なお『黒レン』という呼称は白レンが登場してからのファンからの呼称で、正式名称自体は一貫して『レン』が正しい(作中の人物からそう呼ばれることもあるが)。
解説
『歌月十夜』における実質的なメインヒロイン。
基本的に言葉を発することは無いが、喋れないのではなく「喋らない」だけ。
病で命を落とした幼い少女の魂と黒猫の死体から生み出された使い魔。
創造主の死後、アルクェイドに八百年ほど前に預けられていた。
創り出された年代は古いが、アルクェイドと共に眠っていたため活動期間はあまり長くない。
能力
彼女を造ったのは非常に古い時代に二百年以上生きた大魔術師であり、製造には現代では失われた古い魔術が関わっている。製造の術式はロアをして「優れた術式で括られた夢魔」と評価するほど。
また最低でも八百年以上の長い年月を重ねた百年級の使い魔であり、通常の使い魔、夢魔の範疇に収まらない能力を誇るようになった。
人間霊と猫の掛け合わせであるため動物霊の側面も持っており、そのレベルは精霊、むしろ悪魔の様な魔に近い。
本来ならば自力では魔力の生成が出来ず消えるしかない使い魔であるはずだがレンは単独で夢や血液、精を介して他人の魔力を奪うことができるので使い魔という役割を放棄して自力で生きる事すら可能とするが、創造主が死んだ後も使い魔という立場を崩そうとはしていない。
最初のマスターの死後、レンがあまりに性能が高いため並の魔術師なら食らいつくされてしまうこと、彼女を悪用する輩が現れかねない可能性も存在したためアルクェイドが後見人としてレンを預かっていた。
これはアインナッシュ討伐でレンの創造主にアルクェイドが協力を頼んだのだが、その時に創造主の死後、レンをアルクェイドが預かるという契約があったからである。
なおアルクェイドは精霊種の一種である真祖のため、使い魔との魔力回路を介した肉体的接続が出来ないためマスターにはなれない。
夢魔
使い魔にして夢魔であり、人の夢を操り、また夢の中に入り込む力を持つ。
また、人に悪夢などを見せたり、血などを奪うことで、魔力(生命力)を奪い糧にすることが可能。
創造主から得た使い魔としての知識により魔術への理解もそれなりに造詣が深く、『MELTY BLOOD』シリーズにおいては黒幕を自力で察知してい場所を特定するなどをしている。
容姿
十歳ほどの人間の少女の姿と、子供の黒猫の姿をとることが可能。
どちらの姿が本来の姿ということはなく、どちらも本当の姿のようだ。
どちらも黒い服装と黒い毛並みに赤い目、黒い大きなリボンという共通点を持つ。
両方とも一般的には可愛らしいと認識される容姿であり、子猫の姿の時はフワフワの毛並み。
なお、レンは「黒コート」を着ていると思われているがこれは誤りで、黒いケープ+黒とグレーのワンピースというのが正しいデザインである。
また、黒タイツではなく黒ニーソであり、下着はピンク。
性格
性格はネコらしく移り気で、唐突に甘えてくる突拍子のなさがある。
甘さ控えめのケーキが好物。外見とは裏腹に洋酒も嗜む。特にヴィンテージモノを好むなどかなりのグルメ。
物静かに一人で過ごすことを好むが、これは彼女の創造主も同じような性格だった影響や、素体となった少女が病弱であったこと、創造主の教え「使い魔は、自らの意思で行動してはならぬものだ」が関係しているのかもしれない。
興味の無い相手とは目線さえ合わせないが、好きな相手には足下についてトコトコと着いていく、という控えめながらもハッキリとした態度を示す。明るく激しく愛してくれる人より、深く静かに愛してくれる人に弱い模様。
知らない人や気に入らない人には基本的に即座に逃げる態度を示すが、翡翠や琥珀の様に自分にそれなりの期間良くしてくれる相手には懐いている。
またそれなりに親しい間柄の人物相手には意外と様々な表情や感情を見せる。
特に自分の為に命をかけた行為に関しては流石に彼女も大きく感情を露わにしたりも。
移り気ではあるが意外と義理堅い面もあり、特に自らの創造主の教えを彼が死んで数百年経った今でも忠実に守ったり、上記の通り自らの命を投げ出した献身に対しては自分も命に代えた行動で報いたりと恩義は忘れない。
自らの主人達には基本的にわかりやすい行動を示さないがかなり忠実で、また彼女なりに主人達への好意はあったようだ。
言葉を発さない上に表情を崩さないので一見分かりにくいが、大事な人への感情や意志表現は彼女なりにしっかり示したりもする。
