概要
TYPE-MOONのファン向け読本『Character material』で断片的に語られた『Fate/stay night』の原型(俗に『旧Fate』と呼ばれる)を現代向けにリメイクした作品。
OVA『カーニバル・ファンタズム』第3巻では約12分のPV風ショートアニメとしてアニメ化された。
劇中の設定や登場人物などは発売されている『Fateシリーズ』とは異なるが、7人のマスターが従えた7体のサーヴァントによるバトルロイヤル・宝具・聖杯・聖杯を巡る戦争が舞台、と言った要素は共通している。現在判明している設定から、ストーリーの流れはStaynightで言うUBWルートとHFルートの混合といった感じに近い。
ただし、本作は「Fate/Prototype本編」という訳ではなく、いわゆるダイジェスト作品である事に留意されたし。(そもそも本編自体が未発表である為。)
また、アニメ化されていない部分の設定は後述の関連書籍や「蒼銀のフラグメンツ」で補完されてはいるものの、それでもほんの一部なので本編製作が待たれる所。
当初は商業化の予定はなかったが、2012年8月10日に角川より「Fate/Prototype Tribute Phantasm」という題名で書籍が発売した他、ドラマCDやスピンオフなどが定期的に出されている。
また、スマートフォンゲーム『Fate/Grand Order』では根幹の設定にこの『Prototype』から拾い出したものがあるとのこと。それが聖杯戦争の原型となった王冠の名を冠する最高峰の七人を召喚する決戦魔術であるかどうかは定かではない。ちなみにこの作品ではproto初出サーヴァントが本編の完結後と言う設定で登場している。
登場人物
マスター
沙条綾香(CV:花澤香菜) | 玲瓏館美沙夜(CV:斎藤千和) |
---|---|
主人公。眼鏡をかけた未熟な魔術師。セイバーのマスター。マスター階梯は最低の第七位・権天使。 | 由緒正しき家に生まれたお嬢様。ランサーのマスター。マスター階梯は第二位・智天使。 |
サンクレイド・ファーン(CV:子安武人) | 沙条愛歌(CV:豊崎愛生) |
バーサーカーのマスター。特徴のない風貌のアメリカ人僧侶。マスター階梯は番外位。 | 沙条綾香の姉。故人。マスター階梯は第一位・熾天使。 |
伊勢三杏路(CV:緒方恵美) | アーチャーのマスター |
ライダーのマスター。自らの不幸な境遇を恨まず、世界の平和を望む心優しい性格の少年。マスター階梯は第三位・座天使。 | 眼鏡をかけた青年。マスター階梯は五位・力天使。街を一望できる高層ビルのオーナー兼社長を務める。アーチャーが現代によく溶け込んでいるのは、彼の影響が大きい。孤児院出身の神父で、葛木とは旧知の仲であるらしい。令呪の位置は左貌。 |
葛木 | |
聖杯戦争に参加するマスターの一人。教師を務める。詳細は不明。『Fate/staynight』の葛木宗一郎とキャラクター造形に変更はない。アーチャーのマスターとは同じ孤児院の出身とのこと。 |
サーヴァント
セイバー(CV:櫻井孝宏) | アーチャー(CV:中村悠一) |
---|---|
沙条綾香の召喚した剣士のサーヴァント。白銀の鎧を纏った青年。サーヴァント階位は第一位。 | 弓兵のサーヴァント。黄金の鎧を纏った青年。サーヴァント階位は第三位。 |
ランサー(CV:中井和哉) | ライダー(CV:宮野真守) |
玲廓館美沙夜が召喚した槍兵のサーヴァント。槍を携えた青髪の偉丈夫。サーヴァント階位は第四位。 | マスター不在のサーヴァント。一般学生の装いをした美男子。サーヴァント階級は第五位。 |
サンクレイド・ファーンの召喚した狂戦士のサーヴァント。サーヴァント階級は二位。
詳細は不明だが『旧Fate』通りなら『staynight』と同じ真名のヘラクレス。また、『staynight』のバーサーカーとキャラクター造形に変更はないらしい…が、こちらは英雄としての誇りもなく只々暴れまわる殺人マシーンという設定になっている。
『蒼銀のフラグメンツ』にて使用している武器から真名がヘラクレスであることが仄めかされている。
コンマテで話していた『旧Fate』の設定のままであれば、十二の試練は命のストックではなく、11回分の戦闘まで絶対に負けないという概念宝具(聖杯戦争には7人のサーヴァントしか召喚されない都合から聖杯戦争で絶対に負けることはないというチート宝具)となり、「絶対に生き延びるという効力の宝具」を持つ旧アーチャーがこれを相殺して倒す("絶対に負けない"と"絶対に生き延びる"の矛盾から負けはしなかったが命を落とす)。これは、『staynight』のアーチャーに受け継がれたヘラクレス戦である。
魔術師のサーヴァント。サーヴァント階位は不明。
綾香の通う学校に結界を施していた。ライダーとは因縁があるとの事だが……。
『Fate/staynight』のキャスターとキャラクター造形に変更はないらしく、真名も同じくメディア。これはコテコテの魔術師がやりたかったためとのこと。
学校に結界を張る役割は、ライダーに受け継がれる。
ドラマCDでは少なくとも、真名がメディアである事は確定しているが、史実ではライダーとの因縁は特に無い。
暗殺者のサーヴァント。サーヴァント階位は不明。
詳細は不明。『Fate/stay night』のアサシンとキャラクター造形に変更はなく、真名も同じく佐々木小次郎。差異を挙げるなら、伊達男ではなく、男女構わず篭絡する神秘的なイケメンで、武蔵とも対決した正真正銘の英霊という設定になっている。山門に居を構えるサーヴァント。
