概要
「Fateシリーズ」の大きな要素「サーヴァント」として召喚される、神格化された歴史・伝説上の存在たる「英霊」。
それより1ランク下の存在が「幻霊」であり、用語としては『Fate/Grand Order』のエピソード『悪性隔絶魔境 新宿』での説明が初出。
民間伝承や物語に伝えられる極めて架空に近い存在や、実在しているが英雄と呼ばれるには武勲や活躍に乏しい者たち。歴史が足りず、知名度や信仰が望めないなどの理由で霊基数値が不足しているため英雄にも反英雄にもなれず朽ちて消えるだけの存在。
本来であれば幻霊はサーヴァントとして呼び出すことができず、例え召喚できたとしてもサーヴァントの中でも最弱になりやすい作家系のキャスターにも劣るレベルの弱さとなる。
宝具の威力自体も減衰し、そもそも使えないとされるが、その性質だけは英霊同様変わらないとされる。
しかし極めて世界法則の乱れた(物理的・魔術的に破綻した)世界に於いては幻霊同士、または英霊と幻霊を融合させることによる霊基の強化が可能であり、その場合に限り、通常のサーヴァントと同等以上の力を発揮することができる。
もちろん霊基に相当手を加えているため、原典とはかけ離れた存在になり、その様なモノをサーヴァントとして再召喚するには、当事者として交流するレベルの縁が不可欠となる。
メインクエストで再び大規模に言及されたのは、第2部第6.5章『死想顕現界域 トラオム』にて。
この特異点では万単位ものサーヴァントが召喚され、彼らは「英霊級」「幻霊級」の2種に分類されている。英霊級が上級で尉官や将校にあたり、幻霊級は一般兵にあたるものとして扱われている。幻霊級は英霊級と比べると劣るのは事実であるが、宝具は英霊級と同様に保有している。
戦場で倒れた兵士のような、歴史に名を挙げる一歩手前の者達が幻霊級として召喚されている。
『Fate:Lost Einherjar 極光のアスラウグ』によると亜種聖杯戦争では無理矢理エーテル体を与えた幻霊サーヴァントが召喚されることもしばしばあるとのこと。
該当者一覧
作中で明言された者のみ記載。
勘違いされやすいが、架空の存在や本来サーヴァントとして召喚されない者の全てが幻霊というわけではない。
『悪性隔絶魔境 新宿』
クラス | 真名 | 備考 |
---|---|---|
アーチャー | 魔弾の射手 | 英霊ジェームズ・モリアーティの適性は本来キャスターだが、能力だけ取り込むことでクラスチェンジしている |
ライダー | 融合する事で霊基数値を底上げしているパターン | |
アヴェンジャー |
| ロボがグリフィンの能力を取り込む過程でクラスチェンジ |
アサシン | 燕青が主体だが、能力を使う度人格への影響が強まっていく | |
バーサーカー | クリスティーヌ・ダーエ | 殺戮人形に壊れた人格を宿らせるのがやっとだった |
(なし) | 名探偵たち | とある方法により、朧げな霊として200体あまりが召喚された |
アサシン | 呼延灼が主体だが人格への悪影響が強く、お蔵入りの未登場になっていた |
『死想顕現界域 トラオム』
概要にもあるよう他にも多数の幻霊級サーヴァントが登場している。
クラス | 立場 |
---|---|
キャスター | パラケルススの弟子 |
アサシン | ハサン・サッバーハになれなかった暗殺者 |
その他
クラス | 真名 | 備考 |
---|---|---|
バーサーカー | ポール・バニヤン | ギャグ時空ではあるが、うどん粉と聖杯の泥で作られた霊基で英霊として現界している。 |
ライダー | ネモ | 神霊トリトンと融合することで複合サーヴァントとして成立した。 |
「英霊」の定義
元来サーヴァントの根幹を成す「歴史」「伝承」とは、数えきれない程の異説や反証がついて回る事が当然の概念である。
