いつか気がつく。君の人生は、目が覚めているだけで楽しいのだ
概要
CV:西前忠久(Fate/stay night [Realta Nua])、沢木郁也(劇場版Heaven's Feel、Fate/strange Fake)
「月姫シリーズ」および多くのTYPE-MOON作品に登場する魔法使い。
またの名を「魔道元帥」、「宝石翁」、「万華鏡(カレイドスコープ)」。
死徒二十七祖第三位(リメイク前では第四位)にして第二魔法「並行世界の運営」の使い手。とんでも魔法使い。悪に義憤し善を笑う人物。空条承太郎に例えられたこともある。
略歴
ソロモン王の弟子の一人。ソロモン王の死後、神代の終わりを見届けて表舞台から姿を消す。
AD300。「気に入らないから」という理由で「月世界の王」こと朱い月に喧嘩を売る。
魔術協会と朱い月との戦争で、個人プレーばかりで軍隊として機能しない魔術師達の首根っこを掴んで統括したことから魔道元帥と呼ばれ恐れられるようになった。
朱い月との戦いで先代の第三位に不意打ちをくらい吸血され、死徒化、原理血戒も受け継いでしまう。その場で朱い月と第三位を倒したが、死徒化の影響で今後朱い月に敵対できなくなってしまう。朱い月との戦いでは、虚像の月(本物の月と同じや、同質量とは言われてない)を作ってぶつけようとした朱い月に対し、平行世界から集めた魔力による無尽エーテル砲を用いて対抗したとのこと。
以降は老け込んで全盛期ほどの力はない。しかし各地に突然現れては問題を起こして立ち去るという行為は今も続けている。
戯れに弟子も取るが、彼の弟子となった人物はみな破滅する。とはいえこれは魔法使いゼルレッチの場合であり、魔術師ゼルレッチの弟子となった場合はその限りではないらしい。
ちなみに、『魔法使いの夜』の青子がそうであったように魔法使いの弟子はまずうっかり宇宙を滅ぼすところからスタートするとか(ただし、後述の凛のように魔術師としての弟子でもうっかり宇宙を滅ぼすことは変わらない模様)。
朱い月の遺児状態であったアルクェイド・ブリュンスタッドの後見人になる。彼女の誕生を言祝いだのは彼女が「朱い月問題を終わらせる」因子だったからである。
ほかに、冬木の聖杯戦争の大聖杯降臨儀式にも関わる。
スノーフィールドで行われる偽りの聖杯戦争ではコーバック・アルカトラスと共に観測し乱入者を選定する。
Fate世界では死徒二十七祖の枠組みがないため上級死徒のひとりという扱いになるのではないか、とファンの間で推測されていたが、劇場版『Heaven's Feel』第三章の「きのことたかしの一問一答」にて、Fate世界のゼルレッチは吸血種ではない(不老不死的な属性なのは一緒)というそれまでの前提を覆すかのような設定が明かされており、これが月姫世界とFate世界を隔てる違いのひとつではないかと目されている。
人物
属性は秩序・善。
性格骨子は外向的・強気・能動的。
宝石魔術の祖であり、鉱石科の創立者。同じくソロモン王の弟子で学友のブリシサンと共に時計塔の基盤を構築する。第一の魔法使いであり植物科の創立者であるユミナとはある約束があるらしく、学長(学院長)となったブリシサンとは旧知なので現在は時計塔のご意見番的立ち位置を築いている。
ゼルレッチは基本的に自身を地球という学校から卒業したOBと考えており、地球が崩壊するようなことがない限り、その中で起きている様々な問題は温かい目で眺めるだけ。「儂も若い頃はそれぐらいやったしな」ぐらいの懐の深さ。
ただし、朱い月案件には積極的に様子を見に行く。また、魔法に関する案件があると協会に現れて大岡裁きをする。
祖になったことで、死徒二十七祖のカラクリ・システムを理解し、朱い月を余計に嫌いになった。しかし同時に他の祖たちの在り方を知ってからは以前ほど吸血鬼嫌いではなくなっている。祖の何名かは魔術協会の権利主義者達に比べずっと純粋な魔術の学徒であるためである。
