戦場の剣術に卑怯もクソもないんだよ
CV:遠山春
公式サイトでの解説
「現代の人斬り以蔵」の異名を持ち柳楽と双璧を成す組内トップの剣豪。
剣術だけではなく古武術にも精通しており、戦闘の中で爆薬を使うなど幅広い攻撃を繰り出す。卑怯という概念はこの男にはない。黒澤派に所属している。
京極組 久我との戦闘に敗れるも、命を長らえさせてくれた恩義に応え、内部抗争からの離脱を決意。
概要
獅子王組の武闘派極道であり黒澤派に所属している。真っ赤な長ドスを振るう古流剣術の達人で、「現代の人斬り以蔵」「赤ドスの犬亥」と渾名される組内屈指の剣豪。
12年前の当時23歳の時、柳楽和光と互角に斬り合い互いに顔に傷を残している。
作中でも珍しい、離婚した身とは言え妻子がいる極道であり、年端も行かない娘の梨香とは定期的に会っており仲も良好。
人物
容姿
茶髪の髪にツーブロックヘアと横一文字の傷が特徴的な青年。これはかつて眉済派の構成員・柳楽に付けられたものである。
赤のベストとスラックスにグレーのストライプシャツと赤いネクタイを着用している。ベストの上には白いノースリーブのジャケットも羽織り、両手にはやすりが付いてある黒の革手袋をはめている。
若々しく容姿端麗であるがこう見えて35歳らしい。
また、顔立ちに至っては、阿蒜が「イケメンの兄貴」と評しているほどである。
性格
黒澤派の一員に漏れず冷酷で好戦的な人物である。一方、相手の行動パターンを的確に読み切り合理的な一手を打っていける冷静さと頭のキレ、更には上記のセリフにある通り目的の為ならばどんな戦術を取って見せる狡猾さも持っている。実際に眉済派の一員にして獅子王組でも屈指の実力を持つ井上月麦からも「卑怯が服着て歩いているような人間」と評されている。「任侠よりシノギ」を地で行く黒澤に与し戦場での狡猾な立ち回り含めて「必要悪は存在し理想主義では生きていけない」と言う考えが根底にある。
一方、別れた妻との間に生まれた娘・梨香の事は渡世に生きる身となった今でも定期的に会っており、その度に愛情ある言葉や笑顔を向ける家族想いな一面もある。特に梨香の事は会うだけでなく地方のイベントや催し行事に同伴しては暖かな言葉をかけられるだけで号泣する程溺愛している。
獅子王組の内部戦争から離脱した後は久我に諭されて心を入れ替えたのか、かつてのような残虐さと卑劣さは鳴りを潜め、外道によって酷い被害を受けた被害者に寄り添い敵討ちに打って出ると言う義侠心に目覚めた。元ボスの黒澤自身があくまでも任侠者だったので、そう考えれば元々任侠者だったと考えるのが妥当ではある。実際、内部戦争が終結した後に改めて眉済に付くようになってからはにらめっこ対決で変顔を見せたり、鉄火場で阿蒜に助けられた際はそれを褒め称えた。
能力
剣術
まだ30代(現時点では35歳前後である)だが12年前の23歳の時点で、獅子王組でも伝説クラスの剣豪と称され、あの和中蒼一郎と同格とされる柳楽和光と切り合ったほどの猛者である。
その柳楽からも「強さは本物」と認められる剣術家であり、流派は不明ながら古流剣術の達人。恐らくは免許皆伝クラスの使い手である。
身体能力
剣腕は当然、身体能力も久我虎徹ですら回避できない上に一瞬息が出来なくなるほどの蹴りを放つ、当然のように銃弾を回避、一瞬の隙をついた久我に切り裂かれ「深手」を負うもパフォーマンスが落ちている描写が一切存在しない。等、非常に優れている。
なお、規格外の久我と比べるのは可哀想ではあるが、当然ながら久我と比べると純粋な速度は劣る。
戦法
凄まじい剣腕のみならず、「なんでもあり」と称される通りに蹴りや頭突きなどの体術、煙幕、爆発物と様々な物を有効活用する他、得物としている長ドスの刀身にも弛緩剤を塗り込んでいる。何も知らないまま相対してしまったら最後、簡単に主導権を握られてしまう。
前述の通り柳楽に匹敵する剣士であり、数多の死線を潜り抜け覚醒したはずの久我にも圧勝している。まさに獅子王組最強級の実力者の1人と言える。
弱点(?)
