概要
Der Freischütz
ドイツの民間伝承で登場する意のままに命中する弾を所有する射撃主を意味する。
7発中6発は射手の望むがままに出来るが、最後の1発は悪魔ザミエルが望む場所へと命中するとされる。
魔弾同様に弾丸を意のままに操れるキャラクターだけでなく、魔法が関わる銃や銃弾を扱うキャラクターに対し使われる事もある。
日本においても魔弾の伝承があり、「八幡大菩薩に祈りながら作った妖怪に出会いやすくなる代わりに必ず当たる弾」をちらつかせて山爺を脅した漁師の伝承が語られている。
ストーリー
1560年、まだボヘミア地方が神聖ローマ帝国に支配されていた時代の物語。
恋人アガーテとの結婚が掛かっている射撃大会に向けて特訓に勤しむ狩人マックスは大会へのプレッシャーの為に思うようにターゲットに弾が命中せず苦悩していた。そこへ友人のカスパールが「今晩、狼谷へ来い。良いものを見せてやる」と言うので、マックスは狼谷へ向かう。
カスパールは悪魔ザミエルを呼び出し、魔弾を7発製作するよう依頼。3発をカスパールが、残りの4発をマックスに山分けされた。マックスは自分とアガーテの命を代償に魔弾が作られ、契約延長のための生贄にされているとも知らず…。
射撃大会の日、アガーテは花嫁衣装を着ている途中に結婚式用の冠が何故か葬儀用の冠に変わっている事に気づく。不吉な予感を感じた彼女は森の隠者が作った白い薔薇を被る事にした。
射撃大会では魔弾を得たマックスが3発全てを命中させていた。領主はそんなマックスの射撃の腕を大層気に入り、「あすこにいる白い鳩を撃ち抜いて見せよ。其方には容易い事だろう?」と命令するので、マックスは白い鳩に向けて引き金を引いた。ところが鳩に当たる筈の弾はアガーテの方向に向かってしまったのだ。しかし、アガーテに向かっていた筈の凶弾も白い薔薇の冠の加護により逸れ、カスパールの体を貫いた。
領主はこの出来事を不審に思い、マックスに理由を問い質すと、マックスは正直に全てを曝け出したので追放の刑を言い渡した。そこへアガーテを助けた隠者が現れてマックスを許すよう交渉した。
1年間の執行猶予の後にマックスの罪は赦され、アガーテとマックスは結ばれた。
魔弾の射手をモチーフとしたキャラクター/作品など
銃は世界観の関係から、現代のファンタジー作品ではあまり採用されないが、魔弾の射手自体、古典的な悪魔伝承と近代の武器である銃の二要素が結び付いた物語なので、実の所全く噛み合わない組み合わせという訳でもない。
以上の特性から、ファンタジー武器として「魔弾」が登場する作品も多い。
第36話「必殺の0.1秒」はこの作品をモデルにしていて、ソガ隊員がマックス、ヒロタがカスパール、ペガ星人がザミエルのポジションに相当する。
あらゆる地域や時代の英雄たちが一堂に会する作品だが、「魔弾の射手」自体は様々な事情からか、「英霊」には至れず「幻霊」という下位の存在止まりになっている。
また、『Fate/Requiem』では、魔弾の伝承の原典は北欧の魔術「ガンド」とされている模様。
こうした事情ゆえ直接は登場しないが、『Fate/Grand Order』に登場するサーヴァント・新宿のアーチャーは「魔弾の射手」の幻霊を取り込んでおり、その能力を得ている。
また、『Fate/Requiem』の主人公・宇津見エリセも、「魔弾の射手」の魔弾を模造した魔術を行使する。
リップヴァーン・ウィンクルのキャラクター造形に大きな影響を与えた。
本人もまた百発百中の狙撃手であることから「魔弾の射手」と呼ばれ、戯曲「魔弾の射手」を口ずさむ事も。
悪魔ザミエルをモチーフにしたデジモン・ザミエールモンが登場。
ただし、武装は銃ではなく弓となっている。
- 魔弾の射手(漫画)
エロイカより愛をこめての外伝作品であり、作中の連続殺人犯が「魔弾の射手」の異名を取る。
アガーテ・アーリアと契約した原書として登場。なお、アガーテの名前も「魔弾の射手」のヒロインが由来となっている。
主人公のマックスとライバルのガスパール、悪魔ザミエルをモチーフとしたモンスター「魔弾の射手マックス」「魔弾の射手ガスパール」「魔弾の悪魔 ザミエル」が登場している。
主人公のハーメルがスフォルツェンド攻防戦において、攻撃の魔曲としてこの曲を演奏。
- LobotomyCorporationおよびその続編
ゲーム内にて「魔弾の射手」というアブノーマリティ(幻想体)が登場している。
モチーフや百発百中の弾丸など類似している点が多いが、大きく異なる点として「何発だろうと彼の意志の通りに撃てる」ことが挙げられる。