概要
2011年にPS3専用ソフトとして発売されたアクワイア開発のゲームタイトルシリーズ『侍道』の第4作目。更に2012年に追加要素を収録した廉価版、『侍道4 Plus』が発売された。
本作の時代設定は、浦賀への黒船来航から数年後が舞台の、いわゆる幕末時代(約1853 - 1869年ごろ)となる。また、物語の舞台となる地は「阿弥浜(あみはま)」と呼ばれる港町になり、三勢力は「外国」「幕府」「攘夷」となる。
あらすじ
開国後の港町、「阿弥浜」。 日本との交流を目的に黒船が来港し、急速に西洋文明が発展していた。だがそれをよく思わない攘夷派と、それに対抗する幕府の勢力が日々し激しい戦いを繰り広げていた。 ある日、黒船上で大使の「ローラ・リータ」を代表とする英国の使節と、大老「鬼怒川怨仙」の娘の三姉妹、運上所頭取の「茂呂茂」が日英合営の製糸工場の建設について協議していた。そこへ攘夷派である「般若党」が大砲を携えて現れ、幕府と英国 対 般若党の大騒乱となる。その騒動の起こるまさに直前、主人公が小さな手漕ぎ舟に乗って阿弥浜の港へやってくるところから物語が始まる。
新システム
- 生きた証
周回要素に関係する新システム。エンディングやゲームオーバーなどでいちど物語を終えたとき、前回のプレイで取った行動や使用していた武器などが次回プレイ時に影響を与える。
前回プレイしたゲームの内容によって、最初から町の施設が開業または閉鎖していたり、生前自分が使っていた武器をノンプレイヤーキャラクター (NPC) が拾って持っていたりする(流通)。また、特定の条件を満たすと、前回エンディングを迎えた主人公が阿弥浜の住人 (NPC) として登場することもある。
通称「つま斬り」。シリーズのバトルパートで追求されてきた「殺陣」に関連する新アクション。
発動するとプレイヤーキャラクターの動作が高速化され、周囲にいる敵を流れるように攻撃することが可能となる。このとき倒した敵はすぐに倒れず「つま斬り」が終了すると同時に、血しぶきを上げて一斉に倒れる。
- 拷問
キャッチコピーは「地獄の沙汰も俺次第」。
本作では悪行を行うと同心や岡っ引きが襲ってくるようになり、その状態で捕縛されると拷問にかけられる。
拷問はミニゲームで行われ、耐え切ることができれば放免してもらえるが、耐え切れなかった場合は死亡しゲームオーバーとなる。
拷問は三種類存在し、ゲーム中の治安によって内容と担当者が異なる。
- 治安が良い - 長女・万由「人間水車責め」
- 治安が普通 - 三女・百合「煉獄吊責」
- 治安が悪い - 次女・千佳「超石抱」
余談だが拷問中の際、前作の「侍道3」戦闘時のBGMが流れる。
- 夜這い
キャッチコピーは「今夜、お待ちしております」。
町の中にいる女性キャラクターに声をかけたときに「惚れた!」の選択肢を選ぶと女性を口説くことができ、その後の口説き文句で女性に好印象を与えることに成功すると夜這いの約束を取り付けることができる。その後、時間帯が夜のときに夜這い小屋を訪れると、家人に見つからないよう屋敷に忍び込むステルスパートに移行し、そこから意中の女性の待つ布団への到達に成功すると、舞台を旅籠に移して「たわむれ」を楽しむことができる。
通常、夜這いができるキャラクターはマップ内を徘徊している一般女性NPCだけだが、ある流派を入手すると物語に大きく関わる主要人物や、男性キャラクターへの夜這いも可能となる。
流派
武器によって使用できる技が決まっていた従来の作品に対し、本作では「流派目録」と呼ばれるアイテムを装備することによって使用する技を決定する。
流派は、目録によって構えや技構成が異なるのが特徴で、基本的には武器と同様に敵キャラクターを倒すことで入手する。なお、一度習得した技は、ある人物に白紙目録を持っていくことで「俺流」と呼ばれるオリジナル流派に組み込むことができるようになる。
本作における流派は、前作から登場していた「上段」「中段」「下段」「脇」「片手」「居合」「忍者」「二刀」「忍者二刀」「槍」「無手」の11種類の構えに加え、新たに遠距離から敵を攻撃する「拳銃」や「ライフル」が追加されている。
登場人物
主人公
イラストは青年期
CV:新垣樽助(青年)、市来光弘(若年)、ふくまつ進紗(壮年)
デフォルトネームは「名無し侍」。
小船で阿弥浜を訪れた侍。港での騒乱に巻き込まれる形で物語が始まる。
初期武器は「中道刀」
