軋間紅摩
きしまこうま
「六根六境ことごとく排斥する。残念なく成仏しろ」
身長 | 175cm |
---|---|
体重 | 80kg |
年齢 | ???(25~27あたり、30前は確定) |
種族 | 鬼(混血) |
初登場 | 歌月十夜 |
CV | 小杉十郎太(MELTY BLOOD) / 濱野大輝(TYPE LUMINA) |
遠野家の分家にあたる軋間出身の男で、断絶した軋間家のただ一人の生き残りであるため、便宜上当主とされる。
遠野秋葉と同様に『鬼』と『人』との混血の子孫であり、遠野分家の人間でありながら本家以上の濃い鬼の血を持って生まれてきた。混血にも手に負えない、破壊を究極とした鬼。
軋間家が望んで作った血の強い子であったが、それが親族たちの手に負えないものと解ると存在を疎まれ、幼い頃から幽閉されて育つ。そしてある時、彼を恐れた一族の人間から拳銃で撃たれ、ショックで自制のタガが外れ一族すべてを殺してしまう。
その後紆余曲折を経て、秋葉の父である先代遠野家当主・遠野槙久に拾われ七夜家当主・七夜黄理を殺すための切り札として七夜殲滅に使われる。七夜黄理と死闘を繰り広げ、殺害。その興奮から他の七夜一族も多数殺害。このこともあってか幼い遠野志貴(当時はまだ七夜姓)の「超えがたい死」のイメージとして彼の深層に根付くことになる。(月姫時点では描写が真逆だったりもしているが・・・)
ただ、志貴を殺しかけ、志貴の母(黄理の妻)を殺したのは軋間ではない。
七夜殲滅後しばらくは遠野邸にいたので、琥珀とも面識を持ってはいる。(メルブラで「どこかで見た姉妹」という事を覚えているのが解る)
秋葉が遠野の家督を継いだ時、遠野志貴を迎え入れるため使用人・親族が軒並み追い出された。軋間もその一人。七夜殲滅計画の疵か、三咲町には二度と近付くなという条件の上充分な謝礼をもらい、現在はある森で隠棲している。
初登場となった『歌月十夜』では、志貴の悪夢の一片として登場したものの、志貴の恐れと記憶と違い能弁に語りだし、志貴の父親を侮辱までして即座に偽者と判明。結局「志貴の恐怖の体現」でしかなかった為、それに志貴が気付いた事で役目を終えた。
再登場となり、以後レギュラーとなる『メルブラ』シリーズでも、記憶や人が本能的に持つ鬼に対する恐怖から編成された『本物に近い幻影』であり、遠野志貴などの実際の軋間を知ってはいる者の情報が混ざり現界したものである。実はオリジナルは片手で数えるほどしか作品に登場していないというキャラクターでもある。オリジナルが強すぎる為、幻影のタタリである軋間もオリジナルに近い自我を持つ。
メルブラ3作目である『ActCadentza』の蒼崎青子ルートに登場したのが公式に登場した初の本人とのこと。また七夜ルートのラスボスとして登場した軋間も、ストーリーの内容から本物とされる。
隻眼の筋骨隆々とした男。意外に大男というほどの背丈ではない。
10歳に満たない位のとき、混血の斉木家に捕まっていたところ、依頼で斉木当主を暗殺に来た七夜黄理によって右目を潰される。この時軋間は殺されず見逃された。このやりとりが七夜殲滅の夜に、「技」対「力」の最上決戦を魅せる事になる。詳しくは赤い鬼神を熟読。
『MELTYBLOOD』ではノースリーブの上着に長ズボン、腕は肘の近くまで丈のあるグローブをはめ、足は素足に腕と同様の脚絆を巻いた姿で登場している。シーンによっては首周りにファーの付いた白いロングコートを羽織っている。
色はほぼ黒に近い濃紺で統一されているが、紅赤朱としての力を発現した際には髪が真っ赤に染まる。
至って物静かであり、基本的には自制的。存在の奇異故か、性格は鬼らしい希薄な所がある。どこかでそういう学びを得たのか、言い回しの大半に仏教・儒教を思わせる言語を用いている。
現在はどこか山奥のとある森(七夜の森説がある)に住み、篭って修行したりの静かな生活を送っている。
ただし、売られる喧嘩や自身が強いと認める者との喧嘩に対しては寛容で、『ActressAgain』ではアルクェイドに「生の実感をくれないか」と、生の実感を貰う以前の虚無な自分を、これでは寝ているのと変わりないと嫌がって喧嘩を売っていた。
