコアトルとテスカトリポカの二柱で、
ふたりは世界を建て直し人類を創造した後に太陽をつくったのだが、当初は動かなかったという。
神々が血肉を捧げる事でようやく機能を果たすようになった。
しかしこのエピソードは神話上の一シーンでは終わらなかった。
神々の犠牲で動き出した太陽の機能を維持するために人間もまた継続して生贄を捧げ続けなければならないとされたのである。
しかもその生贄は人間であった。詳細はアステカの記事に譲るが、
太陽の活動を維持するために大規模な人身御供を継続する体制が国ぐるみで用意されていた。
ケツァルコアトル予言と終焉
テスカトリポカは天地創造の業を共に行ったケツァルコアトルを追放したという。だが、この神はいずれ戻ってくる、と信じられていた。
帰還の時と定められていたのは『一の葦』の年、であった。西暦に換算すると1519年となる。
その時を二年後に控えた1517年。スペインという強大な国が襲来した。既に南米のいくつかの部族を屈服させてきた彼らは
アステカもまた平らげようとしていた。ケツァルコアトルが「白い肌の神」とされていたのがアステカ側の対応を遅らせてしまった。
スペイン人は南米の先住民たちよりも白い肌を持つコーカソイドの民であり、
アステカ人はスペイン人がケツァルコアトルやその仲間では無いか、と迷ってしまった。
高度な文明と勢力を誇ったアステカ文明であったが、海の向こうからやってきたスペイン人の技術力と武力の前に敗れた。
侵略者の凶行、そして彼らが持ち込んだ疫病で多くの現地民が犠牲となり、文明は滅亡してしまう。
アステカ在来の宗教も弾圧され、かつてアステカ文明が君臨した土地では強制改宗をも辞さずに広められたカトリックが現在に至るまで多数派の宗教として存在している。
強烈な弾圧も、精神の底流に流れるものまでは潰し切れず、アステカ時代からの呪術は生き続けている。
ミクトランテクートリに代表される死神への信仰は非公式の聖人「サンタ・ムエルテ」誕生に寄与することになった。
現在のメキシコ市北西のテペジャク(テペヤック)の丘に聖母マリアが出現したという奇跡を題材とした「グアダルーペの聖母」の宗教画には
アステカ時代の地母神描写の図像学が盛り込まれているとも言われる。テペジャクの丘はかつて大母神トナンツィンの聖地であった。
コメント
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