プロフィール
「メイクの技術は、フランス・パリ仕込みです ♪」
概要
『Fate/Grand Order』に登場するキャスタークラスのサーヴァント。レアリティは☆5。
元々は『FGO』から派生した子作として制作されたリズムゲーム『Fate/Grand Order Waltz in the MOONLIGHT /LOSTROOM』のナレーションであり、同作の最後でその正体がサーヴァントであったと明かされた異例の存在。
その時点では名前とCV、大まかなキャラ像しか分からなかったが、2021年のイベント『輝け!グレイルライブ!!』にて姿が明らかになると共に実装された。
真名
サーヴァントとしての真名は、『鶴女の君』。
本作での「ミス・クレーン」は、それをグローバルな言語である英語に置き換えたもの。
古来より、動物報恩譚という物語類型(ジャンル)が存在する。
人間に助けられた鳥獣が、その恩に報いるべく相応の幸をもたらすという筋立ての物語で、日本においては特に「鶴の恩返し」が有名であろう。
彼女はその鶴を中核イメージとして形成された存在であり、舌切り雀を下地とする紅閻魔にも近しいタイプの英霊と言える。恩人に心から尽くして働き、己が身から引き抜いた羽根を材料に機を織り、もしも作業中の姿を見られたならば鶴の姿に戻って退去する。
民話と異なるのは、織り上げた反物から、服を仕立てるところまでやってのけるという点。
これは明確に今顕現している「彼女」だけが遂げた進化であり、とある事情によって現界したまま世界各地を渡り歩いて来た結果とのこと。
旅の途上、たくさんの人々(中にはサーヴァントもいた)に出会い、助けられた。それらの恩義のすべてを彼女は覚えており、いつか必ず報いねばと、心に固く誓っている。
あの日、恵んで貰ったパンのひとかけら。
あの日、寝かせて貰った温かい布団。
あの日、譲って貰ったライブの最前プレミアシート。
どれひとつとして、忘れてはいない。
人物
一人称は「私(わたし)」。
キャスターらしい魔女のような洋装に身を包む、見るものに大人びた妖艶さを抱かせる女性。
正体が化け鶴であるためか、両手には鳥のような鋭い爪がついており、再臨すると背中から羽が生える。また、罠や弓矢にも苦手意識を抱いている。
しかしその実大変に明るく行動的な性格で、喜怒哀楽も非常に豊かな、礼儀正しく親切な働き者。
そして何より度を越して義理堅く、些細な恩義にも深く感じ入り、全力で報いようせずにはいられない。一方で初めから利用する気での下心などは恩と感じず引っ掛からない観察眼も持っている。
そんな彼女ができる最大の恩返しは「服を作る」ことで、英霊としての下地も加わり、糸紡ぎから仕立てまでをひとりでこなすその腕前はまさに神域といえる。
……とまあここまで持ち上げておいてなんだが、重度のドルヲタでもあるという残念な美人。
東にライブがあれば喜び勇んで参加し、西に握手会あればプレゼントを抱えてかけつける。推しが自分の仕立てた衣装を着てくれちゃったりしたら、もうそのありがたさと尊みショックで座に強制退去しかねないとか。
実際、衣服関連で興奮した際は消滅演出が出ている(そして戻る)。
シナリオ中ではアイドルに会ったり輝いているところを見る度に興奮して、美人が台無しなおっきー並の顔芸を披露している。
カルデア屈指のアイドルたちと関わろうものなら即座に限界化。誰が言ったか一人『カルデア・ラジオ局』。
しかしON/OFFの切り替えは早いのか、普通の顔に戻るのも割と早い。
ついでに自分の部屋を片付けられない勢。「他人を通す場所」については綺麗に整えておけるが、自分だけの寝室や物置部屋等については、それはもう大変な有様となってしまう。応接スペースを確保できているだけ他の連中よりはマシと見るべきか。脱ぎ散らかした服やデザインメモ、各国のファッション誌に高級酒の空き瓶etc……プロフィールで「爆裂した鳥の巣が如きアトモスフィア」だの「魔窟」だのと評される私室……決して覗いてはなりませんよ?