ネコアルク・カオスとのチーム名から、鬼らしく酒も煙草も博打もたしなむらしい。秋葉も酒豪であった。
上記は現在の軋間紅摩であり、過去とは異なる。
生まれは獣そのものであり、初めから人とは違う存在の軋間は長く他人が理解できなかった。血の繋がった家族とも気が違ってしまいそうなほどの隔たりがあった。軋間の長男として生まれながら人としての感情がなく、野生強い性質は、人の中よりも理性のない獣などと森で過ごす事を好んでいた。自身を見て怯えるだけの他者との意思疎通を困難に思い、言葉も憶えない。
それでもその身にわずかながら理性はあった。幽閉され虐げられようと軋間一族にすぐ刃向わなかったのは、「そうしなければならない」という意識があっただけのことであった。鬼の身でこの意識を僅かでも宿したのは凄まじく、僅かな理性を細く削るように結果として家族を守っていたが、元々そういう存在であった軋間の自制のタガが外れた結果、皆殺しの上一族断絶と言う結末に。
何も教えられず、何も必要とせず。攻撃としてもただ手を振り回し暴れまわるだけの陳腐な技術しか持っていなかったが、それで十分過ぎる程強力な身体能力があった。
それが七夜黄理と戦ってから大きく変わる。今まで簡単に殺せていたものが黄理には通用せず、苦戦させられる。軋間は戦い方こそ知らないが、ただ全力を出して相手と対峙するという初めての経験をした。(また黄理も同じ意識を感じていた)
右目以外誰も傷付けられなかった軋間が初めて身の危険を知り・死を意識させられ、人としての心、「生の実感」を得た。
黄理との戦いは生き残っていたのが逆であってもおかしくない、本当に僅差という結果で終わる。黄理を殺した軋間は、この経験から自身の血にあった異能「灼熱」を発動させるなど、身を守る手段・闘う手段を必要と考える理性が目覚め、夢から醒めたように人間性を身に着けていく。
歌月で軋間の偽者が志貴に「生き汚さは父親譲りか」と侮辱したが、メルブラのタタリや本物はそんなことはない、漢、そして紳士である。
七夜黄理を認めており、黄理の息子である遠野志貴に思い入れがある。志貴に「父の跡を継ぐ気があるなら、オレの住む森に来るがいい、あの夜の答えが出るはずだ。待っている」とわずかに微笑むように告げた。
圧壊の腕
鬼ゆえに、当人自身にはさしたる戦闘技術はない一方で、片手で大木を握り潰すほどの握力を発揮できる。そのため、握力以外にも全身の筋力については常人を遥かに超えるポテンシャルを備え、さらに肉体そのものがあらゆる攻撃を跳ね返すほど強固。幼少の頃で拳銃の弾が貫通しない。
直接的指導する師匠がいない為戦闘技術は独学であり、そこから彼しか得られない武術を会得。「独覚」と称する。得られる前の訓練と言っても軋間にはまともな戦闘経験が七夜黄理しかないため、殲滅の一夜が彼を大きく変えたと見られる。
灼熱
熱を奪う秋葉の『略奪』とは違い、灼熱はその名の示す通りに『一切を焼きつくす』能力である。
軋間は生まれつき鬼であり人の世界に興味が持てない希薄な存在であったが、七夜黄理との戦いで"生の実感"を獲得し、それがスイッチとなって元々持っていた軋間一族の異能である『灼熱』を発動するに至った。
いわゆる投げキャラ。
投げキャラの先輩格に当たる弓塚さつき以上に明確に投げキャラとしての構想を植え込まれており、一部の技にアーマー(攻撃を受けてもひるまない判定)が付加されている。
下段技に乏しいため、起き上がりを狙う『起き攻め』とコマンド投げによる二択を相手に迫る戦法を主軸とする。
操作性にクセがある一方、相手の行動を読み切れればめっぽう強いという一風変わった性能を持つ。
アークドライブは、「炎獄」の力で捉えた相手を焼きつくす打撃・投げの二段構えの判定を持つ『独角・閻浮炎上(どっかく・えんぶえんじょう)』<アナザー昇格で『独角・閻浮提炎上(どっかく・えんぶだいえんじょう)』に発展>。ラストアークは、空中から突撃しすべてを「炎獄」の炎で灰燼に帰す『夜摩判決』。
七夜一族との因縁
【七夜志貴】
未練は捨てた
義理は果たした
あとは、己であった証を残すのみ――!