沙条愛歌の召喚した獣のサーヴァント。存在しないはずの第八のクラス。
聖杯戦争によって真にもたらされるというもの。その正体は『黙示録』にある「666の獣」。
人間の業罪や欲望を形にしたもので、そもそも聖杯戦争はこのビーストを完成するための儀式に過ぎない。このビーストは伊勢三少年に埋め込まれた欠片で防護服越しに触っただけでも、人間を汚染し、義務感のある憎悪へと駆り立てるなど相当危険な存在である。
旧Fateではセイヴァーがこのポジションである。
『staynight』におけるアヴェンジャーに相当する。また、存在しないはずの8番目のサーヴァントという点ではギルガメッシュがこのポジションである。
- 前回の聖杯戦争のサーヴァント達
前回の聖杯戦争に参加したアーチャー、ランサー、キャスター、ライダー、バーサーカーが愛歌によって黒化サーヴァントに作り変えられた姿で、オリジナルの善悪を問わず、愛歌の命令で動く傀儡と化している。それぞれが当代の三騎士クラスと対決する。アサシンのみは独断で愛歌に従っている。
その他
- 沙条広樹(CV:東地宏樹)
愛歌と綾香の父親で故人。根源の到達を目標とし、それなりの歴史を持つ典型的な魔術師。
8年前の聖杯戦争で長女の愛歌を擁立して参戦し、聖杯成就の一歩手前まで至るものの、聖杯の本質を知る愛歌の凶行を止めようとするも全く歯が立たず、愛歌によって惨殺された。
綾香に対しても魔術の手ほどきを行っており、それなりに愛情は注がれていたらしい。
- 生徒会長
柳洞一成の原典たる人物。一般人であった一成とは異なり、魔術の世界に関わりがある。
用語
東京を舞台に、聖堂教会を主催者として開催された聖杯戦争。
冬木の聖杯戦争とは異なり、開催されたのは1990年代に二回と現代に絞られている。聖杯は英霊の魂を集める小聖杯とより多くの魂を集める大聖杯とで分かれている一方で、聖杯は最初から汚染されている。これはビーストの影響のみならず、聖杯が人々の想念を受け止めるという物である以上、人々の欲望の裏に潜む悪意を多く受け止めてしまった為である。
被害も冬木の聖杯戦争の比ではなく、前回の聖杯戦争では米軍第七艦隊が壊滅、今回の聖杯戦争では東京が壊滅的大打撃を受ける事が示唆されている。(ナピシュティムの大波だったり、毒を帯びた聖杯の泥、矢の雨や殺人鬼が街を蹂躙するのだからたまったものではない。)
(『Fate/Grandorder』の世界の聖杯戦争も冬木式ではあったものの、現代でのみ開催されたという意味では共通している。)
- 令呪
他シリーズでも登場しているサーヴァントに3回まで使用できる絶対的な命令権。
令呪は天使の羽がモチーフで、羽の数が多い程高位のマスターである。このマスター階梯は天使のヒエラルキーになぞらえた呼び方になっており、最上位は熾天使、最下位は権天使である。
また、他シリーズでは監督役を除いて一貫して手の甲に描かれているが、本作では舌や胸などに描かれている。この為、マスターである事を悟られない為に秘匿する必要があり、より生存がシビアなものになっている。
旧fateでは監督役や破戒すべき全ての符無しでも剥奪が可能なものとなっているようである。
- サーヴァント階位
Fate/prototype特有の概念。
便宜上はサーヴァントとしての強さを表す位だが、実は英霊の強さを基準にした順位ではなく、クラスによって決められている物である事が『蒼銀のフラグメンツ』で判明している。
セイバーが最優なのは従来の型月世界と同様のようだ。
階位はそれぞれ以下の通り。
なお、エクストラクラスの場合どういった順になるかは不明。そもそも番外として処理されるのかもしれないが。
スピンオフ作品
この作品の前日譚にあたるスピンオフ小説『Fate/Prototype蒼銀のフラグメンツ』がコンプティークにて2013年8月号~2016年10月号まで連載された。
また、2012年12月に「船上のメリークリスマス殺人事件」がコンプティークの付録ドラマCDとして発表されている。
余談
アーサー王の性別やギルガメッシュの外見などが従来の型月世界と異なる為、『Fate/staynight』を始めとした冬木の大聖杯がある世界、『Fate/EXTRA』を始めとしたムーンセルがある世界とは完全な別世界(世界観が異なるマルチバースと言うより、宇宙同士が隣接している異世界)ということになる。『FGO』におけるアーサー・ペンドラゴンの幕間では汎人類史の歴史に登録されたアーサー王がアルトリアである事が従来の型月世界とは別の世界である事をより強調している。
ただし、前日譚たる『蒼銀のフラグメンツ』で初登場したサーヴァントが(存在の示唆を含め)外伝作品では全く同じ姿と能力で登場する為、明確な差異を除けば歴史は概ね同じなのかもしれない。(これに関しては、時空を超えて様々な世界と繋がっている英霊の座の特性が関係するのだろうか?)
なお、花札道中記の世界においては冬木の聖杯戦争が起こった世界と繋がっている様子で、綾香一行が衛宮亭を訪れている。
関連イラスト
関連タグ
空の境界:誕生は『旧Fate』が一番初めだったが、世に送り出されたのはこちらが先。ファンからは『旧Fate』同様に『staynight』の登場人物の原型になったキャラクターがいると目されている。
悪性隔絶魔境新宿:時代や舞台が全くの同じなのだが、特に関係はなかった。
氷室の天地:本作のキャラクターが設定を変えて登場。
Fate/Prototype100users入り→Fate/Prototype500users入り→Fate/Prototype1000users入り→Fate/Prototype5000users入り