初期流派は「無心流剣術」
外国勢
CV:安士百合野
英国公爵家出身の大富豪の娘(両親はすでに他界)。日英間の貿易締結のための公使として日本を訪れる。まだ幼さの残る少女だが日本人に対しての偏見を持たず、誰にでも優しく接することのできる芯の強さを持っている。嫌いなものは暴力と幽霊。また、甘いものに目がなく、常に領事館の机の上にチョコレートを忍ばせている。
外国勢力ルートと隠しルートでの事実上のヒロインとなる。
CV:大川透
24歳・血液型はB型。通称・JJ(ジェイジェイ)。派手な燕尾服に身を包んだ若き伯爵。英国副使としてローラの補佐を担当する。退屈を嫌いスリルを愛する優男で、趣味はギャンブル。左腕は義手だが、これはある時賭けに負けて自ら切り落としたことによるもの。
暇を持て余しては港のカジノで遊んでいるが、拳銃の扱いに長け、剣の腕も一流。なお、主人公を除くと戦闘で拳銃を使用する唯一のキャラクターである。
武器は「ジャクリーン」(銃)、「ジョセフィーヌ」&「ジョアンナ」(剣)
流派は「アルスター式銃術」と「アルスター流剣術」
メリンダ・デカメロン
CV:田中敦子
イギリス海兵隊隊長を務める女騎士で、ローラの護衛役。自身直属の女性騎士団「パツキン隊」を配下に持つ。金色の鎧に身を包み、自他への厳しさから「鬼隊長」と恐れられるが、ひとたび鎧を脱げば美容に気を使い、男性への憧れも捨てきれていないという一面も持つ。
戦闘では英国式の大剣を軽々と振り回し、防御を崩されなくなる特殊能力「不動心」の効果で鉄壁の守りを併せ持つ。
武器は「セイチュリオン」&「チーフテン」
流派は「ウィンザー流剣術」
幕府勢
CV:納谷六朗
64歳・AB型。幕府の大老。攘夷志士殲滅のため、江戸からやってくる。「幕府の威信回復」を名目に拷問や処刑(おもに釜茹での刑)を楽しむ冷酷非道な人物。自身の親衛隊「魔鱗組(まりんぐみ)」に加え、隠密集団「暗闇脳天(くらやみのうてん)」を率いているほか、自身そっくりの影武者も擁している。
脇構え、中段構え、片手構えの3つの構えを使い分けることができる特殊な流派を使用しており、凄まじい剣の実力を誇る。
本作における諸悪の根源であり、真のエンディングとなる隠しルートでのラストボスとなる。
武器は「龍魔治(りうまち)」&「真啓通(しんけいつう)」
※この他にも「鬼ヶ島」という短銃を所持している。(とある場所で入手可能)
流派は「鬼怒川流剣術」
(左の人物)
CV:江川大輔
36歳・O型。阿弥浜の代官。「阿弥浜の河豚(鯨)」を自称する剣術の達人。暑苦しいほどの熱血漢で、良くも悪くも真っ直ぐな性格。少々空回り気味なところはあるものの根は善人である。展開しだいでは鬼怒川から離反する。趣味は洞窟探検。
中段構えと上段構えを使い分けることができる複合流派を使用しており、中でも気を溜めてから一気に放出して周囲を吹き飛ばす「美愚蛮(びっぐばん)」は強力無比な性能を有する。
おそらく、モデルはこの人。
武器は「一文字」&「砕苦論(さいくろん)」
流派は「久土井流剣術」
CV:遠藤大輔
32歳・A型。運上所頭取(輸入物資の管理や税金の徴収などを行う役所の頭目)。不真面目でいつも眠そうな顔をしているが、胸の奥では常に国の行く末を思っている。現在の古い体制の幕府に危機感を抱いており、外国の高度な文化や技術を取り入れるべく奔走するがそのせいで攘夷勢力からは目の敵にされている。
体術の達人であり、刀を持った相手にも互角に渡り合うことができる「無手」の使い手。またあまり披露する機会はないものの、剣の力量も高い。
なお本人の口から既婚者であることが語られる。
武器は「ハルユキ」&「マサトシ」
流派は「夕張流体術」と「富良野流剣術」
左から万由(まゆ)、千佳(ちか)、百合(ゆり)
CV:沢城みゆき(三人全員)
鬼怒川の三人の娘たち。長女が万由、次女が千佳、三女が百合。父に負けず劣らず拷問や処刑が好きで、ちまたでは「残酷三姉妹」と陰口を叩かれている。
普段は着物を着ているが、戦う際は彼女たち専用の戦闘服に着替える。万由は刀、千佳は二刀流、百合は槍の使い手。
武器は
- 「精霊舞(セレブ)」&「粋逸(スイーツ)」(万由)
- 「炎天過」&「氷天過」、「断頭」&「霊過」(千佳)
- 「藤奈美」&「立奈美」(百合)
流派は
- 「捨命流剣術」(万由)
- 「合魂流剣術」(千佳)
- 「愛怒流槍術」(百合)
まだら
CV:???