軋間は七夜志貴の父親・七夜黄理と一族の仇。
因縁の深い理由については歌月十夜か、特に短編の赤い鬼神を参照。
(歌月本編でも関わっている)
七夜にとって、自身の能力の見本である一族最高傑作だった黄理を殺した軋間は何を押しても殺さなければならない相手であるとともに、それ故に退魔家・七夜一族としての誇りを果たさなければならない敵。
かねてから七夜は軋間に「才能は父を超えようが心技至らずの餓鬼」と失望されている。
本物の七夜の末裔である遠野志貴と違い、獣や殺人鬼である七夜を疎ましがっていた軋間だったが、七夜が戦う理由を「七夜のプライド」と軋間に告げた時、軋間は初めて七夜に人間味があると認め、七夜一族の最後の人間の『誇り』を評価した。
『ActCadentza』で一度はタタリ同士で戦い、『ActressAgain』では軋間ルート・七夜ルート両方で互いがラストボスである。
軋間ルートではまたタタリ同士で戦闘し、七夜と黄理と比べ七夜に「惜しい」と評価。(七夜が黄理を超える時は、確実に軋間が死ぬ時である)
七夜ルートでは上記の通り、一族の誇りを持つ七夜と軋間が対峙した。七夜が一矢報いたと言っても良いが……。このEDは傍から見るとバッドエンドでしかないが、七夜的には「ただ消えるよりは数倍マシだ。人でなしの最期にしては恵まれすぎている」というわずかな生の証明を果たしていた、七夜らしく誇らしいもの。
遠野志貴とは『ActCadentza』の軋間シナリオで対峙している。
志貴は今や七夜家とは無縁の存在であり、軋間とは出来るなら会いたくなかったとしながらも、軋間の口から七夜黄理の名前を出された事に戦いを決意。
軋間も遠野の事情を解っているのか、自身がタタリと言う事もあり別れようとしていたが、志貴の反応に「骨は残っていたと見える」とし戦闘に入った。
遠野志貴に対してはアーケードのみの勝利台詞が存在する。それによると、軋間一族や七夜一族を殺した事を悔いる気持ちはなく、遺恨を晴らしたいのなら俺を殺せるだけ強くなれと言った趣旨が読み取れた。
軋間は常識人と言われることがあるが、それは人間の範疇の意味ではない。力を持つ者しか認めない鬼として真っ当なものなのである。
それで軋間は七夜黄理の事は強く認めている言動が多い。その事から、志貴たちへの思い入れは大きい。
(また、軋間には七夜の古臭い仏教めいた言い回しに似ている台詞がある。七夜(遠野)志貴と黄理、七夜家が元々そういう古い武家のようなものであり、軋間が七夜の森に住み、七夜の文献などを見ていて儒教の影響を受けたということなら、辻褄も合いそうな気がするが)
余談だが、奈須きのこ曰く非常に思い入れのあるキャラクターであり、初登場は高校一年生の時らしい。月姫と何の関係もない話でいつかひょっこり出てくるかも知れないと語っているが、この発言から七年経った現在、出てくる気配は全くない。
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