マイルームボイスでも納期を守ることを自負しており、他サーヴァントからも服の仕立てを頼むとすぐにオーダーメイドの服が出てくるとの評判ではあるが、それを疑問に思ったとある女性サーヴァントがミス・クレーンに直接聞いたところ「大抵のサーヴァントのスリーサイズはチェック済み」と本人の口から語られた。質問を投げた当人からは犯罪者呼ばわりされるレベルでドン引きされたが、残念ながら当然の評価である。
能力
戦闘では、現代風に変質しているが故に独自の戦闘スタイルを確立させている。
モーション中では、杖で敵をぶん殴る他、地面を筆で塗るように杖を押し当てて光のトラップを形成する、全身から光の羽毛を放出する、光の翼で飛行しながら杖を突き刺す、ミシンの針のように杖を操作する、敵の周りを旋回して謎のスポットライトで攻撃するなどの攻撃を見せる。
第3再臨では、敵の周りを飛行して反物の渦で攻撃する、チャクラムのような器具を操る、反物を触手のように伸ばす、両手の爪や翼、踏みつけによる接近戦という化け鶴らしい攻撃になる。
エクストラアタックでは、背中の月の飾り物からスポットライトを放出する。
また、自身が鳥類である点からスキル使用時に荒ぶる鷹のポーズを取る等、ノリの良さをのぞかせる面も。尤もお夕さん、貴方は鷹じゃなくて鶴でしょう。
ステータス
マスター | 筋力 | 耐久 | 敏捷 | 魔力 | 幸運 | 宝具 |
---|---|---|---|---|---|---|
デザイナー | ? | ? | ? | ? | ? | ? |
藤丸立香 | E | E | D+ | C+ | D | EX |
保有スキル
陣地作成(アトリエ)(C+) | 服飾関係に特化した効果を持ち、陣地内で作成された布及び衣服は品質が向上し、各種追加効果を得る。陣地内部は外部からの視界を遮るが、攻撃に対する障壁としての効果は薄い。 |
---|---|
道具作成(衣)(A) | 魔力を帯びた高品質の布及び衣服を作成できる。宝具『天衣無縫・鶴恩惜別歌』の要となると思しいスキル。 |
レディの衣装な愛情(EX) | すべての衣服をこよなく愛する心の証。心なき衣服といえども、ひとたび彼女の愛に触れたが最後、生命の歓喜に燃え上がらずにはいられない。 |
一夜羽織(B) | 即席のアトリエ結界を展開し、一心不乱に作業する。だが、優れた芸術を生み出さんとする情熱は、時に彼女の生命をも焼き焦がすのだ。 |
千年の報恩(A) | 受けた恩義への感謝を忘れない。例え千年が過ぎようと、その想いは消えず、歪まず、あの日のまま『ここ』にある。今こそ、己が身を献じて恩に報いる時。 |
鶴視採寸(A) | 目視した対象を服の上からでも瞬時に採寸し、体形に関する各種数値を算出する。これは重要な個人情報である為、他言することはない。また、布地の寸法や重量も目測で割り出せる。あくまでも平時の仕立てによるスキルであるため、『FGO』では表現されていない。 |
宝具
天衣無縫・鶴恩惜別歌(てんいむほう・つるのえにしなみだのわかれ)
- ランク:EX
- 種別:対人宝具
- レンジ:1~10
- 最大捕捉:1人
「輝きの舞台を、今此処に!」
「心を尽くし、身を尽くし、恩に報じるこの一夜。『天衣無縫・鶴恩惜別歌(てんいむほう・つるのえにしなみだのわかれ)』!!……幾久しく、輝き続けてくださいまし。」
精魂込めて織り上げ仕立てた、至上の衣装。
あらゆる仕立て職人やファッションデザイナーが追い求める「理想の服」、その到達点をほんの一時だけ現世に顕現させた宝具である。
その完成度は人智の及ぶところではなく、日本各地の天女伝説における「天女の羽衣」のような美しさと着心地を誇る、文字通りの「天衣無縫」。
詳細は該当記事を参照。
ゲーム上での性能
サポート性能を突き詰めた結果「仲間にバフを盛れるだけ盛って退散する」という役割を得た。
原点である民話"鶴の恩返し"では「人の姿となった鶴は素晴らしい反物を作り上げたが、機を織るたびに痩せていった(それが心配になり、鶴を助けた老人は思わず作業中の彼女を覗いてしまった)」という内容の記述があり、それを反映してかスキルには自分のHPを削るものが2つあり、効果内容も多くが自分自身を除いた味方へのバフとなっている。