中でも死徒二十七祖の三馬鹿であるラブマドロス、アガペ、コーバックとは茶飲み仲間である。
真祖からは様々な相談を受けていたらしく、後に敵対関係になる聖堂教会についても話していた模様。
第二魔法
並行世界の運営。
型月稿本においては、「並行世界の証明と運用」に表記変更されている。
ゼルレッチはこの魔法を以て「このように、世界には違う展開を迎える余地がある」と証明した。これにより世界は寿命を延ばした。その概念が、夢を失いつつあった星に希望を与えたからである。
基本的にゼルレッチが観測した平行世界は事実となる為、彼は慎重に観察を行い、より良い結末となるよう働いている。
並行世界移動法の実態は異なる時間軸の地球にある宝石への魂の転移である。A世界からB世界へ移動する際、B世界の宝石がゼルレッチの形になるまで集まり、そこに魂を転移、A世界の宝石ゴーレムは元の宝石の山に戻る、という流れ。
鉱石、宝石が存在する世界であればどこでも移動できるが、魂は一つしかないので同時に複数の世界で活動は不可能。元は生身で活動していたが、この方式が一番楽だとか。この移動時に多少の時間誤差が生じる為、時間移動も多少は可能であり、時間旅行、記録の改竄、事象の改変などがこの魔法に含まれる理由でもある。
礼装「宝石剣ゼルレッチ」により、平行世界から無限の魔力を集めて使ったり、「カレイドステッキ」により平行世界にいる同一人物の可能性が持つ能力をインストールさせるなど様々なことが可能。
多重次元屈折現象(キシュア・ゼルレッチ)と呼ばれる「現象を複数の平行世界からひとつの世界に取り出す」第二魔法の領域に届いた例もある。
奈須きのこ曰くこの魔法のおかげで魔力量が事実上無限らしい。
並行世界
いわゆる「別の可能性を描いた世界」。
世界はひとつではなく合わせ鏡のように無数に展開しており、だからこそ未来は一つきりではない。
つまり、あり得たかもしれない結末、切り捨ててしまった関係、気づく事さえなかった選択、といったイフ、変動する未来のある世界。
また、TYPE-MOONでは「異世界」と「並行世界」は別の概念とのことで、並行世界の運営概念として編纂事象と剪定事象というものがある。
各作品での役回り
月姫シリーズ
『月姫』の過去話である『tale』ではアルクェイドの後見人として登場。
『MELTY BLOOD:TYPE LUMINA』では蒼崎青子にある取引を阻止するよう連絡していた模様。
Fate/stay night
遠坂凛、ルヴィアゼリッタ・エーデルフェルトにとっての大師父。もっとも実際は、200年前の先祖(遠坂永人)に宿代を借りた礼として、軽い術理の手ほどきを為して「魔法剣ゼルレッチ」の設計図を課題として気まぐれに与えた程度。
また、遠坂家におけるサーヴァント召喚の際の詠唱には、その系譜から「祖には我が大師シュバインオーグ」と、彼の名を冠した一節を加えている。
Fate/hollow ataraxia
本人は登場しないが、ゼルレッチが作った魔術礼装「カレイドステッキ」のマジカルルビーが登場する。
Fate/strange Fake
コーバックと共にオブザーバーとして参加。「偽りの聖杯戦争」をよりよい到達点に導く為に、観測(介入)を行う。
まほうつかいの箱
アーネンエルベやケータイさんなどのとんでもアイテムの制作者。
プリズマ☆イリヤ
上記した「stay night」での役回りに加えて、クラスカードの事件に関する責任者、及びカレイドステッキ(マジカルルビー・マジカルサファイア)の製作者として登場。直属の弟子に迎える条件としてクラスカードの回収を凛とルヴィアに命じ、カレイドステッキを貸与した上で日本へ派遣した。
