土佐藩郷士。土佐勤王党の志士。
司馬遼太郎の「人斬り以蔵」で有名になり、幕末四大人斬りの一人に数えられる。
概要
武市半平太(瑞山)に師事し、剣術を学ぶ。
安政3年、海防警備のため、藩命で武市と共に江戸へ発つ。また任務の合間、桃井道場で武市らと共に修行に励む。
万延元年、武市に連れられ、久松喜代馬、島村外内ら武市道場の門弟仲間と共に各地で武術修行に参加した後、江戸で武市が結成した土佐勤王党に加盟。
文久年間は、天誅と称して、薩長土の尊皇攘夷派の同志と共に、かつて安政の大獄で尊皇攘夷派の弾圧に関与した者などへの粛清に参加した。
なお天誅及び土佐勤王党員が関与した暗殺は武市の弟である田内衛吉や中岡慎太郎、他藩の志士など大勢が参加した、集団での私的制裁であり、以蔵一人が行ったものではない。
性格は豪勇で武技を好み、大柄で逞しい体格だった。しかし一見勇敢なようで臆病だったため、皆にこの性格を惜しまれたといわれる。
一時は坂本龍馬の紹介で、勝海舟の護衛をしていたが、結局護衛役をやめ、最終的には酒色に溺れ身を持ち崩し無宿者となった。
八月十八日の政変後、土佐勤王党が失速すると、勤王党への弾圧が始まる。
一連の暗殺に関して武市ら勤王党の同志がことごとく捕らえられる。以蔵も京都所司代に強盗として捕らえられ、土佐に引き渡される。
女でも耐えるような拷問に泣きわめき、武市に「以蔵は誠に日本一の泣きみそであると思う」と酷評されたと言われている。拷問の末、自分の罪状及び天誅に関与した同志の名を白状し、打ち首、晒し首となった。
素行不良に加え、自白で同志に累を及ぼし土佐勤王党の大獄のきっかけになってしまった人物だったため、維新後は顕彰碑に名前を載せることを拒否されていた。
なお創作にみられる、獄中で毒殺未遂を恨んで自白したというエピソードは、司馬遼太郎の創作である。
実際に以蔵の口を封じるため獄中に毒を差し入れる計画はあったが、武市や以蔵の親族の同意が得られなかったために実行されることはなかったと言われている。
創作での岡田以蔵
- 龍が如く維新!では錦山彰が以蔵を演じる。武市半平太の兄弟分として土佐勤王党筆頭になった坂本龍馬を嫌い、幾度なくぶつかり合う。
- るろうに剣心の主人公緋村剣心および登場したキャラの一人鵜堂刃衛のモデルの一つ。実写映画で剣心を演じた佐藤健は大河ドラマ『龍馬伝』で岡田以蔵を演じていた俳優でもある。
- 銀魂には以蔵をモデルにした人斬り岡田似蔵が登場。
- 『Fate/KOHA-ACE 帝都聖杯奇譚』にはアサシンのサーヴァントとして登場⇒アサシン(帝都聖杯奇譚)
- 乙女ゲーム裏語薄桜鬼では攻略キャラとして登場。気の弱い人物として描かれている。
- 幕末志士の恋愛事情にも攻略キャラとして登場。
- 乙女パズルゲーム『ラヴヘブン』の攻略キャラクターとして登場。
- 風雲新撰組では敵キャラとして登場。血に飢えた人斬りとして描かれており、特定の条件を満たせば容姿を自キャラに使える。
- 風雲新撰組の続編である風雲幕末伝にも引き続き登場。佐幕編だと敵だが、倒幕編だと味方になる。田中新兵衛とよくコンビを組んでおり、半ば破綻した猟奇的な性格の人物として描かれる。偉人録モードでは自キャラとして使用可能で勝海舟の護衛などのエピソードを体験できる。
- ゴールデンカムイに以蔵がモデルだと思われる土井新蔵が登場(以蔵は土井鉄蔵の偽名を使っていたことがある)。
- 刀剣乱舞ではイベント「特命調査文久土佐藩」に彼を想起させる敵が登場。これを受けたメディアミックス・刀ステ「維伝 朧の志士たち」に登場し、脱藩した坂本龍馬を親友として慕う無邪気な顔と、犬と蔑まれ人斬りと恐れられた事で狂気に落ちた最強の剣士としての顔を見せる。その後別のメディアミックスである刀ミュ「江水散花雪」では勝海舟の護衛として登場、改変された歴史に合わせてまっとうな人物としての顔を見せた。そんな元主の乖離に、対峙した肥前忠広は激しく苦しむ事となる。
- シノビノでは坂本龍馬と共に行動をとる人斬りとして登場。史実通り死んでいるが実は偽者を使っての偽造でそれ以降は中岡慎太郎と名乗っていたらしい。