スキルでNPを100%貯めること自体は容易だが、スターが20個ないと発動できないことに加え、効果の対象が自身を除く先頭の味方のみで更に使用後に自身は強制的に控えに回る(宝具専用演出によりオーダーチェンジで後退する演出はない)というユニークかつピーキーな性能になっている。
特に「霊衣を持つ仲間」との相性が良く、彼女にスキルを使わせる際には霊衣持ちが一緒にいるときが推奨される。ちなみに、スキル「レディの衣装な愛情」の対象「霊衣を持つ者」は霊衣を着ているかどうかではなく(簡易を含め)霊衣が実装されているかどうかで判定される。たとえば、複数種の霊衣が実装されているネロであれば、特に霊衣開放をしていなくてもスキルの対象になる。
総じて清々しい程の他者支援特化型であり、味方全員が倒され単騎になると、宝具は使えずスキルも殆どが機能不全に陥るので「低めの攻撃力で殴るだけ」という詰み状態に陥ってしまう。
そのため、彼女を編成するときには「いかに仲間を生き残らせるか」が課題となる。
特に宝具を使用して控えに退避した場合強制的にオーダーの一番後ろに入る(一番後ろに回って控えの味方が前に押し出される形でオーダーがシフトする)ので、宝具使用後は必然的に最後尾のサーヴァントとなり、考えなしに使うと「最後に出てきたけど既に味方が壊滅状態」なんて状況になりかねない。
味方と敵の相性だけでなく、オーダーの順番にも気をつかう癖の強いサーヴァントだが、うまく使いこなせれば低レアリティやサポート向けのサーヴァントでさえ即席で強力な戦闘力を持つエースへと「仕立て上げる」ポテンシャルを秘めている。
関連人物
劇中冒頭で、敵に速攻でやられてしまったミス・クレーンを助けてくれた人。
その恩に報いるため、彼女に感じたアイドルとしての輝きを見届けるために、そのスタイリストとして行動を共にすることになる。
同郷、それも昔話繫がりのサーヴァント。
自身の実装前のイベントにて、かつて「お夕(ゆう)」という名前で彼女の閻魔亭に滞在しており、自身は「優しい少女雀の宿」と語っていることが描写された。
紅閻魔曰く滞在中は職人として活躍しており、その頃の閻魔亭は今よりも華やかであったという。しかしある日「月の光が呼んでいる」と呟き、そのまま部屋を残して出奔してしまったらしい。
契約したマスター。
彼/彼女に自分の仕立てた服を着せては例のごとく興奮している。
その一方で、恩返しの鶴としてのあり方から真面目に支える場面も。
直後のシナリオで登場した、同じ服飾家のサーヴァント。
可憐な女性を着飾るのが大好きなど共通点も多く、互いの作る衣装に感銘を受けている。
とあるイベントの礼装で共演したり、カーマの幕間でもその技術をハベトロットから称賛される等、かなり良好な関係。2023年水着イベントでは「ハタオリヤ」というサークルを結成して、共に同人誌作りに励む。この際ハベトロットからは「親友」と言われている。
靴に執着を持っているサーヴァント。
同じ服飾関連として、彼女の依頼を受けている模様。
凄腕カメラマンとして世話になっている。
曰く、「ファインダー越しに人の本質を見抜いている」とのこと。
常に半裸の彼に何が似合うか考えている。
ギャグ時空では、スーツを着込んだりしていたが……
時に意見をもらい、時に意見をぶつける関係。彼女から自身の絵をもらったらしい。
ドレスを発注したらしく、「生半可な服では納得せぬぞ」という無言の重圧が凄かった模様。
あとすごくいい匂いがしたらしい。
当人らについて語るときのクレーンは非常に残念過ぎる顔を晒してうっとりしてしまっている。もしやショタコンの気があるんじゃなかろうか……
イギリス演劇界を代表する一流の劇作家。
彼女に「締め切りの壁を乗り越えてこそ生まれる偉大さがある」とアドバイスをした。
グレイルライブ劇中でも人気演劇集団のプロデューサーを務めているが、当の本人は納期関係で雲隠れをやらかしてしまっている。つまり上記のアドバイスは半分言いw……
クレーンの衣装作りの腕前を気に入り、自分達の専属にスカウトしようとした。
限界ヲタ状態を「絶妙に気持ち悪い」と言いつつも一定の理解を示している。
劇中におけるメイヴの相方。
自分に甘えてきたクレーンの荒ぶり様を「バーサーカーより手遅れかもしれん」と一刀両断した。