ネコらしく滅多に行うことはないが、自らの好意は素直かつ控えめながらはっきり表現するタイプ。
そういった意味で言うと自分の一部であった白レンとはある意味真逆。
ヒロインとしての経緯
『歌月十夜』までは大事な人であった創造主の「使い魔は自ら行動してはならない」という言葉に沿って、使い魔という立場を崩さず、かと言って他人から魔力も奪うこともせずと、あと一度でも夢魔としての能力を使うと使い魔としての存続は危ういという限界まで来ていた。
しかしとある事故により自分を助けた遠野志貴の意識が戻らない事から彼の精神を夢を通して救うことをアルクェイドの命令と共に決意。
以後終わらない日常の夢の世界を構築。これが『歌月十夜』の舞台である。
しかしその夢の舞台で志貴と日常の交流を深め、また制御できずに襲ってきた悪夢から志貴に守られるなどをして彼への好意を深めていく。
そして志貴から、夢の世界で自分の意識を保ってくれたことへの感謝の気持ち、自分のこの夢の世界のような日常を送ることへの憧れを指摘される。
要するに一見「遠野志貴を守る夢」に思えるが、実は遠野志貴の怪我自体はさほど重いものではなく、実は『歌月十夜』の夢の世界はレン本人が無意識に憧れていた日常を象った夢の世界だったのである。
最後に悪夢を振り払い、夢から覚める直前に使い魔としての命が風前の灯火であったことを知った志貴から彼女のマスターになることを提案される。
そしてレンはそれを受け入れ使い魔としての命を繋ぎ、また新しい主従の関係性を歩み始める事となった。
設定
主人(マスター)
創造主は彼女を作り出した後、一つの教えとレンの名前を告げる以上の言葉をかけず、最期にただ一度触れることしかしなかったが、長年の間ともに同じ風景を見続けてきたことによる主従の絆は確かにあり、彼もレンも互いを大事な存在だと思い合ってた。
『歌月十夜』ではアルクェイドは彼女の事情からレンのマスターにはなれず、あくまでも「預かり」の形であったが、『MELTY BLOOD』ではアルクェイドもレンのマスターである。
関係性自体も感情豊かな今のアルクェイドになる前からの付き合いだからか互いにかなりドライ。
一方でそれなりに信頼があるかのような行動を示すこともある。曲がりなりにも長い付き合いということか。
『MELTY BLOOD』シリーズでは志貴との関係性が歌月十夜と異なる過程を経たらしいがマスターになったことは変わらない。
好意自体も変わらず存在し、危険な事件にしょっちゅう首を挟む主人の為に彼女も様々な事件の解決に乗り出す。
ちなみに主従関係でありながら一向に使い魔としてレンを使役せず、むしろ危険から遠ざけようとするいつもの朴念仁を発揮する志貴に対して若干怒っていた模様。
ちなみに『月姫』本編でも出番がないだけで志貴に淫夢を見せていたりする一幕も。
誕生日は9月9日。
PC時計が9月9日だと『MELTY BLOOD』の起動画面が……
白レン
最初は険悪だったが 今では無二の仲。
白い方はツンデレだがエロいわけではない。でも声がエロイ。見た目も(ry
でも本当は黒い方がエロい。
月姫リメイクにおける動向
2021年、『月姫』のリメイク作品『月姫 -A piece of blue glass moon-』が発売され既存のキャラクターの容姿及び設定がかなり刷新されるようになった。
その中で原作版『月姫』における「アルクェイドのお礼により遠野志貴に淫夢を見させる夢魔(レン)」というシーンそのものがカットされており(作者奈須きのこ氏いわく「必要のないサービスを入れる時代じゃない」とのこと)、『MELTY BLOOD』シリーズの新作である『MELTY BLOOD: TYPE LUMINA』にも参戦が確認されてないことから「レンがリメイク版以降でも存在するかしないか」という点は全くもって不明であり、一時はファンディスクにおけるメインヒロインでありながらリストラ説すら囁かれていた。
しかし『TYPE LUMINA』のDLCのボスラッシュ4シナリオのラストにおいてネコアルクをフルール・フリーズで粛清する謎のシルエットが登場。
台詞を一切喋らない点やフルール・フリーズのエフェクトの特徴などからほぼ黒い方のレンであると、月姫リメイク版におけるレンの登場の示唆はファンから注目を浴びる事となった。