ただし搦手の類は全て雨天だと無力化される(煙玉や炸裂弾などの火薬類は濡れて使用不可になり、刀の刀身に塗り込んだ筋弛緩剤も流れてしまう為)という意外な弱点がある。しかしそもそもの剣腕が凄まじい為、雨天かつ余程作戦を練らなくては勝負にならないことは間違いない。
活躍
幹部会で黒澤の護衛として初登場。柳楽に対して「次は確実に殺しますよ。」と軽口感覚で挑発した。また、眉済派による作戦会議で鮎川鉄次と共に要注意人物として挙げられた。
「君に生きる価値なんてない。さあ、ピザみたいに八等分に分かれてください」
- 2023年1月20日の動画(久我虎徹)
鮎川や来栖三成と共に、黒澤派の最強戦力として紹介された。
「眉済派の人間は確実に殺す」
- 2023年2月1日の動画(久我虎徹)
獅子王組眉済派に出向している久我と犬飼鷹四郎が京極組に定例報告に赴く際に奇襲し、舎弟2名が犬飼を相手取り自身は久我との戦闘に発展する。体術と煙幕で主導権を握ったが、根性を見せる久我に腹を裂かれてしまう。しかし煙幕に見せかけた爆弾で久我に大ダメージを与え、さらに弛緩剤を塗りたくった日本刀で切り返した事で行動不能に陥らせ王手をかける。しかし、舎弟2名を斃した犬飼に乱入されて切り裂くも、犬飼が久我を抱えて崖に滑り落ちた事で撤退を許してしまう。それでも深追いはせず、犬飼にもダメージを与え、久我に至っては中長期に渡る入院を余儀なくさせると言う、眉済派に看過できない損失を与える事に成功した。
久我はこれまでにも苦戦した末に倒せなかったり、一方的に叩きのめされたり、試合に勝って勝負に負けた状況になったりと決して敗北がなかった訳ではないが、狡猾な戦術や隠し武器込みとはいえ久我を相手に真正面から打ち負かした数少ない人物である。実際、犬飼に乱入されなければ、久我は本当に殺されていた。
「他人の家の内部抗争に横から首を突っ込む……そんな愚か者は赤ドスの錆にしたいと思います」
「内臓をこの場にぶち撒けて初めて死だ。さあ、トドメを刺そう」
- 2023年2月15日の動画(阿蒜寛太)
12年前で23歳の時、眉済派の柳楽と互角に切り合ったエピソードのより詳しい情報が発覚したまた柳楽曰く、「最後までやっていれば死んでいたのはあいつ(犬亥)」との事。黒澤派で作戦会議の中、海外遠征から帰ってきた井上が眉済派に付いた事を知った際は苦々しく思いながらも、黒澤から「調子に乗ってるようなら殺せ」と言われた際は改めて始末する方針を固める。後日、眉済派の構成員であり功名心を欲した小島と戦闘になるも、圧倒的な強さで完勝する。そして内部抗争の戦火は更に広がる事を危惧した。
「上の人間の思いとは裏腹に戦火は広がるだろう」
- 2023年3月22日の動画(阿蒜寛太)
阿蒜や伊武隼人らの詰めている事務所に爆弾を仕込んだ犬型ロボットを通させる事で爆破させ、重傷を負わせたところで構成員数名を連れて現れる。伊武は重傷にもかかわらず凄まじいタフネスで構成員らを戦闘不能にされて戦闘に雪崩れ込む。伊武の凄まじい強さと執念の前に刀が折れそうになるほど劣勢になるも、眉済を裏切り黒澤派に寝返った半田民生によって戦況を引き戻す。二対一の優勢に持ち込むが、底力を見せる伊武を倒し切れず、最終的には爆破を知った警察と消防が来た事で、半田と共に撤退し、伊武を必ず殺す宣言をした。
「必要悪は存在する。眉済の理想主義で生き残っていけねえんだよ!!」
黒澤派 現代の人斬り以蔵vs京極組 覚醒した天才 雨の中で見つけたもの……
苛烈極まる抗争の中、久我と犬飼の調査で信じられない事が明かされた。
久我「なにぃ……子供だとぉ?」
実はかつて別れた妻の間に梨香と言う娘がおり、月に数回は娘と面会していると言う事実だった。
梨香とのささやかな時間を終えた帰りに久我に見つかるが、その表情は不快と怒りそのものだった。
「誰かと思えば京極の死に損ないか……貴様らは今度こそ殺す」
久我「ここじゃあテメェのガキも見ちまうかもよ…… 下の河川敷でやるか?」
久我が娘の話を引き合い出されたことで雨が降り注ぐ河川敷に誘き出され、勝負が切って落とされた瞬間……