番外編ではロード・エルメロイⅡ世を部下のように扱っている。そのためかアニメ版では凛やルヴィアへの指示もロード・エルメロイⅡ世に代行させており、ゼルレッチ本人は姿のみの登場となっている。
Fate/Grand Order
彼自身はストーリー上は未登場だが概念礼装に彼が描かれた『カレイドスコープ』と彼の生み出した魔術礼装『宝石剣ゼルレッチ』と彼自身の立場を指す『魔道元帥』のカードがある。
「平行世界から無限の魔力供給を受けられる」という設定からか、どちらもNPの補填に特化した能力※を持っている。
※カレスコと魔道元帥が限界突破0~3回でNPチャージ80%、全開突破の4回でNPチャージ100%、宝石剣が限界突破0~3回でNPチャージ25%&NP獲得量5%アップ、4回でNPチャージ40%&NP獲得量10%アップ。カレスコと魔道元帥の違いは装備時にアップするパラメーターが違う(前者がATK、後者がHP)。
関連人物
自身が後見人を務める真祖の姫。天敵ながらお互いに好意的。
幼少のアルクェイドには「ゼル爺」と呼ばれている。今では「爺さん」と呼んでいる様子。
同じく魔法使い。
TYPE-MOON世界におけるバイパス役、そして傍迷惑なトラブルメイカーという類似点をもつ。
度々彼女に何らかの依頼をしているらしい(青子曰く、ゼルレッチの爺さんからくる依頼は終末案件なのだとか)。
門下生の遠坂永人の子孫。
「遠坂の末裔がよく頑張った!」と彼女の成果を喜び、編み出したはいいが誰にも教えられなかった無理難題魔術をノリノリで叩き込んでいる。その結果、宇宙をうっかり滅ぼす地獄を見せられ、凛の意識ははっきりとそのことを認識できなかったもののトラウマで一か月吐き続けたとか。
弟子の中でも特に芽がない…というか弟子ですらなく簡単に手ほどきをしただけの相手。
その善人っぷりに驚いたとか。
死徒二十七祖二十七位にて二十七祖のお笑いトリオの一角。
茶飲み友達で彼に携帯電話型の礼装を送ったり偽りの聖杯戦争で部外者の選出等の協力を行ってもらっている等、それなりに親しい仲。
直接の関りは無いが、彼がミハイル・ロア・バルダムヨォンと取引すると何もかも悪い方向に転がっていくらしく青子にその取引の阻止を依頼したことが『MBTL』で判明した。
ゼルレッチが動くと言う事は終末案件のためこの取引はそれ相応の厄ネタである模様。
余談
名前
よく間違えられるが「ゼルリッチ」ではなく「ゼルレッチ」が正しい。
また、異名も「魔導元帥」と間違われるが正しくは「魔道元帥」である。これは『Character material』での誤字が広まったものであるらしい(外部リンク)。
口調
また、漫画プリズマ☆イリヤでの登場の際のセリフや月姫読本の「tale」で1ワードだけ言っていること、また一人称が「儂」のため二次創作でもよく間違われるが、基本的に「~じゃ」「~じゃろう」といった所謂爺口調ではない。
例:
「tale」:「いつか気がつく。君の人生は、目が覚めているだけで楽しいのだ」
「Fate/staynight」:「トンビがタカを生んだ、というのはお前の国の言葉だったな。トオサカは最も芽のない教え子だったが、わずか六代で辿り着くとは」
「Fate/strangefake」:「貴公はどう思う。そろそろ挨拶の一つでもする頃だぞ。そこからでは通信料も馬鹿にはなるまい」
万華鏡
彼の異名であるカレイドスコープ(万華鏡)は1810年代の発明で数千年を生きる彼にとっては比較的最近の異名である。
関連タグ
TYPE-MOON 死徒 死徒二十七祖 魔法(TYPE-MOON)
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