加えて型月世界では男性とされていた偉人が女性であったり、架空の存在とされた人物が実在のもの、逆に実在した人物がモデルとされ扱われるケースも茶飯事で、それすら並行世界ごとによって話が変わってくる事が確認されている。
例えば、従来の型月作品では佐々木小次郎は実在せず、基本的には英霊の座に登録されていないが、Fate/prototypeの世界では英霊の座に登録された実在の英雄であったり、男のアーサー王や異世界の英雄王が登録されている点などである。
また英霊になっていてもおかしくない知名度や功績があっても、英霊の座にいないと明言されている英雄や偉人の類も確認されており、ミケランジェロは意外にもこのタイプに入る。
逆に実在の人物であっても功績や信仰が足りず英霊ではない者もいる。
そのような者達は一般的な死者の霊と同様亡霊と分類される模様。
このように英霊と幻霊、亡霊を分ける条件は非常に曖昧で、身も蓋もない事を言ってしまえば、設定担当やライターのさじ加減次第と言える。
一般的に知名度が低い者でも英霊の座にいてサーヴァントとして召喚されたり、これまでの作品でも文学作品から出典されたサーヴァントが多い為である。
一応「その世界線」に存在しないとされる英雄は、人類史の中からその英雄の殻を被るのにふさわしい人物(亡霊)を英霊として登録し召喚される。
また「アサシン」という名で群をなしている(恐らく初代を除く)ハサン達も元々は英霊候補の亡霊であるため、正純な英霊と比較して能力は低い。
なお英霊は本来、座に登録される為に特定の理由付け(主に信仰・歴史・功績)が必要となるが、FGOにて特殊な方法で登録された者たちが多く登場する。
※これを行った人物が規格外な存在だったが故に出来た方法と見るべきか。
また英霊の中には半神などの神との混血や神が人に転生した者、神の座に祭り上げられた者が存在し、それらは通常は英霊の座に登録されるが、極めて特殊な方法よって神霊として召喚されることもある。
- 未来の英霊
近代兵器の最たる利点は“鍛えれば誰でも使える”という事。しかし、そうであるが故に“たったひとりの存在”にはなりづらく、それは顔のない英雄となる。
近代兵器に身を包んだ英雄がいたとするなら、英霊として扱われるのは“鍛えれば誰でもなれるエキスパート”たる所有者ではなく、“その時代でもっとも優れた兵器”そのものが英霊として祭りあげられる。その場合、兵器そのものに魂が宿らなくてはならない。
そして近代の英霊が少ない理由としては現代世界では人類を滅ぼしうる要因(核爆弾など)がそこかしこに存在しており、無意識のうちに人々が抑止力に突き動かされて世界を救っている為であり、『世界を救った』程度の理由では英霊になれないのである。
もっとも「英雄として民に謳われるもの」という観点として見れば、現代戦争でのエース(例として「白い死神」のシモ・ヘイへ氏や、「レッドバロン」のマンフレート・フォン・リヒトホーフェン氏)や有名な政治家・革命家(例としてドイツ帝国の鉄血宰相であるオットー・フォン・ビスマルク氏、ベトナムの独立革命家であるホーチミン氏)なら、民に謳われ崇拝されていたものであれば、英霊になれる可能性が比較的に高いであろう。
- 神話や伝説の解釈
神霊の場合であっても似たケースが確認されており、例えばギルガメッシュの時代より前にオリュンポスの神々が存在していたりするのである。
これは実際に作中でもシャーロック・ホームズが触れており、あくまで人の手で作られたお話にすぎないからだとも述べているが、ナポレオンやサリエリの様な、史実の人物であっても後世に体系化された説話や逸話に影響を受けた例も多数確認されている。
「蒼銀のフラグメンツ」でもこの点に触れており、型月世界においても神話伝承には諸説あるらしく、召喚されたサーヴァントの過去と齟齬があるらしい。
この為、『神話』や『伝説』の類は神代を垣間見る為の不完全な記録ではないかとも言われている。