現代服に興味のある彼女とは友人関係。
しかし、カルデア全員のスリーサイズを把握済みであることには「犯罪者」呼ばわりである。
かつてのマスター
パリにいた頃に契約していた相手で、高いマスター適性を持っているものの、魔術についての知識は一切持っていない一般人。実績こそないが天才的な才能を持つファッションデザイナーで、共に過ごした日々はクレーンの在り方に大きな影響を与えた。
実は行き場を無くしていた彼女を一時期、「ロストルーム」内に微小特異点「ムーンライト」を作成することで匿っていた。最終的にその思いは、彼が思いを託した者たちによって彼女自身へ正しく伝わる事となった。彼はかなりのレベルのドルオタでもあるため、ファンの間では彼からアイドル文化というものを知ったのではないかと推測されている。
ハプスブルク家の系譜にあたるフランス王妃。
自らのアトリエに出資してくれているパトロン。
余談
設定担当の田中天氏は、知る人ぞ知るTRPGリプレイヤーとして名を連ねるゲームライターである。
同時に型月の御大2名に匹敵するカオスの権化「大惨事発生装置」の称号でも知られており、ミス・クレーンのこのえげつない残念ぶりは田中氏の本領とする所業。もちろんTPOを弁えた熟練のプレイスタイルを踏まえての仕上がりなので、往年の田中氏の暴れっぷりを知るファンからは「これでも全然マイルドな方」という、とんでもない評価の辺り、いろいろとお察しください。
サーヴァントでありながら一般人にワンパンKOされる珍事を起こしてしまったが、いくら戦闘に不向きでも魔術師でもない人間に力負けするような事態は普通起こり得ない。これはアイドルが絶対的な強さを得る特異点の性質により相手が通常のサーヴァントより強くなっていたのが原因。
ちなみにミス・クレーンを倒したこの少女、立ち絵は可愛らしい少女だがバトルグラフィックは女海賊をアイドル風に改造したものだったため、ツインテールのロリっ子がいきなりゴツくなったような絵面になってしまい、あまりのギャップにツッコミを入れるマスターが続出した。
↑変身した訳ではないがプレイヤー視点ではこの通り。なんでさ。
なおこれも田中氏ファンにとってはあるあるネタ。御大が先の異名で呼ばれる理由の一端である。
一見すると単なる出オチである初登場シーンをメタ的、かつTRPG的に解釈すると……
- 「笑いを取りつつ特異点の性質(セッションの特殊ルール)を提示」
- 「負けイベントをぐだとマシュではなくミス・クレーンで引き受ける」
- 「直後に駆けつける本イベントの主役、Xオルタの見せ場に繋げる」
ということをやっている(TRPGでこういうシーンをやると、ぐだに限らず、マシュやXオルタもプレイヤーキャラに相当する)。全てのキャラクター(NPCでさえも)を人間が管理するTRPG、特にロールプレイ重視のシステムにおいては各プレイヤーが操る自分だけのキャラこそがそれぞれにとっての主役であるため、相互に尊重し合い、見せ場を引き立て合うことが大切となる。
これは「キャラが」絶対に仲良くしなければいけない、ということではなく、憎むべき悪役をぶっ飛ばす時も、不仲な"設定の”キャラがいがみ合う時も、メタ的に見ればゲームに参加するGMとプレイヤー、人間同士はあくまで相互に楽しんでそうした状況を演出するべきであるということである。田中氏はおどけて笑いを取りながらもストーリーのツボをおさえ、自他の見せ場を引き立てる名手として知られている。そんな視点でマテリアルを読み返してみるのも一興かも知れない。
ちなみに前述通り声を担当するのは水橋かおり女史であるが、彼女は国民的な魔法少女役を担当しているため、当然ながら「なのはとフェイトに続いてついにヴィヴィオも参戦か」、「酒呑童子、フラン、キャットで魔法少女編制組めるぞ」と言うマスターが続出した。
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そして2021年5月17日、ゲーム内ショップに新設された「霊衣縫製」コーナーが解放されたが、その内装はさる特異点で一行が最後に拠点としたあの場所であり、そこにいたのは特異点で感動の別れを迎えたはずのミス・クレーンだった。
ロストルーム時代から特異点での出来事を経て、カルデアに正式にアトリエを構えた瞬間である。