大老・鬼怒川に仕える隠密集団「暗闇脳天」の一人。中心に大きな黒丸が描かれた不気味な仮面を着用している。鬼怒川三姉妹の指示のもと、暗殺などの任務に携わっている。性格は非情かつ冷徹。
仮面をつけているためその素顔は不明だが、特定のルートを進むとその正体が判明する。
武器は「真心」&「二心」
流派は「裏波羅流剣術」
とぐろ
「暗闇脳天」隊長。まだらの上役であり、彼女の育ての親。
戦闘の際には、忍者二刀構えを使用し、アクロバティックな戦法をする。また、敵に敗北した際には道連れに自爆を試みることもある。
武器は「赤マムシ」&「毒マムシ」
流派は「波羅流剣術」他
攘夷勢
赤城烈斗
CV:小上裕通
25歳・O型。攘夷勢力「般若党」のリーダー。攘夷志士を束ね、侍の時代と日本文化を守るために幕府や外国人と戦っている。豪放で荒っぽい性格だが部下の采配や党の運営などにも優れた手腕を発揮しており、仲間からの信頼も厚い。
背丈ほどもある長剣を背負い、上段の構えから繰り出される技の数々は驚異的な破壊力を持つ。
武器は「阿修羅」&「迦楼羅」
流派は「貞破流剣術」
CV:細谷佳正
25歳・B型。「般若党」の副長で、赤城の幼馴染。居合いの達人であり、「人斬り小暮」の異名をもつ。寡黙な性格で、剣の腕前は党で一番とも噂されるほどの実力者だがそれ以外のことには疎く(当人も自覚あり)、「俺は赤城の刀」と称して暗殺の任務に徹している。赤城同様、外国人および外国文化を嫌悪しているが、展開しだいでは外国文化の受容の必要性を痛感させられたことを機に改心する。
相手に背を向け攻撃を誘ったところを反撃する「天照」、攻撃を受けても怯まずに歩み寄り刀で一閃を加える「骸」→「餓鬼」など、独特な技を多く持つ。
武器は「阿摩羅」&「零魂磨」
流派は「活慎流居合術」
(中央の女性)
朱美
CV:小島幸子
居酒屋「真実」の若女将。心優しく気前のいい人物で、攘夷志士たちのアイドル的存在。党員を匿ったり入手した情報を赤城たちに流したりすることで般若党をサポートしている。
その他
CV:伊丸岡篤
侍道シリーズお馴染みキャラ
20歳・B型。只者ならない雰囲気を持つ浪人。乱れた長髪で古びた着流し姿というやさぐれた風貌をしており、墓場に寝泊りしている。
第1作『侍』に登場する同名の人物と同一人物であり、本作では若き日の姿として登場する[5]。ゲーム中特定の条件を満たすと鍛冶屋の後継者となる。
武器は「闇緊(やみきん)」&「斗壱」(浪人)、「竹富士」(鍛冶屋)
流派は「天神御影流剣術」
女剣士(先生)
CV:山戸めぐみ
侍道シリーズお馴染みキャラ。
本名不明。街道の奥にいる謎の女剣士。
本編登場時の時点では悲願であった敵討ちを成し遂げた直後であり、唯一の肉親である弟を探すべく阿弥浜で就職活動を始める。
『侍』に登場する「先生」と瓜ふたつであり、ゲーム中特定の条件を満たすと「先生」として道場の師範代に就任することもある。
武器は「絶天」&「絶海」(通常)、「竹刀」(道場)
流派は「玩流剣術」
ダウンロードコンテンツ
汁部理人(しるべ りひと)
大通りに居る自称・人斬り。態度は大きいが実際は口ばかりが達者な軟弱者。
ダウンロードコンテンツ導入後に受けられるようになる特殊なりわいの仲介人でもある
DLC「新撰組セット」で登場するキャラクター。後の「新撰組」局長となる人物。
本作ではみずから弱小流派の宗家を名乗っており、彼を倒して名を上げようと寄ってくる不埒者を片っ端から成敗している。口が非常に大きい。
強靭な活力の持ち主で、鉄壁の守りを崩さない限り一切の攻撃が通じない。
武器は「虎徹」
DLC「新撰組セット」で登場するキャラクター。後の「新撰組」副長となる人物。
本作では「石田散薬」の行商人として登場し、普通の秘薬を高値で売って荒稼ぎしている。
「石田散薬」を買わなかった場合、体力がなくなると自ら薬を使用し、その場で復活する。
武器は「和泉守兼定」
ドナドナ
DLC「あの人は今……」セットで登場するキャラクター。『侍』に登場するキャラクターの若き日の姿。
本名はドナルド・ドナテロウズ。イギリス出身の外国人で、一攫千金を夢見て日本を訪れる。
武器は「活火山」
さよ
DLC「あの人は今……」セットで登場するキャラクター。シリーズ第2作『侍道2』に登場した「天原の名無しっ子」こと、さよが成長した姿。
街道にあるおにぎり屋の用心棒。大人になったさよ自体は『侍道2ポータブル』にも登場するが、キャラクターデザインが異なる。本作屈指の強さを持つキャラクターとなっている。
武器は「夜葬(やそう)」