「相変わらず甘いなぁ坊や! 隙ありだ!」
久我に同行していた犬飼を強襲し斬撃を浴びせ、その始末を護衛2名に任せて再び向き直る。
久我「何しとんじゃあ犬亥! テメェの相手は俺だって言ってるだろうが!」
「そんなルールないだろう? まあ死体は川に流してやる」
初手を取るが、かつての経験から久我はドス二刀流で立ち向かい、速さに任せた防御中心の戦法に打って出た。以前は炸裂弾や煙幕で有利に進めていたが、雨が降っている状況のせいでそれらは機能不全となり、戦いが進むにつれて弛緩剤も流れ落ちていたために剣術による戦法しか取らざるを得なくなった。
「そのナマクラごと頭をカチ割ってやる!」
久我「オラァアアア!!」
「ムゥウウウ!」
守りに徹する久我に焦れたように大振りとなった所でドスを一本投げつけられ、隙を作ってしまったせいで懐を取られてしまう。
咄嗟に刀を振り下ろすも、突っ込んできた久我には刃を根元で受けられたことでダメージを最小限に抑えられてしまう。
それでもその後は体勢を立て直し、蹴りで久我のドスを弾き落とす事で回避するが…
久我「……ここまでが想定済みじゃああああ!」
「なにぃいいい!?」
片足立ちになったところで久我にすかさずタックルを決められ、川に無理矢理引き摺り込まれた事で刀を手放してしまう。
そして、久我に無理やり顔を水面に押し付けられてしまう。
久我「ハナから俺はテメェとチャンバラする気はなかったんだよ!」
久我の狙いは河川敷の川で溺死させる事であり、必死に顔を出すも強烈な拳を顔面にもらってしまう。
「……素手なら俺に勝てると思ったか! 吹き上がるんじゃねぇええ!」
苦し紛れに徒手空拳で応戦するも、永遠のライバルを始めとする殴り合いの土俵を幾多も超えてきた久我に戦局は傾き……
「……」
最終的には無力化された挙句に溺れてしまう。
顔を川に付けたまま死を待つばかりの状況になる中、久我の脳裏にある事がよぎった……
梨香ーまた梨香に会いに来てね。待ってるからー
ーああ……パパは梨香が大好きだ。またプレゼント持ってくるからなー
それは、武闘派極道でも非道な剣豪としての姿でもなく、一人の娘を大切に想う父親としての犬亥の姿だった。
久我「ううう…… でも娘を見ちまった! ムカつくなぁあ! ……何やってんだ俺は!!」
気づけば久我は川から救助して心肺蘇生を行った。
「うぉ……そうか……俺は意識を失ったのか……」
久我「おいクソ野郎…… この戦争から離脱しろ! テメェが生き残るにはそれしかねぇ」
「何をバカな…… 殺せ。俺も渡世で生きている…… 命乞いをする気などない」
意識を取り戻し、自身の事情を知った久我は生き残る方法として、家族のためにも戦争から離脱するように進言するが、渡世に生きる者としてそれはできないと拒み殺すように命じた。しかし…
久我「腹立つなゴラァアア! 意地張ってんな! 抜けろっつたら抜けろ!!」
(この男……俺を生かそうとしている。ああ……家族を……娘を見たのか)
久我「負けたんだろうが! テメエの命は俺のもんだろ! 言う事聞け!!」
(あれだけ俺が卑怯な事をしたのに……何という男だ)
「フフフ……久我虎徹、負けたよ…… お前のせいで娘と生きたくなってしまった」
久我「ああん!? そんなこと一言も言ってねえだろ!!」
「元々お前の勝ちだ…… 俺はこの戦争には戻れん…… 情けなくてな」
久我「わかりゃいいんだよボケが! 俺の勝ちだ! 言いふらすからなぁああ!」
最終的には自分に勝利した久我の発破から、本来なら死んでいた自分を未来を考えて生かしてくれた事に感謝と恩義を感じ、内部抗争からの離脱を決意するのだった。
「久我虎徹……奴には一生頭が上がらんかもしれんな」
しかし、明るく温かい未来を考え始めた表情はどこか晴れやかなモノだった。
- 2023年5月6日の動画(キャラ紹介)
勝つために何でもありの古流剣術ベースの戦法を用いる自身とは対照的に『日本刀一本で白兵戦を制すると言う信念を持つ』と評した。同時に「日本刀の斬り合いならば和中の右に出る者はいない」と認めており、勝つ為ならば子供の居るところで戦えばいいだろうと語った。しかし『卑怯が服を着て歩いている人間』と言うのは自分でも認めていたものの、久我との戦いを経てそのような戦いはしないと公言し、自分の持てる技を以て勝ってみせると言った。
花宝町の洋菓子店の店主から愛情深く妹と共に育てられた須藤真美子の依頼で動いていた伊集院に、守代を頂き獅子王組お気に入りの店を穢された事で下衆な強盗団を調査していた所で伊集院と出くわし、協力を申し出て同行。主犯2名以外を凄まじい強さで瞬殺した。
時系列的に獅子王組の内部戦争で久我のリベンジマッチに敗れ改心した後なのか、登場当初に見せた残虐さや冷酷さは大分鳴りを潜め、人間味を取り戻したような表情を見せている。
犬亥の強さを見た伊集院も獅子王組の層の厚さを再認識させ、かつては外道構成員だった頃から改心し仁義を取り戻し更に強くなる事を視聴者に予感させた。
「下衆どもが……最早人の所業ではない!」
「獅子王組だ。お前らはやり過ぎた。死ぬしかない」
「人の死とはいつも呆気ない……」
「さぁ、プレゼントだ。爆発するまで5秒ある。遺言を言え」
(半グレ「ヒィィィィッ! 取り出して! 助けて! 手が無い……いやあああああッ!」)
「遺言の一つも言えんのか。生きる価値など到底無い」
- 6月14日の動画(阿蒜寛太、最終回)
眉済新組長の元で敵対していたが特に制裁等はなく受け入れられる。親睦を深める過程で井上から他の元黒澤派と共に睨めっこ対決に参加させられ伊武とあたり敗北した。
その後は伊武、阿蒜と共にカチコミを決行し花宝町を荒らす連中を殲滅した。潜んでいたもう一人の半グレに銃を向けられるも、阿蒜に助けられ、その働きを褒めた。
天羽組シリーズに初登場。
空龍街で開催されたクリスマスマーケットに生き別れ定期的に会っている娘である梨香と訪れた。
梨香からサンタクロースのお願いに「パパと遊ぶ時間をもっとください」と打ち明けられた際は感極まって号泣した。犬亥は知らなかったがその場面を天羽組の小峠華太に見られていた。
犬亥は誰とも邂逅していないがこの回は組長の天羽桂司を始めとする天羽組の面々、株式会社モーリーの瓜生龍臣や投擲の香鈴、マッド・カルテル日本支部のボスの香坂慎太郎が登場している。
余談
黒澤派の中では本名が明かされるのがやや遅く、眉済派の作戦会議で使用されたホワイトボードでしれっと発覚した。
考察
久我は彼を最終的には生かしたという決断を下したのは上述の通り一人の娘を大切に想う父親としての犬亥鳳太郎を見て、西園寺健吾や別府ら娘持ちの兄貴たちのことが頭によぎった事に加え、久我自身が幼少期に親と生き別れてしまったからであろう。作中では描写されていないが、西園寺や別府が亡くなった後に残されたそれぞれの娘は厳しい状況に置かれただろうことは間違いなく、久我もそれらを見てきたが故に生かす判断を下したのだろう。
彼が金稼ぎを重視する黒澤派についている理由は、家族を養い少しでも生活を苦しくさせないためだと考えられている。 また、久我に負けた後は穏やかな表情を見せたことから彼もまた黒澤派に属している内に義理人情を忘れて歪んでいったものと思われる。
関連タグ
六車謙信、一条康明、袈裟斬りの吉岡、綾小路乃武 - 京極組における剣豪。六車に至っては同い年である。
伊集院茂夫 - 小湊と同じ流派の使い手だが、剣術のみならずあらゆる戦闘術に長けた凄まじい達人。
野田一、仙石薫、相良颯誠、殺し屋ジェイク、伊舎堂崇、桜庭恵吾 - いずれも卑怯な戦術を得意とする人物。
工藤清志 - 天羽組所属の極道。戦闘スタイルはほぼ真逆だが、その一方で本作でも数少ない妻子持ちの極道という点が共通。
西園寺健吾、別府 - どちらも京極組所属の極道。娘持ちの極道という点が共通。
城ヶ崎賢志 - 羅威刃の2代目トップ。家族と会った直後を京極組構成員に襲撃された敵役という点が共通。但し、犬亥の場合は本来なら死んでもおかしくなかった状況から命を救われているところが違う。
祇園織文 - オリオンのコードネームを持つ暗殺組織エルペタス所属の暗殺者。犬亥と祇園は戦闘時こそ冷徹非情だが、幼い娘の前では家族想いな一面を見せるという2面性を持つ共通点がある。